釣り日記2009 リベンジなるか 

釣行日 5月9日午後6時〜5月10日午後5時 場所 発寒川、伏籠川合流
時間 天気 くもり/雨 (南東〜北西の風)


 晴れていた空を雲が覆い、湿っぽい空気とともに耳に入る雨の予報。強風に荒ぶ合流点のフィールドに到着したのは午後4時半をまわったころだった。

 前回の釣行では奇跡的にも70台の錦鯉が釣れてくれたのではあるが、本命の竿には一度のバラシ以降、アタリは遠く、同行者のtadashiくんもボウズに近いような結果に終わってしまった。そのリベンジとして、今回もこの同じ場所でtadashiくんと待ち合わせている。

 tadashiくんより先に到着した私は、一度土手を降りて川の様子を見る。風は前回と同じように、下流へ水を促すように吹いており、夜間は雨の予報が出ている。降り方と風によっては、またゴミの襲撃を受けることになりかねないだろう。ただ、このゴミのほとんどは創成川から流されてくるもので、創成川と合流した伏籠川にほぼ直角に流れ込む発寒川ならその影響は少なく、発寒川からのゴミの量も少ない。今回は合流点のフィールドから、発寒川に向けて竿を出してゴミをかわすこととする。

 tadashiくんはお父さんの都合で午後9時ごろに到着予定だという。それまでは暇なので、のんびりと準備を始めることにした。
 
仕掛け、エサの変更はなく、袋仕掛けとダンゴの組み合わせ。ダンゴの配合は「どすこい」+グラニュー糖で、小さめに握って一投目を打った。

 発寒川側は全体的にかなり浅く、また水草が多量に生えている。少しだけオモリで探ってみたのだが、どこを引いても草が引っ掛かるばかりだった。唯一草の少ない手前を2番竿で攻めてみることにし、1番竿は上流に架かる蒼風橋の橋脚付近を狙って打ち込んだ。ゆっくりと準備をしていたので、開始時間は午後6時となり、空は黒い雲にすっかりのまれていた。雨はいつから降り出すのだろう・・。


 強風に打たれるばかりでは疲れてしまうので、センサーを取り付けて車の中に避難する。エサ換えはとりあえず2時間置きとしよう。午後8時に一度回収して、もう2時間待ってみる。それでもアタリがないのなら、配合を変えるなり、エサ自体を換えるなりしてみよう。

 暗い車の中で、音楽を流し、読書をしながらセンサー受信を待つもアタリはなく、だんだんと窮屈になってきてしまった。そういえば、エビ取り用の小さな網があったはず・・。これで暇潰しをしよう。

 網と懐中電灯を持ち、岸辺を探ると、護岸の壁にへばりつくスジエビの目が光った。面白いくらいにエビや、ヨシノボリなどの小魚が採れ、虫取り少年時代の血が騒ぐ。すっかりと夢中になってしまい、午後8時のエサ換えどころか、自分の夕食すら忘れて、電灯が照らす生きものの姿を追い続けた。

 特にエビを食わせに使う予定もなく、無意味にエビを採っていたのだが、せっかくなので採れたものの一部をキープしておく。エビ採りのあと、遅めの夕食を食べているとtadashiくんが到着し、私の左隣(下流)に竿を並べる。私は採れたエビを食わせに使ってみようと、捨て竿を一本出し、チヌ10号の2本針仕掛けにエビをとりつけ、10メートルほどの近投で試してみることにした。

捨て竿でエビを食わせに試してみる 違うタイプのエビも採れるが、こちらはリリース

 すると、はやくもエビの捨て竿に反応が見られた。暗い中、センサーも竿鈴も取り付けていない捨て竿だが、橋の街灯に照らされるリールが、一瞬地面の草の中に姿を消した。フッキングしていないのか?動きはそれ以降止まってしまったので、とりあえず竿には触らずに、その横で次の反応を待つ。するとしばらくして、穂先が曲がり、一瞬だが糸が出された。草が仕掛けに纏わりついているのだろう。重いだけで魚の手ごたえを感じることができないが、ゴミと一緒に、60センチにとどかないようなサイズの鯉が現れ、tadashiくんがもつタモの中に吸い込まれた。

 まさかこんなにも早く反応が返ってくるとは・・。生きエサの強さを知り、ここで本命の2本の竿も仕掛けとエサをエビ仕様へ変更するため、準備を始めた。

 1番竿を回収。食わせもそのまま残った状態で帰ってきた。そして2番竿、こちらも・・・?やたらと重く、ゴミが引っ掛かっているようだが、その中に、僅かに魚の手ごたえが混じっている。何故センサーが入らなかったのだろうか、さきほどと同じくらいの大きさの鯉がヒットしていた。エビでもダンゴでもヒットを見ることができ、これまでの釣り場の沈黙から一変して、数釣りの可能性を見ることができた

