鯉釣り日記2008 秋空の下で
 釣行日 10月12日14時〜
10月13日18時
 場 所  創成川
 時 間


 10月12日の昼下がり、クラスメイトの伊藤君宅に車を止めた。目的はもちろん今回の釣りの同行のため。以前よりtadasiくんとこの日の釣行を予定していたのだが、最近サケ釣りにハマっているという伊藤君が久々に鯉釣りをするとのことで、同行することとなった。

 伊藤君を車に乗せて、向かうは晩夏以来のホームグラウンド。この時期なら下流の合流でも、そのさらに奥でも期待ができるが、いろいろと試したいこともあり、釣り慣れた場所を選んだ。

 到着は午後2時ごろ。tadasiくんは夕方以降の到着になるとのことで、一足先に2人で竿を出すことにする。

 私はいつもどおりのスペースに、伊藤君はその上流に2本竿を出した。川に流れはないものの、水位は高く濁りが入っている。水中が見えにくいが、底を食みながら上流へとむかう70クラスの鯉が見えた。

 とりあえず、はじめるとしよう。今回はダンゴではなく、PVAバッグを使った1本針仕掛けで始めるとする。エサは去年春に使っていたものと同じ、蒸し大豆のカルーア漬け、煮大豆に炒り糠とカレーパウダーをまぶして置いたもの、カーネルコーン、ダンゴも用意し、使い分ける。まずは大豆をチョイス。食わせにはカルーア大豆を装着し、寄せエサとして、PVAにカレー大豆と「龍王」のベースパウダー(大豆の水分を吸収させるため) を入れて投入した。


オモリ部はいつもと変わらず、ひし形25号の中通し遊動式

仕掛け(1本針仕掛け)
ハリス:巨鯉ハリス8号
:チヌ10号

エサ

大豆、コーン等を使い分ける。
最初はダンゴを使わず、PVAバッグに入れて投入

 伊藤君は食わせにミルワームを使用した2本針仕掛けを使う。久々の釣行である伊藤君、開始早々、一投目を対岸に乗せてしまうなどという軽いアクシデントに梃子摺った様子であったが、ようやくポイントに落ち着いた仕掛けに、いきなりのバイトがあった。アタリブザーのクリップにラインを装着しようというその手でアタリを感知。一驚の早当たりである。私は車から出したばかりのタモを持ち、応援に駆けた。ヒットしているのは、なかなかいい突っ込みをしてくれる鯉であり、スプールを軽快にまわしてゆく。久々である鯉とのファイトに、伊藤君のテンションは急上昇。鯉が走るたびに笑いがこみ上げてくる様子で、ランディングした鯉をリリースするまで、その笑顔は耐えなかった。サイズは73センチで、春以来の鯉釣り、そして第一投目の投入直後のアベレージオーバー。見ている私も感無量であった。

生餌の強さか。伊藤君に投入直後のヒット 73センチでアベレージオーバー

 おそらく、開始前に橋の上から見た鯉であろう。腹にオレンジのラインが入った美しい一尾だった。

 驚くほどのアタリの早さだったので、この後も期待ができるのではないかと思ったが、魚の通りは少ないようだ。どうやら、鯉が頻繁にポイントを出入りするという基本的なコンディションではなく、今日の鯉はスクールというか、数匹がまとまって下流から上がってくるという様子だ。

 まだ明るい時間から竿を出すことができたので、水中の観察をしてこの日のパターンを見つける余裕があると思っていたが、魚が通らなければそれもできない。エサ換えは控え、暗くなりつつある水面に泡付けが上がるのを待つ。伊藤君は釣り場を移動し、北五番橋の数十メートル下流の地点で竿を出しなおし、2本あるうちの1本の食わせをサンマの切り身に変更した。

 午後5時すぎ、tadasiくんが到着。北五番橋のすぐ下流に2本の竿をセットして参戦。このメンバーで顔を会わせるのは去年のノッコミ期以来のことだ。

 晩夏の釣行から、理想的なペースでアタリを出しているtadasiくん。伊藤君の一発目から伸び悩み、今一息好ましくないこのコンディションであるが、彼が来る前に、伊藤君と2人で「tadasiくんなら、このコンディションでもアタリをとるよ」と噂していた。そして彼は、その期待を裏切らない。談笑で盛り上がっていた午後6時半ごろ、バイトアラームが木魂した。サイズは60センチほどであるが、魚数の少ない今のこの状況でアタリをとるとは、やはり流石である

  tadasiくんが60台を出した  

 さぁて、いつものごとく乗り遅れているのは私です(笑) まぁ、最近の釣行は単なる気分転換を目的としているので、どうでもいいのだけど。

 空は完全に黒に染まり、まるでガラスのような水面に橋の街灯が映る。水は動いているが、泡付けやモジリが見られない。
 特に意味を成さないとは思うが、エサを換えてみよう。寄せエサと食わせを共に、大豆からコーンに変更。釣り場に訪れたTさんから、フロックボールと自作のボイリーをいただいたので、それも使ってみたかったのだが、この状況ではまず、魚が入ってくるのを待つしかない。まずはこのままの釣り方でローテーションをして、大まかに作戦や仕掛けなどの変更するとすれば、それは明日、明るくなってからにしよう。

