鯉釣り日記2010 蝦夷梅雨

釣行日時 7月17日16時〜
7月19日午後1時
釣行場所・ポイント名 篠津湖

  次にアスファルトが黒く湿るのはいつになるのか・・。怪しい空を睨みながら、私とSASAYANは篠津湖へと向かった。
 海の日を含む3連休。まだ慣れない生活変化に疲れを感じながらも、泊り込みの釣りを目論むのは、それを癒してくれるのが釣り場という環境であることを、十分すぎるほどに自分でよくわかっているからだ。そして何よりも楽しみなのは、早くに釣り場に竿を出す先輩方に会えること。ターゲットは夏色の淡水大魚。今年の篠津湖は、彼らに会わせてくれるだろうか。

 去年の海の日連休。北海道ツアーに訪れた川崎の高橋さんは、ジュンちゃんと共に石狩川の三日月湖リサーチをした後、篠津湖にて連泊の釣りをされていた。私は所用があり、更に連日降り続いた大雨によってその釣行への参加を断念。ただ釣果報告のメールを待つしかなかった。今年も同じように北海道ツアーを行うと高橋さんから連絡を受け、私は是が非でも参加するべく、準備を整えた。

7月17日 16時

 今回はSASAYANもこの釣りに同行することになった。彼にとってソウギョ釣りは今回が初めてであり、私は密かにそのビギナーズラックに期待している。15時過ぎに彼を迎えにゆき、買出しを経て篠津湖へ到着したのは16時ごろ。すでに釣り場を決め、ベースキャンプの準備を進められている高橋さん、ジュンちゃんと2ヶ月ぶりの挨拶を交わした。

 今回ベースとする場所は、去年9月の連休釣行の前編 「晴朗しのつ」でテントを立てたのと同じ、流れ出しのスペースだ。ジュンちゃんはそのテント前にロッドポッドを置き、その下流に高橋さんの竿立てが並ぶ。私とSASAYANはどこでどう竿を出そうか・・。それを決める前にやらなくちゃいけないこともある。エサとする葦の採取だ。去年や一昨年に葦の採取場としていた駐車場付近は、草刈が入って大型の葦は姿を消している。荷物を下ろす前にもう一度車を出し、大きな葦が多く生えている場所へSASAYANと共に向かった。


 SASAYANに手伝ってもらいながら葦採り  今年もこれをエサとする

 葉ぶりの良いものや、やわらかく食わせやすいものをじっくり選んで、1本1本ハサミで切り取ってゆく。高橋さん、ジュンちゃんの分も含めて4人分の葦を採り、濡らしたタオルを茎の切り口に巻いて確保しておいた。

  さて、いよいよ竿出しだ。私はいつもの駐車場前スペースに決めることにしたのだが、テントはベースキャンプに立てるので、距離や位置的に私のセンサーでは電波が届くかの心配がある。そこで、より遠くまで受信させることができる、高橋さんカスタマイズの送信機を私が使わせていただくことにして、同じように私の送信機を、ベースから近い高橋さんが使うというセンサーの交換があった。SASAYANは私のすぐ隣で竿を出した。彼は岸際のヤナギにソウギョの食み痕を見つけたことで、葦ではなくヤナギの葉を仕掛けに付けた。その一方で、今年春の某沼にてボイリーでソウギョを上げているジュンちゃんは、ここでもトリガーアイスを使う。それぞれ思い入れに従った手法でセットを完了させ、あとは夜とソウギョを待つのみである。

私はいつもどおりの葦で・・   川崎の高橋さん
   
 SASAYANはヤナギの葉をエサに 高橋さんのカスタムセンサーをお借りして・・ 

セット完了後にナマズ釣りに出るのはいつも通り。そしてその最中、夕刻を知らせるサイレンと夕焼け小焼けのメロディが聞こえてくるものいつものこと。しかし釣り場上空にあるのは夕焼けではなく、黒い雲。予報では天気が良いのは今日だけで、明日、明後日は雨となっている。ソウギョ釣りのコンディションとして、雨は悪いものではないが、あまり降り続かれるのも困り者だ。

