鯉釣り日記2008 長閑しき三日月湖
 釣行日 6月27日16時〜
6月28日9時
 場 所  篠津湖
 時 間


 そろそろ、始めるとしよう。一度は会ってみたいと思っていた、北海道の一部に細々と生息するソウギョ。04年夏から何度か釣行するも、思った時間帯に釣行できず、その気配を感じることすらできなかったが、車を運転できるようになった今、ソウギョ釣りのビップタイムである夜を釣り、リベンジするべく、夕方の篠津湖へと向かう。

 予定では、学校の授業が終わって帰宅してからすぐに出発するはずだったのだが、普通に登校しようと起きたら、夕日が差していたという、自分でも情けなくなるような大寝坊。わけがわからず、一瞬朝日だと思ったのだが、どう考えても西日。無駄に一日授業をサボってしまい、後々、遅れた分を取り戻さなくてはならないということの面倒くささに億劫になりながらも、釣行の準備をはじめる。

 さて、今回は鯉ではなく、ソウギョだけを狙って釣るので、仕掛けは草針を用意している。しかし篠津湖の釣り場では、関東のソウギョ釣り場のような葦原があるわけでなく、土手裏に少し葦が生えている程度。その葦を切り取って使うのはもったいないので、ホームグラウンドの北五番橋の裏にある、ちょっとした群生にて、葦を確保。しおれないように水バケツに挿して車に積み込み、新篠津村へと向った。

 到着したのは午後5時。とりあえず駐車場に車を置き、ポイントを探しに出た。せっかくなので、これまで入ったことのない、駐車場の下流で竿を出してみたかったのだが、なにやら工事が行われるようで、大きなユンボが止められ、入ることが出来なかった。

 しかたなく、いつも竿を出す場所より少し下流の柳の木の間で竿を出すことにする。仕掛けは遊動ハリスの2本針仕掛け。葦は2枚重ねてハリスで縫い、葉の先端で針を装着する。

:チヌ8号(2本針)

ハリス:巨鯉ハリス8号(約30センチ) ハリスが長いのでファイト中のトラブル防止のため、片方のハリスを引くと、もう片方が収納される遊動式。

オモリは使わずに水面に垂らす。

エサ:葦の葉2枚重ね

 
まずはポイントの岸辺に採取してきた葦を10本ほど浮かべる。流されないように、茎の先端にゴロ石を乗せた。続いて、仕掛けを浮かべた葦のなかに仕込ませて準備完了。あとは暗くなり、ソウギョがよってくるのを待つのみ。

 さて、あまり期待はしないでおこう。ソウギョ以外の魚が掛かることはまずない釣り方であるし、そのソウギョが、このポイントの岸辺に現れてくれるかが問題だ。

 午後6時、セット完了。この夕マズメはルアーを泳がせてナマズ釣りでもして過ごすとしよう。今回はまず、センサーが鳴らないことを踏んでおこう。そうすれば、明日まで釣れなくても悔しくない(笑)

アタリはあまり期待せずに・・・・ ナマズ釣りをして過ごそう

 まずはトラウトロッドにスプーンを着けてリーリング。岸辺をゆっくり歩きながら、レンジを変え、アクションを変え、ルアーの色を変え、いろいろと試してみながらナマズの気配を探った。

 しかし、前回のような小さなナマズのチェイスすらなく、釣れてくるのはウグイばかり。シーバスロッドでトップを攻めてみたが無反応。釣れてくれれば最高の暇つぶしになるのだが・・。また暗くなってからやってみよう。

 釣り場に戻り、夕食のカップ麺にお湯をそそぎ、出来上がるまでの3分間を、身の回りの整理に費やす。ここは大きな建物や街灯もないので、日が落ちれば真っ暗になってしまうだろう。いつかのように、水バケツに足をつっこんだりするのは勘弁だ。

 荷物をまとめ、水バケツは車から竿までの直線ラインから遠ざけて置いておいた。そうこうしているうちに、ふやけかけたカップ麺の出来上がり。毎度のごとくの質素な夕食をとり、日が落ちるのを見送った。

