釣り日記2011 variation&repertory 

 釣行日 8月31日20時30分〜
9月1日15時
 場 所 雁里沼 
 時 間  天 気 曇り〜晴れ 無風〜東の風


 迫る台風12号はこの週末に強烈な雨風を齎すはずだ。
 前回釣行から3日後の31日。私は雁里沼の第二回戦を行う予定だった週末を諦め、その3日前の平日の夜にあの釣り場へと向かっていた。この水曜日から翌日にかけての予報は当初、確立の高い雨マークが全道を占めていたが、都合の良いことに木曜日の予報が晴れに変わると同時に、水曜日の雨も消えていた。木曜日に有給休暇の取れた私にはこの上ないチャンスであり、勇んで車を走らせる。

 仕事が終わるや否や、札幌を出発。そのときの時刻は18時だったのだが、なぜか道を間違えてしまい、到着は20時近くになる頃だった。

 雲は厚いものの、昼間まで荒んでいた風は弱まり、今私のいるこの場所は特に風当たりが弱い。ここは前回佐々木さんが入釣したポイントであり、雁里沼の中でも最も入りやすい場所のひとつ。前回の続きということで出てきたので、釣り場も前回と同じ・・にしようと思ったのだが、この風当たりの弱さはアタリ待ちをするにおいて有利だ。

 入念な探りは入れていないが、水深が若干増しているものの、水草すら生えていないフラットな地形であることは先端と変わりない。大きな特徴は、灌漑用に施された水門があるということだ。ゴロ石などはなく、足場はコンクリートの斜面とその横に備えられた階段。ピトンを挿すのに丁度よい護岸の切れ目もあり、護岸下から十分な水深があるので、どこを狙っても釣れそうな感じがある。

 まぁ前回の釣り場同様にここにも、通っている人にしか知りえないような釣る為の条件があるのかもしれないが…。今回の釣り場をここに決めた。色々と考えているうちに風は完全に消え、水面はベタ凪となった。

 水門の左側にタックルをセット。ピトンを挿せる位置から水面までが高いので、ラインや穂先がヒット時に水門に当たらないよう、若干横に距離を置いておく。ファイトには2番竿のすぐ横にある階段を使いたいので、1番竿にヒットの際に隣の2番竿のラインが邪魔にならないよう落としオモリを施した。

 仕掛けは前回同様の袋仕掛け(針:チヌ9号)と勘に頼った配合のダンゴを選択。今回は糠ベースに入り糠、麦茶、ハトのエサを混ぜた夏スタイルのものを軽く小さなダンゴにして使用する。投入は1番竿が遠めで2番竿を近め。2番竿は水門のすぐ前に打ち込んでみることにした。食わせには新篠津産のコーンを半ゆでにしたものを使う。これで準備は完了。あとは魚の問題だ。

糠ベースに麦茶のダンゴ  ここも雁里の人気の釣り場

 すっかり凪た水面。暗闇のどこかで、一瞬鳥かと思うほどの大きな水音が落ちる。
 前回と比べると、魚の気配を色濃く感じられ、それもヘラブナなどではなく、60は超えている鯉が数多くいるようだ。まだ釣ったことはないが、三日月湖でこれほどの魚数と型を感じられるのは珍しい。へらや鯉の人気スポットであることにも頷ける気がする。

 分厚い雲が低い位置に浮き、これだけ暗いのに星を見ることができないのが残念だ。そしてこの夜はやたらとランタンに虫が集まってくる。雨あがりで風がなくなれば、羽虫には良いコンディションなのだろう。スズメガの一種やクスサンなどの大型の蛾に、久しぶりにオケラの姿も見ることができた。面白いといえばそうなのだが、仕掛けのセットやダンゴを作るなど細かい作業をするためのランタンだ。これだけ寄ってこられては邪魔くさい。虫たちには悪いが、ランタンの前に蚊取り線香を炊き、場所を空けてもらった。