 午後8時ごろ、伊藤君は一時撤退し、釣り場は私とtadasiくんの二人だけとなった。引き続き談笑を楽しみながら、コーンを食わせに使うときに両用する乾燥コーンにピンバイスで穴を開けているとセンサーが入った。しかし、竿は穂先がわずかにまがっているだけで、動こうとはしない。ゴミでも付いているものと思って引き上げてみると、30センチほどの小鯉が針先で暴れていた。まぁ、いいか・・とりあえず魚をリリースし、新しいコーンを付け直す。

 PVAは使わず、ポイントの下流に柄杓を使ってコーンを撒いておいた。するとすぐにまた同じ竿にアタリ。だが今度も同じような手ごたえで、あがってきたのはやはり40センチほどの鯉であった。そしてその後、tadasiくんにも40台がヒットした。どうやら小鯉ばかりが入ってきているようだ。まったくアタリがないよりはいいのだが、あいかわらず今日の創成川は魚の活性に乏しいようだ。

小さいのが入ってきているのか、このサイズが2連でヒット tadasiくんにも小型がヒットした

 橋の上から見ても、街灯に照らされた水底に鯉の影がよぎることは少なく、そのまま水位が減退してゆく。風がなく、すごしやすい夜ではあるのだが、やはり体は冷え始め、体感温度を低く感じさせる。

 冷えた体をバーナーの火に寄せ、怪奇な体験談で盛りあがり、いつのまにか冷たくなってしまったホットのコーヒーを口にしながら、変わりゆく時計の数字を見送った。

 午前2時過ぎ、センサーランプの点滅を確認。ブッシュの際に打ちこんでいた2番竿が弧を描いた。案の定、魚はブッシュに突っ込んでしまっているが、このフィールドのブッシュならばそう問題はない。魚を引きだし、tadasiくんが構えるタモへと誘導した。タモ枠の直径と比較して、サイズは65かそこらだろう。最近のスランプの中、とりあえずアベレージサイズがヒットしてくれたことに安心感を覚えた。

 この後また連続してアタリが出ることを期待するが、次のアタリはそれから2時間が経過した午前4時、tadasiくんにヒット。落としオモリのトラブルもあったが、無事にとりこんだ鯉は70センチほどの綺麗な鯉

ブッシュ脇に投げこんだ2番竿にヒット tadasiくんも70センチを追釣

 次のアタリを待ち望みながら談笑の時を楽しくすごしていると、いつのまにか空が白みはじめていることに気づいた。時刻は午前5時。なぜか眠気が冴えてしまっているが、疲れをためるとまずいので、いいかげん床につくことにした。

 寝袋に入っても冷えた体はなかなか温まらず、ようやく眠りにつけたのはすっかり日が昇った頃。センサーは反応することなく、軽く変な夢をみつつも3時間ほどの睡眠を取り、体力を回復させる。

 午前9時ごろ、伊藤君からの着信に目を覚まし、そのついでにエサ換えをおこなった。川の水量は戻らず、肉眼でもはっきりと水底を覗くことができる。コンディションとしては多少の不安があるが、とにかく魚を待つしかない。

 エサと仕掛けの内容は変えず、1本針+コーンの組みあわせで、寄せエサは控えめに柄杓で打った。tadasiくんもすでに起床し、延べ竿を出してウキ釣りをしていたので、私は朝食にリンゴを丸齧りしながら、その光景を眺める。

 晴天の気持ちのいい朝だ。これでもう少し魚の活性があればいいのだが・・・。午前10時ごろ、伊藤君が釣り場に再来。前日と同じく、tadasiくんの下流で竿を出した。伊藤君は今回、久々の鯉釣りとなるため、道具が揃わず、私とtadasiくんからタックルと仕掛けをレンタルしての釣りで、今日はヘアリグ+ボイリーの組みあわせで実釣する。

 祝日ということもあり、川原は散歩をする人やジョガー、そして釣り人と、様々な人でにぎわう。Tさんも下流で釣りを始められたようで、時折り私たちの釣り場を訪れ、また上流ではマーくんと彼の友人たちが竿を出していた。

 人々が行き交う土手上の遊歩道とは対照的に今回はほんとうに鯉の通りが少ない・・。鯉がいないわけではないのだが、数が少ない上に食い気もいまひとつというような状況。誰もアタリを貰うことができぬまま、ただ時間だけが過ぎ、はやくも正午をまわってしまった。

