鯉釣り日記2023 迷走

釣行日時 7月27日14:00~
7月29日18:00
釣行場所・ポイント名 第二Nダム
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 モザイクがかかったような都会の混沌から抜け出し、向かうは 「夏」 そのもの。彼処の夏は私に潤いをもたらすが、厳しくもある。それ相応にきつく睨み付けながら札幌へ帰った時の気持ちを私は忘れていない。釣る、今度こそ絶対釣る。発熱しているのではないかと体温計を使うが平熱どおり。次の釣りに戦慄き、体を熱くさせているようだ。

 到着したのは14時になる頃で、32℃の気温が蝉を鳴かせている。今回はこれまで入ったことのないポイントでやることにする。前回の納竿後に底探りは行っており、手前から5m程まで藻が生え、そこから更に3m程投げると水深3mとなっている。その沖では少し深くなり、流心部は水深6m。その向こうは島である。今回は手前の3mライン中心に狙う。そのラインは50、60センチ台の鯉の遊泳が見られる浅いワンドに続いてゆく。つまりは小型の通り道となっていると思われるポイントであり、一発大物を予感させるものではない。しかしやってみないと詳細は分からない。前回とそれ以前から大型を狙ったポイントではアタリすらないという状況に苛まれており、今回同じ事をやっても、結果もまた同じとなると考え、目先を変えるためにこの新しいポイントを選んだ。しかしまたボウズになりえると思った方がいい。このダムはいつだって私に厳しいのだから・・・。

さっそく釣り場ネコ ヒゲモヤシが登場 手前5m~6mまで藻が生えてる

 竿を出す前に軽くフィーディングをする。内容は 「鯉夢想」 に 「ザ・ソースリキッド」 、少量の 「ザ・ソース18mm」 を混ぜたものをポイントとする周辺に撒いた。仕掛けは前回と同様のブローバックリグ。フックベイツは一番竿、二番竿共にボイリー 「ザ・ソース18mm」 に 「ザ・ソース15mmポップアップ」 のスノーマンでいく。フックにはソース18mmをPVAラインで数珠繋ぎにして針に引っかけ、投入した。

 PVAラインを使って  鯉夢想+ソースリキッドをベースにした寄せ餌を少量

 今回も2泊3日の釣行ができる。15時にセットを済ませたが、ここからは長い戦いになるだろう。釣行の最後まで気持ちが折れることがないように覚悟しておく。

 17時。灰色の雲がかかり、小雨が降り始めた。予報では今日、明日に雨マークがないため通り雨だろうが、地面が濡れてしまわないうちにテントを立てておく。いま現在ダムの水は動いていないようだが、泡付けがあり、チェアに座っていても時たまある程度の大きさのある魚が跳ねる音が聞こえてくる。コンディションは悪くないようだ。



 背中側から迫る轟音。風か?いや雨だ。さっきの雨が止んだ後、日が差したので油断していたが、かなり攻撃的な雨が陽光の中に軌跡を描く。空は雨雲と入道雲と青空のマーブル模様。どこからか雷鳴もする。夕立か・・・。これは良い兆候なのではないだろうか。一昨年の釣行でも夕立の後に気温が上がり、活性化した。雨はきっと日没には止むだろうから、パラソルで凌げる。どうか釣れる方向に事が進んでほしい。


青空、入道雲、雨雲のコラボレーション

 19時。これまで続いていた雷鳴が止んだ。そろそろエサ換えをと竿に近づくと、すぐ足元に60センチ程の小型の鯉が数匹エサを探しているのが見えた。どうやら、フィーディング時に溢れた寄せエサを食べているようだ。鯉のサイズは狙っているものと程遠い。でも少しやってみようか。足元数メートル。藻のすぐ横に一番竿の仕掛けを入れ、そこに寄せエサを撒いておく。鯉が現れた地点は開始時に水底が露出していたところだ。少しダムの水が増えたことで浸水し寄ってきたのだろう。ダムはまたそのうち減水し、このポイントもやがてはまた干上がってしまう。それまで仕掛けを入れて遊んでみるとする。


