鯉釣り日記2022年 終わらせたくない夏 第一幕

釣行日時 8月17日17時~
8月19日12時 
釣行場所・ポイント名 篠津湖

 点滅する信号、並ぶ街灯、1本、2本と通りすぎる私。ここからはもう混沌とした空間で作り笑いなどしなくてよいのだ。今夜はゆっくりパソコンに向かいあえる。そして明日は釣行。単独ではなく、心の知れた仲間、先輩との共闘だ。楽しくキーを打つ指が早とちりをしてbackspaceを押すことも多くなってきた。記事を書いてCtrlキー+Sキー。やがてベッドに横になると錆びてきているベースの弦が目についた。悪いけど、おまえのメンテは一週間あとだ。

 出発しようと車のミラーをいじる。映る私の顔は眼に力が入り、口角がこころなしか上がっているように見える。いつもこんな顔を出来ていればいいのに。最近癖になっている気合いを入れる時にフッと強く息を吐く動作を無意識にやりながら車を出す。

 今回一緒に釣りをする先輩方は、8年ぶりの再会となる九州の高橋さんと平さん。以前は高橋さんが仕事でこちらに来る際に釣り具を持ち込んで、休みの日に一緒に釣りをしていたわけだが、いまは仕事が変わり、こちらに来るという機会がすっかりなくなってしまった。今回は全て自費で何千キロに渡る旅をしながら来道するとのことで、我々北海道の釣り人は8年ぶりの再会を大きな楽しみにしている。

 事前にメールを交わし、複数人で竿を出せる場所がないか思案にくれたが、この8年で札幌近郊はすっかり変わったものだ。以前一緒に釣りをした雁里も工事が入り、茨戸も大部分が立入禁止となった。ポロト湖も昔三人で竿を出したことがあるが、そこも工事中だと聞いた。雨の影響で石狩川も増水し、茨戸にも影響がある。苦肉の策で砂川遊水池でやろうと話が纏まった。

 13時砂川に到着。パーク内は増水で殆どのゲートが閉まっている。とりあえず高橋さん達と合流せねば話にならない。さてどこだろう。適当な場所に車を止め電話をかける。

 「着きました。今どこですか?」

 「安田君、黒い車?じゃあ後ろにいるよ」

 バックミラーを見ると、後ろに停めてあった白い車から二人が出てきた。普段私も来ない場所故、合流するのに適したポイントを探さねばと思っていたところだったが、まさかすぐ後ろにいるとは…「メリーさんの都市伝説」を思い出す。懐かしい声、握手を交わした熱い手。様々な思い出が蘇る。高橋さんと平さんは今月14日、15日、16日と洞爺湖で釣りをされており、高橋さんは23日午前まで北海道に滞在されるという。私も17日から21日まで時間が取れた。当然フルに活動したいため、普段はめったにしない連泊。それも四連泊をすることにした。

 しかし、さて、どうしようか·…。ここは石狩川の遊水地だ。石狩川が増水しているとなれば、当然ここに水が入る。遊歩道であった場所は完全に水没。広くて鯉は釣れる場所…それで砂川を選んだわけだが、やはり駄目か。

 お二人は砂川へ向かう途中篠津湖に寄ってこられたようで、見てきた感じ篠津はあまり増水の影響はないという。だが篠津では去年の記事にも書いたとおり、小型の鯉しか上がったことがない。では他に候補が…?話あった結果、やはり篠津へ移動することとなった。


篠津へ移動中

 篠津湖に到着したのは16時頃となった。小型の鯉しか釣れなくとも、ここには草魚がいる。あのモンスター以来の7年ぶりの草魚釣り。いいじゃないか、やってみよう。私はひとり車を離れ、エサとなる葦を採取しに行く。ここも変わったものだ、昔は葦が群生していたのに、今はイタドリの方が多い。いくらか葦を刈り取って車に載せ、ベースへ戻る。


