釣り日記2009 結局釣れないという

釣行日 9月12日午後5時〜
9月13日午後7時
場所 石狩川公園
時間 天気 くもり〜雨


 本年度から初めて入釣するようになった石狩川公園。茨戸川のはずれに位置するこの沼は、自宅からさほど遠くない距離で、木々に囲まれながら釣りができるという、自分好みのロケーションの釣り場であるが、初夏に2度釣行したところで、釣りをするにはややクセのある場所ということがわかってきた。

 本格的に寒くなる前のこの2週間は、少しでも情報をキャッチすべく、専らこの沼への釣行を繰り返しており、今回の釣りはその最終日となる。

 8月29日〜30日の釣行では自分で選んだ岬のポイントに入釣。この岬は先端から左岸の沖にかけて地形の変化があり、その深部では、全体的に浅いこの沼ではもっとも深い240〜300センチとなっている。柳の木に囲まれたこの沼の中では風通しもよく、私の見解ではかなり期待できそうに見えたのだが、地元の人からは嫌われており、この場所では好釣果は見込めないという話を何度も聞いていた。その言葉どおりなのか、初夏の釣行を含めて2度の釣りで、この岬では小型1匹の釣果しか上げることができなかった。

 9月5日の釣りでも、地元の人に嫌われている場所に入釣。岬にほど近い葦場のあるポイントであるが、この葦場は産卵期でも魚に無視されて、ノっこんで来る鯉やフナが他の葦場に比べて少ないのだという。ここでの釣りも岬と同じ結果に終わり、小型1匹のアタリ以外もらうことができなかった。

 残るは地元の釣り人にもっとも好かれているポイント、「流れ込み」で本釣りをするのみ。初めて石狩川公園に来たときの下見で竿を出したことのある場所なのだが、今回は泊まり込みでじっくりと釣りをしてみることにした。アドバイサーとして、地元民SASAYANに同行してもらい、一つの釣り場を2人で攻める二人三脚の釣りを実行。これで他の場所との相違点を少なからず見出すことができるだろう。

 午後4時、SASAYANの自宅に寄り、彼の荷物を車に積んでから一緒に釣り場へ向かった。沼と合流する水路の横に車を止め、早速、葦原となっている土手を降りる。

 下見釣りのときには草が生えておらず、入釣しやすかったのだが、今は水辺の植物の背が高くなり、入釣はその中にある小さなスペースに限られる。ただ今回は一つの釣り場で2人分(計4本)の竿を出すので、少しだけスペースを広げ、テントも設営できるようにした。

 まず右手に位置する流れ込み寄りにSASAYANの2本、その左に私の2本をセット。仕掛けは前回と同じもの。エサは2人とも同じようなものを使い、まずは「どすこい」+「龍王」に乾燥コーンの食わせでスタートを切った。底探りなどはせず、投入点はSASAYANに教えてもらったとおりに決める。SASAYANは流れ込みの真ん中と手前。私は1番竿を手前、2番竿は岸から15メートルほど先のところに打ち込んだ。

 SASAYANが釣り場にテントを設営  今回はこのような感じで・・

 私のタックルセットが完了すると同時にテント(通称:ベルサイユ宮殿)の設営を完了させた。程なくして釣り場は暗くなるが、いつものような林の中ではないので、空の明るさが水面に木々の影を映し出している。その水面には魚の気配が濃厚で、鯉と思われる大きな跳ねの音もよく聞こえてくる。早いうちからのアタリを見込めそうな雰囲気に心が躍るが、気がかりなのはこのあと降ると予報されている雨。コンディションとしては雨が降ったほうが良さそうなのではあるが、久々の複数人でのナイター。できれば外でゆっくりと過ごしたい。

 エサ換えのペースは遅めで、1回目の打ち返しは開始から3時間後の午後8時。SASAYANは2本あるうちの2番竿で、ドバミミズをエサに試すが、ウグイの多さに負けてしまっていた。だが、そのウグイを捕獲して生エサとして使うのも手。またこの近くの沼で竿を出されていたT橋さんが帰りにここに訪れ、ザリガニを3匹分けてくださった。状況によってはこれを使ってみるのも良さそうだ。


 SASAYANが持ってきてくれたランタンによって、釣り場は明るく照らされる。普段の夜釣りでランタンなどを使わない私としては、なんとなくその光景が、凄く新鮮なもののように感じてしまった。ナイターで竿先を見ながら釣りをするということをすっかり忘れてしまっていたのだ。普段の単独夜釣りとは一味違う雰囲気を楽しみつつ、SASAYANと談笑をかわす。