ダムの水位が上昇 タモが沈没

 30分早くなった7月の日没。文句でも言っているかのようなツチガエルの鳴き声。いつの間にかすぐ傍にいた愛らしいアマガエル。 駐車場から聞こえる花火の音は、北海道の短い夏休みを楽しむ学生達のものか。もう1ヶ月もすれば、夏が終わってしまう。なんて、切なくなるのはまだ早いか。明日も明後日も真夏日の気温となる。持ってきた飲み物だけでは足りないだろう。明日の昼間にでも買い出しに行こう。

 日が落ちてしばらく経ったが、足元に落とした一番竿にも二番竿にも変化がない。特に一番竿。あれだけ食い気のある鯉が足元に居たのだから、一匹くらい釣れるだろう、普通・・・。ただではアタリを取らせてもらえない。当たり前のようにアタリを期待できたフィールドが懐かしい。まぁ、難しいからこそ此処でやっているのだけど。これからどんな夜になってゆくのだろう。


綺麗な瞳のアマガエル

 21時20分。一番竿のアラームが二度鳴った。ベースから竿までが離れているので様子は見えないが、あのポイントでアラームを二度鳴らせるのは鯉しかいない。空アタリか・・・竿を見に行くと少しだけラインの緩んだ一番竿がそこにあった。掛からなかったのか。あんな小鯉にしてやられた。エサを小さくしよう。一番竿をソース18mmシングルにして同じポイントに打ち返す。二番竿はまだしばらく動かさないでおくことにする。

 22時。待望のアタリが一番竿に来た。スプールの回りはかなり激しい。竿を手にするが、魚は二番竿のある右側へと走ってゆく。まずい・・・すぐにそう思った。一番竿のポイントはすぐ足元、魚は8m程投げている二番竿のラインを潜って真っ直ぐ走り続けてゆく。二番竿が邪魔で竿を立てられない状態となった。しかもこの魚、これまでここで会ってきたものより数段強い力で、しかも速く走ってゆく。スプールを手をかざしたりしたら即ハリスが切れるか針が曲がる。立てることが出来ない竿は手に取ったまま低い位置でほぼ真っ直ぐになり、ドラグテンションも変えられない。とにかく一番竿を二番竿の下に潜らせなければならないが、その行動に移す前に手応えを失った。フックアウト。口切れによるものか、テンションをかけられなかった為にスッポ抜けたか。一瞬の出来事だった。足元のポイントで食ってきたものであるし、魚は多分大きくない。しかし体が軽く、また筋肉質であればそれを活かし、稀に中型の鯉がこのように激走することがある。今回はポジショニングが悪かった。すぐに対応できなかった私の負けだ。思わぬところに強い鯉が居たものだ。こうなると悔しいというより逆に清々しい。

 22時30分。明るいうちに見た鯉の魚影はかなり細かいエサを意識しているようだった。あの様子なら恐らく、鯉はフックベイツを口にしていないだけで、最初の寄せエサはかなり消費されていると考えられる。フィーディングからやり直そう。前回から数少ない大鯉にアピールできるようスノーマンに拘ってきたがそれを止め、フックベイツのサイズを落とす。まず、一番竿は引き続きソース18mmシングルを続行し、PVAバッグにソースを半壊させたものを入れる。二番竿は更に小さく、 「コンプレックス-T 15mm 」 シングルに変える。もう出し惜しみは無しだ。寄せエサも鯉夢想にソース、クレイブ、コンプレックス-Tを砕いたものを多く入れて、水を加えたものを二番竿のポイント付近にベイトロケットで投入。一番竿のポイントとその付近の藻場には同じ寄せエサを握ったものを手で放り投げた。これでこれから使うことを予測する全てのフックベイツの味を寄せエサとして鯉に覚えてもらう。どうだろう・・・。今思い付く事はやった。さて、ベースのチェアに戻って静かに待つとする。

