釣り日記2009 懇談会 

釣行日 5月16日午後7時〜5月17日午後3時 場所 茨戸川 ネット裏
時間 天気 晴れ〜曇り、雨 (南東の風)


 日が沈みかけた頃、ウィンカーを右に下ろし、行き交う車の誰もが目に止めないような旧道の残骸へ車を入れた。
 砂埃を巻き上げながら川沿いの砂利道を走ると、3人の釣り人の姿が見える。「おっ、あそこだな。」こちらに手を振るのは、北海道出張中である川崎の高橋さん。そして初めてお目にかかるWILこと平さん、そして釣友のtadashiくん。今回はほんとうに、楽しい釣りになりそうだ。

 前日の15日夜、高橋さんから釣行出発のメールを受け取り、そして当日の早朝に、平さんと共に花畔大橋にて釣りをしているとの知らせが入った。高橋さんと平さんは2連泊の釣りで、並行して連絡を取り合っていた元クラスメイトの伊藤君も、この日一日釣りをするというので、朝早いうちに高橋さんたちの元に、竿をもって到着することだろう。私は仕事で夜からの参戦となり、伊藤君は次の日にカレイ釣りのプランがあるため、夕方に撤収。私と入れ違いになってしまうのが残念だ。でも夜からは、tadashiくんが参戦するとのことで、日中は、彼と、釣り場の高橋さんとメールで連絡を取り続け、高橋さんからは釣り場で伊藤君が残した伝説まで教えていただいた(笑)その後、釣り場変更の連絡が入り、伊藤君が納竿するのと同時に、高橋さんと平さんは花畔からネット裏へと移動。私は直接、ネット裏へと向かった。

 午後7時ごろ、今すぐ釣り場に飛んで行きたい衝動に耐えた長い日中を経て、到着。高橋さんとは去年10月の釣行からの半年ぶり、平さんとは初対面、tadashiくんとは1週間ぶりの挨拶を交わして、早速、皆さんと一緒に竿を並べることとした。

 フィールドには下流から平さん、高橋さん、tadashiくんの順に並んでおり、私はtadashiくんの隣の最上流に竿を出すことにする。今回は懇談会のような感じで、皆さんで楽しめればいいと思い、釣り自体のことはあまり深く考えていない(笑)

 今回のダンゴの配合は、龍王+麦茶で、茨戸公園前ではなかなかいい思いをさせてもらっている組み合わせ。小さめのダンゴを短いペースで打ち換えそうかと思っていたのだが、恐らくは懇談や夜間の寒さなどで面倒くさくなってしまうだろう。龍王は既製のままの内容で麦茶を加え、ソフトボール大で打ち込んだ。

 まずポイントとするのは手前15メートルほどのところのカケアガリ、そして2番竿でその奥を探る。またエビでも採れるのなら、前回のようにそれもエサに使いかたかったのだが、濁りでエビの姿を見つけることはできなかった。

 軽い談話のあと、tadashiくんはウキ釣りのエサを用意し、日没前からセットしてあった磯竿でナイターウキ釣りを始めるが、この日の水位の低さからか、はたまた、私がウキを懐中電灯で照らしたためか、反応はないまま終わった。

 私が到着した午後7時ごろは、まだ気温が高く、風もなかったので薄着で過ごせたのだが、日が落ちてからというもの、急激に気温が落ちてしまい、南東からの風が強くなった。この寒さがあって、平さんは車にもどり、しばらく出てこない様子から、眠ってしまったのだろう。釣り場では高橋さんとtadashiくんとの談笑が始まるが、私は対話が苦手で専ら聞き手な上に、意味もなく1時間しか睡眠を取らずに午前3時から起きているからか、頭の回転が鈍く、楽しげな二人の横で釣り上げられた鯉のような目をしていたことだろう。

