鯉釣り日記2012 春風と共に
 釣行日  5月19日 13:00〜
5月20日 16:00
 場 所 茨戸川
 時 間  天 気 晴れ(西の強風〜微風)


 イタリアンレストランでのミーティングを終えた私達は、再び釣り場で合流する。
 八重の桜が散り落ち、初夏になりつつある茨戸川。水温変化と春の強風によって巻き上げられた水底の泥も、かなり落ち着いてきているようにみえる。

 しかし今日も相変わらず北西の風が強い。高橋さんとジュンちゃんには、昨晩から今日の午前中まで、船でカレイ釣りに行くプランがあったのだが、この風により断念する他なかった。それで予定よりも早くこのグラウンド裏に到着してしまったようだが、寝不足とカレイ釣りができなかったことでの脱力で、ここまでは竿を出しただけ。私が到着した13時頃は、これから本釣りに入ろうというところだった。

 高橋さんとジュンちゃんは水門の右左に入り、下流の杭の近くにつるたろうさんが竿を出している。またも散々迷ったあげく、つるたろうさんとジュンちゃんの間に入れてもらうことにした。


 ガイドにラインを通すのを忘れたまま仕掛けを結んでしまうというポカもやらかしながら、到着から1時間後にセット完了。
 今回はマルキュー新作の「鯉夢想」をベースにしたダンゴを使う。このエサは従来の植物性団子にはなかった香りがあり、大粒の粒子は「どすこい」などに比べて多い。打ち返し少な目の待ちのパターンに使えることだろう。
 
 今回の食わせには浮力材を使う。乾燥コーンやパパイヤとともに5ミリ角ほどのスポンジマットを入れ、針を浮かす形にする。ここは泥が深いために、長い待ち時間中に泥に埋もれてしまわないようにするためだ。

 ガイドにラインを通す前に仕掛けを結んでしまった スポンジマットを入れ、浮力を持たせる 

 作業に集中していたために気付かなかったが、いつの間にかニャーゴロくんが最上流に竿を出していた。またSASAYANからも電話があり、今こちらに向かうとのことだった。今回も良いメンツが揃う。ここのところアタリの遠いグラウンド裏だが、これだけの竿が集結すれば、何かが起こることが期待できる。ここは数は出なくても、一発大物が出てくれる場所だ。

ニャーゴロくん一投目  ジュンちゃんもコマセ撒き

 ジュンちゃんとニャーゴロくんはポイントにコマセを撒く。そのあとから来たSASAYANは、ニャーゴロくんの更に下流に入って、パンを食わせにPVAにもちぎったパンを入れて投入。これで全員のセットが完了した。

 テントの前に集合し、椅子を並べての談笑中、高橋さんの竿にヒット。魚は左に頭を向けて抵抗し、隣の竿のラインを巻き込む。その対処中、ラインが緩んだことによりスッポ抜けてしまった。だが釣れる魚がいることを確信。いつだかのように、竿20本並べて24時間後に1本目なんてことはなさそうだ。

 17時、SASAYANとコンビニへ買い出しに行き、釣り場に戻ってくるのと入れ違いで、つるたろうさんが納竿。そしてニャーゴロくんも日が暮れる前に帰るとのことだが、明日も早朝からここに来るということで、仕掛けを投入しているタックルをそのまま置いて自転車で去って行った。

  ニャーゴロくんが一時帰宅。泊まればいいのに・・・  

 18時の夕マヅメ頃から、魚の跳ねの数が多くなった。先の高橋さんへのアタリがあったため、エサ換えをせずに待ってみることにするが、期待通りにアタってくれる感じでもないようだ。
 
 暗くなってからは、これまで強く吹いていた風がおさまり、水面も穏やかになったが、湿度が高いために体感温度が低く感じる。
 22時、テント内にてカップ麺やお惣菜などを食しながら過ごしているところに、窓用防犯ブザーの音が鳴り響く。これはニャーゴロくんが利用しているアタリ感知ブザーの音であり、持ち主不在の竿にヒットしてしまったようだ。真っ先に駆け寄ったSASAYANの手でそれを回収するが、こちらも魚の姿を見ることなく空の針だけが上がってきた。

 そしてその40分後、今度はジュンちゃんのセンサーが反応。オークションで落としたばかりだという石鯛竿小笠原とタッグを組むアブのクリックが軽快に魚の走りを音と化す。だがまたもスッポ抜けで、魚がタモに入ることはなかった。

 一時帰宅中のニャーゴロくんの竿に・・・  ジュンちゃんの小笠原にもヒットするが・・・

 ここまでアタリが出るのだから状況は悪くないのだが、同じ数だけ、それも各々違う釣り人へのヒットでスッポ抜けるとはどういうことか。今日の鯉は食いが浅い・・・。

 23時、ジュンちゃんが就寝し、高橋さんとSASAYANとの3人でのトーク会となった。SASAYANの恋愛相談から始まり、人の生き死にを語るスピリチュアルトークにまで発展するなど、時間を忘れて円になる。0時半には帰ると言っていたSASAYANは話しに夢中に、というか、オカルティックな話で怖くなったのか、やたらと腰が重い。午前2時近くになってトイレに出たのをきっかけに、やっと荷物をまとめて帰る決心がついたようだ。

