釣り日記2009 赤のフィールド

釣行日 10月25日 場所 新川 森林公園前
時間 午前1時〜午後4時 天気 晴れ (微風〜東の風)


 夜空が澄めば澄むほど、いてつく空気が肌を刺す。今年の秋は比較的暖かく、少し前までは夜間でもそう寒いとは感じなかった。しかし釣り場の景色が雪化粧をまとうのもそう遠くはないようだ。冬の気配は近い。

 24日午後11時すぎ、新川の団地前にて先輩達の到着を待つ。平さんと、今回は仕事で札幌に来られている高橋さんがもうすぐ到着するはずだ。

 近場でありながら、3年ぶりに訪れた新川は若干水位が下がっており、この団地前は特に、魚の活性に首を傾げたくなるコンディション。今回はどこでどのように釣りを進めてゆくことになるのだろうか・・。

 程なくして、お二人が到着した。とりあえずこの団地前の釣り場を見回ってから、車に乗り込み、一級ポイントへ移動する。冬季でも好ましい釣果を期待できる温排水。狭い釣り場に、小さな水路が流れ込んでいる場所であるのだが、流れ込む水の温度と水量、含まれる有機物などで魚がよく寄るポイントとなっている。水路にはかなりの量の魚が入り、小魚の群れが水面でナブラのようになっている。それを追っているのは鯉だろう。この時期にもかかわらず、ここまでアクティビティに富んだ場所もそうそうない。迷わずここを選びたかったのだが、一級ポイントだけあって、今日はすでに先客さんが竿を出されていた。それでは仕方がない。再び車のエンジンをかけ、第二の候補地へと向かった。

 次に車を入れたのは前田森林公園前。いくつか釣り人の入った形跡のあるポイントがあり、その中で3人が一緒に竿を出せる場所を探す。こちらも魚の気配が乏しいが、泡付けや跳ねは少なからず見られる。なんとなく魚のにおいがするというか、期待できそうな気がするのは公園前のテラスの下流。そこから歩行者専用の橋までのエリアに、狭い間隔で竿を出せるスペースが3つ並んでいるのをみつけ、とりあえず荷物を下ろすことにした。

 今回は上流から平さん、高橋さん、私の順に竿を出すことにする。それぞれタックルセットに入る中、平さんはお疲れのようで、竿を出す前に車で就寝してしまった。

 この前田森林公園前に訪れたのは4年ぶりとなり、ここで夜釣りをするのは初めてになる。すぐ後ろの道道と橋の街灯で思ったよりも明るく、細かい作業をしなければ懐中電灯もそう必需とならない。

 時刻は午前1時。いつもどおりに竿を二本並べてみたが、ここからどうするべきか・・。軽く底を探ってみたところ、障害物らしい障害物は対岸付近にしかなく、手前にかけてはフラット。水深は真ん中でも2メートルに届かないようだ。底の質はかなりサラサラしていて、オモリを引くのに抵抗を感じない。

 とりあえず、手前と真ん中から攻めてみよう。新川は大型のウグイが入っていることが多く、ひどい時には大猛攻をかけられてしまう。まずはそのウグイがどれくらいいるのかを知っておきたい。使うのはヘアリグ式袋仕掛けで針のサイズはチヌ8号。ヘアには乾燥コーンと生コーンを多目にセットしておいた。ダンゴは「どすこい」に「鯉スパイス」を加えて、あえてアピール力を強めてみた。まずはそれにウグイがどう反応するか・・。

 一投目、1番竿は真ん中、2番竿は手前に打ち込み、ラインには落としオモリを施す。するとすぐに反応が返ってきた。ピトンにセットしたばかりの2番竿の穂先が暴れている。投入から1分たらずで、25センチほどのウグイがガッチリとフッキングしてしまった。ウグイなどがヒットしても、食わせが取れずにそのまま残っていることが多いのがヘアリグの利点。そのまま別の配合を施したダンゴをセットして、一投目のポイントから少しずらしてキャストする。今度の配合は、糠にバーディ、ハトのエサを混ぜたもの。大粒の配合量を多目にしたことで、食わせへの集中攻撃を回避できるだろう。

 冷たい空気が体を冷やす。ある程度の防寒対策はしてきているが、ガタガタと震えてしまう。それでも風がないのが救いになり、夜が明ける少し前まで高橋さんとの談笑を続けた。

 ダンゴの配合内容を変えたことで、しばらくの間はウグイのヒットを免れていたが、底に広がった大きい粒子もそろそろ食われてなくなってきたことだろう。そろそろエサ換えをと思い、竿を見てみると案の定、2番竿のラインがふけていた。掛かっていたのはもちろんウグイ。ついでに回収した1番竿も食わせが完全になくなっている状態であった。これでは安心して眠ることができない。寝袋に入る前になんとか対策を打たねば・・。