 水面に泡付けが上がることがなく、橋の上から観察していても、ポイントを通る魚はコーンに反応を示してくれない。ここで食わせ1本針から袋仕掛けを使ったダンゴ釣りへと変更。ダンゴエサの配合は「どすこい」単品。食わせにはカルーア大豆を使う。
 魚の通りの多い、奥の水草の中とブッシュ脇に打ち込んで可能性を探ってみる。ダンゴを使えばまず警戒されてしまうだろうが、魚にエサの存在をアピールしなければ、このコンディションでは厳しいであろう。

 エサ換えの作業中、いつのまにか私は川に遊びに来たチャリンコ暴走族(小学生)に囲まれ、tadasiくん、伊藤君を交えて小学生軍団と遊んでいるうちに、なぜか伊藤君が小学生にイジられはじめ、そのうち、そのへんの草を投げつけあって戦いはじめるという、全く持って理解できない状況となり、釣り場はいつのまにか戦場と化していた。伊藤君は私などよりも、小さい子とのコミュニケーションを取るのがうまく、保父さんに向いてるのではないかと思うことがあるのだが、今回は数人の小学生がピラニアのごとく伊藤君に襲い掛かり、伊藤君も伊藤君でそれと同じ目線から対等して戦い始めたので、私とtadasiくんはついて行くことができず、ただ伊藤君を残してその場から逃げるだけであった(笑)

なぜかイジられはじめる伊藤君。壮絶な戦い(笑)が始まる もう釣り場はめちゃくちゃ

 アタリがないので、こうして遊びながら過ごすのもいいのだが、今回は小学生側が強すぎたため、私たちは疲れて先にダウン。小学生軍団が私たちの釣り場から離れてすぐ、疲れきった伊藤君はtadasiくんのテントを借りて仮眠をとり、私とtadasiくんは上流のマーくんの釣り場へと遊びにいくが、私たちに飽きた小学生はマーくんの釣り場を襲撃していた。さすがというか、なんというか、これだけ騒いで遊んでいて、全く疲れを見せない小学生がうらやましい。

 午後15時、伊藤君のアタリブザーとリールのクリックが沈黙を破った。そしてその数秒後にtadasiくんのバイトアラームも響く。
このコンディションでダブルヒットとは、魚が入ってきたのだろうか。まず先にアタリを出した伊藤君のもとへアシスタントに駆けつけるが、こちらはなんだか凄いことに・・。伊藤君はアタリブザーのクリップに、滑り止めのテープをグルグル巻きにしていたのだが、そのテープの皺にラインが引っ掛かり、クリップが外れない。それでも鯉は容赦なくラインを引いたため、ブザーの構造上、竿立てに取り付けている部分からブザー本体が外れ、クリップによってラインにぶら下がった状態というシュールな光景となっていた。

 さて、掛かっていた鯉をランディングしてみると、恐らく60センチに若干届いていないくらいのサイズではあるが、そのわりに引きは楽しめたようだ。ほぼ同時にアタリを出したtadasiくんのほうはと言うと、残念ながら針が抜けてしまったらしい・・。


 下流二人のダブルヒットはスクールが上がってきているという良い兆しであるのだが、思うように続かず、このまま辺りは暗くなりはじめた。

 伊藤君は小学生に襲われ、tadasiくんは寝不足で疲れているようで、口数は減り、私も土手に座りながら携帯の画面に表示された文字を流し読みする。

 終了時間が近づき、今回はこのまま幕を下ろすものと思いきや、またしても伊藤君にヒット。ラインが出される音が確かに聞こえたが、伊藤君の釣り場へ駆けつけた頃には竿は動かずに、アタリ待ちの状態のまま静止していた。どういうことであろうか、ブザーも正常に作動しなかったみたいだ。空アタリだったのか、それともどこかに魚が潜りこんでいるのか。とりあえず、このまま竿を置いて様子をみることにした。

 そして1分後、再び竿が動き始めた。ゆっくりと穂先が引きこまれ、糸が出てゆく。外れていなかったみたいだ。掛かっていたのはさきほどのものと同じくらいのサイズだろう。全体に金色を纏った綺麗な鯉だ。

  伊藤君、今回3匹目の鯉  

 午後5時30分、すっかりと暗くなり、目の前には月がうかぶ。そろそろ終了としよう。
 今回は皆、3匹ずつの釣果を得ることができ(私の2匹はフナみたいなやつだったが)、特に久々の鯉釣りで釣果をもらえた伊藤君にとっては最高の釣行だった。

 さぁ、シーズンオフまであとわずか、私の場合、今年の大物は春の80台だけと、すでに諦めているが、残りの時間は今回のように楽しく川原でリフレッシュすることができればいいと思う。

 釣り場でお会いした皆様、お疲れ様でした。またよろしくお願いします!