鯉釣り日記2008 センサーは鳴るが・・・
 釣行日 5月11日午前10時〜午後6時  場 所  創成川
 時 間


 4月末から5月始めまで、北海道では最高気温30度を超える真夏日となった所もあり、札幌でも暑く、ヘラ、鯉の産卵も一部では例年よりも早めに始まった。だが、ここ数日の気温は寒く、平年4月並みで、水温も下がり、ノッコミ期を狙った釣行のタイミングも難しい。

 午前10時ごろ、川の様子見をすべく荷物を積んだ車でホームグランドに到着。前回釣行時よりも若干水生植物が大きくなっているが、水位は低く、魚の気配は微塵もない。さすがに、この状況で竿を出すのは無鉄砲すぎるだろう。とりあえず近くのコンビニで食料を買ってから、下流へ降りてみる。今日はいままでほとんど竿を出したことがなかった最下流部で竿を出してみよう。風向きも悪くないし、今日の鯉はこのあたりで溜まっていることだろう。

 車を止めたのは創成川が伏篭川、発寒川が合流し、茨戸川と交わる場所。いいポイントだと昔から聞いてはいたのだが、なぜかほとんどこの場所で釣りをしたことはなかった。繁茂した藻の中から、魚の気配がとれる。ポイントはいろいろとありそうだが、とりあえず真ん中の藻が生えていないラインに2本とも打ち込むことにした。

 今回もいつものコーンを持ってきてはいたが、向かい風で寄せエサを柄杓で思ったポイントに打ち込むことができない。このポイントのこともまだよくわからないし、とりあえずダンゴを握ろう。

オモリ部:(中通し遊動式)
オモリ:ひし形25号

仕掛け:(袋仕掛け)
ハリス、袋:巨鯉ハリス8号
:フカセ15号、チヌ10号

ダンゴ
龍王+バーディ+麦茶

食わせ
乾燥コーン&食わせコーン

 北の風が吹き荒び、冷たい音で糸が鳴っている。暖かい車中へ入ろう。
 中学生の頃は今日よりも寒い日に自転車釣行をし、一日中竿の前でアタリを待っていたし、片道1時間の釣り場までの距離を一日に2往復したこともあった。よくそんな気力があったものだ。車に乗るようになってから、一気に自分が年をとったように思える(まだ19)。

 後部の2つの座席を倒し、本を掲げてゴロゴロしながらその文面に微笑。こんなときにセンサーメロディが!なんてうまいこといくはずもなく、ときどき身を起こしては曲がらない竿を窓から覗く。

 エサ換えは配合を変えず、ダンゴの大きさは一投目よりも小さいものにした。まだこのポイントにどのくらいの鯉が出入りしているかわからないし、ダンゴを執拗なほどに突付く小魚もどれほどいるかわからない。前のエサがほとんど減っていないのに新しいエサを打って、ポイントを不自然にエサだらけにしてしまえば、せまいフィールドゆえやはり警戒されてしまいそう。いつもの北五番橋でみていると、ダンゴ一個でもかなりの集魚力を期待でき、通りかかる鯉にも大きなテンプテーションを与えているようだ。エサ換えは控えめにしよう。

  創成川最下流部。3つの川が合流し、この先は茨戸川   

 午後1時。うつ伏せになって寝ていると、頭の横に置いてあったレシーバーが反応。川面に突き刺さらんばかりに下を向く1番竿の穂先。だが、ドアを開けて車から飛び降りたときには、竿は動かなくなっていた。またやられたか・・・・。あれだけ穂先が曲がっても、竿を持つ間もなく抜けてしまった。食いが浅いのだろうか。悔やみながらしぶしぶと車に戻り、寒風の空気を遮断する。

 この寒い中、私の釣り場の右後ろにあたる伏篭川に手竿の釣り人の姿がある。私とほぼ同時に到着し、ごく普通の手竿をもって土手を降りたので、暇つぶしになんとなく釣りに来て見た人かと思ったが、普通ならすぐに帰りたくなるような風の強い中、3時間ぶっ通しで続けられている。釣れているのだろうか。私は太陽熱だけを吸収した暖かい車のなかでリラックス・・。同じ釣りでもこの違いはなんだろう(笑)

