釣り日記2009 夕暮れの水面

釣行日 10月15日 午後13時〜17時
10月17日午後12時〜17時
場所 石狩川公園
時間 天気 くもり


 冷たい雨が明澄な虫の声を連れ去り、この秋もいよいよ深まってきた。シーズンオフまでには、あと何度くらい釣りができるだろうか。日常の私生活のこともあれば、不安定な天候に悩まされつつもあるここ最近。鯉釣りを始めた頃にあった精神を維持していれば、多少の悪天候などものともせずに釣行に出るが、この頃はとにかく、のんびりと釣りを楽しみたいという方向にいってしまう。だからその条件として、釣りの有利不利にかかわらず、天候は落ち着いていたほうが好ましい。もちろん熱意がなくなったわけではない。でも、このような時間もあっていいと思っている。それに、今期は大型を仕留められる気がまったくしないのだ(笑)まぁ、大物を仕留められないのは、今に始まったことではないが、とにかく釣りをしている時間を楽しみたい。

 今週は木曜日と土曜日に時間が出来た。前回のように午後からの短時間釣行になるだろうが、それでもいい。一人水辺で、のんびりとしようではないか。

 釣果のことを考えれば、短時間の釣りで有利なのはもちろんホームグラウンド。しかし、創成川は人通りが多くて落ち着かない。誰もいないところでゆっくりするには、あそこがいいだろう。まずは第一回目、15日午後は、昼食をもって石狩川公園へと向かった。

 石狩川公園の狭いエリアでも、釣れる場所、釣れない場所がはっきり分かれているということを、晩夏から9月あたまにかけてのリサーチで地元の人に教わった。これまで3箇所の釣り場に入釣しているが、まだ入ったことのないポイントもいくつかある。今回そこに入ってみようかとも思ったのだが、時間が十分にあるわけでもないし、とりあえず前にSASAYANと入った流れ込みに入釣することに決めた。

 さきほどまで降っていた雨はどうにかやんでくれたようだ。予報ではこのあとはしばらく雨はこないということになっている。到着したのは正午頃だが、ゆっくり竿を出しながらいろいろ考えているうちに、時計の針は早くも13時を指そうとしている。

 ポイント周辺はかなり浅く、流れ込みの水も動いていない。水温はかなり冷たくなっているようで、魚の動き方にも不安がある。しかし時間がない、とにかくそろそろ始動しなくては。

 警戒されて時間のロスにつながらぬよう、今回ダンゴは使用しない。鯉釣りを始めたときから創成川でやっているコーンを撒いて寄せる方法で釣ることにした。仕掛けは前回と同じものを使う。

オモリ部 (中通しオモリ完全固定式)
・ひし型オモリ25号

仕掛け(一本針仕掛け)
・鯉ハリス6号(PROブラック)15センチ
・チヌ8号

寄せエサ
カーネルコーン

食わせエサ
生コーン

 この方法では、寄せエサのコーンを柄杓やベイトスプーンで飛ばせる距離でしか釣りができない。前にここに来たときにダンゴを投入していたポイントは岸から15〜20メートル、或いはそれ以上の距離に投げていた。しかし今回の釣り方では、寄せエサのコーンをそこまで飛ばす術がみつからない。ベイトロケットやPVAバッグなどを使うという方法もあるが、これらは一箇所にまとめてエサを置くためのものであり、鯉の警戒心を誘発する恐れがあるのはダンゴと変わらない。柄杓などで撒くように、パラパラと疎らに軽いコーンんを飛ばすにはどうすればよいか・・。

 とりあえず、今回は手前のポイントだけを攻めることにした。まず1番竿は岸から7メートルほどのところに打ち込み、2番竿は岸から5メートルほどの、流れ込みの出口の真ん中に打ち込む。その周りにカーネルコーンを撒き、ラインに落としオモリを施してアタリを待つとする。いずれも水深が60センチから90センチの浅場である。