草魚釣りのため葦を採取

 高橋さん、平さんは鯉を、私は一発狙いのソウギョを狙うとして、それぞれ竿を出す。篠津湖の草魚の生息状況だが、最近は目立った話が聞かれない。数が少なくなってしまったのだろうか。一通り辺りを見てきたが、食み痕のある植物もなかった。それでも一匹でも釣れるチャンスがあるならやってみたい。恐らく一番暇な人間になるだろう。

草針用二本針仕掛け 「鯉ハリス号」「チヌ針10号」 やり方は縫い草針で
私は草魚狙いで二本竿を出す。  久しぶりというか、懐かしい光景 

 18時半ばに完了。テントをセットしたのは19時となった。この時間でもう暗い。ひと月前から1時間日が短くなっている。秋の訪れか…。

 平さんはボイリー「ストロベリー」と「クラブミックス」を使う。一方高橋さんは一発大物狙いの自作の40mmボイリーだ。写真では何度も見せて頂いていたが、実物を見るのは初めて。これは確かに、口が大きく、盛んにエサを吸いこもうとするやる気のある鯉しか掛からないだろう。

私の下流に高橋さん 平さんは更に下流で 高橋さんの40mmボイリー

 お二人ともセットを済ませたようで、今度はベースでディナーの準備がされている。種となる木の枝や松ぼっくりに火を、そしてそれは炭へと広がり、炎は空間を彩った。お料理上手なお二人の前で、野菜を切ることくらいしかできない私は、出来上がりつつある料理にキョロキョロとするばかりであった。

 まず頂いたのは、平さんが串焼きにしたシシトウ。緑と焦げ目のコントラストは私の食欲をそそる。そしてバターと醤油を乗せたシイタケに思わず「うまい!」と心が口に出た。

 その間にもパスタの準備をする高橋さん。茹でた面のお湯を切ろうと私の背後に回った次の刹那に、

 「あっちぃーー!!!」と叫んだ。

 驚いて後ろを振りむくと、湯切りに失敗したのかパスタをこぼしながら悶えている高橋さん。手に熱いパスタが乗ってしまったようだが、幸い大きな火傷ではないようでほっとした。しかし初めて高橋さんの悲鳴を聞いてしまった。

 高橋さんの手を犠牲にしたパスタはトマトと厚切りのナス、そしてチーズと豪勢で、満ちているはずなの腹は、もっと食べたいと言うことを聞いてくれない。

 空は晴れ、満天の星。それを見ながら、釣りをしながら、美味しい料理を食べながら…なんて贅沢だ。

火を起こし食事の準備を 続々と出来上がってゆくディナー
生パスタに野菜とチーズをからめて  ベースの光景 

 7年ぶりとなる3人での談笑は、濃い内容でありながらスローテンポだ。私はこのテンポが好きだ。コーヒーを頂き、私はこの猫舌を慣らし、平さんは就寝すると言ってテントへ入っていった。

 改めて空を仰ぐと黒い空にくっきりと星が見える。私も高橋さんも、こんなに広い星空を見るのは久しぶりだ。いつまでもこうしていたい。流れ星を探して目に焼き付いた星。目を瞑ってもしばらく消えることはないだろう。

 高橋さんがよく釣りをされる遠賀川や、その川の釣り仲間の方々の話を聞いていると、赤いランプが灯ったのに気づいた。平さんの釣り場だ。テントの中からも受信機のメロディーが聞こえる。平さんの竿をヒットした鯉はしきりに左方向へ移動する。それを追いながら引き寄せ、高橋さんが構えるタモの前まで寄せられたが、水面での一暴れでスッポヌケてしまった。だが、まだ23時。日を跨いでいない。まだまだチャンスはあるだろう。ついでに私の草魚仕掛けの様子を見るが、こちらは全く異変がない。まだ寄せの葦のどれもがセットした時の状態のままだ。

平さんにヒットするが惜しくもスッポ抜け 私の草魚仕掛けは異常なし

 日付が変わっても、星座が見えなくなっても高橋さんとの談話は続いた。「この時間が幸せだ」と漏らした高橋さんの一言を聞いて、「私も同じですよ」と口に出したか、出さなかったか。心が解され、私も少し眠くなってきた。

