釣り日記2009 実釣取材

釣行日 9月5日 場所 石狩川公園
時間 午前8時〜午後7時 天気 くもり


 前回で3回目となった石狩川公園での釣りであるが、釣果は小型1匹のみと、まだこの沼のペースを掴むことができていない。そもそもこの沼の鯉の魚影が少ないようにも思えるが、閉鎖された沼ではなく石狩川と直接繋がっており、常に入ってきてはいるようだ。地元の人が言うには、「釣れないのは場所の問題」 しかし私が選ぶポイントの何が悪いのか?釣れると言われているポイントとの相違点が見えてこない。本格的に寒くなる前に、もう少し検証を続けてみることにする。

 午前8時、石狩川公園へと続く土手を降りる。一番最初に見えてくるのは、水路と合流した流れ込みのあるポイント。この場所は地元の人に人気のあるポイントのひとつであり、特に晩春期に定評のある場所のようだ。流れ込み、葦とワンド。ざっとみた感じ、釣れそうな好ポイントとしての素材はそろっている。前回は死んでいたここの水も、今回は水質が改善。魚もいるようで、跳ねと泡付けが目立つ。しかし今回もここには入らない。荷物は下ろさず、そのまま前回の岬のある林の中へと入った。

 次に見えてくるのは沼の東側の先端。以前ここで底探りをしたところ、手前の水深は90センチ、そこから奥に向けて少しずつ深くなり、真ん中あたりで120センチほど。それより奥ではまた浅くなる。底にもなんら変化は見られず、地形状風を通しにくいので水面が動かないことが多い。当サイト閲覧者である地元民、SASAYANによればここでは好釣果を見込めるとのことだ。前回の岬はこの奥にある。

 東の先端部分から岬にかけては沼幅を少しずつ広げ、岬より奥では対岸まで約100メートルほど。そのあたりから大きく西に向けてカーブしている。岬よりも西では遠浅のフィールドが続き、ボートの出し入れにも使われている。一般的に釣りができるのは流れ込みと東の先端から岬。そしてその西の遠浅のフィールド。対岸は藪で、入れる場所はあるが鯉釣り向きではなく、へら釣りのポイントとなっている。

 地元の人からの聞き込みで、好釣果の可能性が高いというポイントを幾つか知ることができた。が、今回はあえてそれを無視し、逆に良くないという場所に入ってみることにする。選んだのは、東の先端から岬にかけてのエリアで、小さな葦場のあるフィールド。

 底探りをしてみるが地形の変化には乏しく、水深は手前で100センチ。そこから奥に行くに釣れて120、140、150と水深が増すが、最深部でも200センチほどしかない。真ん中から奥ではすぐに浅くなっている。葦場は手前にあり、竿を出せるスペースのすぐ左に広がっている。この辺りの水深も100センチ程度。やはりかなり浅いが、いくつかの釣れるという場所に比べると水深はあるし、地質、地形の大きな変化が特にないところは同様である。

 まず1番竿は葦場の際を攻めてみよう。2番竿は真ん中あたりの最深部。このあたりでは跳ねや泡付けが見られた。今回は日帰りの釣行ということもあり、エサはアピール力の強いものを選んだ。エサ、仕掛けの詳細は以下の通り。

オモリ部、仕掛けは前回と変わらず。
・ヒシ型オモリ25号
・袋仕掛け 巨鯉ハリス8号+チヌ10号

ダンゴ
「龍王」+「鯉スパイス」+「スーパー1スペシャル」

食わせ
生コーン(ピュアホワイト)+乾燥コーン

 朝まで降っていた雨は出発前には止んでいた。風は弱く穏やかで、今日は一日、のんびりと穂先を見つめながら過ごせそうだ。竿の前にイスとパラソルをセットして、アタリ待ち場を設営。

 エサ換えはまず1時間に一度、小さめのダンゴを同じ場所に投入し、その後ペースを落とす。2番竿のポイント付近では泡付けが絶えず、魚の寄りは悪くないようだ。雰囲気は良いが、釣れるときでも釣れないとされるこの場所。アタリはあまり期待していない。それよりも、何故釣れないかというヒントが欲しい。釣れると言われている、東の先端と西の浅場などと比べても、そう違いはないように思えるのだが・・?