ライトタックルで小なまじぃを・・・ こいつばっかり

 夜の帳が降り、裏の田んぼではカエルの合唱がはじまる。真っ暗なので星空を期待したのだが、残念ながら雲が多く、はっきりと星をみることができなかった。カエルの声の聴衆となりながら、折りたたみ椅子に腰掛けて、ゆったりとした時間を過ごす。

 やはりここは長閑だ。山奥でもなければ、街からさほど離れてもいないが、車の音は聞こえず、人通りもなく、カエル、鳥、魚と、さまざまな生物の吐息を感じることができる。

 幾度かエサと仕掛けのチェックをするが、とくに異常はみられない。夕方のナマズ釣りの続きをしに、シーバスロッドをもってそのへんを歩いてみることにする。辺りは真っ暗で、無音ならば不気味さすら感じているところだろう。風が弱いので、背後から聞こえるカエルの声が綺麗に鳴り渡っている。

 ペンシルベイトや大きめのフローティングミノーをキャスティングし、バイトを誘うが、相変わらずナマズは反応してくれない。今日は早めに床につくことにしよう。車に戻り、センサーの電源をチェック。寝袋を広げて眠りについた。


 午前1時、期待していなかったセンサーメロディがスピーカーから奏でられた。「まさか!?」驚いて飛び起きるが、半信半疑で窓から釣り場を覗く。2番竿のランプが点滅しているが、竿がどうなっているのか、暗くてよくわからない。サンダルを履いて車を降り、懐中電灯で竿を照らしてみる。ゆっくりと上下に揺れる竿。そして、一気に引きこまれ、ラインが出され、同時に水面がスプラッシュする。

 ヒット!!大きくアワセをいれてファイト開始。人生初のソウギョとのバトル。絶対にバラすわけにはいかない。スッポ抜けを恐れつつ、魚の抵抗を受け止めた。

 魚はポイントから半径10メートルの範囲を暴れまわる。鯉のように、一気に突っ走ることはないが、深みに潜ろうとする一伸しは強烈だ。幾度となく水面を割るが、抵抗は続く。普段の鯉であれば、一度寄せてしまえばすぐにタモに入るのだが、タモの届くところまで寄せても、しつこく潜ろうとする。こいつは面白い・・・でも、初のソウギョだ。早めに浮かせて、ネットにいれて安堵にひたりたい。予想以上に時間を要し、ようやく暗い水面に白い魚体が横たわった。その下からタモをいれ、一気に魚を捕らえた。

 暗い水辺でひとり、ガッツポーズ。念願のソウギョをゲットすることができた。大きさは80センチと、ソウギョとしては大きくはないが、篠津湖であればこのサイズがアベレージであろう。

大きさは80センチ 念願のソウギョゲット!!

 幼少の頃から好きだった魚の一種なので、喜びもひとしお。それに、鯉とはまた違った良いファイトを楽しませてもらった。

 リリース後、飛び散ってしまった寄せ用の浮き葦を並べなおし、仕掛けを再度セット。そううまくいくはずもないだろうが、できればもう一尾をヒットさせたい。朝まであと6時間。午前8時に納竿予定なので、それまで2度目のセンサー音を期待しながら、寝袋に戻るとしよう。


 目が覚めたのは午前7時。すっかり寝入ってしまった。
 なんとなく期待していた2尾目のアタリはなかったが、初ソウギョを上げることができたし、これで十分に満足だ。車をとめている駐車場には、大型トラックやダンプが集まりはじめた。これから工事が始まるようだ。ここで納竿しよう。寝袋をたたみ、竿を収納。多少迷いそうになりながら、畑と田んぼの道を走り、札幌へ戻った。

 今回の釣行で、すっかりソウギョ釣りにもハマってしまった。鯉の食いが渋る夏の間は、またソウギョを狙って草針を垂らしたい。