 明日は雨の予報である。私が広げた5人用テントは雨しのぎの談話室としたいので、大きなベッドなどを出さずにして、簡易なマットと寝袋で眠るとする。そうすれば談話室としてだけでなく、キツネなどの動物に荒らされかねない荷物もテント内にしまっておけるようになる。


高橋さんがこぼしたパスタ

 6時起床。これから雨が来る。、テントを立てている位置は雨が降ると水溜まりとなり、床では眠れなくなる。テントは単に談話室としてだけ使うことにして、今晩は車で寝るとしよう。雨が降る前に車の座席を倒し、テント内の寝具を移動させた。その後買い出しに行き、戻ると高橋さんが起床していた。高橋さんは雨が降る前にソーラーパネルを広げてバッテリーを充電している。高橋さんの車には冷蔵庫などが積まれているので、かなり電力が必要になるようだ。しかし空はもう鉛色。どれほどバッテリー残量を上げてくれるだろうか。


高橋さんはソーラーパネルで充電

 セットされてゆくパネルを観察してると、センサーメロディーが流れ始めた。 8時、平さんに二度目のアタリ。可愛らしい 50台。他人の釣果にそんなことを言ってしまうと失礼になるかもしれないが、私達がよくいう「篠津サイズ」である。

平さんに二度目のヒット 篠津湖ではおなじみといったサイズ

 座っていても、立っていても、笑い声が絶えない釣り場。こんなのいつぶりだろう。

 10時 ソウギョの葦を回収してみるが、一枚だけ破れた葉があったのみで他はほとんどそのまま帰ってきた。このままアタリを見込めないまま竿を出しているのもつまらない。昼間は鯉釣りに転向しよう。ちょうど高橋さんもエサ変えをしているところだ。他人が行動を起こすと自分も動きたくなる変な性分だ。草針を外し、ブローバックリグをセットする。これからの雨のことを考えるとPVAは使いたくない。ベイトロケットで寄せエサを撒き、その中に食わせを投入することにする。寄せエサの内容は鯉夢想、コーン、ペレット、「クレイブ」各サイズ。変に子鯉を寄せるのも嫌なので、いつもより若干少なめにつくり、投入数もいつもより減らした。食わせは目立つように「クレイブ18mm」と「ソース15mmポップアップ」のスノーマン。2本とも15mほどの距離に打ち込んだ。

鯉釣りに転向 クレイブとソースポップアップ さて、何が来るか

 平さんはまた眠りに就いたので、高橋さんと二人で昼食を取る。南の風が強くなりはじめ、火を起こすのは少し難しい。ガスでお湯を沸かし、高橋さんはカップ麺、私はパンで軽く鳴りそうな腹を慰めた。そして高橋さんが淹れてくれたコーヒーで一息。しかしアタリが遠い。鯉釣りに転向してから3時間。子鯉の数匹のアタリでも出ると思っていたのだが、一番竿のアラームが一度だけなっただけ。それも多分ウグイだろう。

 13時を過ぎた頃、とうとう雨が降りだした。五人用テントに入ろうと荷物を整理している所に、高橋さんのセンサーが入った。それを私は遠めに見て、あまりサイズには期待できない感じか?と思って近づいてみると、「え?」 「なんだこれ!」と二人して思わず声を上げてしまった。大きな針をがっぷり咥えるは、20cm程の子鯉だった。いくらなんでも小さすぎではないか。しかも一発大物狙いの高橋さんにヒットするとは。まぁ、子鯉でありながらその喰いっぷりは評価しておこうか。