 私達も眠る準備に取り掛かる。歯を磨きながらエサ換えをし、センサーのバッテリーをチェックしたら、私は車に、高橋さんはテントに潜り込んだ。


 眠りについて2時間後の4時30分、初めてセンサーが入った。寝袋から半身を起こして窓の外を見るが、センサーが入った1番竿に変化は見られない。ラインが張っているわけでもなく、ゴミが引っ掛かっている様子もないのだが…。しばらく動かずに見ていると、少しずつ竿が揺れ始め、パチンとクリップが弾かれた。なかなか良い引き込みをしてくれるこの鯉は、頭を右に向け、昼間の高橋さんの鯉に続いて「また」ジュンちゃんのラインを巻き込んでゆく。

「また」気づかないうちに再び姿を現したニャーゴロくんにランディングしてもらい、今回の初釣果は70センチ。尻尾にかけて細い体系だが、いかつい風貌の鯉だった。

 朝マヅメ。ここからアタリが続くことを期待して良いだろうか。夜から風はおさまったままで、水面は綺麗に朝日に染まる。

 今回1匹目の釣果は70  早くも朝日が昇る

 午前7時、窓ガラスを叩く音がする。二度寝に入っていた私をジュンちゃんが起こしに来たようだ。何事かと思ってドアを開けると、検寸台を貸してほしいとのこと。すぐさま靴を履き、検寸板を持って駆け付けると、二匹の鯉が横たわっている。

 ニャーゴロくんと高橋さんにダブルヒットがあったのだという。そしてその2匹はいずれも70台。そのシーンを見られなかったのが残念だが、このアタリの遠い中、最高のサプライズを催してくれた。

ニャーゴロくんと高橋さんが同時ヒット!2本とも70超 最高の2ショット 

 そしてそのあとすぐ、私達の釣り場を見に来ていた佐々木さんのセンサーも反応。佐々木さんはネット裏で竿を出しているようだ。佐々木さんとニャーゴロくんがネット裏へと駆ける。しかし、その距離はけして短くはない。私は車へ戻り、座席を開けてエンジンをかけた。そこに高橋さんとジュンちゃんも同乗して、二人を追いかける。

 すぐに二人に追いつき、ここで佐々木さんを乗せて釣り場へ急行するはずだったのだが、私は早くアタっている竿を見たいあまりに、息を切らしている佐々木さんを追い抜かし、そのままネット裏に到着してしまった。それからしばらくして、佐々木さんとニャーゴロくんがゼェゼェと汗だくになりながら到着。佐々木さんはすぐに竿を持つ気力も残っていないようだった。

うん・・・、我ながら残酷な事をした。

ネット裏での佐々木さんスタイルである遠投生餌に食らいついたのは、こちらも77台。77センチの体格の良い鯉だった。

佐々木さんがフラフラ。さぁ誰のせいでしょう こちらも77センチ! 

 ここまでは朝の時合だったのか、アタリはまた途絶えた。しかし日が高くなり、気温が上がるにつれ、魚の活性が上がってきたように思える。このグラウンド裏の最下流部には、杭で囲まれた小さなプールがあり、そこには草やゴミが溜まっている。毎年この時期になると、この中でヘラが叩く様子が見られ、それは今年も同じように、もう叩いている魚がいるようだ。

 草や流れ着いたゴミによって水面がふさがれているが、その中で魚たちが蠢いている。多くはヘラの産卵行動のようだが、その中に、ジュポッジュポッというバキューム音がある。これは鯉。この中に食い気のある鯉がいて、草についた餌を食んでいる。それも数は少なくなく、フカセ釣りで釣れるのではないかと、竿を一本出してみることにする。


  この草(ゴミ入り)の下で鯉がエサを探している  

 ライン直結の針に、オモリはバランサーとして3Bのガン玉1つ。針にはポップコーンをつけて、水面に吻端を出し、バキュームしている鯉のすぐそばに落としてやる。

 ポップコーンはこのような釣りには最高に有利なエサになる。普通に、針にエサを刺し、針先を出せば、当然草に引っかかってしまう。かといって針先をエサに埋めればフッキングの邪魔になる。だがポップコーンの場合、水中でやわらかくふやけるので、針先を埋めても、アワセを入れればすぐに取れてしまい、フッキングへの支障がなくなるのだ。

 さて、エサとタックルは良いとする。このようなヘビーカバーの鯉を狙うのに最も難しいのは投入点。普通のフカセ釣りとは違い、エサを食み、僅かな草の間から口先をのぞかせている鯉の真ん前に落としてやらねば、エサに気付いてくれないのだ。
 