 ダンゴなどの寄せを使用しなければウグイに襲われる率も低くなるだろうが、この低水温のコンディションでアピールの欠けるエサの使用は少々不安がある。ダンゴを使い続けるにはもっと丈夫な食わせエサが必要になるが、カチカチの乾燥コーンでも取られてしまう状況だ。他に考えられる食わせとしてはボイリーや釣れたウグイを切り身にして使う生エサ・・。しかしこの川にはカニが多く生息しており、それらのエサでは餌食になってしまうことが多い。高橋さんは寄せを使わずに食わせオンリーの釣りをされているのだが、仕掛けを回収すると、ボイリーがヘアごと切り取られてなくなってしまっていた。

 もうすぐ夜が明ける。寝不足状態でここに来ているので、少しだけでも仮眠をとっておきたいのだが、その前にエサをなんとかしたい。ウグイの攻撃に耐え、睡眠中にも安心して待てるもの。まぁ、ここはおとなしく、乾燥コーンを房掛けにでもしようか・・。そんな食わせエサの問題で、どうしようこうしようと考えていたところに、高橋さんがイモヨウカンを分けてくださった。乾燥させた舟和羊羹で、ソフト、ハードと硬さが2種類用意されていた。ハードなら、普通のコーンよりも持ちがよいだろう。さっそく、硬い方の羊羹を乾燥コーンと共にヘアリグに取りつけた。ダンゴの配合は変えず、大きさを少し大玉にして打ち込む。ハリスは最初に使ったものより長くして、ダンゴとの距離を取る。これもウグイの攻撃を少しでも避けるための対処法。

 午前4時、高橋さんが車に戻ったので、私も寝袋に包まることにする。しかしこの寒さで、眠ろうにもなかなか寝付けないのがつらいところ。冬用の寝袋というわけではないし、特に靴を脱いだ足先が冷えてくる。今のサイフの状況からして、冬用のシュラフを買う余裕はないが、今度は防寒用の靴下を買っておこう・・。


 地面に降りていた露は、いつのまにか白く凍りついていた。朝日に照らされ、赤色が強調された釣り場が美しい。

 結局、足が冷えて眠れなかったわけだが、まぁ、2日間くらい眠らなくてもいいか・・・。竿をみても特に変化のあった形跡はないが、とりあえず回収してみる。1番竿のイモヨウカンはさすがに無くなってしまっていたが、乾燥コーンはついていた。2番竿の仕掛けも、小魚やカニに悪戯され、絡まってしまってはいたが、エサはついている。しかしこの5、6時間、ウグイに遊ばれるばかりで、鯉の反応がないのが寂しい。これから水温が上がれば、チャンスは訪れるだろうか・・。

 朝の一投目で、仕掛けとダンゴを少しだけ変えてみることにした。ダンゴの配合を「どすこい」+龍王の配合物で、仕掛けは同じ袋仕掛けだが、針をチヌ10号にサイズアップ。今度はヘアリグではなく普通にエサを針に刺す。これでウグイのヒット率を下げられるだろう。


 朝の澄んだ空気は、普段は霞んで見える手稲山のスカイラインをはっきりと目の前に映し出す。芝に纏った霜はあっという間に消えてなくなり、気温の上昇を具現化した。しかし夜間にはなかった東の風が出て、体感温度はまだ寒い。高橋さんもグッスリと眠れなかったようで、私が活動を始めてからすぐに車から降りた。

 朝のエサ換えでは、夜間と同じように手前と真ん中に打ち込んだのだが、対岸近くもいいかもしれない。ここをホームグラウンドとする平さんの話では、このすぐ上流にある流れ込みからは魚が嫌う成分の含まれた水が流れるため、手前よりも奥がいいようだ。

 高橋さんと一緒に釣り場下流の橋に上がり、上から水面を見下ろしてみると、対岸付近には手前や真ん中には見られない、バリスネリアなどの水草が多く生えている。このあたりがポイントにならないはずもないだろう。いまのポイントで見込みがないようなら、このあたりに打ち込むのも手。一番橋に近い私の釣り場からなら、橋脚周りに打ち込んでみるのもいいかもしれない。


 談笑を楽しんでいた午前9時ごろ、高橋さんの竿が唸りをあげた。なかなかいい突っ込みをする鯉で引き寄せられながらも私が構えるタモを逃れようとする。上がったのはいかにも養殖型というような、尾鰭の小さいデップリとした鯉。サイズは70に少し足りないといったところだ。

