釣り日記2011 09年 釣初め 

釣行日 3月9日13時〜16時 場所天気 創成川
時間


 暴雨を齎していた黒雲が開けた。天上一面に広がった空の色は、すぐそこまで来ている陽春を匂わせている。

 この匂い。始まりの季節が間近にあると知らせてくれる、雪解けの音が好きでたまらない。

 この冬は、私事で忙しく動き回っていたのだが、久々に肌にしたこの陽気に誘われては、私の血が騒がないわけもない。ひさびさにホームグラウンドへと出向いてみることにしよう。

 学校は休業中であるが、この日も前日から引き続いた用事があり、その後も、飼っているウサギを動物病院へ連れていかなくてはならないなどと、忙しい一日になるが、3時間ほどの時間は取れそうだ。釣り可能のコンディションであるのならば、この八つ時をホームグラウンドで過ごすこととしよう。眠らせていたタックルを呼び覚まし、一式を車に積み込んだ。

 雪でいつものスペースに車を駐車できないが、橋の下流に車を置けるスペースがあった。ダッシュボードの上に置いてある偏光グラスを取り、北五番橋へと向かういつもの動作。川を覗く。

 ここは相変わらず水位が低い。今日はいつも以上に水が減っている。護岸の水跡が30センチ以上の減水があったことを示していた。だが、魚影は思った以上に濃い。70台の鯉が一回り小さい一軍を率いて上流へ向かっていった。下流からはさらに上流へ向かう鯉たちが上がってきている。大きいもので70台で、それ以上の大きさのものは今は見られないが、これなら申し分なく、短時間実釣できるだろう。09年釣り初め、初鯉は出るか・・。

 早速始めることにする。今回は車から近い北五番橋下流で場所をとり、タックルをセットした。まだ雪が深くて、ピトンを刺しても地面までとどかない。ピトンの脚を雪に深く埋め、固めて固定する。

 釣方は、いろいろと試したいこともあったのだが、3時間のプチ釣行ということで、ダンゴエサを使うことにした。アピール力の強い小型のダンゴエサを作り、袋仕掛けで投入。詳細は以下の通り。

オモリ部 (中通し遊動式)
サキ糸:ナイロン16号
オモリ:ひし形25号

仕掛け (袋仕掛け1本針)

袋、ハリス:巨鯉ハリス8号
針:チヌ10号

ダンゴエサ

「龍王」(篩いにかけたもの)+「グルテン四季」+「GTS」+さなぎ粉

食わせエサ

乾燥コーン+マシュマロ

 底残りよりも、バラケやすさと匂いの強さを意識したダンゴを作り、短いペースで打ち返しできるようにする。食わせエサも強くアピールできるマシュマロを小さく切って使用。しかし溶け易いエサであるうえに、ダンゴの匂いが強いので、ウグイの猛攻にあったときを考えて針落ちしにくい乾燥コーンを一緒につけた。

 まず第一投目。手前は浅いので、真ん中からその奥に2本とも投げ込む。1番竿は川の真ん中に。2番竿はその奥のウィード際に入れた。

 今日はほんとうに水が少ない。手前では水深50センチ以下。真ん中から水深が増して、鯉がノンビリと泳いでいる。エサを探す鯉が水面に泡を浮かべた。

 それにしてもいい釣り日和だ。今日の札幌は8℃まで気温が上がるらしい。この気温ならば外でのアタリ待ちも苦ではない。竿の横に座り、リールが鳴くのを待つことにしよう。水温は12度、魚の活性、食い気も思ったほど悪くない。


 投入から一時間が経過したが、アタリはない。魚の様子は変わらず、頻繁に入ってきてはいるのだが・・。エサ換えついでに、投入点をずらしてみよう。真ん中に打ち込んでいた1番竿をウィード帯の際に、2番竿をウィード帯の中の、対岸にほど近いラインへとポイント変更した。

 相変わらず鯉の警戒心は強いので、落としオモリを使ってラインを沈めたいのだが、今日は流れが強く、細かいゴミが多いので使用を諦めている。

 残り時間はあと2時間ほど。プチ釣行なので、普段より荷物を減らしており、ダンゴの配合以外の戦法の転換はできない。同時に、いつものようにムキになって釣ろうとも思っていないので、あとは運に任せて、ゆっくりとこの空気を楽しもう・・。なぜかカバンの中に入っていた、電子ピアノの取扱説明書を片手に、雪に埋めて冷やしたミカンをつまむ。少し風が出てきたか・・・、南の風が水面の色を変えた。

 午後3時、視界の端にあった2番竿が揺れた。反射的に竿先に目をやると、小刻みに動いている。前アタリか、それともウグイがヒットしたのか・・。竿はしばらくその動作を続け、そしてゆっくりとラインが移動をはじめる。次の瞬間、竿が大きく左に弧を描いた。

 フィッシュオン!手ごたえは軽い。だが2009年度のファーストカープだ。久々のやりとりを楽しみ、浮いてきた魚を掬い上げる。アベレージサイズよりやや小さめの60センチほど。でも大事な一尾。コロコロと太った、顔の小さい奴だった。

  2009年はこの鯉でスタートを切った  

 リリースした初鯉は元気よく下流へと姿を消していった。残り時間は僅かだが、あわよくば2匹目を・・。

 2本とも同じ場所に打ち直し、最後のエサ換えを済ませた。水位が少し増しただろうか、いつのまにか水には濁りが入り、水中の様子が見えなくなっていた。

 カチッカチッとリールがからのノッチ。流れも強くなってきたため、ゴミがラインにこびり付くペースが早くなっているようだ。一度竿を手にとり、仕掛けを動かさぬよう、やさしく、鋭くラインをゆすってゴミを切る。しかし瞬く間にゴミはラインに引っ掛かる。しかたがない、このままにしておこう。

 終了30分前、1番竿のリールから一瞬、ギィとクリックが鳴った。期待したが、これも魚ではないようだ。大きな枯れ枝がラインに引っ掛かってしまった。川は濁りを増し、上流から大きなゴミを運んでくる。

 一番やっかいなのはこの島。これはまだ小さいほう  釣りをしていると、何故か雪だるまを作りたくなる

 島のような大きな草の塊まで流れて来るようになってしまった。これが頻繁来るようになるとやっかい。水深の浅いこのエリアでは、大きな「島」は底を引きずるようにして流れるので、落としオモリでラインを沈めてもかわしきれないことがある。

 どうにも釣りにくい状況になってしまった。時間も時間なので、今日はここまでとしよう。小さいながらも初鯉が釣れてくれたので、十分楽しめた。本格的なシーズンインまで、このような短時間釣行をまた何度かできればいいと思う。時間をみつけて、また来よう。翠緑の季節まで、あと少し・・。