  2匹目も50センチくらい。このサイズしか入ってこない  

 かなり浅く、水温も下がりやすい場所であるが、見込みがないわけではなさそうだ。ポイント周辺の水面にに魚のものらしき泡がいくつか上がっている。鯉なのか他の魚なのかはわからないが、生き物の気配を感じられるのならそれでいい。チャンスはめぐってくるだろう。

 遅めの昼食をとり、その後エサのチェックのために仕掛けを上げてみる。先に上げた2番竿の仕掛けに異変はなかったが、1番竿のほうは2つ付けたコーンのうち1つがなくなっていた。エサに悪戯する魚がいるようだ。

 そして午後2時、センサーが入ると同時に2番竿の穂先がお辞儀したが鯉ではない。大型のウグイがかなり入ってきているようで、様子を見に行った別の釣り場にも、釣り人によって捨てられたアカハラがいくつか落ちていた。エサチェックの回数を増やし、アタリがなくても寄せコーンの撒きなおしを行ったほうが良さそうだ。

秋空 大型のウグイ類が入ってきている

 思ったよりも気温は上がり、薄着でもカーディガンなどを羽織っておけば寒くはない。風もなく、折り畳みイスで読書するには最高の空気だ。対岸の林はセピアの秋景になっている。

 平日ということもあって、周りに釣り人もいない。岬のある林の中に入れば、夏とは違う、静かな木々のざわめきが心地よい。焚き火をして、芋でも焼きたくなる情景だ。あぁ、なにか楽器をもってくるんだった。ここなら誰もいないし、思う存分遊べるのに・・。

 黒い雲の切れ目から零れたオレンジ色の光が、もう夕刻であることを示している。流れ込みの水路の上流からその光景をカメラに収めている時、釣り場の水面から飛沫が上がったのが見えた。そして次の瞬間に、2度目のセンサーメロディが奏でられる。

 送信機のスイッチが入ったのは1番竿。しかし釣り場に駆けつけてもラインが張っているだけで動きはない。ドラグを締め、竿を持ってみる。さっきの飛沫はウグイなんかじゃない。間違いなく鯉だった。竿を立て、引き寄せに入ると、針を銜えた魚は一気に走り出し、ラインをもってゆく。掛かっているのはまた小型だろう。でも、ここの鯉はなかなかいい走り方をしてくれる奴が多いみたいだ。上がったのは60センチに届かない50台。それでも、これまで散々な結果に終わっていたこの石狩川公園で釣った中では、一番大きい魚だ。


 2番竿も回収し、エサのチェックをした後、最後の打ち返しを行った。驚いたことに、1番竿の仕掛け投入の瞬間、水面が盛り上がり、かなりの数の魚が着水音に驚いて散っていった。いい感じで鯉が寄っているではないか・・。残り時間はあとわずかだが、これならもう1チャンスもらえるかもしれない・・!終了まであと1時間。控えめに寄せコーンを撒き、終了間際のアタリを期待する。

 水深70〜80センチほどの岸際の浅場に、これほどの数の鯉が寄っているのであれば、貴重な残り時間は人の気配を消さなければならない。投入時に散ってしまった鯉が戻ってくる前に、不必要な備品を片付け、竿とタモだけを釣り場に残して離れた。窮屈な車の中にいるのも好ましくないので、また林の中に遊びにいこう。秋の空気に包まれた木々の間のフィールドが、日常生活からかけ離れた特別な空間のように思えてくる。


 午後5時、そろそろ引き上げなければならない・・。期待していた連アタリはなかったようで、受信機へのしらせは届いていない。

 林の中から近道の藪を漕ぎ、釣り場へ出ると、暗い水面に生物の気配を感じた。また鯉が寄っている・・それも、今度は大型も混じっているようだ。ここは浅いから、大型の鯉が頭を下げてエサを食むと、尾が水面から出る。2番竿のポイントの近くで食んでいる鯉は、尾の大きさから70超えは確実だろう。もしかしたら80近くあるかもしれない・・・食ってくれ!竿の横にしゃがみこみ、息を殺してヒットを待つ。大きな尻尾は水面を漕ぎながら、少しずつ移動している。時々見えなくなってしまうが、2番ポイントに撒いたコーンを拾っているようだ。いつのまにか空が暗くなり始めた。もう時間がない、はやく・・!そのとき、願いが通じたのか2番竿が揺れた。しかしラインは走らず、ヒットはしなかった。仕掛けに触れたのはさっきの大型ではなかったようで、あの尾鰭はもう見えなくなってしまっていた。

