釣り日記2009 気配とは裏腹に… 

釣行日 5月2日午後4時〜
5月3日午後6時
場所 伏籠、発寒、創成川合流
時間 天気 くもり〜晴れ(南西の風)


 5月2日15時、創成川の土手でくつろぎながら、メールを送ったtadashiくんからの返信を待つ。

 本年度初の泊り込みの釣行は、もっとはやいうちから実行したかったのだが、何かとあって先延ばしになってしまっていた。このゴールデンウィークは、思っていたよりも釣りに使える時間がありそうなので、5月2〜3日に茨戸川エリアでの釣りを計画。ただ、泊り込みの単独釣行は暇をもてあまし、無為に時間を過ごしてしまう傾向にある・・というか普通に寂しいので、釣友のtadashiくんをお誘いした。さきほどのメールの内容は、入釣する釣り場の事。創成川、伏籠川、発寒川の合流点か、茨戸川ネット裏〜グラウンド裏を候補に置き、環境や他の釣り人の混み具合などで決めるのだが、先に到着した私が状況を報告し、メールで相談。結果、伏籠川、発寒川合流にて待ち合わせをすることとなった。

 合流点のフィールドにはすでに先客がおり、私とtadasiくんの2人で入釣するのには悩んだが、その先客さんとお話しすると、場所を開けてくれるとのことなので、フィールドの最下流に私、そのすぐ隣の上流にtadasiくんが竿を並べた。

 魚影はかなり濃いようで、私たちの上流で釣りを続ける先客さんと、私たちのあとから最上流に入釣した方にポツポツとアタリがみられた。そのお二人の共通点は生餌。採取したスジエビをエサに使っており、普段コイが口にするナチュラルなエサの力を見られた。

 私たちはいつもどおりのダンゴ、ボイリー、バズベイトを使用する。私はいつもの袋仕掛けとダンゴを使い、ダンゴの配合内容は前回釣行のネット裏での釣りと同じ。1番竿は奥目、2番竿は、隣のお二方が手前の浅瀬でアタリをとっていることから、同じように軽く打ち込んでおいた。

上流の二組はエビをエサに好調 私たちのところは・・・・(し〜ん)

 この日の魚影の濃さと食い気から、私たちにも早い段階でアタリがあることを期待したのだが、ほとんど反応が見られぬままに空が暗くなった。

 お隣の二組が引き上げてから、上流から流れてくるゴミがラインに触れ、tadashiくんのバイトアラームがしつこく反応する。水の流れがそこそこあるのに加え、暗くなってからは上流から水面を撫でつける風が強くなりはじめたので、切れた草などで構成されるゴミの塊(島)がときおり私たちの目の前を通り過ぎていった。

 午後8時、2度目のエサ換え時間となるがアタリはないまま。ダンゴの配合を少し変えてみることにして、「龍王」+麦茶の配合から、「どすこい」+グラニュー糖の組み合わせで試してみる。

 投入点を変えるつもりはなかったのだが、遠投の1番竿のキャスティング時に目印にしていた枯れ木の枝が水中に消えてしまったため、感覚だけで投げ込み、後から「あぁ、すこしズレてる」と気づくことになった。しかし午後9時、この1番竿に反応があった。tadasiくんが設営したテントで遊んでいるとセンサー受信。ラインが出されたことでゴミではないことを確信し、ファイト開始。なかなか元気のよい鯉で幾度かスプールをまわして抵抗したが、タモ入れ寸前の足元で痛恨にもスッポ抜けてしまった。

 風の勢いは増しており、夕方から状況が多少変わってしまっているが、鯉の食い気がなくなっているわけではなさそうだ。このバラシが大きな悔恨とならぬよう、アタリが続いてくれることを願う。

 暖かかった昼間とは対照的に、夜はこの風もあって、気温が落ち込んでいる。体が冷えてしまう前に、ジャンパーの下に一枚重ね着し、このあとのアタリ待ちは、tadashiくんのテントの中にお邪魔して過ごすことになった。

 2人入ってもまだ広い大きめのテントの中、酸欠に気を使いながらバーナーで暖まって雑談を交わす。この時間があることで、アタリが渋いことでへの苦悩を忘れられ、楽しく過ごすことができた。人とのコミュニケーションが苦手な私なので、話し相手を退屈させてしまいがちなのであるが・・。そうしているうちにあっという間に夜はふけ、遠くから昼間は聞こえない踏切の警報が聞こえる。

 冷たい風はテントの壁を激しく叩いているが、その音に混じって魚の跳ねの音も聞こえてくる。tadashiくんのバイトアラームが時折、ピリッと鳴ることがあるが、tadashiくんが使っている3本の竿すべてのアラームが断続的に反応していることから、まだゴミが流れてきていることがわかる。このままダンゴでアタリがもらえなければ、エビを採取して使ってみようと考えていたのだが、テントの外の強風と寒さから、すっかりエビ採りが面倒になってしまった。今夜はこのまま明けるのを待つとしよう。