雨が降り出した頃高橋さんにヒット 20センチ程のが大物狙いの仕掛けをがっぷりと

 雨が本降りになり、テントに避難。コーヒーカップを片手にして、鯉釣りにおいてこれから使っていきたい針はどうこう、遠征するのにフェリーに乗るならどうこうと、高橋さんの面白いお話に頷いていると二番竿からの受信。どうせまたウグイかと思っていたが今度は鳴りやまない。本物か?暑苦しくて嫌いなレインジャケットを仕方無く着て、釣り場へ向かうと、思ったよりなかなかの勢いでラインが出ている。滑るスプールに指をかざし、鯉が止まったところでプレッシャーをかける。スタミナがあり浮いてからも抵抗凄まじく、なかなか顔を上げてくれない。まぁいい、力尽きるのを待ってあげる必要もない。まだ顔を下に向けている鯉を捕獲しランディング。なんとか坊主は逃れた…·。マットの上でもスタミナと根性に物を言わせて暴れまわり、リリースしたあとも煙幕を上げて素早く去っていった。小顔で可愛らしい印象を受ける鯉だった。


私もボウズを逃れた 66センチ

 高橋さんは車でパソコンをするためにテントを出た。平さんも就寝している中、一人になってしまったが、コーヒーを二杯、その後にまたペットボトルのブラックコーヒーを飲んでしまっている私は眠れもせず、雨でドアや窓の開けられない車の中にいるのも窮屈で、テントの中で携帯のディスプレイばかり眺めるのであった。

 15時15分、一番竿のアラーム。鳴り方からして食い上げてスウィンガーが上下しているようだ。すぐ横に車を止める高橋さんにも音が届いてるようで、「来てるよー」とテントの外から声がする。特に慌てるでもなく壊れ掛けている入口のファスナーを開け、向かうとやはりスウィンガーが降りていた。先ほどの鯉と同じく左に向かうがかなり軽く、またすんなりと大人しくあがってきた。サイズは50cm台。


2匹目 食い上げアタリの50台

 寄せエサを追加しておこう。 草針はどうしようか。取ってきた葦はまだある。夜になる前にもう一度セットしようか?悩みながらテントに戻る。

 小雨がテントに弾ける。私は単独釣行の場合、雨は避けている。嫌な事、悲しいことがある日に限って雨模様でそれを思い出してしまうからだ。でも今回は一人じゃない。二人でもない。付き合いだして14年。気心の知れた仲間の声がそれをぬぐい、そして蒸発させていく。

 16時50分 二番竿にアタったがあまり激しいアタリではない。緑のスウィンガーが降り、完全に食い上げているようだ。竿を持った瞬間まずいと思った。ここは足元から深くなり沼底まではゴロ石が積まれている。それに引っ掛かっているようだ。ラインを少しリリースすると沖へとラインが出されたが再び動かなくなった。ラインやクリップが完全に石に挟まっているようだ。なす統べなく、かなり痛いがラインを切ることになった。

 17時頃、高橋さんはソウギョ狙いの草針を出すという。今回ソウギョの気配がないのもあって、軽くめんどくさそうにしているその様子をみていると、平さんのテントからセンサーメロディーが流れ始めた。食いが立ってきただろうか。上がったのは茶色みの強い50台の鯉だった。

夕マヅメ、高橋さんは釣り座から100m離れたところにソウギョのタックルをセットした。雨はすっかり上がり、夕方色の水面に魚の息吹が浮かぶ。空には二重の虹がかかり、美しい終日となった。

平さんにヒット 50台 背中の方が若干茶色味のある個体
高橋さんが草魚用の草針をセッティング  二重の虹がかかった その中でエサ換えする高橋さん

 20時。我々の光に誘われた虫達に蚊取り線香で反撃しながら、今宵のディナー、高橋さんが持ってきた鹿肉をカットしていると一番のアラーム。単発で鳴るがウグイとも言い切れない、ゴロ石の下に潜りこもうと食い上げる鯉がいる。そして今回もスウィンガーが垂れ下がった一番竿が見えてきた。これも所謂篠津サイズ。しかし下へ潜り込もうとする力はスプールを鳴らせた。これまでよりも体高が高く、その分力が強かったのだろう。外した針を点検するとかなり針先が甘くなっていた。こういったことは怠ってはいけない。新しい仕掛けをボックスから取り出してボイリーを装着。寄せエサの追加はせず、そのまま同じポイントへ投げて置いた。


