鯉釣り日記2008 夕昏のホームグラウンド
 釣行日 11月15日12時〜17時  場 所  創成川
 時 間


 金曜日の夜。迫り来る後期中間試験に太刀打ちすべく、一番集中できる深夜〜早朝にかけての時間帯にペンを走らせるも、途中睡魔に襲われ、ノルマを達成できぬまま集中力が切れてしまった。

 今回はどうも身が入らない・・。この土日をはさんで月曜日には試験開始であるが、明日土曜日はリフレッシュのために竿を出してみよう。前回の試験のときもそうだったが、釣りをしながらアタリ待ちの時間に勉強をすると、案外捗るものだ。続きは少し眠ってから釣り場で・・

 ということで、資料などを釣り用のリュックに詰めてから就寝した。前々から一応チェックしていた天気予報によれば、この土曜日だけは雨が降る予報がない。今回は暖かい時間を使ってのプチ釣行としよう。あまり本気で入れ込みすぎると、私の場合、熱くなりすぎてテスト勉強のことなど脳内から削除されてしまいかねない。

 起床後、そろそろ出発しようと思っていた午前10時半ごろ、伊藤君と高橋さんから、ほぼ同時にメールを受信。 伊藤君からのメールは「天気がいいからプチ釣行しない?」とのこと。もちろん私もそのつもり、伊藤君も同じことを考えていたようだ。高橋さんからのメールは多摩川で釣行中との内容で、釣り場の写真を添付してくださった。「こちらはこれから伊藤君と釣行します」という旨を返信し、私も出発。

 午後12時半、ホームグラウンド 創成川北五番橋にてセット完了。私はいつもどおりの上流のスペース、伊藤君はその数十メートル下流に場所をとった。

 水位は思ったよりも低いが、前日の雨の影響でかなり濁りが出ている。水面には枯れ散った葉が浮かんでいて、その動きをみると、流れは少し出ているようだ。

 今回はボイリーとPVAバッグのセットでの釣りを目論んでいたが、この濁りであれば、まずダンゴで鯉にアピールしたほうがよさそうだ。袋仕掛け(ハリス10センチ 針 チヌ10号)に乾燥コーンとパパイアを付け、ダンゴは「どすこい」を単品で使用。鶏卵大のダンゴにして、1番竿はウィードの中、2番竿はブッシュ際に投入した。

 伊藤君の釣り場との距離が離れているので、私はセンサーをセットして、折りたたみ椅子と勉強道具を伊藤君の釣り場に持ち込んだ。伊藤君はダンゴとボイリーの組み合わせでの釣り。前回、異臭を放つグロテスクなダンゴを持ってきていた彼だが、今回は糠ベースに、ドッグフードとその水分を利用したダンゴを使うようだ。

私は袋仕掛けに「どすこい」単品のダンゴ+乾燥コーン 伊藤君は「元気なチャピィ」ダンゴ+ボイリー

 さっそく勉強の準備にとりかかり、折りたたみ椅子で勉強スペースを確保。いったん落ち着いて、携帯を開くと、高橋さんからのメールが着信していた。本日一尾目の釣果があったようで、70台の写真が添付されている。返信をしようとキーを打っているところに、私のセンサーも反応。釣り場へ走ると2番竿のラインが出されていた。1番竿のラインが絡むが、伊藤君のアシスタントによりトラブルを回避し、無事魚をネットイン。サイズは71センチ。

開始20分後、70台をゲット こちらは多摩川の高橋さんからの釣果報告

 ボウズ続きでスランプのこの頃だが、なんとかアベレージオーバーでボウズを回避できた。水温は12〜13度と暖かいほうで、魚全体の活性も悪くない。上りの鯉の通りはよく、うまくいけば寄せることができるかもしれない。小さめに握ったダンゴで再投入。

 アタリは続くか・・?あまり期待はせずに、勉強セットを準備した伊藤君の釣り場へ戻る。水面には泡付けとウグイのモジリと波紋。伊藤君の仕掛けにはウグイが反応して鈴を鳴らしていた。その鈴がさらに激しく荒ばれるのを待ち望みながら、専門用語だらけのプリントに目を通す。同じ学校の同じ学科に通う伊藤君とは、不明瞭な点を相談しあえる。座りながらじっと活字を読むような時間は、この気温の冷たい季節よりも暖かい春のほうが向いていて捗りそうだが、このような勉強方法も悪くない。

 13時30分、センサー受信機にノイズが入る。発信源からの距離が離れているため、というか、バッテリーが弱いためにメロディまで受信しきれていない。すぐさま自分の釣り場へ駆けるが、竿は動いておらず、スイッチが入った一番竿のラインは大きく下流へと走っていたが、途中でスッポ抜けたのだろう、仕掛けに魚の気配はない。だが鯉は寄っている・・食い気は申し分ない。

 橋の上から川を覗き、目視すると、アベレージから70超えの鯉が8匹、ポイント周辺をうろついているのがわかった。ダンゴの中心部には近づこうとしないが、バラケた粒子と、一投目のダンゴの残りを意識して口を使っている。入ってきている魚の数が少ないのなら、ダンゴの粉末を振るいにかけて大粒を半数ほどカットするが、これだけ魚がいるのであれば、逆に多目に配合したほうがいいかもしれない。