 午前3時まで談笑を続け、徐々に強くなる眠気を感じ、私は車に戻ってそれぞれシュラフに入ることにした。しかしテントよりも温度の低い車の中で横になったとたんに目が冴えてしまい、車の天窓から明けゆく空をながめて過ごすだけとなってしまった。

 再び眠気を催したのは午前6時ごろだろうか。思い瞼を閉じて眠りに入ろうとしたとき、センサーが入った。飛び起きて靴を履くが、受信音の様子がおかしいことに気づく。2つのセンサーの発信を同時に受信してしまっているようだ。土手をおりてゆくと、川面は流れてきた植物の塊に埋め尽くされている。センサーが入ったのは、やはりこの草が原因だった。流れが緩やかなために通過スピードが遅いうえに、上流を見渡すと、まだまだ大量のゴミが流されてくるではないか・・。そんななか、カヤックとモーターボートが私たちの釣り場の前で停滞して何やら始めている。仕掛けを回収して、ただ凝然とするしかなく、猛烈な睡魔にも勝つことができず、回収した仕掛けをピトンのセンサーステーに引っ掛けて一時釣りを中断することにした。

 午前9時、寝心地の悪さから目を覚まし、窓を開放して外の空気を吸う。川面にボートの姿は消え、ゴミもさきほどよりも落ち着いているようにみえるので、釣りを再開することにしよう。tadashiくんも起床しているようだ。

 濡れタオルに包んだ作り置きのダンゴを仕掛けに装着して土手を降りる。今日はこのままアタリを見ずに時間を過ごすことになるのだろうか・・。tadasiくんも珍しくタモを濡らさずに夜を明かしている。鯉ではなくボートがヒットしてラインを切られたというトラブルにも苛まれたのだとか・・。魚の気配だけはある、が、ただそれだけ。ここで何かを変えないとエサとセンサーのバッテリーだけを無駄に消費することになりかねない。

 朝食後、私とtadashiくんはポイントを変えることにして、道具の移動をはじめた。この日はめずらしく、私たち以外に釣り人が見られないので、少し上流の創成川の河口で再びタックルをセットする。ポイントの狭さからも、過剰にエサを置いてしまうのは危険なので、仕掛けをヘアリグに切り替え、バズベイト(白チョコ)とPVA(炒り糠+砂糖+ペレット+ビタバレー) の組み合わせで、(仕掛け、エサともに前回と同じ) 創成川と伏籠川の合流点の真ん中と手前に仕掛けを打ち込んだ。創成川の魚影は濃く、停滞しているゴミの下にも鯉の気配が感じられる。大正三色の錦鯉がゆらりと泳ぎ去った。

   少し上流の創成川河口に場所を移動  

 前日の天気予報では、朝のうちに雨が降る所があると聞いて多少警戒していたのだが、いまのところポツリと来る気配はない。風は弱まり、かなり過ごしやすくなっているのだが、あまり長閑に時間が流れてくれても寂しいものがある。当然、待ち望むのはこの駘蕩を破る躍動感であるが、このあとのアタリは運否天賦として流れに任せるしかないのだろうか。さて、これからどうしよう。

 tadashiくんは釣り場に訪れた彼女さんとウキ釣りをはじめ、耽々と浮子をみつめている。その横で何も考えずにリンゴを丸齧りしていた私だが、センサーが反応してくれるまで暇潰しに伸べ竿でも出そうか・・。

 食べ終わったリンゴの芯をネズミの巣穴の入り口に置き、立ち上がる。何気なく見た水面には悠々と泳ぐ錦鯉。そういえば昨日の先客さんも、「よくこの辺りで錦鯉をみる」と言っていたが、恐らくコイツのことなのだろう。釣堀以外で色鯉を釣ったことがないので、一度タモに入れてみたいものだ。ふざけ半分であるが、錦鯉捕獲プロジェクトを稼動してみることにした。

 車の中から、私が6年前まで使用していた振出投げ竿のセットを2本取り出す。久々に手にしたこのタックル、感触に懐かしさを覚えながら、ガイドにラインを通した。錦鯉はかなり岸に近い浅瀬で見られたので、岸際で停滞している草の塊(島)まわりをポイントとして選ぶ。この島の前で竿を置き、仕掛けをセット。2本あるうちに1本にはパンプカ仕掛け。パンは私の朝食用しかもっていなかったのでマシュマロを使い、島の上に置いておく。その周りにも、ちぎったマシュマロを少しだけ撒いておいて準備完了。2本目の竿はボトムアタック。20号のオモリのついたサキ糸を結び、その先にはヘアリグ。エサにはボイリー(BMFパイナップル)を使い、PVAに寄せエサを入れて一緒に投入。島の際をポイントとして打ち込んだ。

錦鯉捕獲プロジェクト(笑)島の前に竿を構えて待ち伏せ PVAには炒り糠+砂糖+ペレット+ビタバレー

 ただでさえ本命の竿で20時間も釣果なしというのに、たくさんいる鯉の中の一尾だけを狙っての釣り。まぁ、先にも述べたようにふざけているだけなので、錦鯉でなくともこれでボウズを逃れられれば願ってもいない幸運だ。

