釣り日記2009 やる気ゼロから 

釣行日 7月12日 場所 創成川 北五番橋
時間 午前10時すぎ〜午後8時 天気 晴天


 心地よい日曜の朝。この日は休みで時間を自由に使えるのだが、ガソリン残量とお金の余裕を計算すると、あまり遠出はできない。そこに丁度よく、当サイト閲覧者のSASAYANから創成川での釣りの誘いがあったため、今回はホームグラウンドへ帰り、日曜日の一日を過ごすとことしたのだった。

 しかし、今年は特に不調の創成川。ホームグラウンド付近でよく会うオジサン達も、年々釣果は悪くなり、今年は酷いものだという。最近も私は、本気で釣ろうと思えば創成川は避けてしまっている。まぁ今回は釣果云々ではなく、SASAYANと遊びながら竿を出せればいいという心意気でいこう。

 SASAYANとのメールで開始時間は午前9時と打ち合わせていたので、午前8時45分ごろに出発。今回の天気は晴れのち曇りで、雨は降らないというので安心した。

 水位は思っていたよりも高く、水に動きはあるが、水中を流れるゴミの量は少ないようだ。しかし鯉の姿は見えず、魚の活性と食い気にはかなり不安がある。これでは竿を出すだけエサの無駄となるだろう。

 SASAYANはまだ到着せず、一人で釣れない釣りをする気もないので、しばらく竿は出さず、様子を見てみることにする。橋の上から鯉の通りを待つが、現れても60台が1、2匹という低い頻度でやはり釣りをする気にはなれない。日差しを避けるため、今度は橋の下へ入り、土手の斜めになっている部分に座りこんで数人の友人らとメールのやりとりを始めた。

 午前9時を過ぎてしばらく経つが、SASAYANはまだ到着しない。まぁ、どこかで道草をくっているのだろう。暇なので、飲み物でも買いに行こうか・・・。そう思い、立ち上がった瞬間

   ここに思い切り頭を打った  

 同時にバランスを崩し、その場に転げてしまう。橋の下では、ぶつけた時のゴ〜〜ンという大きな音が木魂し、散歩道を歩く人々の注目を浴びてしまった。しかしそんなことを気にする余裕もなく、しばらくは眩暈と激痛との闘いだった。このように通行人の注目を浴びたのは、ダンゴを作る水を汲もうとしてダイブした時以来だろうか。あぁ、痛い、いろんな意味で痛い。これでSASAYANとの約束がなかったら、確実に帰っていただろう。

 そのSASAYANが来てから一緒に竿を出そうと思ったのだが、彼の到着は遅い。連絡も取れないので抛っておくことにして、先に準備を始める。橋の下に頭をぶつけた瞬間から、全てがどうでもよくなったので、ピトンは出さずにフォーク竿立てにタックルをセット。センサーもつけず、バケツに水も汲んでいない。仕掛けとエサはヘアリグとバズベイトで、PVAにペレットとよくわからない何かを入れて投入した。

 まだ痛む頭をさすりつつ、橋の下に戻り、折りたたみ椅子に座り込んでセット完了。アタリの見込みもなく、年に数回はある、釣行記として書かないタイプの釣り・・というかもはや釣りではなく、竿を出してるだけの状態だ。

 午前10時をすぎた頃、相変わらず橋の下でウダウダしているところに、マーくんと彼のご友人が訪れた。マーくんとは去年の10月に小学生軍団に襲われた釣行以来で、半年振りの対面となった。

 彼らは北五番橋のすぐ横、上流にある横新道橋で釣りを始めるとのこと。暇すぎて極限状態だった私は、彼らの釣り場にお邪魔して、談笑を楽しむ。SASAYANはやはりどこかで道草を食い、パンプカ釣りをしていたらしく、やっと釣り場に到着したのは昼を過ぎたころだった。SASAYANもマーくん達のすぐ近くに1本の竿を出し、もう1本持っているルアーロッドには自作のコ式を装備。最近ハマっている釣法のようで、ここに来る前の道草で、この上流にて実釣。そして70台をゲットしてきたのだという。

 気温の上がる中、暑さに食欲も出ず、やはり引き続き橋の下の日陰でゴロゴロするだけとなってしまった。完全に今回の釣りを諦めている私をよそに、やる気のあるマーくん達は時々橋の上にあがり、魚の様子を見ていた。私も暇なので、彼らと一緒に橋にあがり、偏光グラスで水中を覗いてみる。

