鯉釣り日記2008 晩夏のホームグラウンド
 釣行日 8月30日午後6時30分〜
31日午後6時30分
 場 所  創成川
 時 間


 夜風を楽しんだナイター、ソウギョ、炎天下、夕涼み・・釣果はともかく、充実した釣り内容を満喫することのできたこの夏。

 8月最後の日はホームグラウンドでゆっくりと時間を使って過ごすこととした。釣行2日前、tadasiくんからメールをもらい、創成川北五番橋での釣行を共にすることになり、30日午後6時半、tadasiくんより一足先に釣り場に到着した。

 去年春に好調だった、北五番橋の少し下流でも釣りをしてみたいのだが、緑地の真ん中に位置していて近くに車を止められないのが残念。いつもどおりのスペースでタックルを手早くセットし、前回同様の長ハリスの袋仕掛けにダンゴ(龍王+どすこい)、食わせは乾燥コーン+食わせコーンでの一投目。

 すでに日が落ちてしまっているので、暗くて水中の様子が見えないのが残念だ。仕掛けやエサに対する魚の反応さえわかれば、その場でこの日のペースを掴むことができるが、それができないので、エサの配合分量もポイントも前回の夕涼み釣行とほぼ同じにして様子を見ることにした。

 ここ最近連日で続いている雨の影響で水位は高く流れは緩やかだが、これから夜の時間帯で水位は後退し、流れも速くなってしまうだろう。大きなゴミが流れてこなければいいが・・・。

 午後8時ごろ、tadasiくんが到着し、橋のすぐ下流でタックルセット。tadasiくんは橋の下にテントを張って泊り込む。私も今度はツーリングテントでも用意して、というか、ツーリングテントが無事であればそれを押入れから出土して、下流で竿を出してみようか・・。

 tadasiくんは4本の竿をセット。ロッドポットを2つ用意し、下流2本がボイリー、上流2本は自作のダンゴで投入した。

 その一投目のすぐあとに、下流のボイリーに早速反応があったようだ。しきりに鳴るバイトアラームの音に、釣りの所為で電子音に敏感になってしまった私の耳が反応するが、エサ換えの最中であったのでその様子を見に行くことができず、それからしばらくしてから、ヘアリグにボイリーをセットし直しているtadasiくんに尋ねてみる。どうやら鯉らしき反応はあるようだ、だが警戒心がある所為か、フッキングにはいたらないのだという。でも、鯉の食い気は悪くないということがわかり、モチベーションアップに繋がった。

 思ったとおりに、夜が深まるにつれて流れは強くなり、上流からは水棲植物の塊が流れてきて、私のラインを襲う。鬱陶しいことこのうえないが、しかたがない。落としオモリを使用していても、底を流れてくるゴミにやられてしまう。いまだ鯉の反応は見られない。その一方、tadasiくんのバイトアラームはよく反応していた。たびたびゴミがラインに引っ掛かってくるのでそれもあるだろうが、あきらかに魚らしき反応もある。

 普段橋の上から鯉を観察していると、明らかに鯉が食わせを吸い込んだのにもかかわらず、そのあとの鯉の首振り一発でかんたんに針を捨てられてしまうということがある。それがどういうことなのかよく分からないが、針のサイズやハリスの長さを変えても対処しきれない。特に警戒心の強い鯉が多いときはそんなことが続くことがあり、その場合は竿にはほとんど反応が出ず、水中を見ていなければ、そんな空アタリがあったということすら知ることはない。でもバイトアラームであれば、それほどの小さな仕掛けとラインの動きでもキャッチできるので、そのようなことが頻繁にあって、アラームを反応させているのではないだろうか。

 明確なアタリはないまま、夜が更けてゆく。水位は減退し、橋の下流側の欄干から水面を覗けば、街灯によって微かに照らされた水中が見えた。tadasiくんのダンゴに寄せられた10センチもないようなウグイが銀鱗をきらめかせている。

 このコンディションでは、どこにどのようなダンゴを投げれば、効率のいい釣りができるのだろうか。それを掴むことができぬまま、夜が明けるのを待った。

 tadasiくんのほうにはいくらか期待ができるが、私は明るくなってから勝負をかけることにしよう。そんなことを考えながら、欄干に寄りかかって、ぼぉ〜っと水面を眺めていた。しかし、

 この行為は、あまり夜中にするべきものではないかもしれない。というのも、近所に住んでいるらしきお婆さんに、自殺を図っている人と思われ、心配されてしまったのだ(苦笑)

 このとき私は、上下共に真っ黒な服装をしていたので、それが喪服だと思われてしまうという事態を招いた。

 「いえいえ、魚釣りをしているので川の様子を見ているだけですから・・」 と説明。あぁ、顔から火が出そうだ。

 午前0時が過ぎ、8月最後の日へと日付が変わった。
 突如、tadasiくんの竿に鯉らしきアタリ。ボイリーセットのほうのロッドポッドでアラームが作動した。が、またしてもラインの先に魚の姿はない。その直後に、ダンゴセットのほうのアラームが同じように作動。今度は穂先が下流を向き、ラインが出された。