 数十分間、この場で竿を眺めた後、飽きてきたので本来の釣り場に戻ろうと腰を上げたそのとき、ボイリーのほうの竿から糸が出された。とっさのことに驚き、竿を持つと、大正三色の背中が水面を割り、沖へ走ろうとする。

 おいおい、マジかよ!?まさか本当に掛かるとは・・。ヒットなど微塵も期待していなかったので、当然タモなど用意していない。本来の釣り場までの距離は数十メートル。一端竿を置き、タモを取りに走ろうと思ったが、私のヒットに気づいたtadashiくんがタモをもって駆けつけてくれた。僅かな抵抗の余韻を私の手に残し、タモに入ったのはまぎれもなくあの錦鯉だった。「ほんとに掛かってくれなくてもよかったのに(笑)」と笑えてしまい、すっかり忘れていたが、鯉の尾が70センチのタモ枠からはみ出している。インターネット選手権のことを思い出し、もしやと検寸台に乗せてみると、77センチで前回の記録から2センチ更新。なんとまぁ、ラッキーなことだろう。

錦鯉は77センチで申請サイズ更新だった でもまさか本当に掛かるとは・・

 申請サイズを更新するとも思っていなかったので、選手権のパスワードすら用意しておらず、ランディングからもtadashiくんと彼女さんに色々と協力してもらうことになってしまった。

 リリース後も錦鯉用の2本の竿は捨て竿として、引き続き出し続ける。この錦鯉を釣った場所は本来の釣り場から離れていて、私だけ無駄に場所を取ってしまうことになるので、本命の竿の横に移動させ、ちょい投げの近場攻め用として流用した。

 一時バズベイトを使用していた本命の竿だが、不安を感じ、もう一度ダンゴに戻すことにした。配合は変わらず「どすこい」と砂糖の組み合わせで、これまでよりも小さめに握って投入。

 エサ変えをすませたが、またここからアタリのない長い時間が続いた。やることもないので、もう1匹錦鯉がいないかなと探し回っていると、今度は黄色いナマズを発見。よし、こんどはアイツを釣ろう。そう思い立って用意したのは篠津湖での小ナマズ釣りで使うトラウトタックル。狙っているイエローなまじぃは50センチ以上あって、けして小ナマズではないわけだが、とりあえず反応だけ探ってみる。ナマズの近くにジグヘッド+グラブを落としてアピール。しかし黄ナマズは気づいてくれない。今度は攻め込んで顔の真ん前に落とすも、見向きもしてくれない。なんだかシラケたので、ナマズの頭にルアーを乗っけると、さすがに嫌がって去っていってしまった。あぁ、なにか暇を潰せるものはないだろうか・・

   イエローなまず  

 はやくも日が傾き始める。夕方近くになり、ネット裏で釣りをされていた前川さんと中川さんが、釣り場変更でこちらへ移動して来られた。お二人は朝まで私たちが入っていた最下流にて代わって竿を出し、ロッドポッドを並べる。

 私とtadashiくんは夕方には納竿予定なので、ここで夕マズメを狙ったラストスパート。最上流の創成川寄りに竿を出していたtadashiくんだが、流れてくるゴミの猛攻を避けるため、2度目の釣り場変更。今度は私のすぐ下流にてタックルを再セットした。tadashiくんのロッドポッドでは竿先を高く立てることができず、ゆえにゴミが引っ掛かるラインの範囲が大きい。そこで川面から土手に高低差のつく下流にて竿を出した。

 私は最後にエサを換えようかと思ったのだが、ここはあえてそのままにして終了時間を迎えることにした。ここからの時間は前川さんや中川さんのお話を聞くことができ楽しいものとなったが、残念ながら終了時間の午後6時、私たちは今回の釣りに終止符を打つことになった。

 私はたまたま錦鯉を釣ることができたが、本来ならば昨晩午後9時のバラシからノーヒットのボウズ。tadashiくんは昼頃に小型のヒットをもらい、ボウズを免れたようだが(全然気がつかなかった)、27時間の釣りでこの結果では納得がいくはずもなく、お互い、泣く泣く納竿することとなった。

 竿を仕舞ってからもしばらく釣り場に居座り、前川さんと中川さんの釣りを眺めた。下倉さんも訪れ、談笑会となっているところに、前川さんにヒットがあった。取り込みまで、やはりゴミに苦戦されたようだが、無事タモに納まったのはデップリとした体格。かなりの重量級でヨーロッパ鯉を思わせる一尾だった。

私たちに代わって、前川さん、中川さんが入釣 前川さんにヒットした重量級

 これを見てしまうと、一度仕舞ったタックルをまた車から出したい気分になるが、ここは我慢して釣り場をあとにした。
 ネット選手権は10日まで、あと一度は竿を出し、今回のリベンジを果たしたいと思っている。次回はどこで釣りをしようか・・ガソリン残量と節約生活を考えると、やはりこの辺りが限界だろうが・・・。