鯉釣り日記2008 水門右左
 釣行日 9月14日18時〜
9月15日18時
 場 所  茨戸川
 時 間


 この08年度の釣りもいよいよオータムステージがスタートした。これから寒くなるにつれて、創成川での釣りがさらに多くなるであろうから、まだ暖かいうちは (といっても、まだ日中は暑いが) 別のフィールドで釣りをしたいと思い、篠津湖でのソウギョ釣りを目論んだ。しかし今回はいろいろと用事を済ませたあとの釣行となるので、少々の疲れがあり、新篠津村への道のりが少し億劫に・・・(根性なし) 車のガソリンも節約したいので、結局、来た道をひきかえし、近場の茨戸エリアで竿を出すことにした。

 特に作戦やイマジネートをもっているわけではなく、今日は月が綺麗だからと、ロケーションで場所を選んでしまった。
 午後6時、到着したのはグラウンド裏。夏場は不調であったが、少しずつ気温が下がり、夜にもなると寒くなる。これから秋にかけてこの場所も少しずつよくなってくるであろう。いつもの水門上流のスペースにタックルをセット。今日もあいかわらずのエサと仕掛けのチョイスで、これをベースにローテーションしてゆくことにする。とりあえずは以下のとおり


オモリ部
サキ糸:PE8号2本縒り
オモリ:ヒシ型30号

仕掛け(袋仕掛け 1本針)
袋ーハリス:巨鯉ハリス8号
針:チヌ10号

ダンゴ
どすこい+龍王 (これをベースにローテーション)

食わせ
大豆+乾燥コーン

 まずは様子見。魚の活性の程がわからないが、とりあえず一投目は大き目で配合物多目のダンゴを作った。創成川のような狭いフィールドならば、一投目は小さめで内容少な目の配合をするが、ここは広いので、とりあえずエサの存在をアピールできるようにしておきたい。

 カケアガリ上の岸際はまだ水生植物が繁茂しているので、手前のポイントに打つ仕掛けはハリス短めの7センチ。カケアガリ下のフラットな水底に打つ仕掛けはダンゴの存在自体を警戒してしまうようなスレ鯉の対策で長めの20センチ〜25センチハリスとした。

 ほぼ無風で水面は凪っている。魚のハネ、モジリは多いものの、まだ食い気は期待できない。少しでもいい風が吹いてくれれば嬉しいのだが、静かな夜になりそうだ。

 ガトーキングダムの横に浮かび上がった大きな月。今日は月見をしながらゆっくりと過ごそう。それだけを考えて、買ってきたばかりの暖かい夕食をとる。どこか近くで祭りでもやっているのか、花火が鳴り響いたと思えば、賑やかな声が聞こえてくる。それとは対照的に、この釣り場のなんて静かなことか・・。アタリも来る気配はないし、なにか暇潰しでもと、車の中をあさっているところに携帯が着信を知らせた。

 発信元はtadasiくんだった。居場所を書いて返信してからしばらく、車が土手を降り、tadasiくんが到着。さっそく水門の下流側でタックルをセットした。一人で静かに過ごすのもいいが、やはり誰か話相手がいてくれると嬉しい。tadasiくんが一投目を投入している横で、私もエサ換えをして二投目を打ち込んだ。 前回同様に4本の竿を出すtadasiくんだが、投入してまもない竿にはやくもアタリが出たようだ。しかしヒットせず、これまた前回と同じ展開。


 それからしばらく、何もない時間が続き、青白い月明かりは頭上を移動してゆく。昼間は暑いくらいの気温だったが、夜になってから急に冷え込んできた。湿度も高いのでなおさら寒く感じる。カーディガンを羽織り、寒さ・・というか鼻水対策をとりつつ、車の寝床にもしっかりと寝袋をセット。予想以上に気温は下がっていて、結局、車に常備してあるジャンパーまで着込むことになったが、暑さだけでなく、寒さにも弱い私は、あきらかに私よりも薄着のtadasiくんの横でガタガタと震えるのだった。

 午前0時ごろ、談笑の声を引き裂いてバイトアラームが鳴り渡った。同時に竿に飛び掛り、ファイトを開始するtadasiくん。仕掛けはヘアリグ、エサはボイリー。だが、掛かっていたのは鯉ではなくヘラブナであった。一瞬、2人だけの静かな釣り場が躍動したのを機に、私もエサ換えに立つ。あっというまに時間は過ぎ行き、ゴルフネットのナイター照明もいつのまにか落とされていた。

 釣り場に置かれた全てのものが冷たい露に濡れている。時刻ははやくも午前3時をまわろうとしていた。さすがに寒いし、そろそろ床につこうか・・、そんなことを考えていたとき、これまで無風だった釣り場に、南東の風が吹き始めた。このフィールドでは、この向きの風はなかなか好ましい。そして、突如鳴り響いたバイトアラームとクリック音が、私たちの目を覚す。

 tadasiくんにヒット!闇の中で荒れ狂う好敵手は、茨戸鯉とは思えないほどにラインを引き出した。創成川ならば、50〜60台の小型でも勢いよくクリックを鳴かせることもよくあるが、茨戸でここまで走る鯉は珍しい。水面に浮かび上がった鯉は、その期待を裏切らず、見事な体格の鯉であった。サイズは80センチジャスト。茨戸でよく見られるドン詰まりの体形で、上半身だけ見れば、痩せ型の90台でもありえるような立派な一尾。

  tadasiくんの一尾目80ジャスト!  