 残念、しかしもう納竿しなくては・・。アタリも取れたし、大型のチャンスもあった。何より、やはりこの釣り場の雰囲気が好きだ。次回もここで釣りをしよう。次の土曜日、また午後からの釣行だが、今日のように内容のある短時間釣行ができれば十分だ。暗い釣り場にタモ網を忘れて、この場をあとにした。




10月17日

 この午後も、用事を済ませてから昼食をもって石狩川公園に訪れた。

 週末であるから、林のほうには釣り人らしき車が入っていくのが見えるが、流れ込みの釣り場は空いている。迷わずこの場所に荷物をおろし、一昨日の続きを始めるとする。凍ってくっついてしまっている冷凍カーネルコーンをほぐして、柄杓で撒きやすいように大きめのタッパーに移した。

 この日は東寄りの風が強く、この釣り場では左側から流れ込みの出口やワンドにぶつかる形になる。前回にくらべて水位は減っているが、夕方までにはいくらか戻るだろう。ただ現段階では、少し荒れ気味の水面に、泡付けなどを見つけることができない。一昨日ポイントとしていた手前の水深は60センチほどにまで減っていて、さすがにこの浅さでは不安がある。捨て竿を出し、少し奥のレンジにダンゴを入れてみてもいいかもしれない。

 開始時刻は午後1時。本命の竿2本は一昨日と同じ場所にピトンを打ち、同じポイントに仕掛けを納めた。エサも作戦も変わらないが、唯一違うのは仕掛けをヘアリグ式にしていること。前回の釣りでウグイが多いことを知り、その対策として少しでも多くコーンを針付けしたい。更にそれが鯉のフッキングに影響しないようにする方法といえば、ヘアリグ以外ないだろう。1番竿の横には旧タックルの捨て竿を一本出し、こちらは同じ仕掛けとエサに、糠をまぶしたコーンとペレットをPVAに入れたものを一緒に投げ込む。投げたのは岸から25メートルほどのところで、オモリを引いてみたところ、枯れた草などのゴミが溜まっているようだ。

1、2番竿はこの仕掛けのみ。 捨て竿はPVAを使って遠くのポイントに投げてみる。

 空気が冷たくないのが幸いだが、風が強くて今回は外では過ごしにくい。車の中で仕掛け作りでもして過ごそうとパーツ類を車内に持ち込んでいるとセンサーに呼び出された。1番竿にヒットしている。まだ開始から30分。創成川ならともかく、ここでの早アタリは期待していなかったので、不意打ちをくらってしまった。

 魚は右に走り、流れ込み出口脇のブッシュに突っ込んだ。最初対岸のブッシュに潜っていた魚だが、一度出てきて今度はこちら側の岸のブッシュに入ってしまった。こうなると大変。地形状、ここから魚を出すには、魚が自ら出てきて沖に走ってくれるか、私が自らブッシュに入りこんで魚を捕まえるかというどちらかしかないのだが、こちら岸のブッシュとはいえ、その周りは歩けそうで歩けない湿地のようになっている。ゆえに捕まえにいくのは大変なのだ。とりあえず長靴に履き替え、竿とタモを持ちながら湿地に入ってゆく。なるべく水深の浅い場所を探して足を踏み入れ、深い場所にはバケツなどを沈めて踏み台にする。そうこうしてやっとの思いで魚が潜っているところまで辿りつき、なんとかネットに誘い込んだ。サイズは60センチで、なかなかガッツのある鯉だった。ここからサイズアップはできるだろうか。できれば一昨日の70アップに会いたい。