 さて、今回の打ち返しは両方の竿とも同時に行う。前回同様に1本をパイロットロッドとして短い感覚でいろいろなポイントに入れてみようという気もしていたのだが、これだけフラットであると、もうどこに打てば何なのかわからなくなってくる。毎度の投入距離は同じにして、エサ換えのペースは最初1時間、そこから間隔を広くしてゆき、最終的には3〜4時間での交換とした。

 ここまで2度仕掛けを回収したが、両竿とも食わせがなくなったり、ハリスが絡んだりということはなく、問題となるような大型のエサ取りはいないと取れる。恐らくジャミは沼中にうじゃうじゃといるのだろう。前回の記事で書かなかったが、日が昇ってからのエビ取りの籠には大量のタナゴやタモロコが入っていた。それらが今、ダンゴに集っているのは間違いないが、かれらの口にはどうすることもできないのだろう。食わせのコーンは傷ひとつ付かずに戻ってきた。

 パイロットロッドといえば、今回も捨て竿は用意してきている。しかしここは意外とエビが捕りにくく、捕るとすればまたエビ籠を用意することになるだろう。しかしなんとなくめんどうくささを感じ、捨て竿は明るくなっても釣れなかったら出すことにする。今回はおとなしく、このまま釣りを続行しよう。

田舎の外灯の下の雰囲気が好き  風当たりが弱く、過ごしやすい

 23時、階段を下りて竿の様子を見に行くと、2番竿のラインに違和感。ラインの先が投入位置からずれている気がするが、ラインを張ってみても動く様子はない。ここは前回のようなゴロ石もないので、掛かりに入って動かないということも考えられず、空アタリがあったか、それともウグイが掛かっているのか、いや・・・もしかしてラインの位置は元からこうだったか?なんだかよくわからないので、このまま少し置いておくことにし、そのかわり次の打ち返しは予定よりも早めに行って仕掛けの変化を確認することにした。

 そして何事もなく1時間が経過し、午前0時、3度目のエサ換えをする。ダンゴの配合内容は同じだが、就寝に入る時間を考えて鳩のエサの量を少し増やし、底残りを強化する。結局2番竿の仕掛けは全くの異変なしで戻ってきた。まぁ大方、この前みたいなウグイが悪戯したのだろう。

 鈴を振るようなコオロギの声が秋を感じさせる。日付が変わり、8月から9月へ。去年のこの時期はほとんどまともに釣行出来なかったので、この秋は十二分に楽しみたい。

 私にとって新しいフィールドであるこの沼は、鯉釣りという小さなジャンルのひとつを楽しむためのバリエーションのひとつに加わった。他のジャンルで見られる「この時期だからあの魚を釣りに行く」、というのではなく、通年狙う魚は同じ。この時期のあの場所で鯉を釣るにはどうすればいいのか、このコンディションで鯉を引き出したい。セオリー通りにやるも、あえて外すもよし。厳しいであろうコンディションに挑み、逆にそれをに楽しむということもできる。北海道と本州というような広い目で見ても、あの川とあの川という狭い目で見ても、場所によって鯉は違う。同じ魚でも、育った環境違えば、鯉の性格や、人や物に対する警戒の度合い、数やアベレージサイズに違いが現れ、私はそのひとつひとつを楽しみたいと思う。次回はどんな釣りをしようか、その引き出しの数が多いに越したことはなく、その新しいバリエーションとして雁里沼を選んだ。一昨年に初めて訪れるようになった石狩川公園でそうしたように、ここでもまた、ここでの釣りの楽しみ方の模索を始める。

 午前1時、就寝の準備を始めた頃、初めてセンサーが入った。クリックが聞こえないので、またウグイだろうかと思ったのだが、虫の声にかき消されていただけで、むしろ激しく鳴り響いているほどだった。土手を降りると2番竿のラインが右寄りに沖へ走っている。沼の真ん中までに及んだファーストランを制御し、ラインを回収すると魚が水面を激しく叩く。サイズは60〜70といったところの重量感だが、竿を鳴かせる抵抗も見せ、久しぶりに鯉のファイトを楽しませてもらった。

