釣り日記2011 泡付けを眺めて… 

釣行日 3月31日12時〜18時 場所天気 創成川
時間


 モノクロの視界に色がつく。雪はすっかりとなくなり、高らかと鳴く鳶の姿が清々しい。
 まだ少し気温は低いが、一日ゆっくりと釣りを楽しみたい。時間の空いたこの日は、他に用事をいれずに時間をつくり、ただただ釣りのことだけを考えた。

 このごろ、天気のほうはあまり芳しくないようで、ようやく温まった地面が霙に冷やされる日もある。釣行当日も、天気予報では雪が降るとのことだったが、朝は雲の切れ目からの日差しに起こされた。

 春眠暁を覚えず・・というか前日からの疲れを引きずっており、寝坊をしてしまった。
 時刻は午前9時。本来の予定ならば午前7時には家を出て、今回の釣り場選びに興じているはずだったのだが・・。

 殺風景な自室のベッドから飛び出し、対照的に散らかり放題な実家にて軽めの朝食を済ませて、すぐに出発。となるはずが、ここでもまた予想外の出来事が。朝食の後片付けの最中、キッチンで木魂する不吉な音。その発信源に目をやらずとも、グラニュー糖を入れている箱が足元に落ちて散乱していることがわかった。自分の部屋ならばそのままにして、帰ったあとに片付けるが、ここは実家。誰に何を言われるか知れたものではないので、即座に処理をして、急ぎ足で自室に置いてある荷物を取りに戻る。

 私は、親が住んでいる実家のアパート内の別の部屋にて、半一人暮らしをしているので、部屋にはすぐに戻ることができる。だが、またしてもここでトラブル発生。淡水魚を飼育している水槽のフィルターからの異音。モーターに不調をきたしているようなので、すぐに電源を切り、原因を確かめる・・が、よくわからず、そのままにしてエアーレーションはエアポンプに切り替えた。

 さぁ、大幅に日程がずれてしまった。だが、今日は釣りのあとに用事が待っているわけでもないし、今からでも十分に、この日の時間を釣りに使える。荷物と車のキーも持って、いざ出発!と玄関ドアを開ける。

 何かが私の邪魔をしているようだ 

 外れてしまったノブが、どのようにしてドアについていたのかがよくわからず、ただの螺子式だということに気づくのに時間がかかった。もう!成るようになれと言いたい所だが、これ以上に変なトラブルに巻き込まれてはたまったものではない。ここからの行動は慎重に、釣り場までのドライブも安全運転で、午前11時にようやく創成川に到着した。

 前日の雨の影響で濁りが出ているものと思ったが、透明度は比較的高い。水位は多目であるが、水温は10度ほどと前回よりもやや低めを指していた。

 この日はいつもより下流の赤水門、もしくは合流に入ろうと思ったのだが、この時期の下流エリアではヘラブナ釣りの人が多く、釣り台を並べられている。邪魔になってはいけないので、私はおとなしく、いつもどおりの北五番橋で竿を伸ばすことにした。

 魚の通りの頻度は高く、前回のように、ウグイがいないなんてこともなさそうだ。だが、気になるのは水の透明度。創成川の中でも特に浅い北五番橋では、このような条件下での釣りはより難しくなる。

 とりあえず、一投目に使う仕掛けとエサは、前回釣行と同じもの。ボタン仕掛けに鶏卵より小さいサイズのダンゴを装着して、いつものポイントにキャスト。すべてのセットを完了したのは正午をまわった頃だった。


 バラケたダンゴはウグイについばまれ、いい感じで底残りしている。だが、通りかかる鯉のほとんどはそれを無視して去ってゆく。やはり透明度の高いコンディションでのダンゴは警戒されるのか・・。というよりそれ以前に、今日の鯉の食いはあまり良いものとは言えないようだ。警戒してのスルーではなく、完全に気にしていない様子。

 鯉はよく現れる。だが前回との違いは、スクールで泳ぐ鯉が多いということだ。ほとんどの鯉が単独ではなく、2〜5匹ほどのグループを組み、早足で上流へ向かっている。これはこの時期になると毎度のことで、時には30〜40匹ほどの編隊で現れるが、そのような鯉がヒットする率はかなり低い。このような行動を見せるコンディション下では、どのような作戦を組めばいいのだろう。いろいろ考えるが、今回は食い気のある鯉を待つことにした。