 二番竿をコンプレックス-T15mmシングルに 各種ボイリーを砕いたものを寄せエサに 

 23時、そして23時30分。コンプレックス-Tの二番竿に二匹のウグイが掛かった。しょうがないか、かなりアピール力のあるフィーディングをしたのだから。水位が落ち始めている。このままなら足元狙いの一番竿は釣れなくなるだろう。一番竿も二番竿と同じ投入距離に戻す。

 午前0時30分。今夜は闇が濃い。月がなく、雲が厚いために星も出ない。ライトを点けるとうっすらと靄がかかっているのが分かる。周囲の風景と空の色がほとんど変わらず、唯々暗黒な世界が広がってる。特に今は此処で釣りをしていて初めて感じるほどの強い暗さだ。闇が何らかの力を持って体に纏わり付いてくるような、圧がかかってくるような、不思議な感覚になる。分かるのは蚊取り線香の匂いと生物達が出す音。なかなか面白い世界ではないか。携帯を持ち、これを綴れば、メモ帳の白いディスプレイが目に突き刺さって痛い。ふいにヘッドライトを点けて木々を照らしてみる。そんな木の影からひょっこりと何か不気味な顔が覗いたりでもしたら?靄が自分に襲い掛かってくるような感覚になれば?照明の無かった昔の人は毎夜このような闇の中で過ごし、未だ知らない生き物や自然現象の中で何か恐ろしい想像でもしてしまうだろう。日本人は想像力が豊かだ。それが妖怪伝説なんかを数多に輩出してしまったのではないだろうか。

 今夜はこれくらいにしておこうか。前回もそうだったが、最近の釣行ではまともな睡眠を取れずかなり疲労している状態から釣りを始める事が多い。午前1時現在、日を跨いで間もないが、意識を保てなくなってきた。甘いチュッパチャプスを咥えても頭の回転が回復することもなく、眼を瞑る以外に対処法はない。仕方ない、あとはタックルを信じて、寝るも起きるもアラームに任せよう。

 ■️7月28日

 午前5時20分。鳴り止まないアラームが私を睡魔から救ってくれた。受信は一番竿。ここでのファイトでやっかいなのは手前に生えている藻である。重い藻の塊がラインに引っ掛かるのは避けて通れず、ラインを張って竿を振っても切れるものではない。強引に引き抜いたのは60cmほどの若い鯉だった。小さいが、とりあえずボウズは逃れた。これで一先ずは安心できる。


一尾目 小さいがボウズは免れた

 午前7時になる少し前からミンミンゼミが鳴き始めた。まだ気温は高くないが、これから30℃を超え、真夏日になる予報だ。パラソルの向きを変え、直射日光を避ける。足元の岸ギリギリのところを行くのはシオカラトンボ。彼らの青みがかった瞳が好きなのは子供の頃から変わらない。颯爽と横切るのはヤンマの一種か。虫達が夏を語る。

 10時。思ったより体感気温は暑くなく、意外と過ごしやすい。空は晴れ、渦を巻くようなこのダムの独特な形状がわかる景色を照らし出す。


 11時。テントで寛いでいるところに二番竿からの受信。アラームは止まらず確実に鯉である事がわかる。手に取った竿はラインの向こうに夏鯉がいることを私に伝える。かなり走られたがそれが幸いして沖の方で浮かせることができ、藻の干渉を最低限に抑えられた。サイズは70cmといったところだ。ダム全体の規模、特色からして、サイズはかなり小さいものだと考えている。しかしまぁ、このポイントの鯉としては悪くはない。傷のない綺麗な魚体。大切に扱い、良いリリースが出来た。


二尾目 70センチ

 とりあえず、2017年まで行っていた釣りのサイズはクリアした。だが、やはりワンドの浅場へ向かう小さな鯉の通り道であることを否めない。サイズアップは出来るのだろうか。どうすれば・・・?片方の竿の投入距離を更に伸ばしてみようか。二番竿を流れに干渉する少し手前の水深5mラインに。寄せエサは撒いていないが、PVAには溶解するペレットを若干多めに入れ、クラッシュしたコンプレックス-Tも混ぜた。日が落ちる頃までそのままにして、暗くなる前に寄せエサを撒こう。一番竿はそのまま3mラインで続行する。

