釣り日記2009 恵みの雨 

釣行日 7月9日午後5時〜
7月10日午前4時半
場所 篠津湖
時間 天気 くもり〜雨(北西の風)


 去年6月、念願の篠津草魚を手にすることができ、子供の頃からの憧れの魚を手にできた感動と共に、釣りの風趣とソウギョの引き味にすっかりと魅了されてしまった。しかしその後、2尾目に会うべく釣行を重ねるが、タモを濡らすことなく釣行を終えてしまうばかり。一度の空アタリを見たのを最後に08夏を終えてしまう。そして今季、いよいよ暑くなり夏本番を迎ようとするこの時期。やはり忘れられずに、葦をみるたびにソウギョと草針を思い浮かべてしまい、やはり2尾目を求めて篠津へ向かってしまうのであった。

 去年の1尾目をヒットさせたときは、バラしたくないという緊張感と、はやくタモに入れて安堵に浸りたいという焦りによって、鯉とは違うソウギョとのやりとりを十分に堪能することはできなかった。2尾目は落ち着いて、じっくりとファイトを楽しみたい。

 7月9日午後5時、去年と同じ篠津湖のパーキングエリアでを車を止め、さっそく水辺へ降り立った。
 前日は雨が降っていたのだが、思ったよりも水位は低い。水際に生えている柳の枝が水中に沈んでくれれば、それを目当てにソウギョが寄ってくれるはずだが、その期待はできないようだ。このようなときは江戸川式のフカセ釣りよりも、オモリをつけて仕掛けを水中に沈めたほうがいいのだろうか・・。ソウギョ用のブッコミ仕掛けを作成しようか迷ったが、釣り場でバタバタと忙しくするのは好きではないので、それはこの釣りの結果を見てから、また今度考えるとする。今回はとりあえず、去年使っていた江戸川式の草針を使う。

 採取したアシを数本、竹ざおに括りつけて岸辺のゴロ石に刺す。これを寄せエサにして、やわらかいアシの若葉を付けた仕掛けをその上に垂らして準備完了。

草針仕掛け(3本針)
道糸とハリスはスイベルで結ぶ。
オモリはナスオモリ3号。スナップでスイベルに付ける。

巨鯉ハリス8号+チヌ8号

エサ

アシの葉。細くやわらかいものを選び、15センチほどにカット

 寄せエサとして竹ざおに括り付けているアシの葉は、竹竿ごと持っていかれないよう、ソウギョが簡単に食いちぎれる切れ込みを入れてやった。

 暗くなる前に、水面に垂らした仕掛けの位置を微調整。ソウギョに警戒心を持たせないよう、暗くなってからはなるべく、ゴソゴソと釣り場で動きたくない。そのための最終確認を済ませ、あとは暗くなってからソウギョが寄ってくるのを待つのみ。すべての準備が整ってから、ルアータックルを出して暇潰しのナマズ釣りに出かけるとする。


 下流の方向へ歩きながらゴールドのスプーンをキャストして小ナマズを誘う。数投目でゴツンという反応があったが、ヒットはせず、その後はウグイばかりが釣れるといういつものパターンに落ち着いてしまった。

 お腹もすいてきたことだし、諦めて戻ろうかとリールを早巻きした瞬間、何かがルアーに引っ掛かった。草や枝などのゴミかと思ったのだが、よく見ればそれは大型のルアー。ラインがついているので、誰かが根掛りかなにかで失くしてしまったものだろう。ジョイント付きのプラグで、まだ使えそうなので表面を洗い、グチャグチャに絡み付いていたラインも取り除く。持ち主が現れない限りはありがたく使わせてもらうことにして、早速自分のシーバスタックルに装着してみた。リップとジョイントによってトリッキーな動きでトップを泳ぐフローティングタイプのルアーのようだ。すっかり気に入ってしまい、しばらく泳がせているとボコンッと飛沫が上がる。なんと、早くも釣れてしまったではないか。グネグネと暴れまわながら、ルアーをくわえて上がって来たのは50センチほどのナマズだった。

ルアーでルアーを釣ってしまった。 ルアーで釣ったルアーで釣ったナマズ

 予想外の釣れ方をしたナマズに満足し、いつのまにか暗くなってしまった田んぼ横の砂利道を歩くいて釣り場へ戻る。この日もカエルがうるさいくらいに合唱し、足元でもピョンピョンと跳ねていた。

 幼少の頃、このようなカエルを捕まえて遊んでいたのを思い出す。大量に家に持ち帰っては脱走させ、いまだに出てこない固体も多い。他にも、幼稚園の頃に飼っていたザリガニ、小学生の頃のバッタなどなど。気づけば水槽からいなくなっており、未だに出てきてくれない。彼らはいったいどこへいったのだろうか。因みに家具類をどかしても出てこないので、神隠しということで片付けてしまっている。私が住んでいる部屋、親が住んでいる管理室ともに、心霊スポット状態なので気にしない。