 午後1時半、ダンゴは鯉を惹くことなくウグイやフナに食されたようだ。もう一度ダンゴを入れるか、ほかのエサに変更するか、迷いどころだが、食い気のある鯉にまでダンゴに警戒されてしまっては困るので、ここでエサと仕掛けを変えることにした。

 色でアピールすると逆効果になることを恐れ、地味な色のエサを選択。ここから使うのはヘアリグとボイリーの組み合わせ。
あまり地味すぎても、食い気のある鯉に気づかれずに素通りされても困るので、PVAバッグにペレットと、必要に応じて炒り糠を入れる。

オモリ部(中通し誘導)
オモリ:ひし形25号
サキ糸:PE8号2本縒り

仕掛け(ヘアリグ)
ハリス:PE6号(15センチ)
針:チヌ8号

エサ(ボイリー)
BMFパイナップル、ピンクペッパー

寄せエサ
マス養殖用ペレット(サイズ6p)+糠

 少なからずも、食い気のある鯉は現れる。橋の上からの観察で、この日の食い気のある鯉がよく現れるポイントを2点しぼり、仕掛けを打ち込んだ。その下流には柄杓をつかってペレットを少量撒いておく。

 川の流れは弱く、ゴミはあまり流れこない。落としオモリを装着して警戒する鯉にそなえた。センサーセットのあと、もう一度橋の上に観察をしにいく。

 しばらく待っていると、アベレージサイズがポイントに現れ、点在するペレットを食みながらゆっくりと仕掛けに近づく。だが、ボイリーには口をつけずに去ってしまった。続いて70台も現れ、2番竿の仕掛け付近で摂餌行動を見せたが、ヒットせずに終わった。相変わらず、エサに興味を示さないまま颯爽と去っていくものも多いが、食欲のあるものは柄杓で撒いたペレットをよく啄ばんでくれるので、このまま待ってみることにしよう。

 午後2時。風向きは北西で、弱いが冷たく、橋の下を陣取ってアタリ待ちしていた私に身震いさせる。震える手で昼食を食べたあと、車の中でセンサー受信を待つことにして土手を登り、車に入る前に、一度水中の様子を見ておくことに。

 偏光グラスをかけて、欄干から顔を乗り出したそのとき、1番竿のポイントにて、首を振りながら暴れる鯉をみた。土手に目をやると1番竿のセンサークリップが弾かれ、竿が大きく下流に向かって弧を描いている。すぐさま橋をおりてファイト開始。幾度かの抵抗でラインを出したあと、ゆっくりと水面を割った鯉は60センチあるかないかのサイズ。タモで掬い、ランディングしようとしたが、入りが浅かったために魚が水中へと落ちた。そのとき針もはずれ、不本意なリリースをしてしまった。釣果としてカウントしようか迷ったが、ランディングまでできていないのでバラシということにしよう・・。

 1番竿の打ち返しのついでに2番竿も回収し、こちらは投入点を少しずらしてみる。するとすぐに2番竿に反応が出た、がヒットには至らず、竿先に小さな余韻を残して消えた。このような場合、いつもならすぐにエサのチェックをするが、今回はボイリーなので恐らく問題ないだろう。

 底が余裕で見えるほどの透明度だった水が、ここで濁りだし、微妙だが流れも出てきたようだ。大きなゴミが流れてくる様子はなく、この濁りは鯉の警戒心を中和する良い薬になりそうだ。

 そして1番竿に小さな反応。その直後、ラインが上流に走った。今度はしっかりヒット!最初にヒットしたものよりも、若干重量は増しているか・・しかしサイズはあまり大きくない。65センチといったところだろうか、手早くリリースし、次に備える。

 濁りで魚の姿が見えなくなったが、現在の1番竿のポイント付近と、一投目にダンゴを打ったポイント付近で泡付けがはじまった。やはり濁りが功を奏してくれたのか、いい感じで寄ってきてくれている。

 1番竿にヒット!  サイズは60半

 これならしばらくは心配なさそうだ。あとはゆっくりアタリを待つことにしよう。

 午後2時半を過ぎた頃、晴れていた空は曇りはじめ、冷たい空気が雪の気配を感じさせる。水を触って赤くそまってしまった冷たい手をさすりながら、車に入り、センサーの電源をチェック。後部座席のシートにもたれながら、コーヒーで一息ついた。

 もう4月といえども、やはりまだ寒い・・。気温が上がってきているとはいえ、ずっと外にいると道産子体質の私でもさすがに体が冷えてきてしまった。こうして暖かい車内からのんびりアタリをとるのもいいが、春の陽気の中で風に吹かれながらの釣りができる季節が待ち遠しい。といっても、もうすぐのことだが。