 今度は掛かっただろう。tadasiくんがロッドを手にすると、鯉が水面を割った。しかし、私が持つタモに入る前に、スッポ抜けたのだろう、魚の猛攻はなくなった。やはり食いが浅いか・・・。

 午前2時ごろまで、もう1チャンスを願うがアタリはなく、それぞれ車とテントに戻り、寝袋に入ることにした。センサー受信機の電池残量が僅かだったので新しい電池に交換し、スピーカーに繋ぐ。tadasiくんのバイトアラームの音も聞こえるように、窓も少し開けておいた。

 少し暑いので寝袋は出さず、タオルケットだけを体に軽くかけて横になる。コーヒーやお茶を飲んだからか、なかなか寝付けず、目を瞑るだけの、眠っているのか、まだ覚めているのかわからないような感覚で少し疲れ気味だった足を休めた。

 午後3時半ごろ、激しい電子音が耳に入ってきた。車の中のスピーカーではなく、窓の外、土手の下。tadasiくんのバイトアラームが激しく轟いている。

 靴を履き、土手を降りて現場を見に行く。いままで途切れ途切れに鳴ることが多かったが、今度は鳴り止まない。相当走られているようだ。tadasiくんがファイト開始し、ラインの行方を追い、私もタモを持ち、アシスタントに向かう。

 数分後、出されたラインが少しずつ回収され、水面に魚の気配が浮かび上がった。今回はいいフッキングをしているようだ。無事にタモにいれ、マットの上に魚を乗せる。大きさは60台。アベレージサイズといったところだろう。いい突っ走りを見せてくれた。この時期は春に比べると70〜80越えの大型の姿が少なくなるが、魚の引きは楽しめる。創成川の春の鯉は70を越えていても、あまり走らず、すぐにギブアップするものが多いが、夏から秋にかけては50台でも激しいクリック音を聞かせてくれる。

  tadasiくんがヒットさせた60台。いい突っ走りを見せた  

 空は明るくなりつつある。いまのうちに睡眠をとっておかねば、そのうち暑くて眠るどころではなくなってしまうだろう。春の釣行のように変な夢を見ないよう願いつつ、軽い睡眠へと堕ちた。

 次に目を覚ましたのはけたたましい電子音が耳元で暴れているのに気づいたとき。午前7時、前日の朝に起きるためにセットしていた携帯の目覚ましが、また作動してしまったようだ。休日くらいはこのような目覚め方をしたくなかったのだが、解除し忘れていたみたいだ・・。バイブレーションでシートから床に落ちてなお暴れている携帯に軽い嫌悪感を抱きつつ、それを拾い上げ、目を覚ましてしまったので竿を見に行くことにする。

 すっかり明るくなっているので、橋の上から水と魚の動きも見ることにしよう。偏光グラスを取り出して、橋の上へ。仕掛けを投げたポイントの水底を覗くが、ダンゴエサはすっかりウグイにやられてなくなっていた。暗い時間帯にアタリを取ることを諦めていたので、エサ換えも7時間以上サボってしまっている。まだ少し眠たいので、とりあえずエサ換えをしてからもう1〜2時間眠ることにした。目を覚ましたらもう一度様子を見てみよう。再び寝袋に入るも、段々と暑くなり少し寝苦しくなってきた。そんななかなんとか睡眠に就くことができたが、目を覚ましたときには車内にこもる暑さが倍増。まずい茹ってしまう・・。

 ちょうど2時間後の午前9時。散策路を散歩する人も多くなってきた中でゼェゼェ言いながら灼熱地獄からの脱出。長袖シャツから半袖に着替え、冷たい水を飲んで生気をとりもどした。

 さて、エサの様子を見てみよう。ペンダントにぶらさげてあったグラスでポイントの様子を確認。ジャミにやられて広範囲に散らばっているものと思っていたのだが、ダンゴはバラけて粒子が積もったままの状態で残っていた。ここにきてウグイの活性が一気に落ちたようだ。水位は戻らず、潮も動いていないみたいだ。これは少し厳しくなるだろうか・・。

 一応鯉の姿は見えるが、その数と大きさはあまり好ましいとは言えない。午後までにどのように展開してゆくだろうか。まぁ、小さいのでもヒットしてくれれば楽しめるし、それはそれでいいのだが。とりあえずエサはこのままにしておこう。夜と比べてかなり数の減ったウグイだが、まずは奴らにダンゴを食べてもらわねば。ここの鯉はダンゴというもの自体に警戒する。バラけて粒子が積もっているだけの状態では、鯉はそれを見ただけで逃げてしまうことがある。エサ換えは行わずにこのまままた数時間おくことにした。

