釣り日記2007 春めく川原にて
 釣行日 3月20日
午後1時〜午後5時
 場 所  創成川
 時 間


 札幌の長い冬もよくやく終幕か。春の気配を感じられるようになったこの頃。目を覚ませば窓の外に見えるのは清々しい蒼穹。雪を呼ぶ鉛色の厚雲は姿を消し、冬がニガテな私はさわやかな朝を迎えられる。さわやかすぎて、逆に寝床から出る足が重いくらい。春眠暁を覚えず・・というやつだろうか。

 学校は学年末試験を終えて春季休業に入り、ひと段落ついた。
 同じ学校に通う伊藤君からの電話で、午後からちょこっとプチ釣行しようとのお誘いがあり、もちろん二つ返事でOKを出した。今日は2008年度の初釣行。まずは、様子見がてらの日向ぼっこだ。

 さっそく、久々の釣行準備を始める。今日はプチ釣行なので、いつものタックルは休ませて、ライトタックルを1セットもっていくことにする。車ではなく自転車に荷物を積み、ペダルを踏み込んだ。

 途中、伊藤君と合流してからいつもの創成川沿いの道を走りながら、川面に浮かぶ魚影を探す。しばらく走ると、ひときわ魚影がたまってみるポイントがあったので、そこで自転車を止めてしばし相談。「じゃあ、この場所で竿を出そう。」

 今年初の竿出しを決めたのは、ホームグランドとなっている北五番橋より上流の、ホーマック前。私の自己記録魚を上げた思い出深い場所でもある。まだ積もる雪をこぎながら、下流に私の竿を一本、その上流に伊藤君が2本の竿を出した。

 仕掛けはチヌ10号の2本針、針にはコーンをつけて、魚影が頻繁に現れる川の対岸近くに落とし込んだ。この対岸近くのポイントは春が深まれば、水生植物に埋め尽くされて投入は困難。今だから攻められる場所だ。

今回は手軽にパンプカにつかうシーバスタックルを使う 伊藤君も久々に実釣

 水温は12度ほど。上流からの濁水により水の透明度は低く、水底などの様子を覗うのは難しいが、魚の気配は十分にあるので少しだけ期待する。各ポイントに投入後は、土手上の乾いたアスファルトにしゃがみこみながら、ふたりで暖かいお茶をすすった。

 これからの進路の話に花を咲かせていると、伊藤君の竿に反応があった。竿の先に取り付けられた鈴が明澄な音を奏でた。それを聴いて一瞬テンションが上がるも、鯉ではないようだ。その後も伊藤君の竿にフナかウグイのような小さなアタリが連発してたが、クリック音は聞こえてこない。

 だんだん暇になってきた私たちは好き勝手に遊び始める。伊藤君は近くのスーパーに買出しに。私はなぜか大量の雪だるまを伊藤君の竿の周りに並べ、伊藤君が買ってきたフライドチキンをむさぼり、伊藤君は私が作った雪だるまの頭に落ちている枝で触角を生やす(笑)そんなこんなで過ごしているうちに、早くも日が落ち始め、最後のエサ替えの時間となった。

 水面をみると、やはり対岸近くで鯉がエサを探している姿がよくみられるので、投入点はひたすら対岸ギリギリ。ひしゃくでコーンを寄せエサとして撒き、空腹の鯉にアピールする。

 午後4時過ぎ、伊藤君の竿にひたすら小さく突付くようなアタリがあったので、上げてみると小さなウグイが付いていた。
普段は外道やジャミ公として邪険に扱われるウグイだが、よくよく見れば結構かわいいではないか・・。

 小さい雪だるまを大量に・・・  ウグイさんが掛かっちゃった

 鯉のほうも、泡付けなどを見ることはできるのだが、ヒットはしてくれない。ひさびさにライトタックルでのファイトを楽しみたかったのだが、この日はノーヒットのまま終了。

 「明日の午後、この続きをしよう。」


 3月21日 午後1時〜午後5時

 翌日、やはり釣行はもっとも暖かい午後から夕方までの短時間。前日と同じライトタックルを背負い創成沿いの石狩街道を走る。ところどころで自転車を止め、偏光グラスで魚の動きを探っていると少々気になるポイントを発見した。

 ぽつらぽつらと、エサを食む鯉の姿が見えるほか、岸際のよどみに溜まったゴミの下でも動きを感じられる。近くに自転車を止め、荷物を担いで様子を見に行く。ゴミの下でうごめいていたのは鯉だったようだ。アベレージサイズの鯉が数匹、まとまってエサを探していたが、私たちの気配に気づき、ノソノソと撤退していった。今日はこの場所を攻めてみよう。

 この場所はホームグランドの北五番橋よりもはるか上流、共栄橋下流の高架下。この場所ははじめて入釣する。

 なかなか面白そうなポイントだ。とりあえず、私の1本の竿と、伊藤君の2本ある竿のうち1本を、鯉が溜まっていた岸際のよどみに打ち込み、伊藤君のもう一本の竿を奥の葦際に投げ込んだ。仕掛けは二人とも2本針仕掛け。エサには観賞魚用に売られているジャイアントミルワームを使ってみる。

ひし形オモリ:25号
サキ糸:PE10号

ハリス:巨鯉ハリス8号
:チヌ10号

エサ:ジャイアントミルワームorコーン

 ミルワームは体表が硬く、意外とジャミにも強いようだ。岸から5メートルほどのところにピッチングで送り込み、周りにマス用のペレットを撒いておいた。水温は13度。空は晴天で、振りかざす陽光は徐々に溶けつつある雪に反射して目映い。のどかな午後を過ごせそうだ。水面には亀が泳いでいる。

 いつもの場所とは風景も雰囲気も違う  伊藤君は手前と、奥の枯れた葦の際を攻める

 日向ぼっこを楽しんでいると、葦際に投入していた伊藤君の竿に変化が見られた。竿先がゆっくりと曲がり、糸が出されてゆく。「おっ!来たんじゃない!?」 一瞬にしてテンションが変わった。タモ網が数十メートル離れた私の竿の横にあったので、急いで取りにいく、が、タモを持って戻っても、伊藤君に竿を手にする様子がない。少し糸が出されたが、それから変動がないようだ。もしかしたら、葦やゴミの中にもぐってしまったのでは?それとも空アタリ・・? よくわからないが、とりあえず竿を竿たてから外さずに置いておくことにする。

 1時間後、エサ換えの時間のため、私は自分の仕掛けを一度引き上げ、変化や異常がないことを確認する。伊藤君は糸が出されたほうの竿を持ってみるが、魚が付いている様子はない。どうやら空アタリだったようだ。

 チャンスはある・・次を期待しよう。日差しは暖かいものの、午後3時をすぎた頃から、冷たい風が吹き始め、マフラーを首に巻いた。特にやることもなく、伊藤君が買って来てくれたコーヒーで暖を取り、釣り場の横を通る列車を目で追いながら、この場の空気が変わるのを待った。

 糸が出たが、後が続かない・・・  学園都市線が川を渡り、列車が頻繁に通る

 「こないかなぁ〜」 何度呟いたろうか。
 次第に見える魚影の数も少なくなり、コンディションはあまりいいとはいえない。まぁ、今年の初釣り。ウォームアップだ。こんなもんでいいか。午後5時ごろ、仕掛けを回収し、荷物をまとめて自転車にまたがった。この時期は魚の動きにむらがある。釣果もそれに同じのようだ。もう少し川の状況が変わったら、もう一度ライトタックルで釣行しよう。