釣り日記2009 眩暈の中 

釣行日 7月27日19時〜7月28日5時 場所 篠津湖
時間 天気 雨(微風)


 開放した窓から流れ込んでくる雨の匂いにはもう心底飽き飽きしている。7月に入ってからというものの、夏らしい爽やかな暑さはなく、日照時間は少ない。札幌の7月の降雨量は平年の2.7倍だという。夏好きの私にとってはなんともすっきりとしない一月があっという間に過ぎて行った。

 先週月曜日を含んだ3連休。連休初日の土曜日より、川崎の高橋さんがこちらへ来られており、平さんと共に石狩川三日月湖のリサーチをしているとのメールが入っていた。高橋さんたちは浦臼町の新沼、三軒屋沼などの下見をした後、豪雨の中、足場の良い篠津湖にて釣りをしているという。私もこの連休の後ろ2日間は休みだったのだが、私事や野暮用が重なり、なかなか釣行へ出発するチャンスをつかめずにいた。ようやく時間が空いたのは日曜の夜中であったのだが、降水率100%の豪雨の中、出発する気力がなく、時間的にも十分ではなかったので断念することに。

 沛然とした連休最後の夜があけた早朝、釣行終了間際の高橋さんから、ソウギョ90センチの釣果報告が入り、雨上がりの朝日に照らされたソウギョの写真に想いを擽られた。

 27日夕方。翌28日は休みで、昼間はまた何かしら用事が入ってしまっているのだが、夜から朝までの空いた時間は草釣りで過ごそうと、篠津湖へ向かった。

 相変わらず雨が降っている。この1週間、晴れ間らしい晴れ間も少なく、雨は断続的に降り続けているため、篠津湖は前回よりも20センチちかく増水していた。篠津湖のソウギョを釣るにあたってこれは好都合で、岸際に生える柳の枝が沈み、ソウギョが食いに岸寄りしてくる期待がある。

 開始時刻は19時。前回の篠津釣行同様に、チヌ8号3本針の草針仕掛けにやわらかい葦の若葉をつける。寄せエサとして、先端に葦を数本括った竹ざおをゴロ石に刺して、その中に仕掛けをセットしておく方法。寄せエサの葦の葉の数、仕掛けとの位置関係、仕掛けの浮かせ具合をじっくり微調整して準備を完了させた。

 雨は午後3時ごろから降り始めたのだが、一向にやむ気配はない。暗くなってからは外をウロウロすることができないので、夕食前の少しの時間だけ、ルアータックルを持って下流を見に行くことにした。


 滑る足元に注意を払いながら岸際を歩くと、時折大きな魚の気配に驚かされる。人の少ない平日の、しかも雨降りであるため、魚はかなり岸寄りしているようだ。ナマズや鯉も多いが、ソウギョらしき大型魚も見られた。今夜は本当に期待がもてるかもしれない。

 足元にいる魚達を脅かさぬよう、抜き足差し足で岸辺を進み、時々ルアーをキャストしてやる。大型のスプーンやフローティングミノー、前回ここで拾ったプラグなどを試しながらバイトを誘った。いつもはトラウトタックルに5gスプーンなどで小さなナマズを狙って遊ぶのだが、その場合、ウグイが爆釣してしまうというのがいつものパターンだった。今回は使っているルアーも大きいし、その心配はないと思いきや、何のことはない、しっかりをウグイを爆釣してしまったではないか・・(汗)時には自分よりも大きなルアーにアタックをかけるウグイもいて、少々鬱陶しさすら感じてしまったが、ナマズの反応も悪くはない。正面の沖へ向けてのキャストではなく、サイドハンドで真横に投げ、ゴロ石のあるラインを横から攻めると、陰から出てきたナマズがチェイスくることがあった。一度目のバイトではフッキングせずにファイトに至らなかったが、2度目はルアーの着水と同時に荒々しく飛沫がルアーを襲った。しかしサイズは小さく、40センチにも満たないものだろう。それでも十分に、暗くなるまでの時間を楽しく過ごすことができた。

まさかのウグイ 小さいけどナマズもゲット♪

 午後8時。1時間ほどのナマズ釣りを終えて釣り場に戻り、仕掛けとエサの最終確認を済ませて車にもぐりこむ。ズブ濡れになった雨着をハンガーにかけ、いつでも着用して外に飛び出せるようにしておいた。

 天気予報によれば明け方までは降るというこの雨。天井を叩く水音にカエルの声も聞こえず、車内はただただ蒸し暑い。今回はセンサーが鳴ってくれるのだろうか・・。外に出れないとやることもなく、ヘッドホンをつけたまま壁によりかかって目を瞑る。携帯が時々鳴ってくれるので、それがなければ、同じ体勢のまま何時間も動かずにいたのであろう。高橋さんやサイト常連の皆さんからメールをもらい、釣り談義の話相手になってもった。

