鯉釣り日記2015 初夏遠征2015

釣行日時 6月27日16時〜
6月28日16時
釣行場所・ポイント名 空知Pt:HDN
 「こんなにも寒くなるなんて思わなかった 」誰もが口を揃えてこう言う。昼と夜の気温差が激しく、6月も半ばにしてテントの中でストーブを炊くなんて光景もあるほどだ。この夏はこのまま冷夏となってしまうのだろうか。これを書いている今も半袖ではいられない冷たく湿った風が外から窓を鳴らしている。

 6月最後の週末となるこの土曜日。曇る空に雨の気配を感じつつ山沿いの国道を走る。この道を走る時にいつも寄っているコンビニで一息つくが、この駐車場で毎年聞いているセミの声は今日は聞こえてこない。なんとなく寂しい気持ちにさせられながらコンビニ蕎麦を平らげ、駐車場を出発する。

北海道鯉釣り日記2015627
夏の釣行前に必ず食べるトロロ蕎麦

 駐車場から一時間のドライブを経て、去年の思い出そのままのフィールドに到着。まだ昼を過ぎたばかりで、今回同行するTadashiくんは夜からの参戦となるため時間にはかなり余裕がある。とりあえず沼の周囲を一周してから、今回釣りをすることになるであろうポイントで作戦を組んでゆく。

 まずは情報の収集からだ。軽く足場を整えてからマーカーフロートを打ち込んで底を探る。対岸と釣り場左には菱などの植物が犇いているが、そのカバーから少し離れてしまえば水草の類は生えていない。オモリを落とした感触としては底に少し泥が積もっているように窺える。ハリスは長めにしてオモリと一緒に沈み込んでしまわないようにするのがいいだろう。他、障害物らしい障害物は見当たらず、水深が変化するような場所もない。足元から対岸のカバーまで、150センチほどの水深がダラダラと続いている。釣り場から右方向へフロートを投げると少しずつ深くなっているのがわかるが、そこから先は足場がなく、今回の釣りには使えない。なんとも掴みどころがないようだが、黙考した上で手前がポイントになると答えを出した。

 ポイントを知る上で欠かせないのは小魚の種類や数を把握することだ。調査してみたところ小魚の量は少ない。種類は尖った口先で鋭くエサを突くモツゴであるが、この数と大きさであればボイリーがボコボコに傷付けられることもないだろう。タナゴやらウグイやらタモロコやら、多種の小魚が多量に寄ってきてしまうようなポイントではないと思われる。特に小魚への対策を考える必要も無さそうだ。

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まずは情報収集から

 仕掛けはいつものヘアリグとボイリーを使うことを考えていたが、泥が積もった底質であるため、前回テストしたワフターも併せて使うことにした。1番竿に動物系ボイリー、2番竿に動物系ワフターを使う。各仕掛けはこれまで通りで特別変更点はない。1番竿は手前5メートル、2番竿は手前10メートルをポイントとし、ペレットを詰めたPVAと共に第一投を打ち込んだ。
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 1番竿はツナスパイスのボイリー  2番竿はスパイシークラブのワフター

 少々悩みすぎたか、セット完了は16時を回った頃になった。降ると思っていた雨は来ず、代わりに冷たい向かい風が吹いている。セット中、多数の泡付けや80センチあろうかという鯉の跳ねを見ることが出来た。これから夜にかけてどのような状況になってゆくのだろうか。

 19時になって仕事を終えたTadashiくんとNoboruくん兄弟が到着。私の左のカバーの切れ目にNoboruくん、右にTadashiくんが入ることが決まり、それぞれ準備を始める。この沼をホームグラウンドにする彼らが参戦してくれたことで心強くアタリを待てる。そして二人とも私が選んだのと同じ「手前」をポイントとして仕掛けを投入するのを見て更に安堵できてしまった。

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 私の釣り場 今回はテントで  私の左 Noboru君の釣り場

 周囲を走る車の音が減り、いよいよ空は暗くなる。兄弟は土手上に広いテントを設営し、私もエサ換えの後でその中に入れてもらい、釣り談義に参加する。回収したエサや仕掛けに異変はなく、この様子ならしばらく放置していても問題はないはずだ。兄弟は勝負は夜にあるという。確かにTadashiくんから貰った釣果メールのほとんどは背景が真っ暗だ。やることはやり切っている。あとはアタリを待つだけだ。

北海道鯉釣り日記2015627兄弟の大型テント 私もここでアタリ待ちをさせてもらう

 一度テントの中に入ってしまうと風の流れを感じないからか、星の動きが見えないからか、時間が止まったように感じる。次に外に出たときに星や時計を見ると、もうこんな時間なのかと驚かされる。なんだかまるでアインシュタインのなんとか理論のようだ。

 誰のアラームもしんと静まったまま数時間。釣り談義のネタも底をつき始めた。Tadashiくんに至っては鯉釣りに来ていながら鯉釣りのゲームをプレイしはじめている。だらだらと続いた釣り談義がくだらない馬鹿話に移り変わろうとしていた頃、Tadashiくんのアラームが小さく反応した。しかし釣り場へ飛び出していきたくなるような音ではなく、Tadashiくんも訝しげに竿を持つ。そして抜きあげられた魚は案の定鯉ではなく手頃なサイズのフナだった。

