私の鯉釣りのほとんどの時間を共にしている大鯉専科のスピニングタイプ。購入当時中学生だった私にも手に入れやすく、また扱いやすいものだった。もうすっかり手に馴染んでしまい、長さ、重さ、柔らかさ、硬さ、パワーの出方などこのクラスのロッドでは大鯉専科でなくては落ちつかない。鯉とのファイト中は弱く細かく刻むような引きにはしなやかな穂先が対応し、強く引かれれば加重がスムーズにベリーへ伝わる。その奥に待ち受けるバットも強靭というよりも、やはりややしなやかで粘り強く、鯉に反撃するというより優しく受けて捌き、鯉と喧嘩をしないというイメージの竿となっている。

 60〜80センチのミドルクラスの鯉が対象になっているが、それ以上の魚を相手にする力は確かにもっており、今のところ不満に思うことはない。5.3メートルという長さは、広い場所に対応するためであり、ソウギョの草釣りにも丁度よい。また狭いフィールドでの釣りでは、キャスティングこそやりにくいものの、ファイト中、周囲の藪をかわしながら魚の走りに対応するのに使える長さだ。

 長きにわたる自転車釣行や担ぎ込みで傷がつき外装はボロボロ。石突は、竿掛けへの脱着で黒い塗装が取れてしまうので、一度塗装をすべて剥がして木面を出した後、リールのハンドルと同じ色のニスで塗装しなおしている。
 


 

 

 2012年夏、私が10年間愛用し続けた大鯉専科がモデルチェンジして生まれ変わった。多くの釣行を経て戦傷を重ねた先代大鯉専科に代わり、2012年9月より次の10年へと繋ぐ2代目としてニューモデルのMH535遠投Nを手に取っている。

 新しいベクトルダイワのロゴをあしらい、エンブレムも角度によってメタリックなピンクからグリーンへと変わるグラデーションを纏ってバットの表に刻まれている。また紫檀の大型石突きは木によって色が異なり、私の竿は濃い焦茶色を1番竿、白みがかった優しい色合いのものを2番竿として区別している。

 前作との大きな違いとしてVジョイントが搭載され、重いオモリを落とした時のカツンという衝撃感がないのが第一印象だった。加重移動のしなやかさは前作を超え、ファイト中だけでなく重い仕掛けの遠投の際にもそれが発揮される。それでも使用感は継承されおり、理屈よりも感覚で物を扱う性格の私としては違和感なく安心して使うことができる。

 このモデルには485遠投Nという50センチ短いバージョンも存在するが、自己感覚的には大ダンゴを遠投する際の飛距離の出し方やコントロール、また大きい魚との長時間のやり取りを鯉竿でより良く実現させるなら、5.3か5.35といった長さを欲し、短い竿の利点を活かす釣りでは下記のカープロッドに任せようと考えている。

 フラットだったグリップはフロントのみラバーグリップ風に改造。スポンジテープを巻き、シュリンクチューブを被せて私の指に合う歪みをつけている。

 



 


 近年はカープロッドを主戦力にする釣りも増えている。頭上に木などがあるフィールドでも振れる短さで遠投も可能という、どんな場所で釣りをすることになるかわからない新規開拓での強い味方となる。日本の鯉竿よりも弱いというイメージがあったが、竿を立てれば少ない力で魚を引き寄せる力を持っており、122センチの草魚とのファイトでも余裕で捌くことができた。軽量であるため、足場の悪い場所での長時間のファイトではかなり楽に勝利に持ち込める。巨大なガイドは鯉師が使いたいと願う大型のスピニングリールを抵抗なく扱えるように配置され、鯉のためだけに生まれた竿と言えるだろう。

 機種はポールアンドラインのトラベラー4 3lb’12fを使用。特筆すべきは4本継ぎという携行性の高さで、仕舞い寸法は1メートルを切る。それでも40号のオモリを振り回し遠投することも可能で、ダンゴを用いる釣りや極端に重いオモリを使用する釣りでは大鯉専科に敵わないが、それ以外の釣りでは最近のメインタックルとして
ロッドバッグに3本仕舞ってある。








 