 ナマズ釣りから戻ると、ジュンちゃんの大型ワカサギテントで今夜の宴が始まろうとしていた。私とSASAYANもその中にお招きいただいて、赤く焼けた炭を囲んでのアタリ待ちとなった。風は強く、度々様子見に行く草針も、堪えるように水面にへばり付いている。この風に魚の気配がかき消されているのか、それとも活性不良なのか、岸際のヤナギを食いに来るソウギョの水音はおろか、跳ねやモジリもはっきりと確認できずにいた。

雨が迫る   ジュンちゃんの愛猫 雨音ちゃんとカロちゃん


17日22時〜

 テント内で続く楽しい談笑の中、更なるサプライズで、つるたろうさんが釣り場に訪れた。お仕事の都合上、一緒に竿を出すことはできなかったが、宴の席には笑い声が重なる。そんな明るいテントの外では、ついに雨が降り始めて地面を叩いていた。

 しばしの歓談後、キャンプを後に車に乗り込むつるたろうさんを見送っている時に、最初の魚が針を銜えた。ジュンちゃんのセンサーランプが赤く灯る。ラインの先を辿るジュンちゃんとそれを見守る私達は大きく高揚し、雨中であることも気にせずに水面を見つめる。ジュンちゃんが使っているエサはボイリーであるので、鯉が掛かる率のほうが高そうであるのだが、暗い水面に現れた影はそれとは少し違うように見えた。もしかして若いソウギョなのではないか?しかしタモが見当たらず、私のタモをもって来ようにも遥か遠く・・。そうこうしているうちに魚から針が外れ、その姿を写真に収めることはできなかった。残念だが、モチベーションに繋がるものは十分に貰うことができた。

 魚の気配の薄さと談笑の楽しさで、アタリが来るかもしれないということをすっかり忘れていたのだが、そんな時に突然来るというのもジンクスの一つだ。テントに戻り、椅子に腰掛けてまた思い思いの話を始める。いつの間にか日付は変わっており、夏らしく怪談話に花を咲かせていた。

 「話に夢中になってたら、またジュンちゃんのセンサーが光ってたりして(笑)」

 SASAYAN 「・・・光ってる」

 テントの外を覗いたSASAYANがボソッと呟く。

 一同 「またまたぁ〜そんな冗談を(笑)」

 皆、絶対嘘だと思い込みながらゆっくりテントから顔を出すと・・

 「ホントに光ってる!!」

 受信機が車の中だったためにアラームが聞こえなかったが、確かにジュンちゃんのセンサーが作動していた。今度の魚はソウギョではなく鯉であったが、魚を見ることができて落ち着くことができた。

 炭を囲んで・・ 冗談のようなアタリだった。ジュンちゃん鯉ゲット! 

雨の勢いはおさまらず、むしろ増している。SASAYANと高橋さんはテントの中まで濡らしてしまい、私もいつのまにか服がずぶ濡れ状態になっていた。

 なんとなく、今夜じゃないような気がする・・・・。ソウギョらしき魚は平さんが掛けたが、私達の草針ではどうか。ボトムタイプの草針も作ってきたのだが、新しく実績のないその仕掛けを試してみる勇気もない。そもそもこの雨と風の中、バタバタと仕掛け交換などする余裕もないし、もしかしたら近くにいるかもしれないソウギョを散らせてしまう危険もある。まぁ、運否天賦とするか・・。