久々にこの場所でナイターを tadashiくんはウキ釣りの準備を始めるが・・・

 午前零時、時折反応していたtadashiくんのバイトアラームがついに唸りを上げた。ネットに入ったのは60センチほどの、赤みの強い鰭をもつ鯉だった。

 このあと、寒さに耐えかねた私たちは、tadahsiくんが設営したテントに避難し、前日からほとんど睡眠をとっていなかった高橋さんは寝袋を敷いて就寝。その横でtadashiくんと釣り談義を続けていると、再びバイトアラームが反応した。さっきよりも少しサイズアップした、コロコロと太った60台であった。

 いつのまにか背後のゴルフネットは照明が落とされ、月明かりが代わって釣り場を照らす。天気予報では、日中は雨になるというのだが、この月を夜明けまで見ることはできるのだろうか。最近は風が強かったり、雨が降ってきたりと、ゆっくりと外で過ごすことができないのが残念だが、tadashiくんが設営してくれたテントのお陰で、悪天候の日でもそれぞれの車に篭ることなく、一緒に楽しく過ごすことができるので、とてもありがたい。

アタリは渋くセンサーや竿鈴の反応が遠い中、tadashiくんのアラームが時折沈黙を破ってくれる。

 再びテントに戻った私たちは、軽くお菓子をつまみながら、最近tadashiくんが研究しているという野鯉の話に花を咲かせ、バッテリー残量僅かな照明の下、丑三時を送った。徐徐に視野を狭くしてゆく瞼の重みを感じつつ、tadashiくんから借りた本を流し読みしながら無意識のうちに体勢を横たえる。気がつけば、tadashiくんも寝息をたてていた。そんな彼を見て、私も眠気が頂点に達し、センサーのチェックもせずに、その場で目を閉じる。体全体の力を抜くと、一気に眠りの世界へ落ちてゆく感覚があった。

 眠りについて30分も経過していない午後3時。耳元で鳴るけたたましいノイズで目が覚めた。同時にtadashiくんも目を覚まし、起き上がる。センサーが入っているが、受信機の電池切れでメロディーが鳴っていない。薄明るくなった外に出ると、1番竿のLEDが点滅している・・が、クリップは外れておらず、竿先も動いていない。ゴミか、と思ったが次の瞬間、穂先が舞い込み、同時にラインが出た。また同じくらいのサイズか・・タモに入ったのはやはり60センチちょっとといったところの鯉。とりあえずボウズを免れ、一安心することができた。

 ほとんど眠れていないが、すっかり目を覚ましてしまった。tadashiくんも、夜中に断念したウキ釣りの続きをするべく、準備に取り掛かる。私もそれを横で見物しようと、朝食を持って、彼の釣り座の横に居座る。

 暗かった水面は見る見るうちにオレンジ色の日に照らされ、ウキのメモリまではっきり読み取れるようになった。川全体を見渡すと、いたるところで魚のモジリや跳ねが見られ、次のヒットの期待感も増す。

 そして午前4時、待望のクリック音が響いた。その音の発信源は平さんの釣り場。駆けつけると、4本あるうちの1本のセンサーが入り、ランプを点灯させている。しかし最初のクリックから、ラインの先からの反応がないようだ。平さんが竿を立て、リールを巻き上げると、なぜか掛かっていたのは長い木の棒。残念ながら魚の姿は見られなかった。

60台でなんとかボウズを逃れる 明けて間もないうちにtadashiくんは浮き釣りを続行
 ちょうど日の出が隠れてしまうのが残念だ 平さんのタックル。巨鯉烈火にアタリがあったのだが・・・ 

 岸近くでもモジリが見られるようになり、ウキへの反応を期待したのだが、メモリが動くことはない。私も延竿にヘラ釣り仕掛けをつけて探ってみるも、反応は期待できず、また風が更に強くなってきたために、ウキ釣りは諦めることに。