 水面の泡付けは途絶えておらず、あちこちで細かい泡が無数に上がっている。泡付けは魚の食い気を象徴するものであるが、水面に浮かび上がる泡には大きくわけて3種類ある。一般的に泡付けは呼ばれるものは、鯉などの有気管魚類が浮き袋の内圧を調整するためにガスを排出することだが、自然に水底にたまったガスが出てくることもあるし、また鯉の摂餌行動により底砂が刺激され、水底のガスが出てきて浮き上がることもある。水面を見ただけではその3種類の区別は付きにくいが、いまポイント周辺に浮かび上がっているものは、確実に鯉によるものだろう。

 突如、1番竿ポイントの水面に飛沫が上がる。わずかなタイムラグがあり、車内でもセンサーが反応。車を飛び出してファイトにかかるが、やはり大きくはなく、60センチあるかないかの鯉。そろそろサイズアップしたいところだが、アタリがあるだけいいだろう。ポイントにはまだ魚が入っていて、チャンスはある。

 リリース後、ペレットだけを入れたPVAとともに仕掛けを投入。そろそろ撒きエサのほうも、食べられて少なくなっているだろうから、ペレットも追加。さぁ、今日はどこまで釣果を伸ばせるだろうか。

 最初にヒットしたのと同じくらいか・・?  濁りが出たが、泡が上がるようになった

 午後4時前、ふたたび車に戻ってくつろいでいるところに、当サイト閲覧者の勇太(現:SASAYAN)がパンプカタックルを持って現れた。上流からパンを流しながら遡り、ここに辿りついたようだ。ひさびさの対面なので、しばらく釣り談笑していると、この下流をホームグラウンドとしているという初対面のおじさんもここを訪れ、しばし3人で釣り談笑となった。

 創成川での釣りやアクアリウムなどの話で語らっていると、またしても1番竿に反応。センサーは入るが、ラインがクリップから外れるほど引かれていない。そのまま竿は動かなくなったので、空アタリかフナの悪戯かと思ったが、上げてみると30センチほどの小鯉がついていた。

 本日2度目の反応からここまでアタリが途絶えている2番竿も引き上げてみるが、特に異常は見られず、エサは換えずにPVAだけを取り付けて、1番竿寄りのポイントに入れなおした。水中では食い気のある鯉がポイントに溜まるようになったようでいい感じだが、気温は下がり、楽しい談笑の場に横なぶりの湿った雪が降り出した。そんななか、3人で向かい合い、釣り談義を楽しんでいると、寒さなど忘れてしまう。去年の暮れからこれまで単独での釣行であったので、このような時間を釣り場で過ごすのも久々に感じる。

 時刻が午後5時をまわろうとしたとき、1番竿の穂先が暴れ出した。さきほどと同じく、センサークリップは外れないまま、竿の動きが止まってしまう。また小型がヒットしたのか、それともこの後にまた一気に食い込むのか・・。半信半疑のまま迷ったが、仕掛けを回収してみることに。竿から伝わる感触に躍動は感じられず、やはりそのまま待ったほうがよかったかと思ったが、上げてみると30センチほどのマブナがついていた。

 かわいいのがヒット♪  小さいどころか鯉じゃなかった

 しばらくして、おじさんは帰ってしまったので、私とSASAYANでお話を続ける。SASAYANはパンプカに使う仕掛けを1セットしか持ってきていなかったらしく、しかもその1セットを、私の目の前でマジックのごとく綺麗さっぱり消して見せたおかげで、パンプカを続行できずにいた。しかしせっかくタックルがあることだから、ブッコミの仕掛けとエサをレンタルして一緒に釣りをすることに。SASAYANが選んだ仕掛けはナス5号の軽いオモリにチヌ10号一本針。それにパンやマシュマロとつけて半フカセ釣りのようなスタイル。

 SASAYANの竿だしが完了したところで、私はコンビニに買い物に出るが、その最中に1番竿にヒットがあったようだ。留守番をしていたSASAYANが代わりにファイトしてくれたのだが、残念ながらスッポ抜けてしまったらしい。戻ってすぐに打ち返すが、魚が散ってしまったのか、泡付けが消えてしまった。このまま午後6時まで待ってみるが、私にもSASAYANにもアタリはもらえず、ここで終了することになった。

 寝坊とトラブルによって時間を大幅にロスしてしまうことになったが、十分に今回の釣りを楽しむことができた。さぁ、次回の日程を考えよう・・♪