鯉釣り日記2008 釣れそうで釣れない
 釣行日 9月27日17時〜
9月28日17時
 場 所  創成川
 時 間


 残暑が続き、玉汗をにじませながら黒板を睨んでいた9月上旬が懐かしく感じるほど、この頃は急な冷え込みが襲い、時折天気雨を齎す不安定な天候が秋を感じさせる。

 学校の試験期間中である私は、深夜から早朝にかけての寒い時間帯に、例年よりも早めに出すことになったハロゲンヒーターの横でペンを握るが、恥ずかしながら中学、高校ともにロクな生活をしていなかったために勉強がヘタクソで、毎度のことながら苦戦。人一倍に勉強時間を要するのであるが、一週間近く、不規則なテスト勉強生活を続けているとさすがに調子も悪くなってくる。 試験期間はまだ続くが、ここで息抜きをしようと、釣行を企んでいるところに、tadasiくんからメールが入り、この週末に釣行をともにすることになった。

 午後3時半ごろ、先に出発したtadasiくんから釣り場に到着したとの連絡が入った。場所は創成川の最下流部 伏篭川合流。
私は1時間遅れで午後4時半ごろに釣り場に到着し、tadasiくんの上流で竿を出した。

 tadasiくんは本命のカープロッド2本を伏篭川との合流点に投入、また捨て竿のルアーロッド2本も創成川にセット。私はそのルアーロッドがセットされたロッドポッドの上流でいつもどおり竿を出し、竿に取り付けっぱなしの袋仕掛けにダンゴをセットして、繁茂する藻の隙間に打ち込んだ。

 仕掛け、エサともに前回の茨戸川釣行と同様のもので開始し、そこからローテーションしてゆく。まずは様子見で大粒子を取り除いた「龍王」+「どすこい」の配合で小さいダンゴをつくり、乾燥コーンの食わせとともに投入した。

 私のタックルセットが完了してすぐのこと、tadasiくんのカープロッドが唸りを上げた。夕日に照らされ黄金に輝く水面から現れたのは、同じく黄金に輝く鯉。サイズは84センチといういきなりの大型。前回も一尾目が80台だったtadasiくん、さすがである。痩せ型であるが流線型のボディが見事な鯉。そしてその40分後には60台がヒット。前回同様、快調なペースで飛ばしてゆくtadasiくん。


見事!tadasiくん、いきなりの80台 その40分後にヒットした60台

 禍々しく空を覆う雲が冷たい雨を匂わせるが、小雨程度の通り雨が時折釣り場をぬらすだけで、本降りになることはない。

 水は動き、所々で鯉やフナのモジリが見られ、活性のよさを窺える。そんななか、僅かに水面の開けたオープンに打ち込んでいた私の2番竿の穂先が、僅かに下を向き、ゆっくりと引きこまれる動きを見せた。このままセンサーが入るものかと思いきや、竿が少し曲がったところで、同じようにゆっくりと元の状態に戻り、今度はラインがふける。このように竿が曲がったり、糸がフケたりという動きが10分間止まらず、正体を確かめるべく一度仕掛けを回収してみる。ゴミが引っ掛かっているわけでもなく、魚やカニが悪戯しているわけでもなく、何の変化も見られずに仕掛けが返ってきた。もう一度同じポイントに仕掛けを投入するが、すぐにまた竿がゆっくりと上下し始める。すぐとなりのtadasiくんの竿にも同じ現象は現れ、バイトアラームをしきりに反応させていた。カニや亀が悪戯する反応によく似ているのだが、結局その正体をつかめぬまま、そしてtadasiくんのアラームは鳴りっぱなしのまま、時間が過ぎた。

 暗くなった釣り場の空に華々しく火花が散る。ガトーキングダムの花火は、茨戸川の夜釣りでのいいムードメイカーとなるのだが、この場所からは少しロケーションが悪く、全てを綺麗に見ることができなかったのが残念。夏の夜のような光景が目の前に広がるが、それとは対蹠的に、日が落ちてからすぐ気温が下がりはじめ、厚着をしてもなお体が冷やされた。


 tadasiくんとの談笑を楽しみながら、カップ麺に熱いお湯を注いで食べ始めるが、すぐに冷めてしまった。すでに吐息は白く濁り、空気の冷たさを具現化した。まだ9月だというのに、これでは去年の10月の寒夜釣行よりも寒いではないか。次回の釣行では七輪でも持ってきて、炭でもおこそうか・・。そんなことを考えていると、tadasiくんのルアーロッドのうち一本がアタリを捉えた。藻や障害物に絡み、一時は苦戦を強いられるも、見事キャッチ。60台の金鯉だった。そのあと、カープロッドの方にもアタリがあるが、残念ながらスッポ抜けにより、ネットには入らず。

 さて、私のほうに一向にアタリがないのは今に始まったことではない。これは前回と同じパターンだ。このパターンでいけば、恐らく私は、型、数ともに好釣を敲き出すtadasiくんの横で、小型の鯉1〜2匹でボウズを免れるということになりそうだ。結局開始してから私の竿は、カニやらカメやらわからない謎の反応以外を捉えていない。ここでエサの配合を変えてみることにする。