 ちょうどこの鯉をランディングした頃、平さんが起床。このあと平さんが持ってきてくださったお弁当で朝食をとり、このあとの展開に期待をかける。

 私の竿にはあいかわらずウグイがアタり、30センチほどのウグイが針をがっぷりとくわえて上がってきた。しかし早朝よりも魚の気配は濃くなったようで、これなら鯉のほうも期待できるだろう。

私の上流の高橋さんの釣り場 高橋さんに60台がヒット。これからどうなるか・・

 平さんも高橋さんより更に上流のスペースにてタックルをセットした。風の勢いは日が高くなるにつれて強くなり、帽子が飛ばされそうな勢いにまでなった。気温自体は暖かいのだが、この風のおかげでジャンパーを脱ぐことができない。かと言って着ていると暑いという微妙な空気だ。

 午前11時すぎ、思ったようにアタリが続かないので、目先を変えるためにポイント変更を行う。1番竿は引き続き真ん中を狙い、2番竿は対岸近くまで投げてみることにした。向こうは水草や障害物が多いようなので、それらに針が引っ掛からないよう、袋仕掛けのハリスを4センチと短くし、ヘアリグ式に戻した。これならエサを傷つけずに針だけをガッチリとダンゴに埋め込むことができる。しかし投入すると着水から10秒で早くもアタリ!?・・・・またウグイだ。着水音に反応して反射的に食いついてしまったようだ。この時点で本日5匹目のウグイ。やはりヘアリグはやめよう。針の大きさをまた10号に戻して、今度は逆にハリスの長さを20センチにする。これだと水草の中に入ってしまったときに引っ掛かる危険性があるため、ウィードエリアから少し外してしっかり底に落ち着かせる。風が強くてキャスティングコントロールが難しい・・・。

 午後12時半、センサーが反応した。アタっているのは真ん中に投入していた1番竿。3人でお弁当を囲んでの食事中だったため、思わず箸を咥えたまま竿へと駆け出してしまった。魚は対岸付近のウィードに突っ込もうと走るが、なんとか制御。この鯉も短い時間ながらなかなか引き合いを楽しませてくれた。平さんにネットインしていただき、無事ゲット。サイズは高橋さんが釣ったものと同じくらいのもので、68センチだった。

なんとかボウズ逃れ・・・ 投入して10秒たらずでヒットしやがったウグイ

 なんとか1匹ゲットでボウズを逃れることができたが、このあとが続かない。この時期にもなると本当に日が落ちるのがはやく、再び釣り場が赤く染まりはじめた。

 高橋さんは作戦変更のため、サツマイモを茹で、それを使ったダンゴを作る。平さんはボイリー+PVAに入れたペレットで攻めるが、ボイリーはやはりカニに崩されてしまっている。しかしそんな中、一本のラインがキャストしたポイントから大きくずれて横を向いていることに気づいた。平さんは今回センサー不使用で、竿先に鈴をつけていたのだが、この風のために鈴の音が通らず、竿に変化があったことは誰も気づかなかったのだ。期待をもって、平さんが問題の竿を引き上げてみるが・・・残念ながら魚はついていないようだ。

 このまま次の魚を見ずに終了してしまうのか。期待していた遠投の竿にも鯉のアタリはなく、反応はウグイのものばかり。真ん中に入れている仕掛けよりもウグイのアタリをよく感知している。手前側よりもやはり奥のほうが魚の通りが良いのだろうか。

 時刻は午後3時。私達の釣り場に訪れた小学生に遊ばれつつ、ラスト一発のアタリを望む。それにしてもこの小学生、去年の10月13日の釣行で伊藤君を襲ったチャリンコ暴走族に負けず劣らず、なかなかタフな子だ。小学5年生の子で、少しだけ釣りもやったことがあるらしく、私達が持っているマニアックな備品に興味津々。それだけでなく、何かともらって帰ろうと強請ってくるのだ。最初は竿、仕掛け、針が狙われ、最終的には私のパイプ天秤用ラインを気に入り、使い方も知らずに「恵んでください」攻撃。あまりにしつこかったので、以前創成川でパンプカ仙人のおじいちゃんからもらったキューピー浮き(通称:呪い人形)をけしかけたら、怖がって逃げてゆく。効果は覿面。

平さんの釣り場 高橋さんはイモを茹でてダンゴに
 平さんのボイリーを盗み食いしたのでお仕置き  しつこく絡んでくる小学生にはこれが良い武器になる

 午後4時すぎ。小学生と遊んで時間をつぶしたが、次のアタリが来る気配はなく、暗くなる前にここで片付けを開始することにした。

 もう少しアタリ数がほしいところだったが、全員ボウズという事態を免れたし、楽しめる釣行だったと思う。次回もこのメンバーでの釣行予定だが、天候はかなり不安定なものになりそうだ。天気予報にはとうとう雪マークが表示されている。

さて、どうなることやら・・・。