 04年の江戸川遠征2日目。アオウオを狙った釣りの際、青師の先輩から貸していただいたのが、スプールに16号の石鯛ラインを巻かれたこのリールだった。札幌に帰った後、そのリールを買い取らせて戴いて2010年までの主要リールとしていた。大きさやパワー、巻き取り量、ハンドルの大きさなど、鯉釣りに使うには文句ないリールで、鯉竿ともよく馴染む。最大ドラッグ15キロ。ラインキャパは12号ナイロンで200メートル。遠投カゴ釣りを意識されたリールで、メタルボディは耐久性があり、35oアルミスプールのラインキャパシティも鯉用のラインを十分に巻けるものとなっている。
 

 
 


 ラインの使い分けや捨て竿用として5000番と5500番の計4台を所有している。
 当初クロスキャストやウインドキャストのクイックドラグタイプの購入を考えていたが、どちらも4000QDと小さく、またクイックドラグの必要性を感じなかったためにモデルチェンジされたベクトルダイワのクロスキャストを購入した。

 遠投カゴ釣りを意識した大型スピニングとしては安価でありながら性能は至って問題なく、プロカーゴと同様にして使える。コストパフォーマンスに優れたリールと言える。

 



 


 2017年からモデルチェンジされたウインドキャスト6000をメインリールとして導入した。
 磯遠投用のリールとして設計された屈強なボディに太いベイルアームは、これから訪れんとする恐怖さえ覚えてしまうような魚との出会いの備えとして逞しい。

 エアローター、マグシールドが搭載され、スムーズなハンドル回転は重い獲物をストレスなくハイパワーで引き寄せることを約束する。特にこの6000番は南方の磯大物釣りに耐えられる仕上がりとなっており、どんなシチュエーションでも私の強い味方となるだろう。

 当初6000QDを購入したが、やはりクイックドラグよりも自分の手でドラグノブを微調整するのを好み、ノーマルタイプに切り替えた。最大ドラッグ力15Kg。ナイロンライン10号を250m巻けるキャパシティとなっている。






 

 


 現在基本的にはナイロンラインを使用している。

 フロロカーボンラインの沈下速度や水中で視認できなくなるという特徴は魅力的であるが、その硬さから30LB以上のフロロを巻いて遠投するのは難しく、また沈下したまま鯉に走られると底に擦れて寿命が短くなるという懸念がある。そしてPEラインは急激的な力に弱く、太いラインでも一つ傷を付けてしまうとしばらく使用した後に突然そこから弾けるように切れるという怖さを過去の雷魚釣りで思い知らされた経験がある。そんな消去法で鯉釣りにおいてバランスの取れたラインがナイロンという結論を出した。

 私の鯉釣りスタイルは12時間〜48時間の長期戦であるため、ラインは絶えず風雨、湿気や乾燥、日光に晒され続ける。そんな釣行を続けてもラインの交換なしに弱らず、いつでも良いパフォーマンスをしてくれることが望ましいため、強固に作られたラインを求めている。

 大鯉研究所の龍王やDAIWAのアストロン鯉などの鯉用のナイロンラインの7〜8号を主に使い、リールには250m以上巻くことにしている。

 龍王はリール馴染みがよく、他の製品よりも比較的よく伸びる。アストロン鯉MAXガンマは耐摩耗性にかなり優れており、例えば仕掛けを結んだ際に結び目の上に起こる摩擦熱での傷みが従来のものよりも少なく、その性能がわかる。硬くパリッとした素材は扱いやすく、また吸水や紫外線へのダメージも少ない。

 ここまでは基本的なラインの選択であるが、ルアータックルで行うランガンスタイルではPEラインであるシマノのパワープロを使っている。過去にパワープロの1号で70台を掛け、橋脚に巻かれたまま走られるという絶望的な局面に遭遇した事があったのだが、驚くほどによく持ちこたえてくれた。このラインの対摩耗性にはPEラインの中でも一目置いているところだ。








 

 
 2005年から獣のトラップの製造メーカー「三生工機」製のピトンを使用してきたのだが、大鯉専科のリニューアルに伴い、ピトンも竿に合ったものに買い替えることにした。

 鯉釣り専門釣り具の有本のオーダーメイドピトンを使用。これは竿とリールの名称、リールから竿尻までの長さ、石突の大きさを指定して作って頂いた。

 丈夫で計量、角度調整も容易でありその上に安価で購入できるとあって、不満のない出来になっている。ステンレス製土用ピトン脚に装着し、高さは80cmを使用。



 