 いいファイトを見せてもらった。私にもこんなサイズがヒットすることを願いつつ、最後のエサ替えをすませて、寝袋を敷いた車へと入ることにした。夜明けを迎えた釣り場は少しずつ白み、幻想的な霧の世界につつまれていた。この日の天気も晴天の予報。

 日が昇るとすぐに車が暑くなるから、東側の窓にシーツで即席のカーテンをとりつけて、普段セットしてある携帯のめざましも解除。疲れがあったため、眠りの世界へはそう遠くなく、ゆっくりとリラックスすることができた。

 すっかり日の昇った午前10時、再びtadasiくんのバイトアラームが、まだ虚ろだった私の目を覚ましてくれた。50〜60台ほどの綺麗な鯉が上がってくる。今回のアタリは私のダンゴよりもtadasiくんのボイリーに分があるようだ。私よりも早いエサ換え、頻繁なフーディングの効果もあるのだろう。いまの状態で私の竿にアタリが来ることが見込めなかったので、ダンゴの配合を少しだけ変えてみる。ベースとしている「龍王」+「どすこい」に「三色コイミー」と「さなぎ粉」を追加。麦やコーンなどの底残りの良い粒子の配合量は少なめだが、投入ポイント周辺にはマス養殖用のペレットを撒いておいた。

 いまのところ風向きは夜のままだが、風力は弱く、水面を少しざわつかせる程度のもの。寒かった夜とは対蹠的に気温は上昇し、タックルを濡らしていた露もいつのまにか消えていた。

 鳶が気持ちよさそうに舞う青空の下、私とtadasiくんは暇潰しにウキ釣りを楽しんだ。tadasiくんは磯竿と両軸リールを使った、本格的に鯉を狙えるようなタックルで。私は延べ竿を使って、時折バイトアラームを作動させている大型のフナを狙ってみる。

 ダンゴに配合させるために用意していたヘラ用のバラケエサ「GTS」をベースに「三色コイミー」で硬さを整えた練り餌をボウル一杯分つくり、釣り場から少し離れたところで竿を出してみた。

 揺れる水面と泡付け、ヘラウキによって具現化されるわずかな餌の変化と小魚の反応。ヘラ釣りにのめり込んでいた時期があった私には懐かしい光景となった。一振り目から、ウキには絶えず反応が出ているが、小さなマブナが寄ってきてしまったのだろう。使用している針は小型の関東スレ針。マブナでもモツゴでもヒットさせることは可能だが、アワセはくれずに大きな反応を待つ。

 6振り目からはようやくそれらしい反応が出始め、ウキの下には、大きな魚がいる気配。小魚につつかれ、いったんはエサ落ちメモリを示していたヘラウキが、再び反応を取り戻した。2メモリほどが一気に押さえ込まれるアタリ。その直後、トップが水中に消しこまれた。即座にアワセを入れる。絞り込まれた延べ竿は細く高い音でうなる。恐らく鯉であろう。しかし、スッポ抜けで感触がなくなってしまった。

 もう一度、すぐに打ち返して反応を窺うと、同じようなアタリが出た。だが、すぐにアワセをいれるも、またしても乗らず・・。腕が鈍ったのかもしれない。鯉らしきアタリは絶えず、うまく寄せることができてるようだ。三度目の正直、今度はしっかりとヒットさせることができた。30センチほどの小さな鯉。だが、延べ竿では最高のファイトが楽しめた。よってきた鯉をハンドランディングしようとしたが、ちょっと失敗。魚を水中に落としてしまい、逃してしまった。残念、このあとは鯉の反応が薄くなり、マブナばかりがアタるようになってしまった。エサばかりを消費し、なかなか思うように鯉や大鮒が来てくれない。

 いったん休憩しよう。エサがなくなってしまったので、一度竿を置き、車のエンジンをかけ、コンビニへ昼食の買出しにいく。

  マブナはおもしろいくらいにヒットしてくれる  

 おにぎりやパンなど、引き続きウキ釣りを楽しみながら食べられるワンハンドフードを買ってきたのだが、それどころではないくらいにお腹が空いていることに気づき、車を降りてからすぐにおにぎりのパッケージに手を伸ばしていた。ウキ釣りに夢中になっていたので、朝食をとることをすっかり忘れていたものだから、昨日の夕食から18時間、これといったものを何も口にしていなかったのだ。そのお陰でtadasiくんが野鯉系の70台を上げていることに気づきもせず、食事に全神経を集中させ、確かな満腹感を得た。

