鯉釣り日記2010 集合

釣行日時 5月15日午後4時〜
5月16日午後6時
釣行場所・ポイント名 茨戸川 グラウンド裏
  待ち焦がれた桜の開花から、それらが散り緑を纏うまでは、ほんの一瞬であった。まるで北海道の春を体現している。8月下旬には暑さの余韻を感じる間もなく突然寒くなり、5月まで寒い。はっきり言って、ここ1年近くほとんど冬みたいなものだ。この頃になって感じる夏らしい空気が、とてつもなく懐かしいものに感じている。

 5月9日、今年も川崎の高橋さんがお仕事で来札された。札幌に到着されて間もなく、ジュンちゃんと、私を含めた3人でアメリカ屋漁具にて合流し、次回釣行に向けての準備。そのあと、苗穂のつり掘太郎で盛り上がり、本番前の腕慣らし及び予行演習となった。次の釣行は茨戸川での泊り込みであり、高橋さんとジュンちゃんは金曜の夜から入釣される。私は土曜日夜からの参戦予定であり、伊藤君、日曜日からはTadashiくんも参加してくれるとのことで、ちょうど1年前に行った懇談会のメンバーが同じ場所に集結する。予報では特に天気が崩れるという情報もなく、楽しめる材料は十分に揃った。あとは釣れるかどうか、つり堀太郎での演習釣りでは思いのほか好釣で、数、サイズともに快調だったのだ。「今ので運を使い果たしたのでは?」という冗談が飛んだ。

 本番当日の15日午後3時半、グラウンド裏に到着。予定通り、高橋さんとジュンちゃんは前日の深夜から釣りを開始されており、私もその場に加えてもらった。私の出発前に、いくつか釣果報告のメールが届くものと思ったのだが、茨戸川は厳しいコンディションに見舞われ、あの冗談が本当になったかのような釣況であるようだ。これまでの状況をお二人から聞いた後、自分の目で川を見てみるが、水の色はまだ茶色味を帯び、水温もかなり低い。地形の変化の大きいこの一帯だが、あまり深いポイントは使い物になりそうもない。軽く底を探ってみるが、水草もまだ生えていないようで、岸から10メートルほどのところの水底に障害物が重なっているだけのようだ。どうやって竿を出すべきか・・。考えているところに伊藤君も到着し、同時に準備を進めることになった。

 グラウンド裏の水門の右側にジュンちゃん、高橋さんが竿を並べているので、私と伊藤君は水門の左側から、水面に立つ丸太で出来た柵までの範囲で釣りをすることに決める。このあたりも、手前からいきなり深くなっていたり、ゴミだまりがあったりと色々で、正直、どこがどうなっているかと細かく探るのは難しい。去年と違う場所に掛りがあったり、恐らく地形もかなり複雑になっている。伊藤君はネット裏〜グラウンド裏と呼ばれるエリアの最下流の端にあたる、丸太でできた柵の横で釣りをすることに決めた。掛かりが多いものの、浅場と水の流れの変化を狙える。私も迷った末に伊藤君の隣で竿を出すことにする。しかし魚の活性が見られないので、下手にエサを入れることができない。とりあえず一投目はアピール強めのダンゴを小さく握って投げておくことにするが、次の打ち返しはどうしようか・・。

オモリ:ひし形30号

仕掛け(袋仕掛け)
ハリス:鯉ハリス6号
:チヌ8号

ダンゴエサ
「どすこい」+「スーパー1スペシャル」+「鯉スパイス」+「GTS」
+鳩のエサ

食わせエサ
レッドキドニービーン

 投入点は2本とも専ら近場で、岸から5〜10メートル程度の浅いラインに入れることにした。伊藤君は竿を4本使用し、近場と20メートルラインを両狙いで試す。今回もエビや小魚などの生エサを使用できるように、網とカゴを用意している。早速網を持ってエビの姿を探してみるが、やはり創成とは違い、このあたりの透明度ではエビの眼光を見つけることができない。というか、創成付近に比べると、このあたりのエビの生息数はそもそも少ないようで、網を使って効率的に捕獲するのが難しい。カゴにダンゴの余りを入れて沈めておくことにする。

 17時、全ての準備を完了させるやいなや、早速の談笑タイム。今回の特別ゲストは釣り場に遊びに来ているジュンちゃんの愛猫、雨音ちゃんとカロちゃんだ。カロちゃんは少々人見知りで、私と目が合うなり、ジュンちゃんの寝袋の中に隠れてしまったが、対照的に雨音ちゃんの人懐っこいこと。好奇心旺盛で、私のタックルボックスに乗っかったり、車の下に入ってみたりと、猫らしい愛嬌をたっぷりと見せてくれた。