 午後10時、仕掛けのチェックをするために土手を降りてみる。LEDのライトを最弱にして遠くから水面を照らしてみるが、ソウギョは寄っていないようだ。更に近づいて仕掛けと寄せエサを確認。去年は見切りのソウギョがいて、寄せエサの葦を食い散らし、食わせだけを残していったことがあった。今のところ、そのようなことはなく、竿二本とも、寄せ、食わせ共に食われた形跡はない。この雨の中、新しく葦を集めて竹竿に結ぶのは億劫なので、逆に安心してしまったのだが、ポイントの近くにソウギョがいるような感じはしないのも少々不安だ。去年は増水時に、柳の枝を折る音が聞こえて岸寄りの多さを窺えたのだが。まぁでも、夜は始まったばかり。ゴールデンタイムはこれから明け方にかけてだろう。前回も、去年の初ソウギョのときも、増水どころか減水気味で、ソウギョの気配すら感じられていなかった。逆に「釣れそう」と思えるときには丸ボウズ。こっちが期待しようがしまいが、釣れないときは釣れないし、やることさえやっていれば釣れるときは釣れる。最善は全力で尽くしている。あとは魚次第。何も考えずに、その時だけを待とう。

 ライトを消して釣り場を離れ、外へ出たついでに車を止めているパーキングエリアのトイレに向かう。夜中ライトが点いているこのトイレには小さな虫が寄り、それを食べにカエルが集まってくる。カエルの捕食行動をじっくり見ることができる、私のお気に入りのポイントだ(笑)

ライトを照らすとこっちを向くのが可愛い 釣り場のトイレは超キレイ♪(笑)

 明日は昼から忙しくなるだろうから、時間に余裕を持たせて、午前5時にはここを出て札幌に帰るとしよう。それまでは車の中で仮眠。遊んでいたカエルに別れを告げて、蒸し暑い車の中へ戻る。センサー受信機はスピーカーにつなぎ、熟睡中でもわかるように音量拡大。メールのやり取りを続けてくださった方達に今夜最後の返信をしてから体を横にした。

 午前0時半、眠りついてまだ間もない頃にメロディが車内に鳴り響いた。大きすぎる音量で受信機が反応している。寝袋を蹴飛ばしたと同時にドアを開け、レインジャケットをもって飛び出した。あわてていたので上下ある雨着の上だけしか掴めず、帽子も忘れてきてしまったが、幸い雨は弱まり、霧雨となっていた。眠気と目眩の中、霞んだ視界に入るのは2番竿。ドラグを締めて竿を立てると同時に、魚は一気に深みへ潜りだした。重量感は前回と変わらないが、やはり個性というか魚によって若干引き味に違いがあるのがわかる。この魚は前回のソウギョとは逆であまり粘らないが鯉のようによく走ってくれた。一度の攻撃でリールからラインを出す時間が長く、これもまた楽しめる。おとなしく寄って来ることはなく、浮かせると横に走り出してしまう。しまいには寄せ葦をセットしていた竹竿を巻き込んで走りだしてしまった。2本の遊び針が竹竿のどこかに引っ掛かり、ソウギョと一緒に岸から離れてゆく・・。ソウギョが潜ると一緒に沈むが、先に竹竿だけが、遥か沖で浮かび上がった。「あぁ・・・アレ、絶対回収できないなぁ」 竹竿を諦めてソウギョの捕獲に入る。前回のソウギョは何度もタモを逃れてファイトが長引いたが、今度は一度ギブアップさせると、すんなりと網に納まってくれた。サイズは88センチ。

88センチ。篠津ソウギョのアベレージサイズだろうか やっぱりソウギョは楽しい♪

 ソウギョらしい可愛らしい顔をした魚だ。ヒットしてくれたコイツに深く感謝して、ゆらりと泳ぎ去るのを見送る。

 思ったよりも早い段階でヒットしてくれた。そして終了時間までには、まだまだ2尾目のチャンスがある。さて、ソウギョが暴れたために荒れたポイントを整理せねば・・。とりあえず仕掛けに葦を再装着して、水面に浮かせる。1番竿のほうの食わせは無事なのでそのまま。しかし寄せ葦がすっかりソウギョに食い取られてグチャグチャになっている。そうだ・・2番竿のほうに関しては、寄せ葦をセットする竹竿すらなくなっているのだった。なんとかせねば・・・・・。

 しかし、ソウギョとファイトしているときから、体の調子が悪い。眠っている状態からいきなり飛び起きた所為だろうか。血圧が安定していないようで、目眩がひどい。結局このまま少し具合が悪くなってしまったので、すぐに車に入ることにした。1番竿はグチャグチャ状態の寄せ葦と食わせ、2番竿は新しく寄せ葦セットを作ることもできず、食わせの葦だけを浮かせている状態で釣りを再スタートすることになった。



 午前4時半、目覚ましの音で再び目を覚ました。もう終了時間・・・2尾目は来なかったか・・。

 薄明るい朝マズメの湖面に、大型の魚が幾度も跳ねている。あと数時間粘れば、まだ2匹目が来る可能性は高い。が、今回はこれで終了としよう。ボウズではなく、なんとか1匹釣ることができたので満足しているのだが、やはり更なるチャンスを逃してしまったことに心残りがある。自分の体調不良が原因なので仕方がないのだが、寄せ葦を完璧な状態にセットし直し、また場荒れによる警戒を避けるため、少しだけポイント移動するなど、何らかの処置を施していれば、2尾目もゲットできていたのかもしれない・・。

 一度弱まった雨は、風とともにまた勢いをましている。次回ここに来るときは、もう少し天気が良いことを願う。8月中に、あと1度か2度はここに来よう。