 小鳥の囀りが心地よい。私の隣ではへら釣りの方が入り、朝から釣果を伸ばしている。今日はへらの人が多いようで、東の先端付近でも2人ほど入っていた。このようなロケーションで和竿が振るわれる光景は見事にマッチしている。

 午後になり1時間に一度だったエサ換えのペースはここで落とすことにしよう。エサの内容は変えず、ここからは2時間から3時間置きとする。

 午後2時になってようやく竿に反応が出るようになり、2番竿のラインが出された。なかなかの勢いでラインが出たので、60センチくらいあるものかと思ったのだが、竿を持ってみると手ごたえは軽く、上がったのは前回より少し大きい程のもの。50センチにも届いていないだろう。こんなサイズでも連発してくれれば嬉しいのだが、前回と同じ展開になることを否めない。

 ヒットした2番竿のポイント付近では相変わらず魚の気配があるのだが、葦場に投入している1番竿のほうにはこれまでまったく変化なし。浅いといえども、もっと魚が入ってきてもいいと思うのだが。ここと同じような対岸の葦場ではよく鯉の跳ねが見られていたことで、2番竿よりも1番竿に期待をかけていたが、見事にすべったらしい。可能性を見出せないので、1番竿も2番竿と同じく、水深のある真ん中あたりに投入することにした。


 午後3時ごろ、SASAYANがタックルを持って到着。彼はやはり流れ込みを釣り場として選び、早速竿を出す。時期に関わらず、この場所は鯉を寄せやすいようだ。

 ちなみにSASAYAN、私の釣り場をみてこの一言 「釣れないでしょ」 御もっとも、なんとか小型はヒットさせたものの、ここから釣果を繋ぐ事ができる気がしないのが本音。彼曰く、私の釣り場付近で釣れるのは、東の先端だけで、そこから岬にかけてはダメ。私の目から見れば、カケアガリがあり、風通しもよい岬が一番釣れそうに見えるのだが、如何なる条件下においても岬は良くないらしい。逆に浅くて風通しが悪くても東の先端のほうが食う。岬付近に入るならば、カケアガリのある左(東側)よりも、前回T橋さんが入っていた右側から西にかけての遠浅のほうがよいとのこと。今回の私の釣り場には葦場があるが、この葦場は産卵期でも、魚が入らないのだという。逆にその対岸にある葦場では産卵期に鯉もハタくし、時期に関わり無く魚は入る。この違いはどこから来るのだろうか。流れ込みの付近はわかるにしても、そのほかの場所でのポイントの選び方が見えてこない・・?


 SASAYANのタックルセットが完了し、彼は釣り場を離れてパンプカへ。時たま浮き鯉を見ることができる東の先端にてパン(腐ってた)を撒き、魚が出てきてくれることを期待した。浮き鯉が見えているようなコンディションではないので、鯉が出てきやすいと思われるポイントにパン(腐ってる)を撒いておき、あとで様子を見にいくことにする。それまでは私の釣り場にて談笑に興じる。

 日が低くなりつつある、この沼が一番美しい時間。60センチ以上ありそうな鯉が2番竿のポイント付近で跳ねたのを機に、最後の打ち返しを済ませた。今日は何時に切り上げようか・・。SASAYANは来たばかりだし、暗くなるまで遊んでいてもいいかもしれない。昼間にポツポツ見られたへら釣り師の方々は姿を消し、公園内は私達の貸切となった。

SASAYANが竿を出す流れ込みのフィールド タックルセット後、彼はパンプカを始めるが・・・

 午後4時、私の釣り場で遊んでいたSASAYANが自分の釣り場の様子に見に行くとのことで談笑の場を立ち、私も少し釣り場の整理をしてからその後を追った。藪の中を近道して流れ込みのフィールドへ出ると、彼は「掛かってた!」と竿をもちファイト中。しかし沖にある障害物に入り込まれ動かなくなってしまっているようだ。しかし開始から1〜2時間程度でアタリを出してしまうとは、さすが釣れると定評のある「この場所」そして「ここの人」。魚が入りこんでいるのは沈んだ木の枝のようだ。ドラグを締めて引けば微妙にこちらに寄ってくるようではあるが、少し厳しい。結局竿を振っているうちにラインは木から外れ、仕掛けを回収することはできたのだが、魚はすでに付いていなかった。悔しいながらも再トライ。