 朝のエサ換えをすませ、いつのまにか完全に自分のアジト状態になっていたtadashiくんのテントに戻り、ゆっくりと朝食の続きをとることにした。高橋さんも起床してエサ換え。平さんはアタリがあってからまた眠ってしまったようだ。

tadashiくんのテント。通称「茨戸 鯉師の家」 鯉師の家内部。

 午前7時をまわったころ、tadashiくんに小型がヒットしたが、あいかわらずアタリは渋く、私の2本も頑なに投入してからの状態を堅持している。

 テントの中、パンやカップ麺などの朝食後、高橋さんが淹れてくれたコーヒーをご馳走になり、一息つく。その後、tadashiくんは横になって眠ってしまい、入れ違いで平さんが起きてきて、談笑に加わった。

 外の風の勢いは強く、テントを大きく煽る。気温もあまり上がっていないようだが、テントの中は暑いくらいで、快適なアタリ待ち場となっている。ただ、その肝心なアタリのほうが、今か今かと待ち望むほど、気配や胸騒ぎすら感じられないのではあるが・・・。

 そういえば、前日私が到着する前に、私とすれ違いになる形で納竿した伊藤君がこんな伝説を残したそうな・・。

 朝、高橋さんたちの釣り場に到着した伊藤君。高橋さんとポイント選びのための下見していると、足元にヘビが!最初に気づいた高橋さんが「ヘビがいるよ」と指差した瞬間、反射的にヘビの尻尾を踏みつける伊藤君。そして「これ、エサにしようかな」 と着ているトレーナーの袖をずらしてヘビを掴もうとするも、ヘビは運よく伊藤君をかわして逃げ、食わせエサにされずに済んだのだという。

 テントでの会話で、「ヘビは執念深い生き物」という話題が出たときにふと思った。

 釣れないのって、ヘビ踏んだ呪いなんじゃないのか?(爆)

 そう、きっと伊藤君に踏まれたヘビは、

 「あいつ、私の自慢のキュートでチャーミングなシッポを踏みつけやがって・・・・この恨み晴らさでおくべきか!」

 となったのだろう(笑)

しかしこのヘビ、ちょっと抜けたところがあるようだ。怨みの相手を間違え、シッポを踏んだ張本人伊藤君ではなく、横にいた高橋さんにその矛先を向けてしまったのだろう。なぜなら、伊藤君は今現在、カレイ爆釣中だからだ。

 さて、釣れないのをヘビのせいにしたはいいが、この場所、底に沈んだゴミが多く、私とtadahsiくんは根掛りに悩み、高橋さんの仕掛けには木の枝や得体の知れない板などが引っ掛かってしまっている。私は袋仕掛けから、シンプルなボタン仕掛けや1本針仕掛けに交換し、同じ配合のダンゴを打ち直した。

 今日はなんだか、釣れる気がしない。お話に夢中になっているうちに、1時間、また1時間と時計は刻々と数字を変えてゆく。昨日の仕事中はなんだったのかと思うほど、時間の流れが早く感じ、「あれっ、もうこんな時間?」と時計を見るたびに思わされた。あとは皆さんとの談笑を楽しもう。

tadasiくんが釣ったこの魚を最後にアタリはとまり・・・・ 底に沈んだゴミに邪魔される

 昼を過ぎた頃、カレイ釣りを終えた伊藤君がここに立ち寄り、tadashiくんのバズベイトを食べて吐き出してテントにメガネを忘れて帰っていった。ほんとうに、いつでもどこでもネタを作ってくれる人だ。彼は今、お寺にある大きな錦鯉の池の飼育係をやっており、これから一年間、そこで働くという。お寺は大阪にあるため、しばらく一緒に釣りができないのが寂しいが、帰ってきたら、また一緒に竿を出して、意味不明な爆笑を巻き起こしてほしいものだ。

 伊藤君の晴れのオーラでひときわ明るくなったテント内とは裏腹に、とうとう雲行きがあやしくなり、風に流された横なぶりの小雨が降ってきた。いつもより早めだが、今回の釣りはそろそろお開きにしよう。釣りとしてはあまり良いとはいえないものになってしまったが(ヘビの呪いで)、大変に楽しい時間を過ごすことができた。次回は釣果のほうもしっかりと釣行記に書けるようにしたい。さて、作戦を考えよう。