エビをエサにヒット こちらはダンゴに

 ダンゴにも反応するようだが、本命2本の竿も、チヌ10号の2本針に交換し、エビをつけて投入。いまキープしているエビは全部で32匹いるのだが(tadashiくんが来るまで暇だから数えてた)、それはエサとしてではなく、水槽で飼育するために確保しているもの。これからエビをエサとして使うのなら、どれほどの量が必要になるかわからないので、ここでもう一度エビを採りにいくことに。

 釣り場から少し離れた創成川の岸辺にライトを照らし、蠢く眼光を探す。風は弱まってきたようで、水面が波立つことがなく、エビを探すのによい状態になったのだが、その代わりに、この時から雨が降り始め、やがてこの雨は本降りとなってしまう。捕獲したエビが逃げ出さないように、入れ物にはしっかりとフタをしてキープ。エビのエサ持ちは良いものではないので、次のエサ換えは1時間後にしよう・・。

 tadashiくんが設営したテント(通称アジト)にお邪魔して、ともに雨をかわしながら、互いの受信機からの魚信を待ち焦がれる。だが、聞こえてくるのは激しく頭上を叩く雨の音ばかり。テント生地の帳を伝う水は冷たい音をたてながら地面へ滑り落ちる。ここまで雨が強くなるとは思っていなかったので、打ち返しが多くなるエビを使ったのはある意味で失敗だっただろうか。このまま雨が続くのなら、やはり本命の2本は、長時間持たせることができる配合物多目のダンゴに戻すことにしよう。

 突如、tadashiくんの受信機LEDが、暗いテントの中で青く光る。この日は前回ほどゴミも多くなく、多少のゴミがあっても、竿の向きと投入点の位置関係からかわすことができているが、やはりバイトアラームではラインに触れる僅かなゴミの動きにも反応してしまっている。だが、午前0時をまわったころ、明らかにゴミではないアラームの反応を見せた。雨が降りしきる中、テントを飛び出せば、tadashiくんのリールからクリックサウンドが聞こえる。タモに入ったのはアベレージサイズ。64センチだった。

 この鯉のリリースを見送ったあと、私もエサの交換のために仕掛けを回収する。やはり捨て竿、1番竿ともにエビは針に残っていなかった。続いて2番竿も回収に入るが、前のエサ換えの時と同じように、こちらは重い手ごたえとともに魚の抵抗が帰ってくる。センサーは入っておらず、なんら変化は見られなかったのだが、またしても60センチほどの鯉が針先で暴れている。いったいなぜ、センサーのスイッチすら入れてくれなかったのだろう。恐らくは、周りに藻がたくさん生えているので、走り出す前に潜り込んでしまっているのだろう。鯉自身はそれで逃げたつもりでいたのだろうか・・。

雨の中、tadashiくんにヒット! 私にもヒットしていた。そろそろ大きいのが出ないだろうか

 センサーが入らないのがなんとなく腑に落ちないが、前回のようにアタリがないわけではないので良しとしよう。
 本命竿2本を、ふたたびダンゴ仕様の袋仕掛けに戻し、作り置きしていた同じダンゴを投入。捨て竿は引き続きエビを使うが、こちらはセンサーもなく、風がまだ多少あるので鈴をつけるのもやかましいだけだろう。エサ換えや見回りのときにだけでも竿に変化があったことがわかるよう、ラインに切れ込みを入れたスポンジをセットして、ラインが出た形跡を残してくれるマーカーとして使うことにした。

 雨脚は強弱を繰り返しているようだ。ずぶ濡れになる前にテントに戻り、談笑の続きをする。この夜はこのまま語り明かすことにしよう。予報では、明け方には雨は上がるという。はたしてこの雨が今後の釣りにどう影響するか。はじめ南東の方角に吹いていた風は向きをかえ、向かい風となる北寄りになっている。空気は冷たく、この浅い発寒川の水温を下げる。

 時刻は午前4時。西の空ははやくも明けはじめ、予報どおりに雨は落ち着いてきたようだ。エサ換えのためにそとへ出て、すべての竿にまたアタリなきヒットがないかチェック。センサーの電源とバッテリー残量も確認。ここで楽しき語らいを一端切り上げ、車に戻って寝袋に包まるとする。あっというまに闇は開け、発寒川の上流にはうっすらと霧がかかっている。眠れるかどうかわからないが、午後8時にエサ換えをすることにして、4時間ほど休息を取ることにする。