 相変わらず魚影は薄いのだが、驚いたことに、マーくんのポイントの寄せエサ(コーン)が全て食われてなくなっているではないか。見事に食わせのコーンだけを残し、完全に見切った状態でエサを啄ばんだ鯉がいたようだ。そしてマーくんが新しい寄せコーンをポイントに撒きなおして暫し、上流から現れた鯉がコーンに反応。継いで食わせエサにも口を出すが、空アタリに終わってしまった。

 この空アタリの数十分後、またマーくんの同じ竿にアタリが出た。ポイントがブッシュのすぐ横なので、魚はヒットと同時にその中へ逃げ込んでしまったようだ。マーくんのライトタックルではこの大きなブッシュから魚を出すのは少し厳しい。ラインの行方を追い、魚が潜り込んだ方向と位置を確認。この入り方なら、竿を持って対岸に渡り、反対側から引っ張ったほうがよさそうだ。一同、対岸の護岸に入り込み、魚を引き出す方法を模索する。しかし、魚はブッシュの中でピクリとも動かず、出てくる気配がない。というか、ブッシュの中に魚の気配を感じられないことが気に掛かる。もしかして、魚はすでにこの中に居ないのか?マーくんがもう一度ラインを張ってみる。すると、引っ掛かっていた葉が切れ、その瞬間からラインが右へ走った。案の定、一度ブッシュに入った魚は、草にラインを引っ掛けたまま、私達の気づかぬうちに自分から出てきていて、下流に走っていたのだった。まぁ、よくあることだ。無事、下流から現れた魚はネットに入り釣果となった。

ブッシュの中にいると思いきや・・・ 下流から出てきてネットイン♪

 これを見た私は少しだけやる気を出し、数時間ぶりに自分の釣り場の様子を見に行くことにした。一投目のバズベイトのあと、どうせ釣れないと踏んで、二投目にめちゃくちゃな配合を施したダンゴを投入していたのだが、やはり面白いくらいに鯉に無視されていたようだ。多少ジャミに食われていはいるが、たっぷりと底に残っている。

 さて、マーくんがコーンをエサにアタリを取っているので、私も便乗してコーンを買ってきたのだが、どのようにして使おうか・・。今日の鯉は比較的、川の奥(対岸ちかく)を通るのだが、私の釣り場のそのラインは、完全に水草に埋もれていて、コーン単品の1本針仕掛けでは使いにくい。とりあえずコーンは、チヌ8号1本針につけてオープンに打ち込み、その周りにもひしゃくで同じコーンを撒く。一番攻めたい奥は、さっきのめちゃくちゃダンゴの中にコーン付きの針を埋め込み、ダンゴと一緒に食わせも草の中へ沈めることにした。

 そうこうしているうちに、またもやマーくんの同じ竿にヒットがあったようだ。自分の竿のセットを完了してから、様子を見に行くと、今度は70を越えている。それに続き、ひとりルアーロッドをもってコ式の旅に出ていたSASAYANにもヒットがあり、タモに入らないからと、水中の魚を引っ張りながら釣り場へ帰ってきた。こちらも70センチの美鯉。思ったよりも釣果が出ているではないか。今更ながらこの釣りの釣行記を書く気になり、パチパチ写真を撮り始める。よ〜し、みんなジャンジャン釣ってよ、ネタになるから・・・・ん?あぁ、俺も釣りをしてるんだった。釣れるなら自分で釣らないと。

意外にもアタリが出ている。 SASAYANもブログでおなじみのポーズで

 コンディションが大きく変わったというわけではないが、食い気のある鯉の出現率は高くなっている。それにも気づかずに、私はいったい何をやっているのやら。今さらマジメに釣りをしようにも、取り返しの付かない失態がある。今日は一日中やってもダメだろうと決めてかかっていたため、朝からPVAに変な物を入れたり、変な配合のダンゴを作ったりして遊んでいたのだ。変なPVAの中身と、変なダンゴは、ジャミにも嫌われているのか、水底にたまって減らず、通りかかる鯉の警戒心を誘発している。あぁ・・これはダメかな。もともと釣る気がなかったので別にいいのだけれど、やる気が無いなら無いで、もう少しおとなしくしていればよかったかもしれない。

 もうすぐ夕方になる。今日はこのままゴロゴロして終わりになってしまうのだろう。そう思いながら引き続き暇をもてあましているところに、SASAYANからの一言 「ルアーロッド持ってきてないの?」 あぁ、そういえばシーバスロッドを持ってきている。「コ式やりに行けば?」 そうか、そういう暇の潰し方もあるんだ。と言うより、植物の綿毛など水面の落下物が多いこの時期、鯉は上を意識するようになる。パンプカにはもってこいのコンディションなのだ。急にやる気になり、シーバスタックルをセット。