 怪談話を進めていると、早くも空が明るくなり始めた。SASAYANは怖い話に竦んだか、独りテンションダウン。そろそろ就寝しても良い時間だろうか・・。

 夜明けとともに雨が弱まりはじめた。テントを打つ水音が静かになったのを感じて、今のうちに自分のテントに入って寝る準備を始めるべく談笑の席を立つ。外へ出たその時、またもジュンちゃんのセンサーランプが輝いているのを発見。すぐに「光ってる」とテント内に伝える。掛かっていたのはさきほどと同じくらいの鯉。トリガーアイスへの鯉の反応は良好であるようだが、草針を使っている私達のポイントには魚の気配はあらず、密かに期待をもっていたSASAYANのヤナギ仕掛けにも未だ反応はないみたいだ。

 ジュンちゃんに2匹目の鯉 トリガーアイスで好調 
   


 7月18日午前8時〜

 蒸し暑い寝袋から目覚め、結局ソウギョのアタリがなかったことに気づく。確かに昨夜は、水面をみて魚の気配に胸騒ぎを起こすこともなく明けてしまった。しかしよくよく寄せ葦を見てみると、若干だがソウギョが齧ったらしき痕が残されていた。一応、近くまでは来ていたみたいだ。それはそれで腑に落ちない・・。食ってくれればよかったのに。

 当初の予定では、ジュンちゃんと高橋さんは2連泊で、私とSASAYANはこの日の昼には帰るつもりだったのだが、どうしてももう一晩待ってみたくなった。明日も休みであるし、前回釣行記の最後に書いたように、実釣時間を延ばして釣りを続けたら、現段階でボウズの結果がどう変わるのか見てみたい。SASAYANと相談して、この日も引き続きここに泊まり込んでみることにした。

 日は高くなり、ソウギョの岸寄りが悪くなってしまう昼真の時間帯。ここで水面直下の草針はやめて、ボトムタイプの仕掛けに変更し、少し深いレンジに落としてみる。あとは抛って置くことにして、本番の夜までは遊んで過ごすとしよう。さて、ナマズ釣りのタックルは出しているが、捨て竿2本も出してダンゴでも打ってみるか・・。そう考えていたところに、ジュンちゃんがコレクションのタックルを私に貸してくださるという。大鯉専科しか使ったことのない私には、これは良い機会。早速、オリムピックのシエラ北斗をお借りして、自分の袋仕掛けを接続して投入しておいた。SASAYANは竿を持って場所を移動する。昨日ソウギョを目撃したという葦の生えているエリアにて草針を浮かせ始めた。確かにここは魚影が濃い。しかしジャカゴに囲まれ、水深は浅く、底にもネットがあるという危険な場所でもある。彼はそんな事お構いなしのようだが・・。

 昼の間、草針はボトムタイプに交換 ジュンちゃんから貸していただいた北斗で鯉狙い 
   
 SASAYAN。葦で竿を隠すようにして仕掛けを入れる 高橋さんの仕掛け 

 明るくなってから、ひとまず雨は落ち着いてくれたようで、しばらく降りそうもない。遊べる時に遊んでおこうと、ルアーを流しに出かけたり、ガサガサや昆虫採集などで童心に帰る。虫網さばきの腕や反射神経は、小学生の頃と比べるとかなりなまってしまったようだが、トンボの羽音や、手の中で暴れようとする蝶のやわらかい感触が懐かしい。すっかり虫を目で追うことに夢中になっていると、ジュンちゃんに呼び戻された。お借りしている北斗にアタリ!60センチに少しとどかないくらいの鯉が上がってきてくれた。

 続いてアタリをとったのはSASAYAN。ナマズ釣り中、ジュンちゃんからの電話でそのアタリを知り、40センチほどの鯉をゲット。その1時間後には高橋さんも鯉をヒットさせ、これでメンバー全員がノーフィッシュから開放された。残すはソウギョのみ。もうしばらくゆっくり遊んで次の夜を待とう。

 しばらくの間、天気は落ち着いてくれそう 補虫網をもって昆虫採集
   
虫取り中のヒット。篠津湖の鯉はこんなサイズばかり  続いてSASAYANも 
   
 そして高橋さんも これで全員、鯉のヒットをもらえた 

 後編へ続く



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