水門左に伊藤君と私。右にジュンちゃんと高橋さん テントのポールを忘れた伊藤君。やむなく車で寝ることに
   
 特別ゲスト 雨音ちゃん。カロちゃんは車の中  好奇心旺盛

 暗くなる頃、ネット裏に佐々木さんが入釣された。この夜はタックルセットを終えてこちらに戻ってきた佐々木さんも交え、ジュンちゃんの釣り場に設営されたワカサギテントでの宴会となった。暖かかった日中とは裏腹に、夜は冷える。相変わらずどの竿にもアタリはなく、結局私もエサ換えをしないままで放置している。談笑中、佐々木さんのセンサーが反応すると同時に、全員がテントから飛び出し、釣り場へ急ぐ佐々木さんの車を追ってネット裏へと走るが、その距離約700メートル。私達が追いつく前に、打ち返しを済ませた佐々木さんがこちらへ戻ってきてしまった。どうやら鯉ではなく草が引っ掛かり、センサーのスイッチが入ってしまったようだ。前回と同じように伊藤君は早めに床につき、佐々木さんもネット裏へ帰ってしまったが、その後も高橋さん、ジュンちゃんの3人で懇談会は続く。

 そろそろ空が明けて来る。熟睡していた伊藤君がエサ換えに起きてきた様子だったので、私もテントから出て、夕方に仕掛けたエビカゴを揚げてみることにする。しかし思ったよりもカゴの中に生き物の気配を感じられない。入っていたのは10匹にも満たない数のスジエビ。そのほとんどはまだ小さいリリースサイズで、エサとして使えるのは5匹ほどだった。1人で使うにしても少なすぎる数だ。その5匹は伊藤君に託して、私はダンゴでの釣りを続行する。作り置きしていた同じダンゴを袋仕掛けに抱かせて、やはりちょい投げで水深1.5メートルのラインに打った。

そろそろTadashiくんも到着する頃。その前に一旦宴会はお開きとして、休息をとることにしよう。今日も私は眠れそうにないが、横になって目を瞑っているだけで、体力は十分に回復するだろう。鳴ることはなさそうだが、センサーの受信機をしっかりスピーカーにセットして、寝袋にもぐりこんだ。

 午前3時半、Tadashiくんが到着。今回も弟のNoboruくんが一緒で、2人は2本ずつの竿を、私と平さんの間のスペースに構えた。まだ少々眠かったので、挨拶もそこそこに私は再び車に戻る。あと1時間くらい、横になっておきたい。さもないとまた、前回のようにフラフラ状態の釣りになってしまいそうだ。そう思いながら寝袋に潜りこんですぐ、初めてセンサーが反応した。夜の間、伊藤君にセンサーのスイッチを入れられるというイタズラをされていたので、なんとなく疑ってしまったのだが、窓から釣り場を覗くと、2番竿が揺れていた。がしかし、その動きはすぐに止まってしまう。センサーのスイッチを切ってしばらく様子をみるが、ラインは竿先を僅かに屈ませたまま走ろうとはしない。空アタリか、大型のフナなのか、とりあえずラインのテンションを落し、あとはこのまま動かさずに放置してみる。すると10分後、再度2番竿のセンサーに起こされることになった。今度はヒットしたかと期待するが、また同じようにラインは張ったままピクリともしない。もしかしたら、もうすでに小さい魚が掛かって動けなくなっているのかもしれない。ドラグを閉めて竿を立ててみるが、その小さな期待も虚しく、なんの抵抗もなしに仕掛けが上がって来た。半開きの目を擦りつつ、仕掛けを交換する。新しくダンゴを作るのが面倒だったので、夜中に捕ったエビのあまりを伊藤君からもらい、2本針仕掛けにそれをつけて投入しておいた。落ち着いて眠れず、寝袋に入ってから一睡もしていないため、頭はボーっとしていて瞼が重い。もう少し休憩が必要そうだ。