 これまでは「龍王」+「どすこい」であったが、ここからは「龍王」+麦茶の組み合わせで試してみることにした。今回のポイントは小さく狭い。この場所に何度もエサを打ち込むのは間違いなく逆効果であるから、今回のダンゴは配合物少なめの小玉を基本としている。このまま、あと数回ダンゴを投げて、それでも反応がなければ、食わせオンリーの一本針仕掛けを使用するとしよう。投入点は、1番竿を手前の藻の中に、2番竿は奥の藻とオープンの境目に打ち込んだ。

 そしてその一時間後、センサーが入ったのは手前に打ち込んでいた1番竿のほうだった。一瞬ラインが出されたが、すぐに藻に潜られてしまう。多少の藻なら・・と油断していたが、どうもガッチリと複雑に絡んでいるようで、強引に抜き出せるような状態ではなかった。藻を切り払うべく、竿を振っては引き、振っては引きを繰り返すが、なかなか出てこない。このようなときに、はやく魚をランディングしたい一心で、冷静さを失う私のメンタル面が敗因となった。地道に藻を切ればいいものを、無理に引き出そうとしてバラシ。空っぽの仕掛けが返ってきた。「ヘタクソ・・」と自己嫌悪しながら作り置きしておいた麦茶龍王をセット。どうも手前の藻の中に鯉の気配を感じるので、今度は2本とも手前の藻の中と、オープンの境目に打った。

 そうこうしていると、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。暗くてしばらく誰だかわからなかったが、去年の5月、夜の創成川にて釣りを語らったご年配のベテラン鯉師、関戸さんであった。関戸さんも、創成川にて夜釣りをしていたとのことで、しばし3人での釣り談義に興ずる。

 1時間ほどの談笑、その最中、tadasiくんのアラームに小さな反応がしつこく出るようになった。竿も動き、ラインも出る、だが何も掛からないという謎の反応が幾度となく見られるが、結局この1時間で魚がランディングされることはなく、関戸さんが帰ってからも、特にtadasiくんのカープロッドを中心にこの反応が出続けた。

 気温が下がり続けるなか、時折ぱらぱらと小雨が落ちてくる。あいかわらず不安定な天候。手は悴み、ダンゴを作るのも億劫になってしまう。雨が本降りにならないだけマシなのだが、一人ぼっちの単独釣行なら、この寒さに孤独感をくすぐられて、間違いなく撤退していただろう。tadasiくんが用意したラジオに耳を傾けながら、お菓子をつまんでいると、1番竿に待望のアタリが出た。

 また藻に潜られないように制御しつつ水面に上げた魚は、暗くてよく見えないが、かなり小さそうだ。tadasiくんにネットインしてもらい、ようやく姿をみた1尾目は50センチにも届かない子鯉であった。思わず「小っさ!!」と溢してしまいながら、針を外してすぐにリリース。予測していたとおり、小型でのボウズ回避となった。

tadasiくん、順調の3匹目 私はかろうじて、小型でボウズ回避

 作り置きのダンゴで再投入して7分後、また同じ1番竿のセンサーが入った。しかし今度はしっかりと乗らずに空アタリ。「龍王」+麦茶の効果だろうか、このまま同じ配合のダンゴで様子を見ることにしよう。

 時刻はもう丑の刻。川の水位は増水気味であり、伏篭川の土手は浸水してしまっていたのだが、夜が深まるにつれて水位がかなり落ちているようだ。カニのような謎の反応は消え、しばらく静かな時間が続いた。空にはオリオン座。意外とよくみえる釣り場の星空を楽しみたいが、とにかく寒くて仕方がない。

 午前4時ごろ、tadasiくんはテント、私は車に入り込み、それぞれ就寝することにした。テントにしても車にしても、外との気温はまるで変わらず、完全に体が冷えてしまった私は、震えがとまらず眠れない。気温は何度あるのだろう・・?去年の寒夜釣行でも、寒くて眠れないなんてことはなかったのだが・・・。

 それから30分ほど経った頃、寝付けずにひたすら体を丸めていた私の耳に電子音が届いた。tadasiくんのカープロッドのアラームだ・・。寝袋から這い出して靴を履き、アシスタントに駆けつける。暗い水面に目を凝らし、魚の姿を見つけて無事タモで捕らえた。tadasiくんの4匹目は、60台のアベレージサイズであった。この魚をリリースしてからは、あまりに寒くて車へ逃げ込む。はやく日が昇って欲しいと思いながら、寝袋にくるまに深く目をとじた・・。

  tadasiくんの4匹目  

 目を覚ましたのは午前8時ごろ。朝日に照らされた車内は、数時間前の冷えがすべて夢だったかのように温まり、ジャンパーを脱がせた。外の気温はやはり冷たいようで、風も強くなっている。