 SASAYANから仕掛けを貸してもらって、パンプカの旅に出ることにする。その準備中、去年夏以来の対面となる村上さんが登場し、用事を済ませてから参戦するかも、と嬉しい一言を残して一度この場を後にした。私とSASAYANは村上さんの参戦を待ちつつ、先に旅に出ることにする。横新道から上流へ向かい、千切ったパンを撒きながら反応を待つ。


 開始してすぐ、1匹の鯉が撒いたパンを食べ始めた。食い気十分のようで、ヒットの可能性も高い。さっそく鯉がパンをついばむ少し上流から、仕掛けを流してアタックを待つ。しかし流速が遅く、仕掛けが鯉のところまで流れ着く前に、鯉は姿を現さなくなってしまった。

 さらに上流に遡りながら、パンを食いに水面に出てくるものや、偏光グラスを通して見える魚影に向けて幾度かのチャレンジを重ねるが、なかなかヒットにはありつけない。横新道橋の一つ上の橋まで行き着くと、今度は元来た道を引き返しながら、チャンスを探ってゆく。今度は仕掛けを投入して、ゆっくりと流しながら、それについて歩くようにして下ってゆくことにした。

 突如、SASAYANの仕掛けをひったくるような鯉のアタックがあったが、不運にもSASAYANはライントラブル中。それを直すのに夢中だったSASAYANは気づかず、アワセを入れることができなかった。この反応を最後に、ヒットに漕ぎ着けられるチャンスはみつからず、一度横新道橋に戻ることとなった。そんな中、釣り場のマーくんに鯉がヒット。本日3匹目で同じ竿に集中してアタっている。完全に今日のアタリパターンを掴んだようだ。

 用事を済ませた村上さんが川へ戻り、私達より先にパンプカタックルを持って下流へ向かった。私も今度は下流へパンプカに行こう。とは言っても、この暑さで少々疲れ気味だったので、しばらく休憩も兼ねて村上さんの釣りを見物することにする。

 日が傾き始め、横新道上流よりも水深のある、この下流のエリアでは偏光グラスを使っても、泳いでいる魚の姿を掴みにくい。そんな中、村上さんが撒いた寄せエサのパンに、反応する鯉が時折水面に出てきているのがわかる。上流よりもいくらか魚影は濃いようだ。村上さんはすでに3回アタリを取ったが、いずれもタモに入ることなく終わっているとのこと。反応は良いのだが、警戒心が強くて、しっかりと吸い込もうとしないようだ。鯉はよく水面に出てくるが、一切れのパンに口を出すだけで去ってしまい、連続していくつも食おうとはしていない。鯉はたくさんいるものの、チャンスを掴むのが難しいようだ。

 そんな村上さんの釣りを、欄干にもたれながら見ていると、すぐ目の前に鯉の姿が・・!水面を意識し、エサを探している。これならいけるかもしれない・・・。そっと仕掛けを下ろし、音を立てないように水面に流した。鯉はすぐに反応を見せ、ゆっくりと顔をパンに近づける。息を呑む一瞬、その直後、鯉の口にパンが吸い込まれた。しかしここで痛恨のアワセミスでヒットに至らず、悔しさにうなだれる。

 下流の魚影の濃さを報告するため、橋で休んでいるSASAYANにメールを送ろうと携帯を取り出したとき、昔からここでの釣りでお世話になっているTさんが自転車で私のもとへ駆けつけた。「安田くん、アタってるよ!」その声と同時に反射的に走り出し、釣り場へと向かう。

 息を切らしながら北五番橋へ戻ると、コーンを付けてオープンに投入していた1番竿のセンサークリップが外れていた。すぐさま竿を立ててラインの回収にとりかかる。かなり走られてしまったものと思ったが、魚は意外と近い距離にいるようだ。所々に聳えるブッシュをかわし、タモに入ったのは65センチほどのアベレージサイズ。まったく期待していなかったブッコミ釣りでボウズを逃れるとは。

 やはり今日はコーンが当たりエサなのだろうか。新しいコーンを針に付け、また同じところに投入。寄せのコーンも柄杓でバラ撒いておいてテキトウに打ち返しをすませた。さぁ、パンプカのリベンジに行こう。しばし休憩していたSASAYANもこれから参戦するとのことで、一緒に下流へ向かう。