 時刻は午後9時。LEDライトで水面を軽く照らして、仕掛けとエサをチェックする。異常はなし、寄せエサにもソウギョが触った形跡はみられない。センサーをセットしてひたすらチャンスを待つが、はたしてソウギョは寄ってきてくれるのか・・。やはりこの水位の低さが不安を誘う。耳をすませど、アシが食いちぎられる音は聞こえず、ソウギョはおろか小さな魚の跳ね音も少ない。
 
 日付が変わる頃、少し風が出て寒くなったので車に入って仮眠を取ることにした。今回の終了予定時間は午前4時。あと4時間で何か変化はあるのか・・。これまでソウギョのアタリを取ったのは何れも午前1時なので、期待できる時間帯ではあるのだが・・。普段の鯉のようにエサ換え時の打ち返しに伴うポイント変更や、大まかな作戦変更ができないのがなんとも歯がゆい。

 半ば諦めながら軽い眠りに就くが、ポツポツと雨の音で目を覚ました。天気予報で丑三つ時から雨になると言っていたのをすっかりと忘れていた。折りたたみ椅子など、濡らしたくない備品を外に出しっぱなしなので、それらを片付けに寝袋から這い出る。そのついでにエサのチェックをしようと、土手を降りたのだが、こちらでは大変なことがおきていた。風に吹かれ、仕掛けが宙を舞っていたのだ。こんなの釣れるわけがない(汗)苦笑しつつ、オモリを3号から5号へと重くして、しっかりと水面で安定するのを確認してから車へ戻った。やれやれ、雨が降ってこなければ、朝まで気づかずにあのままだったのだろうか。いくらなんでも、宙を舞っている草をジャンピングくちキャッチするようなアグレッシブなソウギョがいるわけがない。このゴールデンタイムを1、2時間無駄にしてしまったようだが、この雨によって水中のコンディションが変わってくれることを願う。カッパと帽子を出しておき、いつアタリがあってもいいように備えておいた。

 しかしその期待もむなしく、結局センサーが入ることはなく、空が白んでしまった。終了時間も迫り、そろそろ片づけを始めねばならない。

 雨はいよいよ本降りとなり、窓がくもって外の様子を見ることができない。寝袋をたたみ、倒していたシートももとに戻して車内の整理を終えてから、カッパを着こみ傘もさして外の片付けに出る。シートを倒すのに邪魔だったボックス類やルアータックルなど不要なものから収納してゆくが、この雨で荷物も車内もズブ濡れになってしまった。何度もため息をつきながら、少しでも帰宅後の後始末を軽減させようと、ありったけのタオルで荷物を拭く。濡れるし、冷たいし、嫌なことや悲しいことがある日はいつも雨が降っていた。それらを思い出してしまうので、どうしても雨は好きになれなかった。もう午前4時。この後は予定が入っているので、なるべく早く家に帰ってゆっくりしたい。最後に残したタックル類もとっとと片付けてしまおう。そう思ったとき、センサーが反応した。

 1番竿のラインが右へ走っている。思わず傘をほうり投げて走り出してしまった。アワセを入れると大きな音とともに水面がうねり、鯉とは違う力の感覚が伝わってくる。やはりソウギョとの引き合いは面白い。走らず、こちらから引けば意外と簡単に寄ってくる。しかしそのあとに強烈な一撃がある。手前からドン深のこの場所では竿を鳴かせながら下へ下へと潜り、スプールを回してくれる。鯉のようにガンガン走ろうとしない分、体力を温存しているのか、浮かせても浮かせてもまた同じ分ラインを出されてしまう。体を横たえてこちらに寄ってくるのにタモを出せば、いままで疲れた演技をしていたかのように復活して竿を絞る。流れのない水域なのにここまで引っ張り合いをさせてくれる魚もそうそういないのではないだろうか?常に至近距離にいる魚を、タモに入れることができたのはファイト開始から約10分後。今度はしっかりと楽しませてもらった。サイズは去年の1尾目より大きい90センチジャストだった。

ソウギョ自己記録更新 90ジャスト♪ やっと手に出来た 篠津ソウギョ2尾目

 去年の1尾目と、体形も大きさもさほど変わらないが、タモ入れまでに10分以上の時間がかかったのは、この固体特質の強さがあったのだろうか。釣ってみても、水槽で泳いでいる姿も、本当に美しい魚だと思う。また少し、この魚が好きになってしまった。篠津湖の最大サイズがどれほどなのか、というか、あとどのくらいの数が生き残っているのかわからないが、ソウギョももっと色んな奴に会ってみたい。

 カッパを着ている意味がほとんどなくなるくらいにズブ濡れになり、終了予定時間も思い切り過ぎてしまったが、満悦した気分で納竿できた。この雨は恵みの雨となってくれたのか。また近いうちに遊びに来よう。

 次回は近場で日帰り釣りの予定。本命の鯉さんは釣らせてくれるのだろうか・・。またボウズの予感がするのだけど(笑)