 暗い水中から獲物を捕らえたタモを引き抜き、それを土手上の草地へ運んでから、初めての雁里沼の鯉の姿を眺める。70センチにギリギリ届くサイズの茨戸川などでよく見られる体系の一尾。フッキングは最高で、一番針の外されにくい位置にバランスよく付いていた。

雁里沼での初鯉 痩せ型の細長い体系 そのお顔とフッキング
 
 1番竿をそのままに、2番竿のみを打ち返した。打っているポイントはぜんぜん違うが、この後1番竿への連アタリがあるかもしれない。まぁまず第一歩目として、そこまで望んでいないのだが。1匹目が釣れてくれてよかった。今年は釣行記にもしないような、知り尽くした場所での短時間のチョイ釣りが多かったので、このように充実感を得られる釣りをしているのは石狩川釣行以来だ。そこに現れてくれた新場所での初鯉に気分は満悦。自分のやり方での可能性を感じられるようになれば、あとは楽な釣りにもなる。

 午前2時頃。眠るつもりで入った寝袋から飛び出し、ヘッドライトを掴んだ。まずは土手上からランプが点滅する2番竿を照らし出すが、よくわからない。階段を下り、今度はライトを頭にしながら竿の様子を確かめるが、穂先は動かず、センサーはクリップを垂らしながらひたすら点滅を続けていた。竿をもってみても仕掛け以外の感触は伝わってこないが、打ち返したばかりの2番竿に空アタリがあったようだ。ハリスが袋部分に複雑に絡んだ仕掛けが上がってきた。

 新しい仕掛けをボックスから取り出し、ついでに1番竿も回収して作り置きのダンゴをセット。活性が高いのか、パターンがはまったのか、いずれにしてもチャンスはあの一度だけではなかったみたいだ。ここからを期待しながら寝袋に戻る。

 午前4時40分。少しは眠れただろうか、寝ているのか覚めているのかわからない頭が一瞬にして反応する音。そして無意識のうちに靴を履き、車のドアを開けていた。センサーが入っているのは1番竿。釣り場正面の空が薄明るく、今度は土手上からでもはっきりと竿の様子が見える。だが、またしても竿は動いていない。これも空アタリなのか・・・ピトンの横にしゃがみこみ、しばらく竿先を見つめていると、僅かにラインが動く。掛かっていたのは30センチにも満たないような子鯉。写真を撮ることも忘れ、水面から上げずに針を外した。タッパーの中の作り置きのダンゴは残り2つ。それを使って両竿とも打ち返しをしてから、すぐに車に戻り、深い二度寝に堕ちた。


 2匹目の子鯉を最後にセンサーの反応は続かず、私が目を覚ますことになった音は、近くで農作業をするトラクターのエンジン音だった。自分の腹ごしらえである漉し餡パンをくわえながらのエサ換え。新しく作ったダンゴも変わらず糠に麦茶で味をつけたものだ。「龍王」や「巨鯉」に麦茶を加えるときは、水出しのバッグ2袋の中身をそのまま混ぜ、水を加えてダンゴにするが、糠に合わせる場合は、使う水の量が「龍王」などより少ないため、1袋はそのまま加え、もう1袋は中身を直接水の入ったカップに入れておき、それをそのまま糠に加えてダンゴにし、香りを出す。少し時間を置いて麦茶の色と香りが出たダンゴは小さめに握り、この打ち返しでは、夜のものよりも鳩の餌の配合量を減らした。ここのジャミの多さは半端ではないが、鳩の餌を食べてしまえるようなエサ取りはそれほど多くない。餌取り対策に大粒多量配合のダンゴばかりを打ってしまうと、逆に底残りさせすぎてしまう嫌も考えられる。

