釣り日記2011 待てど… 

 釣行日 10月1日15時00分〜
10月2日17時00分  
 場 所 茨戸川 グラウンド裏
 時 間  天 気 雨〜曇り(北西〜南西の風)


 目を覚ました頃から雨が降り始めた。強い風が連れてきた秋の雨。今度の釣りは、色んな意味で厳しくなりそうだ。
 この日の午前。自宅付近の気温は10℃過ぎで、その後15度まで上がるが、何れにしても寒いと感じるほかない。午前中におさまったかと思われた雨はその後、降りも止みもせず、太陽と隣り合わせになりながら大粒の雫を落とした。所謂天気雨で、釣り場に到着して底探りを終えてもそれが続いていた。

 今回は近場の茨戸川への釣行と決めていた。車を止めたのはグラウンド裏で、数人で20本竿を出しても、1日釣果は1尾ということもある難しい場所ではあるものの、釣れる時はアベレージサイズの連発、また一発大物が期待できるフィールドでもある。釣り慣れた茨戸川でも、ここでは坊主を食らうこともあるのだが、そんなところで一泊、のんびりと過ごしたいという考えでここを選んだ。釣れなくても、そこを粘って待ち続けてみたい。大雑把に言えば、釣れなくても許せるという、気持ちの面で余裕がある時にできる釣りだ。


 青空に黒く浮かぶ雨雲。太陽に照らされつつも降り続く、そんな秋雨に濡れながら準備を進める。ここは駆け上がりで水深が落ちるため、軽く投入するだけで浅場から水深3メートル弱を釣ることができる。個人的にここでよくアタリを出すのは水深1.5m〜の浅場へのちょい投げであり、それ以深の遠投ではアタリをもらっていない。ということもあって、少々深みに落とすのに躊躇するのだが、ここのところ急に寒くなり始めた。今日もまた手を悴ませる北西の風が強く吹きつけ、浅場に魚の気配を感じない。まずは手始めに、水深1.8mの所に一番竿を、そこから2.7mに落ちるところに2番竿を打ち込んだ。

 底にはまだ草が大量に残っている。カモンバやアナカリスの類が、底探りのフロートにもしつこく絡みつき、水深を測るのには苦労をさせられた。投入はこの草の隙間に打ちたかったのだが、風によって草の塊が動き、またそもそも生え方が疎らすぎるためにそれは難しい。仕掛けは根掛りを懸念して1本針ヘアリグ(チヌ7号)に。投入時の障害物への掛かりを避けるべく、針をダンゴの中に埋め込む形にする。ヘアリグにしたのはそのためで、ヘアには乾燥コーンと乾燥パパイアを付けた。ダンゴの配合は「白虎」、「どすこい」をベースに「もじり」を加えたもの。

 エサはこんなところかな… 食わせを潰さずに針を埋め込める

 15時。水温は気温よりも少し暖かい16℃。風は北西から吹き、これはこの場所で良とされる風向きとは逆になるが、予報では夜には風が南寄りに変わるという。それまでに雨が落ち着いてくれることを願うが、依然、太陽が顔を出した状態で土砂降りになったりと不安定この上ない。

 車に入り込み、雑誌を読んでいた16時。投入から1時間という、アタリの期待を微塵もしていないようなタイミングでセンサーが入った。掛かっていたのはやはり小型。40センチほどの鯉が1番竿の針を口の横にぶら下げていた。このサイズが序盤から出るよりも、一晩じらされてからのセンサー受信のほうがサイズを期待できたのだが…。なんとも複雑な気分で小鯉をリリースした。春の、これから水温が上がり始める時期のこの場所と打ち込んでいる水深なら、ここから連アタリが出ることもあるのだが、今はそんな期待はしないほうが良さそうだ。


 前投入から3時間が経過する19時。ここからの投入はペースを落とし、少し大きめに握ったものを投入する。それと同時に2番竿の投入レンジを一層深くして、水深4メートルほどのところに投げ込む。しかしまぁ、突然これだけ寒くなれば鯉もエサを摂る気をなくしていることだろう。食欲はあるものの、寒い台所に立つのが面倒。人間でいうそんな心理になっているのではないだろうか。ここは気長にいこう。まだ厳寒期というわけでないし、いつまでもコタツの上のミカンばかり食べているわけにはいかないはずだ。そして私も空腹で、食料袋からゴソゴソとカップ麺を取り出した。