 麦茶龍王で2連続のアタリがあったため、その後を期待したが、結局ダメだったみたいだ。まだ作り置きのダンゴがあるが、ここからは食わせオンリーで勝負しよう。北五番橋では春の定番となっているコーンをチヌ8号一本針に装着し、ダンゴをうっていた場所と同じポイントに投入。寄せエサに同じコーンと、マス用のペレットを撒いておいた。

 tadasiくんはまだ起きていないようだ。私もまだ少し眠たいが、明日は学校の試験。鞄からテキストや資料の類を引っ張り出し、コーヒーを飲みながら、まだ覚めていないアタマを活性化させた。

 しばらく車の中で勉強をしていたが、段々窮屈になってきたので、折りたたみ椅子を引っ張り出し、パラソルを立て、その下で続きをすることに。風が強くて資料を飛ばされそうになるが、もちろん手の届く範囲で死守する。飛ばされて川面にチャポン♪なんてことになったら、いつだかの、怪奇人形空間 無限ループの悪夢を見たときくらい鬱になることだろう。

 ようやくアタマがまわりはじめてきた頃、一番竿にアタリ!掛かってすぐ手前の藻にもぐりこんだが、今度は引き出してやる。と思ったが、竿を持つとすぐに手ごたえが軽くなってしまった。スッポ抜け・・・・。なんだかなぁ・・・・・・・・。

 魚の活性は暗い時間帯よりもいくらか落ちているように思えるが、食い気のある魚はいるみたいだ。いつのまにか、思ったよりも時間が過ぎていて、時刻はもうお昼時。正午を過ぎた頃、tadasiくんにアタリ。細身の70台が姿を見せた。どうやらアタリはカープロッドで投入している下流の2本に集中しているようだ。これまで私には違う配合のダンゴ、食わせのみのコーン1本針にアタリがあり(バラしてばかりだが)、tadasiくんはボイリーとtadasiくん新作のバズベイトにもヒットしている。食い気のあるコンディションではあるようだが、この日のアタリはポイントによっての左右が大きいようだ。

 朝食もまだ食べていないことに気づいたので、何か買ってくることにしよう。tadasiくんも起きてきたので、コンビニへ行って来るくる旨を伝え、車を出した。いつのまにか釣り人が増え、対岸や伏篭川ではフナなどを釣って楽しむ人の姿が見られる。


 昼食後、前回のようにウキ釣りをして遊ぼうと、延べ竿とヘラ仕掛けを出し、伏篭川の土手を降りた。しかし風があり、またここも藻がひどくなかなかやりにくい。草際のオープンに見える場所でも、中層まで水草が生えており、思った棚に仕掛けを下ろすことができず、足元を悠々と歩くアメリカザリガニの姿を目で追いながら、なんらかの反応を待つがアタリは乏しい。同じく隣で延べ竿を振るtadasiくんも同様に苦戦。良い暇潰しになると思ったのだが、どうも腑に落ちないまま早々とウキ釣りタックルを収納して、ふたたび創成川の土手へ戻った。

 風の勢いはましていて、硬い地面に無理やり差し込んでいた私のパラソルのピトンは、煽られた本体に負けて抜けてしまう。思い切りピトンごと飛ばされ、焦らされたのでパラソルは収納することにした。tadasiくんのパラソルも、骨がひっくりかえってしまっている。

 午後3時ごろ、またしてもtadasiくんのカープロッドにアタリ。特に2本あるうちの、比較的遠投しているほうに反応が続いていて、どうやらドンピシャにポイントがハマっているようだ。上がって来たのは60センチクラス。私のほうはもうアタリがある気配すらない状態で、最後の悪あがきにエサを再びダンゴに戻してみることに。一投目と同じ「龍王」+「どすこい」の組み合わせ。なんとかもう一度アタリを取りたいのだが、うまくいかないものだ・・。

元気よく泳ぎ去ろうとするtadasiくんの6匹目 パラボラで鯉電波を受信するtadasiくん

 今回の釣りも終盤に差し掛かろうとしている。tadasiくんのほうは好調を維持し続け、6尾目の1時間後に60センチほどの鯉追釣。私のポイントも鯉の気配があり、けして悪いわけではなさそうなのだが、泡付けが上がるなどというより、打ち込んだポイントの真上に鯉が浮き、草の下で何かを食んでいるような様子ばかりがうかがえる。フカセ仕掛けに変更しようか・・しかしもう時間がない。
 
 日は暮れ始めている。今回のところはおとなしく、このままにしておこう。最近はなかなか調子がつかめずにいるが、残り僅かな今シーズン中にこの軽いスランプ状態から回避することはできるだろうか。まぁ、思うように釣れないといえども、これも釣りの奥深さのひとつであるし、tadasiくんや釣り場でお会いする方々と、同じ空の下で同じ時間を共有しながら、アタリを待ち望む時間は楽しくてたまらない。

 時刻は午後5時。さて、納竿することにしよう。tadasiくんもタックルを収納しはじめたので、私も不要な道具から順に片付けを始め、車の掃除に取り掛かる。次はどこで竿を出そうか。