 そしてここで捨て竿も追加した。これは水門の右側にバンクスティックを立て、2本ともヘアリグ(チヌ6号)とバズベイトで可能性を試してみる。捨て竿のうち左の1本は水門の前に打ち、もう一本は沖目へ投げ込む。寄せ餌としてはPVAに砕いたバズベイトとペレットを詰めたものを一緒に投入し、ジャミに突かれてしまうことを考えて、早めに打ち返しをしようと思うのだが、その頃合には撤収の時間が来てしまうだろうか。少々眠りすぎてしまった。なんてもったいない・・・。

捨て竿投入。これはバズベイトを試してみる  バズベイトはロイヤルハニー。ヘアリグ+自作天秤で

 昼に近づくにつれて気温は上がり、かなり暑くなっているのだろうが、同時に西の風が強くなったので助かっている。そしてアタリ待ちの場は昼間に丁度日陰となり、これならもっと暑い時期でも過ごしやすそうだ。水門の右側も日が当たらないので、水辺で遊ぶのにはよく、捨て竿投入後のアタリ待ちは、その日陰で延べ竿を振り、ウキを眺めながら過ごした。強まる風に水面が左に波打ち、浮かせたへらウキも大きく揺れている。それでもハッキリとわかるようなアタリを出して入れ食いするウグイやヌマチチブ、針を小さくすればタナゴやモツゴ、タモロコも釣れ始め、暇つぶしの小物釣りでは飽きるほどにウキの動きが止まらない。本当にジャミの濃さがすさまじい沼だ。

 明るくなってからアタリが止まったということは、ここの釣りは夜に向いているのだろうか。そう思ったとき、捨て竿のアラームが叫び始めた。水門手前に打ち込んでいた左の竿にヒット。魚は真っ直ぐ沖へ走り、ラインは大きく風になびきながらその行方を示す。浅くフラットであれば、止水域の鯉でもよく走るものだ。鯉は遥か沖で浮かび上がり、そしてゆっくりとこちらへと誘導されてくる。これも70センチほどであり、一尾目よりも良い体格をしていた。岸に寄ってから再び走り出そうとする相手を食い止めタモに入れたのの、魚を持ってコンクリートの斜面を上がるのがめんどうなので、水中で針を外すことにした。体勢に無理がかかりうまく写真を撮れずにそのままリリースしてしまったが、これもまた良い鯉だった。

  バズベイトにヒット。これも70センチ。牛のような体格だ  

続きの釣行(9月11日)は釣果データのみ、この下に簡易的に公開します。


釣行日、時間:9月10日18時〜9月11日14時

場所:雁里沼水門横

状況:晴れ〜曇り:夜間は無風で気温16度、日中は東からの風が強く気温25度



開始前に水深などの情報を再確認。



この回は最初から本命竿、捨て竿共に出し、計4本で挑む。
釣りの進め方は上記のレポートと変わらず。



本命竿はダンゴ(どすこい+白虎)、捨て竿はバズベイト+ペレット



21時、手前に投入した捨て竿のロイヤルハニーにヒットするも正体はナマズ。



23時過ぎ。遠投した捨て竿に1匹目。50センチのレザー。
その後、同じ竿にヒットするもスッポ抜け。
いずれもエサはロイヤルハニー。



明るくなってからまたしても捨て竿にヒット。一気にラインを引き出し、粘り強いファイト。
70に届かない尾びれの大きな鯉。
15メートルに打ち込んだスイスホワイトチョコレート。



上と同魚。立派な尾だ。ファイトは止水域とは思えないものだった。



午前8時の3匹目。これも捨て竿で、本命竿のダンゴには依然ヒットはない。



日が高くなった午前10時。手前に打ち込んだ白チョコに。
これで4匹目。昼になってからアタリは遠のく。



アタリ待ち時間は小物釣り。エビ籠を入れて10分後に上げると、鍋に沸く油のように
多量の小魚が犇いていた。もはや恐ろしいくらい。



籠の小魚のほとんどはタモロコ。小物釣りでもウグイと並んでよく釣れる。
13時、遠めに打ち込んだ捨て竿にヒットしたが、竿を持つ前に抜ける。



バズベイト乾燥中。やはり小魚にやられてしまうので、ボイリーの方が良さそう。
14時に撤収。