 鯉の口先の正面数センチのところに落とすのが理想だが、そううまくいってはくれない。ほんの少し投入点がズレれば、エサに気づかれないで終わってしまう。その上、何度もキャストを繰り返していれば当然警戒もされる。更に鯉が出る場所は気まぐれで、こっちで出たと思い、慎重に狙いを定めているうちに、一度潜ってまた別の場所でバキュームを始める。ただただ難しいだけで非効率的な釣りだが、良い暇つぶしになる。そんなことをしているうちに、高橋さんとニャーゴロくんは仲良く小鯉を追釣したようだ。

  今回やたらと仲の良い二人  

 早くも昼時。今日は風がさほど強くなく、日差しが直接気温とリンクしている。水温が上がると、より一層ヘラ達の叩きが盛んになってきた。そしてその中に鯉の産卵行動もある。例年、へらよりも遅い鯉の産卵だが、今年はこの時期にもう始めているようだ。

60強の鯉が飛び上がり、ダイブするかのように叩いている。ここまで暴れられては、狙っていた食い気のある鯉達も散ってしまい、暇つぶしであれ、さすがにフカセ釣りが出来る状態でなくなってしまった。


  鯉の叩きも始まった  

 ニャーゴロくんは昼過ぎに撤収してしまった。私はまだ寝たりず、フカセ釣りを止めるなり、また車へ入り込む。1時間ほど仮眠をした後、車の中の暑さに耐えられず出てきたら、これからバイトがあるはずのSASAYANが再来していた。バイトの時間までここで遊ぶつもりらしい。

 ここで一つの提案を出す。メンバー中、一人だけアタリを取っていないSASAYANの見せ場として、プールの中の鯉を釣ってもらおう。丁度ヘラや鯉の叩きがなくなり、様子を見た感じ、食い気のある鯉が戻ってきているようだ。

 SASAYANはすぐにその話に食いつき、準備にとりかかる。そして高橋さんもプールの鯉に挑戦するとのことで、マリモ型をした謎の飛ばしウキをラインにセットし、二人は早速プールへ向かう。

だがあろうことか、二人の準備中にジェットが数台通り過ぎ、それによって立てられた波がプールの草やゴミを流してしまった。それと同時に鯉の姿もなくなり、プールは無情にも静まり返る。

 しばらく待って、少しずつ魚の気配が戻ってきたように思えるが、水面に浮いてくる鯉はいない。SASAYANはちぎったパンをプールの外に撒き、川の流れに乗せて広範囲を探り出した。高橋さんはフカセの仕掛け(まりもウキは杭に絡んでリタイア、別のウキを使って)をプールに投げ入れたまま待ちの体勢を取っている。

 高橋さんとSASAYANがプールに挑戦するが・・・ マリモのウキ 死亡

 すると突如として、高橋さんのウキが水中に引き込まれた。すかさずアワセを入れるが、フッキングに至らず、魚は泡と共に消えてしまった。SASAYANの方も、幾度か食いそうな魚を見つけるも、チャンスには恵まれなかったようだ。

 16時。SASAYANはバイトへ向かい、私達もそろそろ片付けに入ることにする。

 そんなとき、昨晩から芳しくなかったジュンちゃんの体調が急変。「片付けの前に薬局に連れて行ってくれ」、と苦しそうな声で高橋さんに車の運転を頼むジュンちゃんの顔色はかなり悪いように見える。

 二人は釣り場から離れ薬局へ向かい、私はひとまず自分の道具の片付けに入る。そして全ての荷物を車に積み込み、軽く車の中を整理していた頃、携帯が高橋さんからの一報を受けた。ジュンちゃんの体調は更に悪化を続け、かなり危険な状態になっているため、救急車で搬送されたという。

 電話にて高橋さんから指示を受け、また搬送先の病院の名前も教えてもらい、私はその病院へと向かった。病室のベッドで点滴を受けているジュンちゃんの顔色は大分良くなっているようで一安心したが、釣り場から出て、搬送されるまでの間は本当に危ない状態だったという。

 幸いにも回復状態がよく、医師から問題ないと診断され、本日中の退院が可能となった。私はそこから二人と別れ、帰宅。そしてその後日、ジュンちゃんからの回復良好メールが届き、これで本当に安心することができた。

 まさかの自体に予想外の終了の仕方となった。この釣りの翌週、高橋さんとジュンちゃんは、高橋さんの友人であり、去年のポロト釣行でお世話になった山口さんと渓流釣りをする予定だったようだが、病み上がりであるジュンちゃんは欠席。高橋さんと山口さんの二人で渓流釣りを楽しんできたようだ。

次回にはジュンちゃんも再活動できるだろうか。それが鯉釣りなら、もちろん私も参加したい。