釣り日記2009 噂の三日月湖 

釣行日 6月27日午後1時〜6月28日正午 場所 浦臼 新沼
時間 天気 晴れ


 6月27日昼、以前掲示板に書き込みをくださったHiroさんと、浦臼のコンビニ前で待ち合わせた。先に到着した私が車から降りると間もなくHiroさんの車も到着。軽く初顔合わせの挨拶をしてから、再び車に乗り込み、Hiroさんの車のあとを追う。田んぼ脇の細い道を走り、さらに細い舗装されていない農道に入ると、釣り人の心を擽るような三日月湖が見えてきた。

 Hiroさんとは、掲示板の書き込みをいただいてから、書き込みの内容にあった沼への釣行について、メールでの連絡を取り続けていた。一度、その沼への同行を計画したものの、お互いに予定をあわせることができず、その釣行は取り止めとなったのだが、どうしても沼が気になった私は、5月最後の休日に単独で沼を探しに出た。しかし沼のまわりは林や藪に囲まれており、どこから入ればいいのやらわからずじまいで終了となり、変に未練を残してしまったのだった。

 今回は入釣できる場所を知っているHiroさんに案内していただけることになり、この一日は釣りもご一緒できるとのことで、私にとってはそれだけで十分といえる休日となる。

 農道脇に車を止めると、改めてHiroさんとHiroさんの奥さんと挨拶を交わし、早速釣りの準備にとりかかる。Hiroさんはコンビニで私と落ち合う前にすでに竿出しを完了させており、幾つかある狭いスペースに一本ずつ、計2本の竿を出されている。

 この場所は普段、あまり釣り人が来ることはないようだが、地元の人が時々釣りをしに来るようなので、そのために草を刈られたと思われるスペースが、この農道の脇の狭い範囲にいくつか存在ていた。軽く見回してから、少し気になっていたスペースに底探り用の竿を持ち込み、オモリを投げてみる。

 そこはこのあたりで一番広いスペースであり、沼の先端にあたる。柳のオーバーハングと密集した水草、また沼全体的にはヒシがうっすらと水面を覆っており、その下に魚の気配がある。軽い底探りのあと、若干地形に変化がある (ほんの1メートルや2メートルの水深の変化)この場所で釣りをすることを決めて、荷物をおろした。

 さて、ここからが問題だ。どのように釣りを進行させればよいのだろう。同じ鯉を釣るといえども、ほぼ閉鎖されているこの沼では、普段の釣り場とは違った特性があるのではないだろうか。話では釣り人があまり来ないため、スレていないが、警戒心は強いと聞いている。エサや仕掛けにどのように興味を示し、どのように警戒するのか・・。

 本命の竿とともに捨て竿を二本出して、いろいろと探ってみることにしよう。まず本命の2本はいつもどおりの袋仕掛け(チヌ8号)で草が多いのでハリスは短めの5センチ。どのような魚がどのように存在しているかわからないので、エサは「龍王」を篩いにかけて配合内容を少しだけ減らし、アクセントとして麦茶を加える。食わせエサはドライフルーツ+乾燥コーン。ヒシが全面的に生えているが、密度の違いがあるので、1番竿は密度の変わり目。2番竿は水深が若干変わっているポイントへ打ち込んだ。

 捨て竿は、存在感でアピールするのは避けてダンゴは使わず、ボイリー+PVAバッグでの寄せエサを使う。PVAの中身もシンプルにペレットと数粒の麦のみ。1本は本命の1番竿と同様にヒシ場に打ち、もう一本は手前に入れておいた。


 セット完了後はHiroさんの釣り場にお邪魔して、バーベキューをご馳走になりながら、釣り談義に華を咲かせる。
 気温は何度あるのか、暑がりの私にとっては日向にいるのは少々厳しい温度で、肌が弱いのでガッツリと変な日焼けの仕方をしてしまいそう。このような止水域ならば、この暑さは魚の活性にも影響してしまっているのだろう。跳ねの音は木々に隠れた水面からよく聞こえてくるが、それよりもオーバーハングやヒシの下からのジュポッ、ジュポッという音を頻繁に耳にする。魚は浮いていて、水面近くにいるようだ。勝負は夕マズメから少しずつ温度が下がる時間帯と睨み、ダンゴを使った本命竿は、日中のこの時間のエサ換えは避け、警戒心の誘発、および寄せエサ過多によるヒット率低下に備えた。