 13時。二番竿のアラームが単発で鳴って止まった。回収してみると仕掛けはボイリーが落ちた空針の状態。ウグイに遊ばれたか。ある程度は仕方あるまい。一番竿も新しいボイリーに付け替え、PVAラインと共に打ち返す。

 寄せエサは作り置いているので新たに仕込むことはない。配合もこれでいい。あとはどの位の量を撒くかだ。寄せエサを多くすれば鯉を長く引き留めることができるが、同時に警戒心を起こすきっかけを作る時間も長くなる。サッと寄って、サッと食える量の寄せエサが適当だ。その効率は望月寒川での釣行で実証している。だが、この広いフィールドでは進入が遅く、少ない鯉にエサを認識させて留めなければならない。PVAを使っているので寄せエサを全く撒かないというのも手だが、それは一番竿のポイントのような食い気のある鯉の流入が多い場所でなければ、PVAの内容物が広がるほんの小さな一ヵ点で鯉の遊泳を止めて食わせるというのも出来るのか疑わしい。フィーディングベッドを広くするか狭くするか、また多くするか少なくするか。状況に合わせた的確なフィーディングをするのもテーマの一つだ。次にフィーディングする時は一番竿のポイントと周囲にベイトロケット3発、二番竿はポイントとその下流に5発というところだろうか。


 13時を越えたあたりから急に気温が上昇した。パラソルがあり、その上にも木があるために不快ではない。ミンミンゼミの声がけたたましいほどに上から振り掛かる。夏らしくて良いではないか。冷たい青いラムネでも飲みたい気分だ。

 15時20分。一番竿にヒット。暇なく私を呼び続けるアラームに急かされ、持っていた携帯を放った。かなり走られている。今度もまた藻ごと引き上げることになりそうだ。ある程度魚を走らせ、沖で浮かせることができたが、ラインはかなりの量の藻を絡めている。幾度か藻切りを試みるが落ちてくれることはなく、仕方なく竿を絞ったパワーファイトで強引に寄せ、藻の塊の中にいる鯉をタモに押し込めた。サイズは二匹目より数センチ長い70台で体格の良い一尾だ。50台の小鯉ばかりだと思っていたポイントにも意外と70オーバーが出る。ここからサイズアップ出来るのかは怪しいが、一番竿は3mラインを狙い続けることにする。15時台という昼間の時間帯にヒットがあったのは、前回やそれより前の釣行とは違う。ワンドの浅瀬で小鯉を釣っていたときには昼夜関係なくアタリがあったものの、大型が出そうなポイントを狙い始めてからはなかった。ここはやはりワンドへ侵入する小鯉の時間割で動いているのか。この中に80はいるのだろうか。

 藻が引っ掛かる中パワーファイトで 3匹目 体高があり胴が太い個体

 もう16時30分か・・・。後ろからの小さな足音に釣り場ネコ 「ヒゲモヤシ」 の来訪を知る。小さく鳴いては私にすり寄ってくる、もう長い付き合いの友達だ。モヤシがここに遊びに来るのは今回何度目か。いつもランダムな時間に現れてはランダムな時間に帰ってゆく。何物にもとらわれず自由奔放。行動原理は全て 「自我」 。猫のそんな生き様が好きだ。家畜化されても只の家畜に成り下がらないところに惹かれ、私は猫派を名乗っている。


猫派だけど猫アレルギー

 二回目の夕景。予定通りにエサ換えとフィーディングを済ませた後、すぐにアタリは来ないと見て買い出しへ出た。雲が濃く、雨は降らないまでも、また真っ暗な夜になりそうだ。戻ってすぐ蚊取り線香を炙り、この時間から出てくる刺す虫を追い払う。19時55分の空。そこには若干の色が残っていた。夕方の名残。次にここに来る時の19時55分には見られないだろう。