 朝食にパンと野菜ジュースを胃に放り込み、暑いので橋の下へ移動する。車の中はもう、人が入っていられるような状態ではなくなっていた。携帯やデジカメなどをもって、折りたたみ椅子をセットしておいた橋下へ。このときまで全然気がつかなかったが、いつのまにかtadasiくんの彼女さんが遊びにきていたようだ。tadasiくんは朝のエサ換えをし、寄せエサもポイント周辺にフーディングした。


 気温は上がり、トンボなどの虫たちが活発に飛び回っている。ダンゴを傷めてはいけないので、バケツや袋も橋の下へ移動させた。

 帽子で顔を仰ぎながら、暑がりな私は少々上の空になっていたであろう。そんな時間が続き、突如その空気を変えたのはtadasiくんのバイトアラームだった。午前10時ごろ、ボイリーにヒット。早朝の一尾よりも少しサイズダウンしているが、これもいい鯉だった。

 そろそろ私も攻めに入りたい。水中では、朝までバラケて、粒子が積もっただけだった私のダンゴも、いい感じで拡散している。微粒子によって微かに残る匂いと、数粒の大粒子だけが残った状態。よく見ると、さきほどtadasiくんが釣ったものと同じくらいのサイズの鯉が仕掛けの周囲をうろつきながら、僅かに残った粒子をついばんでいる。警戒心は強く、なかなか食わせを吸い込んでくれない。このサイズでも、見事に針をかわしている。

 食わせエサは鯉の口先にある。それを吸い込まんとするも、なぜか途中で辞めて、そのとなりに落ちているダンゴの配合物に口先を向けて摂餌を再開する。そんな行動を数十分繰り返され、もどかしくもありつつも、同時にこの釣りの面白みも感じる。これまで一尾だけだった鯉は姿をまし、アベレージサイズが数匹、ダンゴに寄ってきた。だが、どの鯉も食わせをかわしてしまい、なかなかヒットしてくれない・・。もともと振るいにかけて配合量を減らしていたダンゴの大粒粒子だが、今日の鯉は寄ってくるだけ寄ってきて、食わせだけを残していく。食い気はあるが、まだ警戒心が勝っているようだ。

 この場合ではダンゴの大粒子を少し増やしてやる必要があるだろう。だが、ここで新しいダンゴを投入してしまうと、せっかく寄っている鯉も散ってしまう。ダンゴの交換はせず、缶詰のしゃきっとコーンを柄杓でポイントに少量撒いておいた。そこへ、下流で釣りをしているTさんが訪れたので、釣り談義をしながら、鯉の姿を目で追い、食ってくれることを願う。

 2番竿の仕掛け周辺を20分間うろうろしていた鯉が、突然首を降り始めた。ヒット!一気にブッシュに突っ込む鯉。突然のことだったので、焦った私は橋の上で、持っていたしゃきっとコーンの缶を落とし、ぶちまけてしまった。とにかく釣り場に急ぎ、ファイトを開始するが、ブッシュの中から出てきたのは、草が巻きついたラインと仕掛け。魚の姿はない。残念ながら、スッポ抜けのようだ。

 橋の上に散らばせてしまったコーンを拾い、そのあと、少し仕掛けを変えて再トライ。これまで袋仕掛けにダンゴを着用していたが、30センチハリスの1本針に交換する。仕掛け投入後、ピンポン玉サイズの小さなダンゴをその周囲に投げ込み、缶詰コーンも少量撒いておく。ダンゴは乾燥コーンや麦などを多めに含ませて、食わせだけを残していく食い逃げの鯉にそなえた。

 そして1時間後、センサーメロディが鳴る。今度はしっかりとフッキングし、余裕あるファイトができた。手前に聳えるブッシュをかわして岸寄せ、tadasiくんにネットインしてもらい、ランディング。サイズはアベレージ・・よりやや小さめだろう。60センチか、それより少し小さいくらいの鯉だった。とりあえずはボウズを免れた。

  ようやく私にもヒット♪  

 だが、今日のコンディションはあまり芳しいものではなく、下流から上ってくる鯉の姿はすぐに途切れてしまう。数匹のスクールが短い間隔で一度に上がってくることもあるが、一尾一尾のサイズは小さくて40センチ〜60センチほど。大きいものでも70に届いていないだろう。もともとこの時期のこの場所は、あまり大型が期待できるものではないが、今日は特に小型が多いようだ。まぁ、致し方のないこと。それならそれで、その日なりの最高の釣りができれば面白い。