Hiroさんの1つ目の釣り場 Hiroさんの2つ目の釣り場

 やはり暑い時間帯はアタリなどの変化がまったくないまま過ぎてゆき、エサ換えをするHiroさんが回収した仕掛けやエサの具合からみても、ジャミの活性もそう高くはなさそうに思える。救いとなっているのは無風ではないことで、私の釣り場ではちょうど向かい風になる。

 日が傾きはじめた頃になって、ようやくHiroさんの2つ目の釣り場で変化が見られた。水面に茂るヒシなどの植物がガサガサと動き、泡付けが見られるようになった。この釣り場では私が到着したときから足元付近に鯉の姿が見られ、Hiroさんは足元から2〜3メートルのちょい投げで攻めている。魚の数も1匹や2匹ではなく、かなりいるようなので、ヒットまでは時間の問題と思ったのだが・・。不思議なことに、魚がラインに触れることはあっても食いつく様子はない。仕掛けを打ち込んでいるまさにその場所で鯉がうごめいているのがわかるのだが、鯉はエサを食べるわけでもなく、警戒して逃げるわけでもなく、ただその場に停滞しながら水草を揺らし続けていた。私もこの釣り場でヒットがあると踏んでいたのだが、そのまま午後5時、6時、7時と時間だけが過ぎ行き、結局軽いアタリもないまま、Hiroさんは終了時間を迎えてしまった。

 この狭いポイントで、これだけの鯉がいて、ヒットがないとは・・。単に活性がないだけなのかと思ったが、ただひたすらボーッとしていたり、水面に鼻上げするなど、それらしい行動は見られず、むしろ泡付けがあるのだから、エサを探しているのだろう。恐らく、エサを選んで食べている。ダンゴの魅力に勝るようなエサがこのあたりはたくさんあり、ここに寄っている鯉はそれだけを求めてやって来ていると考えられる。多分、水草についたエビや水生昆虫だと思うが、暗くなってから、エビなどを採ることができれば、使ってみることにしよう。

釣り場の奥にもいくつかスペースがある。ここは浅い 沼の土手上は田園

 午後8時を過ぎて、真っ暗になってしまった釣り場に電池式のランタンを置き、エサ換えを済ませる。その後夕食後の一服をしているところに、納竿したHiroさんご夫妻が再び釣り場に訪れ、エビ採り用にと、仕掛籠を持ってきてくださった。さっそくそれを水中に沈め、エビが掛かるのを待つことにする。それからしばらく、Hiroさんご夫妻と談笑を楽しみつつ、満天の星空の下、カエルと虫の声に夏を感じる時間を過ごした。

 空に月はなく、灯かりを点けねばほんとうに漆黒に包まれてしまう。煌々たる天体を、椅子に腰掛けて拝めば、人工衛星が飛んでゆくのを眺めることもでき、流れ星もいくつか見られた。これであとは、アタリがあれば・・いや、アタリがなくても夏の風情を楽しむことができるし、自然体でリラックスでいる。これだけで最高・・・こんなだから、釣れないのかもれないけど(笑)

 暑かった昼間から一変して、夜間は少し冷え込んできている。今日は早いうちから寝袋に入ろう。仕掛けた籠にはエビは入らず、なにやら小魚ばかりが入っていた。それは明るくなってから確認することにして、とりあえずエサ換えをしてから一眠りしてこよう。捨て竿2本はボイリーを使っていたのだが、Hiroさんが納竿時にあまったダンゴをくださったので、夕方からはそれを捨て竿に使用し、1本は変わらず手前に、もう一本は1〜2時間置きに投入点を変えながら探っている。しかし暗い釣り場にセンサーのLEDが点滅することはなく、この夜は数時間エサ換えをせずに、おとなしく待っておくという消極的な手段にかけることにした。