 時々考えてしまう。アウトドアだかインドアだかわからないような、こんな暇な釣りのどこに私は惹かれているのか・・。鯉の待ち釣りは、頭で考えて推理や作戦立てをすることはあるが、体を動かして積極的に魚を掛けようとすることは特にない。だからこそ、その時間を有意義に使える。何に「集中」しているわけでもないから、普段まったく目にくれないようなものをじっくり見られるし、感じることもできる。普段考えもしないようなことを考えたりもできるし、時の流れを贅沢に使いながら感じとれる。そんなの、釣りをしながらじゃなくてもできる・・・けど、ここまで暇という、時には苦痛に感じられるほどくだらない状態を許すことができ、それを有意義に使えるのは、やっぱり「暇」の先に「何か」を期待しているからであろう。ただの暇ではない。鯉釣りの「暇」はこの釣りに特別な思い入れがあってこその特権かもしれない。この釣りには浪漫がある。


 午後になってからは対岸にも釣り人の姿が目立つようになり、賑やかだが、夕方になっても、まだ誰にも釣れている様子は見受けられない。今日も少し、コンディションが悪いのだろうか・・。風向きも水温も特に文句はないのだが。どうも活気が見られない。今日は早めに撤収しようか・・・。身の回りを整理しながら使わないものを収納する。

 そうこうしていると、以前メールでお話したことがあった、りゅうさんが訪れ、私の隣に竿を出した。あれからうんともすんとも言わなくなった竿を眺めながら、少しだけお話をする。すると、対岸の釣り人に動きが見られた。鯉が上がったようだ。夕まずめに近づいてから、鯉のハネも見られるようになった。

 もう少し続けてみよう。一度仕舞ったダンゴを作るアイテムをふたたび車から取り出し、エサ換えをして夕マズメを期待した。するとセンサーが反応。またしても空アタリだが、いまのは確実に鯉だ。そしてその40分後にまた竿に反応が出た。ただ、なぜか食い込まない。仕掛けにも針先にも特に問題は見られないが、竿の動き方からして、針を吸い込んで首を振った瞬間に外されてしまうみたいだ。でも、鯉は寄っている。よし、このまま続行してなんとかボウズだけは回避しよう。

 風は勢いを増してタモ網を煽る。水しぶきの音が風にかき消されて聞こえないが、鯉が豪快に水面に尾をたたきつけたのが見えた。りゅうさんから頂いた差し入れを口にしながら、窓から竿を覗う。

 午後5時、2番竿のセンサーがなり、糸がふけた。たるんだ糸を巻き戻すも、そこに鯉の姿はない。・・・鯉の食い気は増していい感じではある。でも、どうすればフッキングできるのだろう。4回目の空アタリ・・・センサーは鳴るも、魚の猛攻を、いまだ手にしていない。

 度重なる空アタリに苦悩し、針のサイズ変更、フロックボールの使用などなど、対策を立てるが、今日はもう時間も無いし、仕掛けなどの変更をしている余裕はない。仕方ない、いまはこのままで、ヒットするのは運に任せよう。

 そして5回目のセンサー受信。今度はヒット!だが、少しも走らず仕掛けは軽くなる。・・・使っているのはいつもの仕掛け。いままでこれで、普通に釣ってきていたのだが・・。この仕掛けと今日のコンディションのどことどこが不調和しているのか、攫めぬままに終了時間が迫る。

 6度目のセンサー受信。竿先が小刻みに揺れるだけでなかなか走らない。竿の前でかまえ、その瞬間を待つ。そして竿が大きく右に曲がり込み、ラインが出た。こんどこそ・・。ようやくまともにヒットした魚は、藻の生え際で小気味好いほどに水中を滑走し、楽しませてくれた。大きくない、むしろ小さいが、最後の最後、ようやくヒットしてくれた鯉を逃がさずに岸に寄せることができた。りゅうさんにネットインしていただき、ゲット。サイズは60センチほどだろう。でも、とてもありがたい。


 もうちょっと時間があれば、せっかくアタリが出ているのだから色々と試してみたいところだったが、今日は仕方ないだろう。
午後6時、納竿し今日のところは終幕する。もう少し創成川のこの近辺を攻めてみよう。それからは茨戸、新川、そして札幌から外れて遠征もしたい。