 明け方頃、Tadashiくん、Noboruくんが参戦  橋さんの釣り場から最下流の伊藤君の釣り場へ向けて

 午前6時ごろ、伊藤君と高橋さんが起床してきたので、一旦私も寝袋から這い出てくるが、倦怠感はまだとれない。しかしそろそろ2番竿のエビは針からなくなってしまっているだろうし、何時間も放置状態の1番竿も、さすがにエサ換えをしておかねばならない。同じ配合で新しいダンゴを作って投入。2番竿も袋仕掛けのダンゴに戻すことにした。エビカゴは夜間に少量のスジエビを捕ってから、イトヨなどの小魚しか入らず、諦めていたのでこちらも放置状態。念のため引き上げてみると、なんとカゴの中はワカサギが大量状態だった。ちょうどカゴを仕掛けていたあたりに群れが通ったのだろう。すぐに死んでしまうので飼育することはできないが、これもエサとして使える。夜のエビと一緒にキープしておくことにし、伊藤君はエサ換えの際に早速針につけて投入した。明るくなってから風が出始め、南からこちらに吹き付けている。真正面からの風ではないが、この風向きは好ましい傾向にある。TadashiくんとNoboruくんが入って、グラウンド裏に並ぶ竿の本数は18本。捨て竿を合わせると20本になる。これだけ竿が並んでいて、このまま全員丸ボウズという結果は寂しいものだ。それにしても、ここまで釣れる気配がないのは初めてのこと。これで単独の釣りだったら、昨日の夜の時点で帰るか、創成あたりに避難していたことだろう。

 一時的にワカサギが大漁  水門左 上流のジュンちゃん、その奥に高橋さん

 やっぱりまだ疲れが残っている。ジュンちゃんもまだ起床していないようなので、私ももうちょっとだけ寝袋に包まることにした。風が強く、その風の冷たさで体感温度は低いが、車の中はそろそろ蒸し風呂状態になってくることだろう。窓を開放して目を瞑る。テントを立てるのが(というより片付けるのが)面倒なので、ほとんど車内泊をしているが、枕が変わると眠れないというほど神経質な私には寝心地はあまり良くない。夏からはツーリングテントを引っ張り出してこよう。あれ、どこにしまったんだっけ・・?

 午前9時、ようやく頭がすっきりしてきたので、そろそろちゃんと活動を開始する。ジュンちゃんも起床して、昨日の宴会場跡(風が強いのでテントは撤収)で目覚ましの朝食タイム。伊藤君は逆に、また車に入り、今度は熟睡してしまっている様子。可哀想なことに、せっかくテントを持ってきたのに、ポールを忘れて立てられなかった伊藤君。睡眠は車で取ることにしたようだが、かなり狭苦しそうだったので、夜はちゃんと眠れていなかったのだろう。

 午前10時ちょうど、高橋さんに本命らしきアタリが来た。実は朝食時には既に、ジュンちゃんがクリック音を聞いていたのだが、竿が動かなかったので気のせいか?ということになり、そのアタリに気が付いたのは朝食を終えた後だった。魚は乗っているようで、初めてのヒットに釣り場のテンションが一気に向上する。しかし残念なことに、魚が浮く前に針が抜けてしまい、その姿を拝むことはできなかった。高橋さんが使用している針はディバーブ済みで、ジュンちゃんがクリックを聞いた時点で上げることができていれば、或いはガッツリとフッキングしてネットに入っていたかもしれないが、魚が明確なアタリをなかなか出してくれなかったので仕方が無い。でも可能性を見ることができた。

高橋さんに待望のヒットが・・   高橋さんのタックル。掲示板に投稿された噂のセンサー

 昼食前、ここで一度エサ換えをしておく。これまではハトのエサを混ぜて底残りを考えていたが、これからもう寝袋に入って長時間放置することはないだろうし、魚がいるかも疑わしい状況で、変にエサを残すことはできない。大粒はベースとなる「どすこい」の配合内容のままで、少し多目の「鯉スパイス」で匂いを付けた。アピール力を上げながら、敢えてバラケやすく底残りさせない配合。これまでよりも小さめに握り、1番竿は水深1.5メートルライン。2番竿は目先を変えて、少し奥目に打ち込んでみることにした。とはいっても手前へのちょい投げであることは変わらず、これまでのポイントより少し奥の、シャローから深みへ入っていく傾斜面に、仕掛けを寝かせるように打っただけで、大きなレンジ変更にはならない。

何かが起きるという胸騒ぎは感じられず、静かな時間が続く。伊藤君は熟睡から覚め、起きてきてからNoboruくんと(で)遊んだり、Tadashiくんとキャッチボールをしたりと楽しそうに過ごし、私もジュンちゃんにラインの結びを教授していただいたり、ひょっこりと現れる雨音ちゃんと遊んだり、それぞれ気ままに日中を見送って、夕マヅメを待つ。あとはボウズ逃れの1匹さえ来てくれれば・・・。