 魚はいる、けど警戒心は強い。見た感じ、バラケたダンゴの粒子だけをひたすらついばみ、食わせだけを残していくパターンだろう。いまポイントにいるスクールの魚がヒットしてくれればいいが、しばらく待ってそれがなかった場合、次のスクールが入ってくる前にダンゴはほとんど食われてしまっているはずだ。ダンゴを野球ボール大に握り同じ場所に投入。

 その頃、多摩川の高橋さんは70センチを追釣したようで、丸々とした体格の鯉の写真とともに報告メールが届いた。私もこのスランプから抜け出すべく、釣果を重ねたい。今がチャンスであるが・・・・・。

 すっかり勉強のほうに夢中になっていた午後14時30分、受信機が2番竿からの発信をキャッチ。こんどこそ・・と思うが、またしても竿は動いていない。だが、穂先は若干曲がっているようだ。小鯉やフナが付いているパターンだ。上げてみると案の定、30センチクラスのおチビさんが最高のフッキングで掛かっていた。

 リリースして打ち返しを行った直後、勉強スペースに戻ろうとする私の耳に凄まじい飛沫の音が入り振り返る。一番竿のクリップがはずれ、竿は余韻を残している。掛かった鯉が水面から飛び出し、そのときに抜けてしまったのだろう。また1番竿か・・・。仕掛けを回収し、スッポ抜けが続く原因を探すも、特に問題はみつからない。とりあえず針を代えて再投入しておこう。

試験勉強をしながら・・・ 最近ヒット率の高いチビ鯉さん。一応2匹目

 サイズアップなるか・・。伊藤君の釣り場へ戻ると、伊藤君は散歩中の小母さんと談笑中。その話しによれば、私たちの上流で釣りをしている釣り人も、80アップを筆頭に好調とのこと。やはり今日は、かなり良好なコンディションのようで、大いに期待できる。

 だが、アタリはとまり、伊藤君の竿にもウグイ以外の反応がない。空がはやくも暗くなってきたので、A4紙にぎっしり詰めこまれた活字を読むのも、もともと目がよくない私には少々つらくなってきたので、勉強はこの辺にしておこう。

 16時20分ごろ、高橋さんから3本目76センチの報告が入った。70台が連発するとは、いったいどのような釣りをしているのだろう・・。多摩川は雨が本降りになっているみたいだ。こちらも空の顔色は芳しくない。夕日が一瞬だけみえて雲の陰に消えていった。シーズンオフ間近・・。次回釣行の時にはもう雪が積っているのだろうか。紅葉とともに、このシーズンも朱に染まる。

 さて、最後のエサ代えをしよう。魚が入ってきていることがわかったので、これ以上ダンゴを使う必要もないだろう。ヘアリグに切りかえ、モンスタータイガーナッツを装着。PVAバッグにはペレットと押麦をそれぞれ少量入れて投入しておいた。

 伊藤君は竿数が多く、また大きめのダンゴを握っているのでエサ換えは控えめ。糠ベースにドッグフードの水分でダンゴにしているが、そのほか、芋や青海苔なども配合している。前回では魚の内臓をそのまま入れていたし、2日目もケチャップで糠をダンゴにしたりと、彼のエサのバリエーションとそのチョイスの仕方は面白い。

 私も昔は、思いつくままに、ベースエサに色々な配合を施してみたりしたのだが、私の場合、本来の目的はどこへやら、「入れればいい」と曖昧模糊で、その効果は「親に怒られる」というだけだった気がする。今思えば全く持って意味がわからない。第一作目、芋ダンゴにヨウ素液を添加「ムラサキダンゴ」これはただ理科の実験に影響されただけ。香水を添加した「ロリータレンピカ(笑)」 ちなみに「(笑)」もタイトルの一部である。ふざけているだけだ。今でも香水などを添加するのはちょっとアリではないか思っているが(実行はしないけど)、恐ろしく「超ケバい」匂いのダンゴに、鯉が拒絶(ドン引き)しそうな気もする。

今シーズンもあとわずか・・ 釣り場も朱に染まる・・

 午後5時、水面に魚の波紋は絶えない。だが、この2時間半、すっかりアタリが遠のいてしまったようだ。いまはテスト勉強期間中、そろそろ撤収しよう。

 今年の根雪はいつになるのか・・できるなら、今年度中にあと2〜3回はこのような午後からのプチ釣行をしたいと考えている。そろそろパンやマシュマロなどの冬の白エサも準備するとしよう。足元は暗い。勉強道具だけは忘れ物しないように、釣り場を後しにした。

 その頃、多摩川の高橋さんはまだ実釣中。70台が立て続けに3本ヒットし、雨の中、止めるに止められない状態のようだ。その後のメールによると、自作ボイリー、龍王、芋おじさん仕様(エピソード集より)紅あづまダンゴの使いわけで、20時までに70台合計10本という大釣り。私もいつか、そんな釣りがしてみたい・・。