 ヨーロッパスタイルを象徴する独特な竿掛け、ロッドポッドを使用することも増えている。
 主な登場場面としてはピトンやバンクスティックなどが刺さらない硬い地面や、足場の不安定な釣り場。どんな場面で釣りをすることになるかわからない新規開拓で重宝する。

 機種はフォックスのホライズンポッドで、4つ足の抜群の安定性に、それぞれの脚の長さや位置、角度を大きく調整できるフレキシビリティは素晴らしい。長さも90センチから約150センチまで調整することができ、長竿の使用にも有る程度対応できる。

 標準の脚で長さが足りない場合は、DAIWAのカープバンクスティックなど、長さ調整が大きくできるバンクスティックを装着して使用。



 


 前作ホライズンがホライズンデュオとなりリニューアルされた。違いは前作のボーンフレームが太い1本だったものが、デュオでは細めの一対となり、かかる負荷を分散させてより強固なものになった。 90センチから約150センチまでフレームの長さを調整することができるのは前作と変わりないが、購入当初少々気になる部分があった。脚の細かいセッティングが前作よりも出来なくなっていることだ。それはこのロッドポッドの剛性を高めるためであると考えられる。実際、前作では可動部分のギアの傷みが激しく、負荷をかければ壊れかねなかった。安価でありながら屈強なロッドポッドとして気に入っているところだ。




 


 ホライズンデュオのロングフットを用意している。80センチから160センチまで伸縮させることが可能で、ロッドポッドの前脚に装着すれば、竿先を高く掲げられる。主に写真右のように川岸に高い欄干があるフィールドや、手前に藻場や障害物があるような場合にそれらをかわすために、また遠投した際にラインを深く沈みこませたくない場合に使用する。スカイポッドほど穂先を上げることはできないが、私の釣りでは十分なものとなっている


 


 担ぎ込みの釣りでは大きなロッドポッドよりもブザーバーを重宝する。ブラックラベルの3ロッドブザーバーはフロント約20センチ〜約30センチの横幅設定ができ、DAIWAのカープバンクスティックと、同じくDAIWAのカープロッドレストを装着して使用している。ロッドバッグのサイドポケットに収まるサイズであり、地面の柔らかいフィールドでカープロッドを使うならば、これさえあれば竿立てに不自由しない。









 

 



 タモは大鯉研究所の70センチ枠をメインで使用している。当初は80センチ枠を使用していたが、扱いやすさから軽量の70センチにサイズダウンした。丸い枠は少しでも魚が触れた後に柄を上にあげるとスルリと魚が枠の中に納まる感覚で私にはしっくりくる。しかし長年の使用と、大暴れする120センチ級の魚に網を破かれてボロボロになっており、また今後も120センチ級の魚を相手にすると考えるとやはり枠ももう少し大きい方が良いかもしれない。買い替えた際には以下に記述する。

 担ぎ込み用に60センチの折り畳み式タモ枠も用意しており、こちらは枠が小さい分75センチ枠用の網を取り付けて深さ、奥行でカバーしている。

 いずれもメインロッドと同じDAIWAの大鯉専科モデルの3メートルズームの柄を使用。







  

 

 


 鯉釣りをしていて、一般の人や他の釣りの人に最も不思議がられるのがこの装備。竿の横に取り付けるのは無線の送信機で、ラインが引っ張られるとスイッチが入り、手元の受信機が音でアタリを知らせてくれるというものだ。

 この装備の必要性を疑われるが、実際、釣れない時は本当に釣れない、そしていつアタリが来るかわからないというこの釣りの特色から、仮眠ありの長時間待ちのスタイルでは欠かせないものになっている。特に警戒心の強い魚を岸辺に寄せる釣りでは、竿の前に居座るということができず、竿鈴やその場で音の鳴るブザーも不利となるため、そのような釣りにおいて必要性がある。

 発信機は、相互リンクさせていただいている「うさぎの鯉釣り研究室」のもので、安価で性能もよい。ラバーアンテナからの電波発信と、赤と青のLED点滅でヒットした竿を知らせてくれる。受信機はアルインコのワイドバンドレシーバー。受信メロディは「エリーゼのために」。バッテリーフル状態での受信距離は100メートル以上で、送信機から離れた林の中でも受信してくれたので、安心してアタリ待ちをできる。