 アタリを教えてくださったTさんは、しばらく私のポイントにいるので、またアタリがあったら教えてくれるという。センサーが使っているのだから、自分でアタリを取ればいいのだが、センサー受信機はただ電源が入っていないだけでなく、バッテリーも切れているのであった・・(汗)。Tさんにお礼を言い、私とSASAYANは釣り場を離れる。するとすぐにTさんに呼び止められた。投入してまだ3分も経過していない1番竿にまたヒット。今度は60センチくらいの鯉で、唇を貫通した針がタモの網に引っ掛かってしまったことで外すのに少々苦労した。写真を1枚撮ってすぐにリリースし、また同じように打ち返す。よし、パンプカへ行こう。ルアーロッドを持って釣り場を離れようとすると・・・。え?またアタリ!?投入して本当に間もない。1番竿が揺さぶられたが、今度は空アタリだったようだ。エサが取れてしまっただろうから、一度回収して投げ返す。三度ルアーロッドを持ち直し、今度こそパンプカへ・・。するとまた竿が引き込まれた。どうなっているのやら・・。しかし今度もフッキングが悪く、途中でスッポ抜けてしまった。

 今回、こんなにアタリがあると思っていなかったので、コーンは1缶しか買ってきていない。そのため、これが最後の打ち返しとなる。時間も時間であるし、疲れて少々ダルイので買いにいく気もしない。もう今日はこれで十分だろう。ほとんど空の状態の缶から取り出したコーンを針に付け、最後の投入。が、あろうことかキャスティングミスを起こし、恐らく仕掛けは絡まった状態で着水したことだろう。この状態でアタリは取れるのか・・。だがここでまた回収すると、最後のコーンが針から落ちてしまうかもしれない。このままにしておこう・・それよりもパンプカで勝負をつけたい。さぁ、今度こそパンプカへ!と思ったら、今度はSASAYANのブッコミ竿にアタリ!ずんぐりした体形の60台がネットに入った。面白いことに、使っていたエサは休憩中にコンビニで買ってきたというお菓子「焼いか豆」。これをヘアリグに装着して、ポップアップボイリーのように使用しての釣果だという。

釣ったというか、釣れたといった釣果 しかしアタリは続いた
 SASAYANにもアタリ! しかもエサはこれ 

 さて、こっちはもう十分。私の竿は、仕掛けが絡んだためかアタリはパッタリと止まった。ダンゴを使用している2番竿に関しては、見事な程にピクリともしない。あとはゆっくりとパンプカを楽しもう。

 改めてルアーロッドを持ち、村上さんのいる下流まで歩く。村上さんは依然奮闘中。私とSASAYANはその少し上流から寄せのパンを流しはじめ、釣り開始。やはりこちらは魚影が濃く、単発的ではあるが水面に反応が見られる。もっと連続して、同じ鯉がパンを啄ばんでくれれば理想的なのであるが・・。

 寄せのパンを流し初めてしばらく経つが、やはり鯉はみな、その中の一つに口をつけただけで去ってゆく。これではどこにどうキャストしていいのかわからず、ただ竿先から仕掛けをぶらさげながら右往左往していた。結局、これといったチャンスをもらえないまま、村上さんは終了時間に。

 時刻は午後7時。マーくん達は私がブッコミで1匹目の釣果を上げたあと、納竿してしまい、川には私とSASAYANだけとなった。あと1時間、頑張ってみるとしよう。暗くなりつつ川面を見つめ、更にパンを撒き続ける。偏光グラスはほとんど意味を成さなくなり、水中の魚影を確認することはできない。あとはパンに反応して水面を揺らしてくれる鯉を待つのみとなった。

 私達はいったん上流へ戻り、釣り場を通り越して更に横新道上流へ。しかしこちらは下流に比べて魚影が薄く、パンにはなんの反応もみられない。やはり可能性があるのは下流だろう。ラストスパートにかけ、残り僅かになったパンを全て川に放り、その行方を追いながら下流へと足を運ぶ。しかし結局、終了時間の午後8時を迎えるまで、これ以上の鯉の反応を見ることはできず、終了となった。

 さて、釣行記として残すつもりのなかったこの釣行だが、意外と早くアタリが来たり、パンプカに出たり、予想外の連続アタリが出たりと、内容としては十分なものとなった。こんなことなら、最初からあきらめずに、マジメに釣りをしておくんだったと、若干の後悔の念もあるが、かなり楽しい釣りとなったのは間違いない。

 同行した高校2年生の皆、村上さん、Tさん、ありがとうございました。またの機会にご一緒に・・。