 彼のアタリ待ちのドラグ設定は一般よりも少しきつめで、更に投入点が岸から5メートルほどの近投でありながら、入り込まれたのは数十メートル沖。上げることができていれば、なかなかの良型だったのではないだろうか。彼いわく、この沼にはカッパが棲んでいるという。「もしかして、掛かってたのカッパだったんじゃないの?」、「あぁ!やっぱりカッパか」、「きっとカッパだよ」、「あそこまでラインを出したということはカッパだよ」 しばしこのような会話が続いた。

   かっぱがヒット  

 東の先端に撒いたパン(腐ってる)は、鯉に食われた形跡なくそのまま浮いていた。パンプカができるコンディションではなかったようだ。

 空はすっかりと薄暗くなり、この場所独特といえるような不気味な雰囲気をかもし出す。姿の見えないサギの一声に驚かされつつも二人は釣りを続け、ラストチャンスを望んだ。

 座ってアタリを待つのに飽きた私達は、懐中電灯も持たずに林の中を散策する。6月に大量発生していた毛虫に変わり、今はクモが多く見られ、クモが苦手なSASAYANにとって、暗闇の藪道は気が気でないようだ。クモや蚊など虫による恐怖も然る事ながら、「首括りが多かった」というこの場所の過去の汚名、そして何故か始めてしまった怪談話が手伝って神経質になる。

 そんな中、一通りの散策を終えて自分の釣り場に戻ろうと、藪道の先頭を歩くSASAYANに戦慄の一瞬が・・!突如竦み上がり、「うわぁっ!」と小さく声を上げるSASAYAN。クモの巣に引っ掛かった時のそれとは違う彼の「本気(マジ)」に後ろを歩く私まで凍りついてしまった。

 彼が見てしまったのは女のバケモノ。だがその正体は自分の自転車だったという完全な見間違いで、その脱力感も凄まじいものだった。何をどうすれば自分の自転車が女の幽霊に見えるんだよ!と突っ込もうかと思ったが、恐怖に慄いた彼と同じアングルでそれを見ると、確かに・・。彼の自転車に立てかけられているロッドケースと、折り畳みタモのケースなどが重なり、遠目では長い黒髪の襦袢、もしくは死装束姿の女が俯いているように見えるという、奇跡が起きていたのだ。あぁ、なるほどコレは怖い。さながらリングの「サダコ」ではないか(笑)

 午後7時、「サダコ事件」などで暇を潰すことができたのだが、双方にアタリはなく、ここでお開きにすることになった。

 今回、地元民のSASAYANから話を聞いて、釣れる場所、釣れない場所で可能性に大きな差があるということを、理解はできずとも実感することはできた。これでこの沼での釣行は4度目となったが、4回も通ってまともに釣れたことがないというのは、さすがの私でも初めてのこと。ここが人気のある公園化された場所でなければ、地元の人に話しを聞くこともできず、単に魚のいない場所というだけで片付けて、終わってしまっていたことだろう。これから様々な河川湖沼に進出していきたいと思うが、地元の人からの情報がなくても、ある程度自分でポイントを絞れるようにしたい。もちろんこの釣りの性質上、完璧には到底無理だが、少しでも近道となるヒントを見つけること。ここに大きい鯉が居るかは実績が聞かれないので不明だが、それ以前に、ここでの釣りをより効率的に進行させることの追求を目的として、もうしばらく通ってみたいと思う。自分がここだと選ぶ場所に限って釣れないのは、単にポイントを見る目がないというだけかもしれないし、そうならばここまで長々と疑問符付きで文章を記したのは、これがホームページという形で存在している以上、単なる恥さらし、無知さらしだろう(笑)だが、そもそもこのホームページの存在意義が普通ではないことは、プロフィールに記しているので悪しからず。今に始まったことではない。ここはたまたまホームページ化した、管理人の個人的なメモ帳にすぎないスペースなのだから。

 今回よく実感できたのは、一般的な知識だけでは足りず、その場所を知るということが重要になる釣りであることという事実。「鯉は一日一寸」という諺の意味を改めて知ることが出来た。