 23時にようやく雨が止み、風が無くなった。寝付けずに外へ出て、ここでエサ換えをする。1番竿は水草が絡まって上がってきた。夏の間はこの水草の中に鯉がいることが多いが、この時期はどうなのだろう。冷たい風が吹いた後、自分が鯉ならば水温の安定する駆け上がりの下でノソノソとエサを探すかもしれない。やはりセオリー通り、秋は深場を狙うねべだろうか。とはいえ「比較的」深いだけで、深場とはいえないが・・・。1番竿も水深4メートルラインに打ちかえる。このラインまで投げれば、水草はほとんどなくなり、ただフラットだ。但し、毎度底探りをしてもこの場所の地形をつかみにくいのは、底の泥の柔らかさから来ていると考えられる。念のため、これまでと同じ食わせにスポンジマットの角切りを加えて、針を若干浮かせる形でアタリを待つことにした。

 虫の声を聞かずに釣り場の夜を過ごすのは久しぶりだ。あの鈴のような夜の空気を通る音が無いのはとても寂しい。寒いのを我慢して外にいる理由もないので、さっさと車の中へ戻る。アタリが遠いことも、車内で過ごすことになることも予測の上なので、暇つぶしの道具はたくさん持ってきている。ギターは…やっぱり少し大きすぎたか。持ち運びの面でも、演奏においての私の体とのバランスにおいても、もう少し小さいギターが欲しくなる。小柄なギターなら、釣具と一緒に持ち込んでも(少しは)邪魔にならないだろうし・・・。邪魔か。

   車内での退屈しのぎでギターを持ち込んでみた  

 テキトウなアルペジオを楽しで1時間。ギターに飽きた頃合で寝袋にしっかりもぐりこむ。ここまでスッポリ寝袋に入るのも久しぶりだ。かなり寒いが、熱帯夜に比べたら、眠る分には楽だろうか。このままぐっすり寝付いてしまい、目を覚ましたのは夜が明けた頃。まだ朝日も昇っていないが、打ち返しは予定通りに行っておく。待ちの釣りといえども、ただ待つばかりでは何も起こせない。投入内容は前投入と同じ。今回はこの4メートルライン1本を通して狙い続けてみることにする。


 午前7時頃、待望のセンサーに起こされたが、窓の外では2番竿のランプが光るだけ。クリップは外されており、周囲に島やゴミなども見当たらないため、スイッチを入れたのは魚に違いないようだが、空アタリだったようだ。そしてその1時間後にも1番竿のセンサーが入るが、今度は島がラインに引っかかっただけ。本物の知らせはいつ届くのだろうか。作り置きのダンゴで打ち返すが、このままアタリがなかったらダンゴの配合を変えてみようか…。夜中のうちからそれを考えていたが、先の空アタリがあった事で判断が揺らぐ。

再び暖かい寝袋に入り、次に目を覚ましたのは午前11時。ダンゴの配合を動物系の物に変えることに決め、「白虎」ベースに「スーパー1スペシャル」+「神通力」、それにペレットを加えたものを小さく握って袋仕掛けに装着した。投入は1番竿はこれまでと同じ水深4メートル。2番竿は少し沖目に打ってみることにする。

 ペレット入りの動物系ダンゴに変更 スポンジマットを挟んでポップアップにした食わせ 

車の中は陽があたって暖かいが、外の気温は12℃。水温は変わらず16℃。あとはひたすら待つ以外やりようがない。窓からじっと竿を見つめてみたり、あえて竿には意識をやらずに過ごしたり、眠ってみたり、ありとあらゆるアタリ待ちのスタイルをやってみるが、それでも竿は沈黙を守り続ける。配合を変えてから、2時間後にエサ換え。食わせなどに異常がないことを確かめたら、終了まで竿には触れないと決めた。この魚の活性状況では、1時間や2時間エサを置いただけでは食ってこない気がする。と考えると、今回の打ち返しはペースが早すぎただろうか。動きを封じてもっと静かに待っていたほうがよかったのかもしれない。配合の変更ははっきり言えば悪あがきというか、序盤のチビ鯉からアタリが出ないことでいても立っても居られずに動いただけのこと。ここにきて後悔しても仕方がないのだが、釣れなければ必ずその日のやり方に疑問や不安が出る。ポイント云々は置いておいて、やり方に対する疑問や不安を汲んで次回に繋げるべきか、それともやり方にこれ以上の正解はなく、ただ釣れなかっただけなのか、本当に考えさせられるものだ。釣行前には「釣れなくても許せる」なんて思っていたのだが、いざ釣れないと熱くなってしまうのが性のようだ。

前投入から4時間。待ち時間としてはまだまだ短いものだが、今回は所用もあるためにここで終了することにする。坊主ではないが、坊主のようなもの。あの魚には悪いが、これなら綺麗さっぱり丸坊主のほうが気持ち的にはよかったかもしれない。さて、次回もガソリン節約で近場の釣行と決めているが、どんな釣りをするべきか、また考えねば・・・。