 15時。今までの南風が一瞬止み、風向きが変わった。東からの風で、ちょうど真正面からの向かい風になる。水面には良い波が立ち、アタリが出そうな雰囲気をかもし出した。これを期に、私は最後のエサ換え。撤収は18時頃になるだろうから、ここから残り3時間はこの一投にかけよう。日中の配合内容から省いていたハトのエサを少量戻して、食わせのレッドキドニーも付け直した。そのあとすぐ、Noboruくんにウグイがヒット。こちらが期待している通りに、この八つ時から魚が動き出したというバロメーターになってくれているのならば、ウグイとて邪険にはできない。

 Tadashi君のロッドポッドの下にこんなのが NoboruくんのUgui 


 日差しのやわらかくなった17時。いい加減、撤収の準備も始めなければならない。談笑に区切りをつけ、それぞれ自分の釣り場に戻って荷物をまとめる。竿の総数20本でここまでやって、これほどに釣れないとは・・。風向きが変わってからは、モジリや跳ねが出るようにはなっているが、まだ水草も生えていないようだし、水も冷たい。やはり今年は、5月も下旬となるこの時期になっても、まだ早いのだろうか・・。伊藤君はさっさと竿を納め、片付けに入っている。私もセンサーを取り外し、バケツも洗って今回の釣果を諦めることにした。う〜ん・・厳しい・・・。まぁ、超楽しかったから全然いいのだけど。終了直前、アタリなど微塵も期待していない竿に背を向けて歩き出す。と、その時、伊藤君の叫び声に呼び戻された。 「来てる!来てる!!」

 まさかの1番竿にアタリ。岸から目の前のシャローで食った鯉は、なかなかの勢いで、何が沈んでいるかわからない掛かりへと向かっていった。ラインが擦れる嫌な感触。かなり重いが、これは魚だけの重みではないみたいだ。一先ずラインを張って魚をこちらに向かせようとしてみるが、やっぱり何かが引っ掛かっている。完全に掛かりに入られているわけではなく、何か大きなものがラインに引っ掛かった状態で魚が走り出そうとしていた。勘弁してくれ・・ボウズ逃れの1匹くらい、ちゃんとランディングさせてほしい。しかし引っ掛かっている異物はなかなか外れず、魚の方も意外によく走ってくれるので、無理に外そうとするのも怖い状況。しかもこの魚、なかなか良型なのではないだろうか。異物の重量を差し引いても重いようだし、首振りもなかなか。

 嫌な思いが廻る。逃がした魚は大きいというが、私の場合、恥ずかしいことに鯉釣りを始めてから07年までの間、「デカそうなのをバラす」というのが毎年の恒例になっていたのだ。その苦い思い出が廻る、もはやトラウマ状態。別段、今回のこの魚は、怖いくらいにデカそうというわけではないが、小さくないのも確か。そんな時にこのトラブル。これならガッチリ掛かりに入ってくれたほうが気が楽だ。大して難しくない状況で、そこまでバカデカくない相手なのはわかっているが、またバラすのではないかという恐怖感だけはやたらと煽られていた。魚というよりも、自分(トラウマ)との戦い。

 ギリっギリっという感触が突如消え、水面に何かが浮き上がってきた。魚ではなく、ラインに引っ掛かっていた犯人の正体だろう。感触が軽くなったと同時にドキッとしたが、魚は大丈夫。ちゃんとフッキングしているみたいだ。それでも口切れなどさせないように慎重に寄せる。あぁ、無駄に緊張していたようだが、これでやっと安心できる。浮いてきた鯉をTadashiくんがタモ入れしてくれた。なんとか80は超えているみたい・・、それより何より、上げられてよかった。


82?84?計るたびに変わるから間を取って3ということで ばたばた・・・
   
 今まででも最も嬉しい鯉のひとつ 重量は7.4キロだった 

 感無量。ベテランの方から見れば大した釣果ではないかもしれないが、個人的には最高の思い出の一尾。これをまたバラしたら、本気で泣いてたかもしれない(笑) ジュンちゃんに検量していただくと、7.4という数字が出た。シッポは小さいが、いいガタイの鯉だ。帰り際に、思わぬ充実感を得ることになった。皆さんに拍手をいただいて更に一入。

 思っていたよりも遅れて、18時過ぎに納竿。寄り合いはこれにてお開きとなった。
 最後、思い出の1シーンとして色濃く残るであろう鯉に会えたのは、皆さんの協力があったからこそ。この悪条件の中でアタリを待つことができたのは、私1人ではなかったからだ。次はいつ、このメンバーで集合できるだろうか。今回も満悦だ。



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