 夕方からダムの水位は上がってきており、今はロッドポッドの足が水に浸かっている。水温は24℃と昨夜より少し低いが問題はないだろう。この夜は思ったよりも昨夜のように暗くならない。昨夜の漆黒の闇は何だったのだろう。恐いくらいに暗いあの闇に私は魅せられていた。いまそれがなくて少し残念に思っている。明日は休日。もしかしたらカヤックなどで水遊びをしに来る人がいるかもしれない。たまにグループでカヤックに乗って湖に出る人達を見る。そのカヤックがよく通ったりするのがこの場所だ。もしそうなれば釣果は期待できないものになる。暗いうちにもう一匹でも釣っておきたい。


水位が上昇しはじめた

 21時。一番竿が小突かれたようなアラームが鳴った。ウグイか、いや昨夜みたいな鯉の空アタリの可能性もある。しばらく様子を窺うが、それ以上の反応はない。回収したボイリーは少し周囲を削られて小さくなっていた。ウグイが噛んだものと予想できる。すぐにボイリーを付け替えて投入する。

 ■️7月29日

 0時を過ぎた。今釣行最後の夜。そして2023年7月釣行最後の夜でもある。釣り場の真上の空が明け、星々が夜空に散る。どれが何という星かなんてわからない。天体観測なんてしたことがないが、美しさは分かる。何度も同じ模様の星空を観ているはずなのに初めて観るような高い空を見上げながらツチガエルの声を聞く。ツユムシもアマガエルも、どこか遠くではキツネも吠えている。私が求める夏の夜が此処に在る。これが短い月日のうちに終わってしまう。なんて儚いのだろう。

 竿の方は一番竿、二番竿共にアラームが一度だけ鳴っていた。ウグイだろうが掛かっている感じではないので放置していたが、そろそろエサ換えをした方が良さそうだ。回収してみると、一番竿のボイリーは失くなり、二番竿のものもかなり傷が付いて返ってきた。これは注意しなくてはならない。これから仮眠に入るが、一度でもアラームが鳴ればエサ換えに向かった方が良い。ちょっとしかアラームを鳴らさない小さなウグイにもやられている感じだ。


小さなウグイにエサを削られる

 今回はここまでザ・ソースとコンプレックス-Tを使ってきた。だが、今私の横でランタンやペットボトル置きにしているのはエサの類いを入れてあるベイトボックスだ。中にはまだ多くの種類のボイリーが入っている。その中のどれかにエサ変えすれば、もっと早くアタリが取れるようになったりするのだろうか。鯉は他の魚類よりも嗅覚も味覚も聴力も優れている。どのフレーバーを選べばどうこう、種類の使い分け、引き出しは多いに越したことはないが、使い道を見誤れば迷いに繋がる。そんな難しい釣りだ。それを普段一緒に居る一般の人に伝えるなら何から話せば良いのだろうか。分かりやすい説明の仕方を考えていると自分が冷静になり、忘れていた事を思い出したりもする。そんなメンタルコントロールも時には役に立つかもしれない。

 夢想のお供は大量に 最近観たいホラー映画

 夜は何事もなく終わり、只今午前7時。回収した仕掛けのボイリーは一番竿のものが直径10mmまで小さく齧られ、二番竿の方もボロボロになっていた。気温28℃、水温は24℃を維持している。ここまで5mラインを狙っていた二番竿にはウグイ以外のアタリが全くなく、釣果が出るのか不安になったため、一番竿と同じ3mラインに投入する。



 今日も真夏日となり、熱中症警戒情報を携帯が受信した。気だるい午前を過ごし、正午のサイレンが鳴ったところでエサ換えをする。一番竿のボイリーは無事。しかし二番竿にはアラームを鳴らすこともできなかった小さなウグイが掛かっていた。昨日の夕方に行ったフィーディングの効果はもう切れていると思われるが、ウグイにやられっぱなしだ。鯉の気配はせず、今後ヒットがあるか疑わしくなってきた。