 リリース後、2番竿も回収してエサのチェックを行う。特に問題は見当たらなかったので、そのままポイントに打ち返し、1番竿もエサを付け替えてポイントに送り込んだ。寄せコーンも少しだけ追加。風が強いので柄杓のコントロールがなかなかうまくいかないのが難点だ。すると間もなくアタリ。投入直後だが、またしても1番竿にヒットした。今度は一昨日と同じくらいの50台。理想的な連アタリだ。

60と50台が連続でヒット。大きくなくても喜べる

 次のアタリが来る前に、仕掛け作りと昼食を済ませ、再び車の外に出て水面の状況を観察する。本命竿のポイントは、さきほどの連アタリのあと、魚が散ってしまったようで、泡付けは見られない。だが、また戻ってくるだろう。頭に浮かぶのは一昨日の大きな尻尾の鯉。今年はホームグラウンドが不調だったために、70台すらまともに上げていないのだ。あと年内に1匹くらいは・・と、どんな釣りの楽しみ方をしていても、やはりサイズアップの欲は抑えられない。

 林の中のフィールドを見に行くと、こちらは水面に波紋が多く上がっており、悪くなさそうな雰囲気だ。地元の人にここはダメだと口酸っぱく押された岬のポイントだが、今日は風の当たらない対岸の淀みなどにゴミがたまっており、そこまで遠投すれば釣れるんじゃないかとも思える。時間があれば、ここに移動して試していたことだろう。そんなことを考えながら散歩していると、ベルトに下げていた受信機が反応した。

 急いで釣り場に戻ると、1番竿のラインが張っている。ドラグをしめて竿を煽ると、魚が抵抗をはじめたが、かなり小さそうだ。40センチほどの鯉が水面を割るが、次の反転で針が外れてしまった。釣り上げたかったが・・まぁ、いいか。

 打ち返しのついでに、捨て竿を回収してみる。よく見ると、リールに施した目印が落ちているではないか・・。捨て竿に使うセンサーがなく、またこの浅い場所で鈴も使いたくなかったので、ラインが動いた痕跡だけが残るように、リールのラインに目印をつけておいたのだが、それが外れて落ちているではないか。引き上げてみると、なにやら手ごたえ。30センチにも満たないような、しかも変な形の鯉が掛かっていた。

センサーが足りないので、リールに目印 (葉っぱ) こんなのが掛かっていた

 PVAバッグを再びセットするのがめんどうだったので、捨て竿も本命竿と同様にそのままちょい投げして、その周りに寄せコーンを撒いておいた。

 いまのところアタリは続いているものの、サイズアップがない。この沼は小型の居付きが多いようで、今日は特に、小さいものばかりがポイントによってしまっている。石狩川から入ってくる大型はいくらかいるようだが、これも時の運だ。

 午後3時からアタリは途絶え、静かな時間を過ごすことになった。この頃になって一時的に風は収まったが、すぐにまた強くなってきた。さすがに秋の夕方、風に吹かれると体が冷えてきてしまう。車の中でコーヒーをすすり、窓の外の太陽を眺めていると、見る見るうちに西の空へと吸い込まれてゆく。もうすぐ暗くなってしまう。このフィールドも、今シーズンも暮れて、もう雪虫が飛び交っている。

 センサーは入らないが、2番竿の穂先が動いた。車から出て竿へ駆けるとラインがふけているのがわかる。しかしこれもまた小さい。しかもまた外れてしまった。掛かるなら上がってきてもらいたいものだが・・。そしてその直後に1番竿にアタリ。こちらも30センチに満たないおチビさんで、水槽で飼いたいくらいに可愛い鯉が上がってきてくれた。今日は60センチ以上のサイズアップは難しそうだ・・。あいかわらず小さいのは寄っているが、アタリのペースは遅い。


 それでも楽しい。これをクリアしていれば良しとしよう。

 この日も午後5時に竿をたたんで撤収とした。今回の2度の短時間釣行では、一人静かに秋の空気を味わい、またこれまでまともに釣れなかった場所で、小さいながらも釣果をもらうことができた。それだけで、私にとっては十分に充実した釣りであり、満足できる。今回は2日とも小さな用事が入っていたために、午後から夕方までという時間の釣りだったが、次回はもう少し長く時間が取れるだろう。