ディナー前の一尾

 ベースに帰ると、鹿肉の香草焼き、シシトウ、シイタケ、トウモロコシの炭火焼きが良い音を立てている。私が漫画のキャラクターならヨダレを垂らしながら料理を見つめる描写になるだろう。

高橋さんが持ってきたエゾシカ肉 料理が彩る

 宴は23時まで続き、平さん、高橋さんの順に床に入る。私もこれを書き終えたら眠るとしよう。もっともカフェインの摂りすぎで眠れないかもしれないが…。五人用テントは談笑中の雨しのぎとして、自分のもの以外の荷物も入れているため、今夜は車で眠ることにする。シートを片付け、枕の位置を整えているところに青のランプ。アラームの鳴りかたからしてまた食い上げているのかと思いきやラインは張っていた。小さいのだろう。竿を手に取り穂先を上げると一度強く引く手応えがあったがすぐに子鯉が姿を現した。40もいっていないだろう。しかし平さんも言うようにここは綺麗な鯉が多い。

 車中泊など何年振りだろう。少なくとも今の車に乗り換えてからは初めてだ。寝心地は悪くない。時刻は0時を過ぎた。ここから8月19日が始まる。

 3時35時、二番竿のアタリに叩き起きた。今度も食い上げではなくしっかり沖に走っているようだ。水面に姿が見えてもここからだと言わんばかりに抵抗して頭を上げない。いってみれば往生際が悪いのだ。50台のくせにやるではないか。

4匹目 50センチにも届いていないだろう 5匹目 かなり根性のある個体と見た

 外は露の影響もあってかなり冷えている。気温15度だが水温は安定して23度と暖かい。見上げれば北斗七星はとうに姿を消し、オリオン座が夜の舞台に立った。もう冬の軌道が近づいているということだ。今年は真夏の釣りをほとんどしていない。その分、今回の釣行で満足してやろう。

 7時、喉の渇きで目を覚ます。雲のない晴天。寒い夜を明かした外に置いておいた水はまだ冷たく、爽やかに潤してくれた。平さんもテントから出てきたので今回二度目の朝の挨拶をかわす。続いて高橋さんも起床し、ソーラー充電日よりですよと伝える。平さんは今回オモリを自作するセットを持ち込んでいるようで、早速アイの作成から取りかかった。釣果はと聞くと二人ともアタリがなかったという。さぁどうするか。とりあえず甘い菓子パンでも頬張っておこう。セミの声が目立つ良い日和だ。だがそれも長くは続かない。明日の天気予報は雨だ。

 10時、二度寝しているところを「ごはんだよ」と平さんが起こしてくださった。外に出れば料理の良い香りが鼻に抜ける。ホルモンとスパイス、エビの焼きそばが皿代わりのフライパンに盛られ、食欲が掻き立てられる。口いっぱいに広がる香ばしさに活力を貰えた。さて、これからどうするか。やはり明日の雨が強く、となればそれをかわせるトンネルのあるpt.FRへの移動がが固いか。

晴天に野菜の色が映える ホルモンと小エビの焼きそば

 私は小さな用事がいくつかあり、一度札幌に戻らなくてはならない。夕方にpt.FRで再会し再開しよう。そのためには時間にゆとりをつけてもう片付けをしなくてはならない。気温は30度を超している。体の水分を奪われ、それをミネラルウォーターで補いながら、釣具以外の荷物を纏めていく。

 撤収前に3人で集合写真を撮る。これはずいぶん昔からの恒例であり、なかなかお会いできない仲間との親交の証だ。そういう時のためと言っても過言ではない三脚を車から取り出し、カメラを設置する。私を入れた全員がフレームに入るようにセットして、セルフタイマーのスイッチを押した。


 さて急ごう、小さな用事であるが、果たすと約束した事であるために無視ができない。それが終わるのは19時を回った頃か。2泊するというなかなかやらない釣行であり、しかもこれで終わりではない。こんなに思い切り羽を伸ばすことなんてそうそうない。とりあえず、篠津編はこれにて終了する。

第2編へ続く