 13時。ここまででウグイのアタリが五回も出た。PVAのボイリーを減らしてみるが効果はなく、投入から十分でアタってくる。何故こんなにもウグイが寄ってしまったのだろう。フィーディングもしていないし、ペレットも使っていない。これはキリがない。竿を上げ、しばらくポイントを休ませることにする。とはいっても終了時刻ももう遠くはない。今回の釣行ではここまで3匹の鯉を釣っているため、前回ほど感情的になってはいないが、サイズアップしたいのが本望だ。ダムは減水していっている。次の打ち返しで両竿共に水深5mラインへと投入しよう。

 14時。予定通り仕掛けを5mラインに打つが、一番竿の仕掛けを少し変えてみた。これまで使っていたリグはヘアが短めで、警戒心の強い鯉が最小限の力でエサを吸い込む 「キッシングバイト」 によってボイリーだけが口の中入り、針は口の外にある、もしくは浅い部分にしか掛からないという状況に対応したつもりであるが、ウグイも掛かりやすくなっていることを否めない。そこで同じボイリーをヘアの長い仕掛けに交換し、ボイリーとヘアまでの間の距離を取った。極端にヘアを長くしたわけではないが、小さなウグイであればボイリーだけを吸い込んでフッキングすることが少なくなるかもしれない。また二番竿はスノーマンに変え、ボトムにソース18mm、トップに 「バランスドワフター スパイシークラブ15mm」 を乾燥させたものを使う。かなり硬くなっているため、ちょっとやそっとの攻撃には耐えられるだろう。どちらもPVAラインにソース18mmを五つ通したものを針に掛けてキャストした。残り時間約3時間。少ないながらも鯉であろう跳ねの音がどこからか聞こえる。まだチャンスはあるかもしれない。

 一番竿の仕掛けのヘアを少し長くしてみる 二番竿はソースと乾燥させたSCのスノーマンに

 16時。坂の下となるこの場所ではあまり感じられないが、風が出てきたことが木の葉の音でわかる。どうしてもウグイの活性が高いようで、一番竿のボイリーにしきりにアタックしてくる。二番竿にもアラームを鳴らさないようなアタリが出て、あまりにも小さなウグイが付いていた。終了も近い。このまま鯉のアタリは貰えずに終わるのか・・・。


こんなウグイまで掛かってくる

 最後に鯉を釣ったのは何時間前だっけ?あの時と今何が違う?水位は変わっている。しかし釣れた時と釣れない今、そんなに大きく変わっているようには見えない。今は水位が落ちていて、手前の3mラインに鯉の気配がないため、5mラインにキャストしているが、それならいままで3mラインを通っていた鯉はどこでエサを食む?減水していても水深は2.5mはあるのだから居てもおかしくはないと思うし、1尾目は減水時、二尾目は増水時にヒットした。アタリがない原因は・・・?今釣行、新たにこの場所入ったのは間違えではないだろう。しかし釣れた時と釣れない時の違いが今一息わからない。どう対応していけば良いのか。時間があれば更に沖の流心となる6mラインに投げてみたり、フィーディングを追加するなどアクションを起こすところだが、新しい事をやるにはもう遅い。



 17時。終了時刻を回った。今回、最初の夜は驚く程に暗く、二夜は明るい星空。釣果もアタリが期待出来る時もあれば全く出来ない時もあった。まさに明暗。結局、このダムでの釣りでは通して安定したアタリを出すのは難しい。まったく、困ったフィールドだ。でももちろん嫌いじゃない。必ず巨鯉は居る。このフィールドに来たくてこがれた前夜がいくつあっただろうか。まだまだ勉強不足であるが、チャンスはいつか来る。それまで挫けない。このダムではじめて、ワンドの小型釣りを止め、大型狙いにシフトした時にも思ったことだ。次は同じ場所で初めてのオータムステージに挑もうか。それともこのエリアに見切りをつけて、まったく別のエリアに入ろうか。もしくはボイリーを変えてみる?ボイリー以外のエサを試している?思惑が星のように頭中に浮かぶ。