鯉釣り日記2010 蝦夷梅雨(後編)

釣行日時 7月17日16時〜
7月19日午後1時
釣行場所・ポイント名 篠津湖

 7月18日15時〜

 蝶やトンボが姿を消し、風と共に雨雲が戻ってきた。、私とSASAYANは小物釣りのタックルを出して、ひたすらウグイやヌマチチブを釣って遊んでいたのだが、そろそろソウギョ釣りの再セットをして夜に備えなければいけない。そろそろ降り出してきてしまいそうだ。

 夕方のナマズ釣りを兼ねて、第二回戦に使う葦を採りに出た時、北斗に2度目のアタリがあったのだが、センサーも付けず、携帯すらテントに置いてきてしまっている私はその事など知る由もなかった。結局、私の代わりに高橋さんがランディングしてくださり、ジュンちゃんはその鯉を持ち帰って食べてみようと、ロープで鰓通しをしてキープしていた。
 
 ナマズ釣り、昆虫採集の次は小物釣り 水面が再び暗くなった・・ 
   
 雨が強くなる中、まだ遊ぶ気のSASAYAN 北斗にヒット。これはジュンちゃんが食用にキープ 

 今回釣行2度目の宴会が始まった。今夜のメニューは焼そばで、ジュンちゃんこだわりの味付けはそのまま私の焼そばの作り方に流用されることになりそうだ。このままハイテンションで夜を明かす・・ことになろうと思いきや、泊り込みになれていないSASAYANはここでダウン。自分のテントに戻ってしまった。私も連泊は始めてなので、少々疲れが溜まっているらしい。この夜は早めの就寝で体力を回復させる必要がありそうだ。できればセンサーメロディで起こされたい。

 昨夜に比べて風は弱く、雨が降っていること以外は比較的穏やかで、田んぼからカエルの合唱が聞こえてくる。昨日はまるでそんな感じがしかなったのだが、釣れそうな気もする。昼間のボトムタイプから浮かせ草針に戻した仕掛けは、問題なく寄せ葦の近くに寄り添い、いつチャンスが来ても心配ない。あとは願うのみだ。

 かろにゃん。私はこの子に警戒されている 今夜は焼そば♪

 高橋さんとジュンちゃんも早いうちにテントに戻った様子だ。雨が止まぬままに空は明け、最後のゴールデンタイムが刻々と過ぎ去ってゆく。もうすぐ夜が終わる。それまでにワンチャンス・・ソウギョの眼に葦がとまってくれれば・・。そう願う中、はじめて受信メロディがベースキャンプに響いた。送信元は高橋さん。このメロディは高橋さんの鯉狙いの竿からのものだ。まだ暗いテント内で、私も高橋さんもヘッドライトの付いた帽子を探すのに時間をかけて、やっとテントの外に出ることができた。しかしどこにジャカゴやネットが沈んでいるかわからないこの場所。不運にも、ヒットした魚は仕掛けをそれに引っ掛けてしまっている。外れず、高橋さんは一旦竿を置いてそのまま様子を見ることに決め、私もテントに戻って再び寝袋にもぐりこむ。すると、さほど時間が経たないうちにまた受信機がメロディをキャッチした。今度も高橋さんの竿からのもの。そしてその竿は、葦をエサにしたソウギョ狙いの仕掛けを付けられているものだ。ついに来たのか・・?大きな期待を胸に、すでにヘッドライトを必要としない明るさになっている外へ飛び出す。だが、クリックは聞こえず、ソウギョはうまく針をかわして食い逃げに成功したようだ。高橋さんの葦を荒らした痕跡を残し、私達が駆けつけたときには姿を消していた。食み痕と共に悔しい思いも残る。

 荒らされた高橋さんの葦(左) 右は私の寄葦。食いやすいように切れ目を入れているのでこのような食い痕に


 寝惚けたままの耳に話し声が聞こえてくる。かなり早い時間にダウンしていたSASAYANが起きてきた様子で、高橋さんと話しているみたいだ。私もそろそろ活動再開しよう。5時にセットしていた目覚ましをオフにしながら寝袋を蹴り飛ばした。

 雨は止んだのか・・。空の色は同じだが、鬱陶しい雨粒は肌に感じなくなっている。さっき最初にセンサーを鳴らした高橋さんの鯉竿の掛かりは未だ外れず、やむなく諦めることになったようだ。SASAYANは夜中ほったらかしになっていた自分の竿の様子を見に釣り場へと向かった。ふぅ・・眠い・・。腹も減ったし、トイレも行きたい・・・。

7月19日午前4時〜

 私が駐車場のトイレから帰ってきた時、SASAYANの声にはっと目が覚めた。

 「安田くん、なんか掛かってる!」

 「え・・?センサー鳴ってないけど?」

 「でも竿曲がってなんか掛かってる!」

 「なんかって・・ソウギョしかないじゃん!!」

何 故かセンサーの反応がない自分の竿へ向かって駆け出す。SASAYANの言うとおり、確かに1番竿が曲がり、それだけではなくラインの先が動き回っている。センサーが入らないのはスイッチ自体が入らず、クリップすらラインから外れていない状態であったためだ。ソウギョほどの魚がヒットして、なぜそんなアタリ方をするのだろう。自分でクリップを外し、軽くアワセてみるとズシッと乗った感覚がある。しかしソウギョ特有のスプラッシュ音は上げず、静かに潜りだしたところを見ると、このソウギョはちょっと変わり者なのだろう。それでも潜り方は徐々に激しくなり、スプールも回してくれるようになった。水面を割ったときに見えた背中からして、あまり大きいものではないみたいだが、こいつはなかなか粘ったファイトを見せてくれそうだ。

 あまり引かないかわりに粘り強く戦ってくれる  「まだ粘るよコイツ」
   
   
やっとゲットできた。84センチとサイズはいまいちだが・・・ 

 よかった。サイズは84センチ。これまで釣ってきたサイズとしてはまずまずだが、良い勝負を楽しませてもらった。熟睡中だったジュンちゃんにも起きてもらい、釣果を告げる。やっぱり、この一晩延長して待ってみたのは正解だった。

 一段落ついて、再び雨の上がった釣り場で小魚達とたわむれる。疲れている中での2連泊はちょっときつかったか、少し朦朧としてきた。今年も篠津ソウギョに会うことができたという安心感と満足感からも来ているのだろう。テントが乾いたら、少しずつ撤収準備も始めなくては・・。

 雨は再び上がった 小物釣りにて・・
   
 散歩してみたり 今回のベースキャンプ 

 次のチャンスを期待したつもりではあったが、日が高くなりすぎて、もうそろそろだめだろう。昼食にレトルトカレーを皆で食べ、少し休んでから、撤収を決めた。明日の仕事の準備もあるし、今日はあまり長居はしていられない。浮かし続けた草針から葦を取り除き、車へ仕舞いこむ。今年は釣行回数こそ例年より少ないが、納竿時の気持ちは充実していることが多い。しっかりと釣りを楽しめているみたいだ。

 私の車で一緒に来たSASAYANも同時に納竿して、先に失礼することにした。アタリまでの時間はとても長く、雨に湿った中での釣行だったが、夏の雨の釣りも、年に一度はやっておきたいシチュエーションのひとつ。まぁ、今回は降り過ぎであるが・・。次回は8月になるか?。中旬にはもう秋の空気になっていると思うと切ないが、出来るときに出来る釣りを、また楽しもう。



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