 電子音に目が覚めた。いや、実際寝付いてもいなかったのだろう。眠っているか覚めているのかわからないような状態から体を起こすと、tadashiくんがテントから飛び出す姿がみえた。バイトアラームが鳴り響いている。今度は少しサイズアップしているか?ラインに絡む草の間から見せた魚体はアベレージサイズをオーバーしているように見える。ランディングした鯉をマットに乗せ、計測すると70センチ台を指した。

 時刻は午前6時。北向きの風は強まり、寝袋から急に外に出た私たちにとっては、体感温度の低さは身を震え上がらせた。すぐに車に戻ろうとしたとき、視界に入った捨て竿のマーカーの位置がズレていることに気づく。引き上げてみると40センチほどの小鯉がヒットしていた。この捨て竿のアタリのとり方なら仕方のないことだが、ここまで小型ながらも4匹の鯉を上げてきて、一度もセンサーメロディやまともなクリック音を聞けていない。なんとなく寂しい気分になり、次はしっかりと鯉らしいアタリを見られることを願う。

朝の冷たい向かい風の中、tadashiくんにヒット 70台。このサイズがもっと出てくれれば・・
気づけば結構役に立っている捨て竿 また小さいのがヒットしていた 

 午前8時に予定どおりのエサ換えするも、ほとんど眠れていなかったために二度寝してしまい、活動再開は午前10時からとなった。

 太陽の熱がこもり、暑くなった車内で上着を脱ぐも、外に出れば相変わらず冷たい向かい風に曝され、またジャンパーに手を伸ばすことになる。雨はすっかりと上がり、太陽が釣り場を照らしているが、気温は低い。

 いつもと同じパンで朝食をとりながら空腹を満たしているところに、一台の車が入ってきた。おりて来た男性に声をかけられ、この釣りの状況と最近の近況を話す。車を置いている土手の上から釣り場を見下ろしながら、情報の交換をしていると、赤い捨て竿が地面に平伏したのを見た。反射的に土手を駆け下りファイト開始。やはりまた、サイズはあまり大きくないないだろう。だが、しっかりとアタリを出し、ファイト中もスプールを回してくれた。上がったのは68センチ(目測)。ようやく鯉らしい鯉を釣った気がする。

 この捨て竿の投入点は10メートルほどのチョイ投げなのだが、岸に近いところに鯉が寄っているのだろうか。本命2本はもう12時間ちかくアタリを取らずに、ただ風に吹かれてゆれている。1番竿の投入点をすこし岸よりにして打ち返し、今度はセンサーが反応してくれることを願う。


 願いはかない、やっとのことでセンサーメロディを聞くことができたのは正午をまわろうとする頃だった。これまで本命の竿で釣った60センチよりも元気よくクリックを鳴かせてくれたのだが、タモに入ったのは40センチくらいのチビ鯉であった。なかなかサイズアップしないものだ。インターネット選手権の期間はこの日の24時まで。私たちは夕方には撤収予定なのだが、それまでに前回のサイズを更新することはできるだろうか。この調子ではこのあとも小型が続きそうだが・・。

 リリース直後、今度はtadashiくんのアラームが鳴りだした。こちらも50センチほど。この釣行は一応、前回のリベンジマッチなのだが、なんとも微妙なこの展開。もちろんアタリがあることはとても嬉しいのではあるが、塀の高い境界線を引かれ、その先に行くことができないかのように、サイズアップの兆しが見えてこない。


 tadashiくんと二人、背で風を受けるようにしながら昼食と軽い談話。アタリは続かず、寝不足で会話も少なくなる。センサー受信機のバッテリーは前回釣行から使っているものだが、まだ持つようだ。車の中にて、受信機を缶ホルダーに突っ込み、スピーカーに繋げて、倒した助手席のシートで音楽を聴きながら仮眠を取ることにした。

 携帯電話に接続したイヤホンで、音量を最小にしたミュージックプレイヤーの曲を聴きながら目を瞑る。いつも思うが、泊り掛け釣行をすると昼間の時間がなぜか短く感じる。夜を楽しくすごし、寝不足でものを考える力が鈍っているからだろうか。あっという間にもう午後4時。今回はさっきの40台で終わりかなぁ・・。ここまで6匹の鯉を釣り、tadashiくんの釣果をあわせると9匹だが、70越えはtadashiくんの2匹目のみ。

 午後5時、リベンジ釣行の結果としては、なんともいい難い境遇のまま、ゆっくりと片付けの準備をはじめた。その最中、tadashiくんにアタリがあり、30センチほどの可愛いヤツを追加。暮れる合流点のフィールド。片付けの最中に、小川さん夫妻が車を止め、入れ替わりで釣りを開始された。私は次回、また頑張るとしよう。川崎の高橋さんがまたお仕事でこちらに来られているので、週末の釣行にご一緒させていただきたいと思っている。