 前回とは違い、あまり不気味な感じはせず、普通に林の中へも散策に行くことができる。SASAYANは相変わらず、クモに悲鳴を上げていたが・・。

 午後11時、私の2番竿に初めて反応があった。前アタリ無しでいきなり穂先を引き込むアタリ。しかしセンサークリップを外しただけで、そこから先の動きはみられない。空アタリか?とりあえず竿をもって巻き上げてみると、僅かに魚の手ごたえを感じる。掛かっていたのは40センチの小鯉で、何故か下顎の下にフッキングしていた。口の中に掛かっていなかったのが腑に落ちないが、とりあえず魚の反応を確認できた。ここからサイズアップはなるだろうか。

 またまたこんなサイズだが・・  その隣でSASAYANはカニを・・

 SASAYANのミミズ仕掛けにナマズかライギョでも掛かってくれれば面白かったのだが、この夜は特に面白いサプライズが起こることもなく、テントにて夜を明かすことになった。SASAYANは2番竿のエサをミミズからコーンへと変更し、休息しながらの長期戦に備える。

 テントに入る少し前より予報どおり小雨が降り出し、明け方近くになってとうとう本降りになった。そんな中、コーンに付け替えたSASAYANの2番竿にアタリがあったようで、竿鈴が響くも、食い込んで走り出すような鈴音は聞こえず、どうやら空アタリで終わったようだ。SASAYANは寝袋に包まって間もなく、寝息を立て始めていた。一応、空アタリがあったことを知らせようかと思ったが、気持ち良さそうに眠っているのを見ると、その邪魔をするのは憚られる。スヤスヤと寝息を立てるSASAYANの横で、私は寝付くことができずに、徐々に明るくなりつつあるテントの天井を見上げるだけ。ようやく眠気が差してきた頃、SASAYANがガバっと起き上がったので、さきほどの空アタリの旨を伝えるが、寝惚けているらしく、何も言わずに5秒ほど空を見つめてから再び倒れ込んだ。思ったよりもアタリは遠く、センサーは鳴らぬまま夜が明けきってしまった。

 眠れずに寝袋で過ごすのにも飽き、雨が弱くなったので外に出てみることにする。エサ換えでもしようと思いながら、テントの入り口を開けてビックリ。入り口のすぐ前まで水が迫ってきていた。もともと潮の影響で水位は増しており、浸水を恐れてテントの位置を水辺から遠ざけたのだったが、もう少しで浸水というところまで水は増えていた。置いてあったものが全て浮いている状態の釣り場の光景に「あぁ〜あぁ〜・・」とつい声を漏らしてしまった。しかもこんな時に限って、私の長靴は夜間の散歩中に破けてしまい、足を踏み出すことができない。竿のほうをみると、私の1番竿のラインがフケている。センサーのスイッチは入っておらず、掛かってからすぐにこちらに向かって走りだしたようだ。まだ眠っているSASAYANの長靴を借りて1番竿のラインの回収に入るが、魚はついておらず、仕掛けはほとんど私の足元に落ちている状態であった。

 テントの外は洪水状態になっていた。  1番竿のラインがフケている。が、魚はついておらず・・

 とりあえず、2本ともエサ換えをする。一応、1番、2番竿ともアタリはもらえているので、エサの配合、投入点は変えずにキャスティングした。雨の影響で、水路からゴミが流れてきている。これらに絡まれるのは御免なので、落としオモリをセット。この場所は前回の葦場、前々回の岬と比べると水深が浅い。大きなゴミならかわしきれないかもしれないが、今の時点で流れてきているゴミの類なら大丈夫だろう。

 ほとんど眠っていなかったので、外で少し動くとすぐに眠気が襲ってきた。水分補給にリンゴを丸齧りし、腹ごしらえしたところで、再びテントに入り、寝袋に包まる。と、次の瞬間、センサーが反応した。同時にSASAYANも目を覚まし、一緒にテントの入り口を開けて竿を確認すると、2番竿のラインが走り出している。重量感はないが、なかなかのファイターのようだ。水面を割って出た魚の背中を見る限り、60センチクラスだろう。一度寄せに入り、タモ入れに入ろうとするも、魚は再び走り出しスプールを回す。未だ小型しか釣ったことがないのだが、ここの鯉は以外と元気よく走ってくれるものが多いようだ。岸辺に浮いていた木や葦に巻かれながらも引き出し、足元まで寄せたところでもう一度タモを出す。そのままネットインできると思われたのだが、こんなときに、タモの柄が伸びないというトラブルが発生。そっちに気を取られていると、足元で暴れていた鯉の口からフックが外れ、オートリリースの形になってしまった。サイズは60センチほど。岸辺が水没した状態だったので、やっかいなタモなんかほっといて、そのまま岸に上げれば良かったことに気づいたが、後の祭だ。もちろん釣果にはならないが、朝の糸フケや夜間にSASAYANの竿にあった空アタリも含めると、これまでの石狩川公園釣行にないアタリ数が出ている。地元の人のいう「釣れる場所、釣れない場所」での違いを知ることができ、消極的だが、今回の釣行はこれで満足と言っていい。あとは、サイズアップを図るのみだ。