 さて、私の本命のブッコミのほうには見事なほどに反応がないみたいだ。エサの配合を「三色コイミー」「さなぎ粉」多めにしてエサ換えを行い、カケアガリの下に打ち込んでいた2番竿は、これまでよりも遠めに投げ込んで可能性を探る。このあとはウキ釣りを再開。エサを作り直し、これまでは12尺の延べ竿で釣りをしていたが、万が一大きな鯉が掛かってしまった場合があれば怖いので、ルアーロッドに変更。トラウトタックルにヘラウキ+2本針+練りエサというミスマッチなルックスになってしまったが、まぁいいだろう(笑)

  tadasiくんは好調!3匹目は流線型の70台  

 2つの練り餌を装着したへら仕掛けをオーバーヘッドキャスティングでポイントに打ち込んだ。相変わらずマブナや小魚のアタリは絶えずに出るが、鯉のアタリはなくなり、ヘラらしき反応も出なくなってしまった。良いアタリ!とアワセをいれてみるも、マブナだったりウグイだったり、狙いのヘラブナであったとしても20センチに届かないようなサイズばかりで、ブッコミ同様にこちらも苦戦。

 昼食後にウキ釣り再開していたtadasiくんは、私とは対蹠的にやはり好調。鯉狙いの大物仕掛けだけあって、明確なアタリ数は少ないが、ヒットすれば確実に鯉や大型のヘラを仕留めている。中でも尺上のヘラは見事な上物。体格もよく美しい一尾だった。こんなヘラを本格的なヘラ釣りで仕留めたいものだ。そうこうとウキ釣り現場で賑わっていると、今度はブッコミ釣り場でtadasiくんのバイトアラームが作動。水面を割ったのは50台後半の鯉だった。その横で頑なに静寂を守っている私の竿・・・。

 「いや、おまえらも曲がっていいんだよ?」

 という持ち主の声もむなしく、一向に反応を捉えない。まぁ、こんな日もある。
 今回のコンディションとtadasiくんの釣り方、そのローテーションがよくマッチしているのであろう。私の今回のブッコミはほとんど諦めモード。エサ換えはせずに、このまま待ち続け、ウキ釣りのほうを楽しむとしよう。

好調のtadasiくん。今回は私の出番なし?(笑) ラム、ツブやホタテも
 こちらもtadasiくんの釣果。尺上の良べら  私に釣れるのはこのサイズばかり(笑)

 早くも午後4時。日はすでに傾きはじめている。
 ウキのメモリに夢中になっているうちに、時間の経過というものをすっかりと忘れてしまっていた。バラケの速度を落とすため、「三色コイミー」の配合を多くした練りエサでラストスパートをかける。魚は十分によっているので、あとは明確なアタリを待つばかり。鯉釣りの暇潰しにこうしてヘラウキを眺めるのは初めてのことだが、もともとヘラ釣りも好きだし、今回のようにアタリのないときにはこのようにして遊ぶのは最高に面白い。今度はもう少し、タックルと仕掛けの内容を変えて、子鯉と大べら狙いに、ウキ釣りセットを持ってくることにしよう。

 暗くなりつつある水面に、ウキが消し込まれた。間髪入れずにアワセをくれてやると、小さな手ごたえ。またマブナか・・と思いきや、この鱗、この顔つき、このお髭、鯉ではないか。大きさ約10センチ、ウキ釣りではあるが、自己最小記録を更新してしまった。

 もちろんコイツは、今日の釣果の一部としてカウントしよう!(爆) よし、ボウズ回避だ!!

  10センチほどのチビ鯉  

 このチビ鯉のあとから、ウキにはヘラらしきアタリが多くなってきた。逆に、ウグイのような食い上げアタリや一瞬だけ強く引きこむような小魚特有のアタリがなくなり、釣りやすいコンディションとなった。小気味のいいツンアタリをだしてくれたのは30センチに少し届かないサイズのへら。そしてその次には30センチ台の鯉もヒット。トラウト用のライトタックルではこのチビサイズでもなかなか面白い。

終了間際になってようやく調子が上がってきたのか、鯉、へらがヒットし始めた

 もう少しこの釣りを楽しんでいたかったが、残念ながらここで終了時間がきてしまった。タックルを片付けなければ・・。

 ほぼボウズ同然の釣りに終わったが、今回は今回で、なかなか面白い釣りができた。tadasiくんは80センチをゲットし、ウキ釣りでの釣果も含めて計8匹という好釣果を修めた。同じ場所の水門の右と左でこの大差が出たのは笑えてしまうくらいだが、楽しい釣行だったので良しとしよう。シーズンオフまでもう時間はわずかだが、この秋は良い釣りができることを期待したい。