 ランタンに寄ってくる小さな羽虫を除けながら、作り置きのダンゴを装着し、今夜最後のエサ換えをすませた。石狩川公園のように刺す虫がたくさんいるわけではないが、その数では圧倒的に石狩川公園を上回っている。暗くなる前から、蚊柱が見られたのだが、そいつらが、ランタンに寄ってきて、このへんに密集しているのだろう。周りの整理整頓をしてから寝袋を敷いた車の中へ入ろうとしたのだが、その行動は、虫の多さと、奴らの走光性をよく考えてから行うべきだった・・・。車のドアを開け放ったと同時に、点灯する車内灯。その刹那に車内に入ってくる虫。それも蚊柱ごと車に入ってしまった。もう、唖然とするほかなく、追い払う術もみつからない。ティッシュを濡らしたものを平らな板に張り付け、車内で集う蚊柱めがけて振ってみたが、そんなもので対処しきれる数ではない。何とか、少しでも数を減らすことができないか・・。蚊取り線香を焚いてみたりと、いろいろとやってみるが、その間、虫を吸い込んで咽るというのを初めて体験した。最終手段として、車内照明を消し、ランタンを車に入れて、その灯かりに虫を集め、少しずつゆっくりとランタンを車の外へ移動するという方法をとり、ある程度除去することはできた。なんとか眠ることはできるようになったが、しかし羽音はまだ聞こえてくる。釣行終了後、力尽きたコイツらの死骸を掃除するハメになるのだろう・・。なんだか寝心地の悪い状態での就寝となってしまった。

 午前4時ごろ、待望のセンサーメロディで目を覚ました。確かにクリック音も聞こえる。一気に目を覚まし、寝袋から飛び出すと同時にヒットしている2番竿に飛びかかる。サイズはあまり大きくないだろう。それでも茨戸川のアベレージサイズよりは少し暴れてくれるといったような感じで、水面を割ってからも2度ほどタモを逃れて抵抗した。サイズは61〜2センチといったところ。初めて手にする新規入釣場所の鯉なので、サイズに関係なく喜べる。特徴的だったのは、黒目がやたらと小さく、猫のような目をした鯉だったこと。眼の向き方によっては三白眼の厳つい顔つきになる。
 
  ここでの初鯉は60センチほど。こんな眼をした奴だった  

 打ち返しのあと、すぐに寝袋に戻ろうかと思ったのだが、目が覚めてしまったので、しばらく散歩をしてみることにする。日はすぐに高くなり、朝靄と平面的な水面が幻想的な風景を作り出していた。夕方に鯉が寄っていたHiroさんの第2釣り場で立ち止まり、魚の様子を窺うが、気配はない。逆に第1釣り場では、私が近づくと煙幕を残して逃げる魚が幾匹か見られたが、やはり警戒心が強いのだろう。戻ってくる様子はなく、小魚の銀鱗が煌くだけとなった。タナゴなどの小さな魚がかなり多く生息しているようで、釣り場に戻り、昨日仕掛けた籠を引き上げてみると、1匹も入っていなかったエビの代わりに、モツゴやタイリクバラタナゴなどの小魚が数十匹掛かっていた。

 気温が上がるにつれて虫たちの活性も上がる。ヤンマやシオカラトンボが飛び交い、網をもっていたら反射的に捕まえていたことだろう。今度は虫取り網でももって来ようか・・。パラソルを立て、鋭い日差しを避けながら椅子に座って静かにアタリを待つ。

 午前9時ごろ、2番竿に反応があったが、食い込む前に動きが止まってしまった。回収してエサがついているかチェックしようか迷ったが、まだ近くに魚がいることを考えてそのまま待ってみることにした。

 そして午前10時、2番竿のセンサーが反応。しかしほとんど手ごたえがなく、そのまま草と一緒に上がって来たのは40センチに満たないような小鯉。1尾目から、2尾目のアタリを取るのに6時間も要してしまった。これが夜ならまだ期待ができるのだが、気温は時を重ねるごとに高くなっている。

オオイトトンボ。これが一番よく見られた 2尾目は40センチにも満たないようなチビ

 やはり夏の昼間となると、このような止水域ではかなり厳しいものがある。このようなときにポイントとなる、流れ込みといえるものはほとんど見当たらず、水深も浅いのでこの暑さはすぐに活性に影響してしまうのだろう。昨日の向かい風は止んでしまい、あまり期待のできるコンディションではない。

 時刻は正午、今回はここらあたりで切り上げるとしよう。今度は雨の後や、風の強い日に挑戦したい。秋頃に少し涼しくなるあたりが丁度いいのではないだろうか。またここに再来する。

 釣行にお付き合いくださったHiroさん、お世話になりました。また今度、ご一緒願います。