北海道鯉釣り日記2015627Tadashiくんの竿にフナがヒットしてしまった

 Tadashi君が仕掛けを再投入したのを機に、私も就寝中に備えたエサ換えをする。PVAにはクラッシュしていないボイリーを4個ほど入れ、フィリッピングで届くような距離にあるポイントへと送り込んだ。そして一同テントに戻るが、夜も更け切ってしまったため程なくしてお開きとなった。

 自分のツーリングテントに戻り、逆さまにしたランプを天井から下げる。その下でゆっくりお酒を飲みながら眠気を誘っているとTadashiくんのアラームが反応した。既に寝ていた兄弟がモゾモゾとテントから出てくる音を聞いて、私も様子を見に行く。アラームは鳴り続けることなく、竿は穂先に何かの気配を捕らえているもののラインは動かないでいるようだ。しばらく見ていてもそれ以上の変動がないことでTadashiくんが竿を持つと先ほどのフナと同じくらいのサイズの子鯉が付いていた。「勝負はここからだよ」

北海道鯉釣り日記2015627 就寝直後のTadashiくんが子鯉に起こされた

 就寝してしばし、受信機が枕元で私を叩き起こした。テントのファスナーを開けると外は既に明るく、その景色の中にある二番竿は激しく暴れている。魚はラインを走らせて一度は対岸の浮き草に突っ込むが、その後戦うことを諦めたかのように大人しくタモへ誘導された。菱の茎を絡めながら上がってきたのは60台後半。所々に傷のある鯉だった。産卵による傷だろうか。

北海道鯉釣り日記2015627 対岸の菱のカバーまで走った60台

仕掛けを打ち返した後、再び眠気が襲ってきた。この2日間ほとんど眠れていなかったことを思い出し、それに気付くと尚のこと眠気は強くなる。もうしばらく眠ることにする。

 数時間シュラフに包まり頭をすっきりさせてから次のエサ換えの準備に取り掛かる。兄弟はTadashiくんの釣り場で仲良くウキ釣りをしているようだ。夜間アタリはあったのかと尋ねるがTadashiくんに小さいのが一匹釣れたのみだという。期待していた深夜帯に地元の人ですらアタリを取れなかったというコンディション。アフタースポーンで鯉の食いが落ちているのか。兄弟はウキ釣りの方に分があると考えているようだ。

北海道鯉釣り日記2015627 Tadashiくん兄弟は竿の足元でウキ釣りに興じる

 兄弟がウキ釣りをしている様子を眺めているとNoboruくんのアラームが作動。カバーの際に打ったバノフィにヒットしたようだ。「うおっしゃー!」という雄たけびと共に走り出すNoboruくん。しかし竿を手にした直後に「あれっ?」と零す。そしてペローンという効果音が付きそうなモーションで現れたのは40センチほどのナマズ。これには笑ってしまった。

 うおっしゃー! →→ ナマズぺろーん

 これには笑ってしまった。

北海道鯉釣り日記2015627 Noboruくん ボイリーになまずぺろーん

 しかし子鯉よりも先に鈍重なナマズがボイリーに食いついてしまうという傾げ首を起こせないような釣況だ。そして午後を過ぎてもこの状況は続き、誰のアラームも鳴らないまま終了時間が迫る。私は最後の足掻きとして一番竿、二番竿ともに兄弟からは不評だった対岸近くのカバーの際に打ってみることにした。カタパルトでボイリーを十数粒飛ばし、ボイリー3つを入れたPVAメッシュと共に遠投する。これで何か変動が起きてくれることを願う。

北海道鯉釣り日記2015627 両竿とも対岸近くのカバーの際に投入してみる

 それにしても、このフィールドではやたらとスズメバチの飛行を目にする。昨日の底探りの時も通りかかったスズメバチが私に警戒し、まるで身体検査のように私の頭から足までをチェックしていった。テントを片付ける際にもテント生地が擦れる音を聞いてか寄ってきたので、作業をやめて身を低くしてかわすことになった。近くに巣があってパトロールしているのだろう。雁里沼ほどではないが、またここに来るときもスズメバチへの注意を怠らないようにすることを覚えておこう。

 さて、札幌まで2時間の距離だ。休憩を入れたり道が混んでいる場合は3時間かかることもある。車を運転するのを面倒くさがる性分ゆえ極限にもう一泊したいが、そろそろ撤収しよう。悪あがきでポイントを変えたりしてみたが、はっきり言って今日は釣れる気がしない。回収のために持った竿。その手に迷いはなかった。今日は負けを認め、次で勝つ気持ちが纏まったからだ。遠征とはいえ、また近いうちにここに戻ってくる。

 昨日と同じ夕方の景色に変わったフィールド全景。私と同じくして納竿準備をする兄弟に挨拶をして車のエンジンをかけた。釣りを終えたときが、最も釣りをしたいときになる。


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