 SASAYANの2番竿はリールまで沈没  長靴に穴が開いたので、仕方なくビニールをかぶせて・・

 穴の空いてしまった長靴は仕方ないので、ビニール袋をかぶせて対処することにした。お湯を沸かしてカップ麺に注ぎ、出来上がるまでの3分間をグチャグチャ状態の釣り場の整理に使う。雨はすっかりと上がり、これから降ってくる様子もない。釣り場の足元を沈めている水は少しずつ引いてきているようだ。

 朝食後、テントでくつろいでいるとSASAYANの2番竿にアタリ。しかしこれも空アタリで終了となり、ヒットにはいたらなかった。その後竿に反応が出ることなく、アタリはピッタリと止まってしまう。だが水面の反応は上々で、モジリ、泡付けの類はよく見られている。

 私はここでエサの配合を変えることにし、これまでの配合に「鯉スパイス」を加えてみることに。同時に仕掛けはヘアリグ式袋仕掛けに交換し、ヘアには乾燥コーンをたっぷりとつけ、ジャミに対応する。SASAYANはこれまで一度もアタリを取っていない自分の1番竿を、林の中にある西(正確には南西?)の浅瀬に移動させ、投入してみる。微風だった風は強くなりつつあり、ほぼ正面から吹きつける向かい風となった。

   袋仕掛けをヘアリグ式にして・・  

 油断していれば、忘れた頃に来るだろう。しかしテントにて昼寝に興じたり、SASAYANと生物名しりとりを延々と続けていたりするも次のアタリはなかなかもらえない。林の中に放置しているSASAYANの1番竿からもアタリブザーのしらせが届くことなく、時間帯は午後へと移り変わる。

 午後2時になって、私の2番竿にまたしてもフケアタリが出た。そして朝と同じように、魚はついておらず、仕掛けは投入点からかなりずれた場所から上がってきた。驚いたことに、回収した仕掛けをみると、オモリ部から下がなくなっているではないか。スナップスイベルが開き、袋仕掛けがなくなっている。はて、スナップはしっかりと閉じてから投入したはずなのだが・・?魚に伸ばされたのでは?とも思ったが、それほどテンションのかかる状態になっていたのであれば、センサーは反応していたはずだろう。しかしアタリは糸フケだけで、センサークリップすら外されていなかった。まぁ、この沼には河童が生息しているのだ。河童は器用に手を使うので、勝手にスナップを外して、仕掛けだけ持っていったのだろう。そう、よくわからないことは、全て河童のせいなのだ。

 しかし反応があるにもかかわらず、ヒットがないのが腑に落ちない。朝のオートリリース(あの状況で「バラし」と言いたくない)もあるが、ここまでSASAYANと合わせて6回のアタリがあるなか、釣果となったのはたったの1匹だけ。どうにかしてあと1度、明確なアタリをもらいたいのだが・・。とりあえず、ここまでダンゴで反応が出ているので、方針を変えずにそのまま終了を迎えよう。昨日T橋さんからいただいたザリガニにも期待していたのだが、SASAYANが使ってみたところ、カニに悪戯されてしまうので、エサ持ちの問題で続いて使うことができなかった。

 明るかった空は急に暗くなり、再び雨を齎した。かなりの本降りに近づいてきたこともあって、SASAYANはテントをたたみ、ここからは私の車でアタリを待つことにする。終了時間に向けて釣り場を整理し、濡らすことができない備品は全て車内に突っ込んだ。

 しばらくして雨は止んでくれたが、その頃には空が薄暗くなり、黒い雲に夕日が滲む。釣り雑誌を読みながら、談義を交わし、最後のチャンスを待ちつづけるも、センサーや鈴音は聞こえてこない。

 時刻は午後7時、釣り開始から26時間が経過している。これまでの鯉と思われるアタリ総数は6回。にもかかわらず、2人あわせてボウズに近い結果となっているのが悔しいところだ。とはいえ、ここでの釣りで、これほどの竿の反応を見たのも初めてだ。この次、今回と同じような状況に持ち込むことができれば、きっと釣れる。それまでに、この空アタリ地獄の解消法を考えておこう。午後7時過ぎ、終了。忘れ物のないようにタックルを車に積み込み、この場をあとにした。