・オモリの着色について 〜鯉はオモリを見ている?
 私が鯉釣りで使うオモリのほとんどには着色を施している。「何色が良い」などという事ではなく、新品の金属光沢のある鉛色のオモリを使うことを避ける為である。

 色の付け方に特に強い拘りはないが、塗料などで色を付け、コーティングしていることが多く、例えば水底の泥底をイメージして、黒地に茶色の塗料スプレーを軽く吹きかけたものや、白地に黒いスプレーを軽く吹きかけて砂地風に仕上げたものなど、釣行記などで「カモフラージュカラー」と称しているものはこのような着色を施しているオモリとなっている。


 また最近ではこのようなオモリを使用することもある。
 オモリ表面に本物の草や木屑を纏わせたもので、水底に沈殿物があるポイントなどで使用する。これはオモリに接着剤を付け、木の葉やフードプロセッサーで砕いた牧草などを貼り付けた後、コーティングして作成する。これには少々手間がかかるため、私もほんの遊び心でいくつか作成したものだ。


 何故このようにオモリに着色を施すようになったのか。それは少年時代に行っていた創成川での観察釣行での体験が元になっている。

・創成川での観察から

 2005年から2009年にかけて、橋の下のポイントにエサと仕掛けを入れ、川を上がってくる鯉の様子を橋の上から観察する釣りをした。その中でエサに反応し、食う体勢に入りながらも、ふと何かに気付いたかのように頭を上げて去ってゆく鯉がよく現れる。何が彼らをそうさせるのか。様々な要因が考えられるが、警戒されがちなエサにも、ラインの色や沈め方にも気を遣っている。残るはオモリという存在だ。

 仕掛けの中で最も大きな存在となるオモリは、橋の上からでも水底に横たわっているのが確認できる。無着色のオモリは表面に反射した光りを纏い、ボヤっと浮いて見える。鯉は罠の横に必ず置かれているこの物体に対して警戒しているのではないだろうか。そのような疑いを持ち、オモリの金属光沢を消して着色することにした。その結果、釣果が上がったかといえばそれは何とも答えられない。オモリ以外にも鯉を警戒させる要因が色々なところにあるわけであろうし、着色していないオモリでも釣れる時は釣れる。それでも、仕掛けにはオモリという存在があるということを知っている鯉がいるのではないかと考えている。何れにしても、少しでもヒットの確率を上げるためであれば、神経質なくらいに、そんな小さな点を拘るべきだと思っている。

 YOUTUBEにてこのような動画を見つけた。
 魚が撒きエサに寄り始め、食わせエサにヒットするまでを撮影した水中映像だ。面白いのは湖にダイバーが潜り、ポイントに手で直接仕掛けやエサを置いているというところだ。私が特に注目したのはその中の7分25秒〜、9分35秒〜、15分45秒〜のシーン。ダイバーが仕掛けのオモリを水底の砂利の中に埋めている。15分45秒からのシーンはその上にわざわざ石を被せている。


 そうする理由が「鯉がオモリを見て警戒するから」なのかは分からないが、私としてはできるのなら是非やりたい方法だ。
 通常のキャスティングで似たような状態を作り出すためには先の尖った形状のオモリを使い、着底時に砂利や泥に突き刺さるようにするのが妥当だろうか。逆に平たい形状のオモリを使い、着底した後に何度か竿を振ってオモリをジャンプさせ、舞い上がった泥がオモリに被るようにするというのは、以前よくやっていた手法だ。だが結局、現実的にどの釣り場でも可能であり、有効であるのがオモリの着色であると考えている。

2015年11月現在


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