 


 ロッドポッドやブザーバーを使ったユーロスタイルの釣りではサンドリッジ製のバイトアラームを使用している。これは送信機2台と受信機1台、イルミネートスウィンガーがセットとして販売されていたもので、後に送信機を一台追加し、捨て竿などで竿を三本出す場合にも対応できるようにした。

 他の製品と比べて安価でありながら十分な性能を持っている。ボリューム調整、トーン調整、青いLEDが常時点灯するナイトモードが備わり、大雨でも問題はない。受信機には受信すると各送信機に割り当てられた色のランプが灯り、どの送信機からの受信かが分かるようになっている。受信距離は見通しで100メートル以上を確認しており、私の釣りで受信に不自由したことはない。

  


 2015年、バイトアラームの新調と増設のために新しく導入したのがポリフォニックV2。送信機4台セットで購入した。

 受信距離は150メートル以上。完全防水で、音量、感度調整、トーン調整に加え、普通のアラーム音の他にサイレンや鐘の音、動物の鳴き声など様々な音に設定できる遊び心も見られる。またランプのバリエーションが豊富で、各機のランプカラーの変更や、釣り場の明るさを検知して自動で作動するナイトランプ、受信機側は糸フケを感知した際に、どの竿に糸フケが起こったのかがランプの点滅で分かるようにもなっている。他、受信機はバイブレーション付き、送信機に取り付けるスナッグイヤーも付属されている。

 

 


 

 
 上記のSudrgeイルミネートスウィンガーやFoxのボビンなどのバイトインジケーターの類を「スウィンガー」と総称している。ヒットした魚がこちらへ向かって走ってくる食い上げアタリなどでラインが弛んだ際にオモリとなり、バイトアラームのローラーの回転を促すものだ。現在主要としているのはFOXのスリックボビンであり、従来のボールクリップのボビンでは私が使用するナイロン7、8号のラインでは竿を取り上げても外れないというトラブルがあったが、ヘッドをブラックラベルのスリックタイプにすることによって解消された。スリックボビンには3インチのボールチェーンが付属しているが、私が釣りをするフィールドでは魚が大きく食い上げることが多く、また竿の穂先を高めにセットすることもあって、よりはっきりとアラームを鳴らせるよう9インチのボールチェーンに交換している。更に落下速度と感度を上げるべく、5gのスリムウェイトを装着することが多い。









 


 アベレージクラスまでの魚ならば目測してリリースしてしまうことが多いが、どうしても正確な記録に残しておきたい釣果があった時や、インターネット選手権などへの参加時には検寸台を使う。

 この検寸台は自作したもので、2枚のベニヤ板から構成している。魚の吻端を合わせる当て板と、写真でもメモリがはっきりわかる工事用メジャーを張り付けており、最大120センチまで計測できる。
 




 


 我々の釣りではほとんどの場合、魚をキャッチ&リリースする。釣った魚は「獲物」ではなく「出会い」だと考えているからだ。リリースするというのは放されてからも魚が健康に大きく育ってほしいからであり、釣られたことが原因で死んでしまっては意味がない。そのためには出来る限りのケアをしたい。

 まず最初に出来るケアとは魚の鱗や皮膚に外傷を負わせない事だ。地面のアスファルトやコンクリート、石の上で暴れさせては当然魚の体は傷み、また火傷をしてリリース後に皮膚病に冒されることに繋がる。日本の鯉釣りでは鯉を上げる地面にシートを敷いていたが、ヨーロピアンスタイルの鯉釣りが日本に伝わってからアンフッキングマットという存在を知った。柔らかく、分厚く、
大きな魚でも体を傷めないものが多く発売されている。

 私が現在使っているのはDAIWAのカープアンフッキングマットであり、幅132cmx85cmと市販のマットの中ではかなり大きく、また厚いため雁里沼のような岸辺がゴロ石のフィ−ルドでも魚を傷めない。持ち手が付いており半分に畳むとバッグ上になるため、魚を水辺へ運ぶこともでき、もしくは担ぎ込み時に荷物を入れて運搬するのにも役立てている。