 正午すぎ、再びセンサーが入り、ラインが下流に走る。小さいながらもなかなかのファイターで、楽しませてくれた。サイズは65〜6センチほどだろう。良い鯉だが、特徴的なのは、片目が欠けていることだ。ケガや病気での失明ではないようで、右目だけが跡形もなく消えている。

2尾目、独眼の60台のアベレージサイズがヒットした

 再投入後、ポイントに少量のダンゴを投入する。橋の上から正確に、仕掛けの上流と下流にひとつずつ、小さいダンゴを投入しておいた。周囲に鯉の姿はなく、tadasiくんが竿を並べる下流にも上ってくる鯉は見られない。また次のスクールが現れるまで少し時間がかかりそうだ。この間にコンビニへ行き、昼食とミネラルウォーターを購入。最近は気温の低い日が続いていたが、また夏の暑さを取り戻してきたようだ。昼食のパスタよりも、水が口に進む。

 下流で釣りをするTさんも時折ここを訪れ、冷たい差し入れをくださった。Tさんも私たちと同じような塩梅の釣りをしているとのこと。特にすることもなく、しきりに覗く偏光グラスにうつるのは何の変化もない仕掛けと小さなウグイやバラタナゴたち。その中に1つだけ30センチほどの可愛いサイズの鯉の魚影が見え、数分後、その小鯉がヒットしてセンサーを鳴らしてくれた。だがここからのアタリは渋く、タモは濡れることなく、太陽に熱く焼かれてゆく・・

30台の小鯉さんがセンサーを鳴らしてくれた 下流のtadasiくんの釣り場

 日が傾きはじめたが、まだ気温は下がらず、私はただひたすら日陰をもとめて顔を仰いだ。電池式の小型の扇風機でも持ってこればよかったかもしれない。

 tadasiくんと彼の彼女さんは磯竿をもってパンプカをしに下流へ出向いている。面白いことに彼の場合、釣り場を離れているときにアタリが来るというジンクスをもっている。06年6月の山アくん霊感釣法の回から、同じく06年8月のパンプカ中、07年春にはカープロッドが川へダイブ、そして今年春のコンビニへの買出し中。と、釣果のあったtadasiくんとの釣行では、毎度こんなことがあるのだ。そして今回も。橋下でくつろいでいると、バイトアラームが激しく作動。その音を聞いて、橋を渡っていた小学生軍団が足を止め、ギャラリーとなった。駆け足で釣り場に戻ったtadasiくんが竿を持ったときには魚の動きがとまり、アラームは鳴り止んでいたが、魚の気配はある。浮き上がってきたのは60台のバイタリティあふれる鯉だった。ランディングすると橋の上のギャラリーから拍手が飛んだ。元気のいい鯉で、尾びれで顔をぶたれてしまった(笑)

  釣り場を離れていたtadasiくんにヒット  

 時刻ははやくも夕刻。川の水位は相変わらず低いままでコンディションもいまいちだが、ここまで2人で3匹ずつの安定した釣果を得られている。このあと釣り場には、村上さんが訪れ、岸に寄ってきたカモと戯れながら、しばし談笑。冷たいアイスの差し入れをいただき、涼んでから、久々に村上さんとパンプカをしにいくこととなった。

 tadasiくんはさきほどから使っている磯竿を。私も車からシーバスロッドを出し、飛ばしウキ付きのパンプカ仕掛けをセットした。村上さんからパンを少しわけていただき、一同下流へと向かう。たびたび足をとめ、仕掛けを流し、鯉の気配を探るが、やはり今日の鯉の出現数は少ない。村上さんに一度チャンスがあったが、それっきり鯉がパンに反応することはなく、やむなく諦めることにした。

 一同釣り場に戻るなか、村上さんは釣り中に携帯を紛失したとのことで、パンプカをしていた下流へと戻る。その間、私は村上さんの携帯にコールしながらその後を追うが、着信音はどこを探しても聞こえず、携帯は見つからない。山崎君の携帯事件に続いて、またしてもこの釣り場で携帯を紛失してしまう人が出るとは・・。最近、なぜか私の周りで携帯を紛失、破損、水没させる人が続出し、「なんか、安田くんと一緒にいると携帯壊れるジンクスがある」とまで友人に言われてしまったので、マジで私のせいなのか!?とまで思ってしまった(笑)。でも、今回の場合は、普通に車のダッシュボードに置いてあったという最高のオチがあり、少々脱力しながらも安堵した。

 釣り場は暗くなりはじめ、村上さんは先に撤収。私たちも最後のエサ換えをすませてラストスパートをかけるが、tadasiくんのヒットからアタリは続かず、暗くなった水面からも鯉の気配は感じられない。釣りを開始して24時間近く経過している。ボウズではなかったし、2人とも3匹ずつの釣果を得られているので、良しとすべきだろう。少しずつ道具を車に積み込んで、忘れ物がないことを確認。先に収納が終わった私は一足さきに釣り場をあとにした。