鯉釣り日記2007 寒夜釣行
 釣行日 10月12日
10月13〜14日
 場 所  創成川
 時 間


 今季もインタネット選手権がスタート!前回前々回と連続で無申請に終わっているため、今回はとにかく申請サイズをゲットするべく今週も釣行を決めた。

 先週、しばらく釣りをお休みしていた同じ学校のクラスメイト、伊藤君から「また一緒に釣りに行こう」との電話があったのだが、生憎、先週は用事があったので釣行できず、今週に持ち越すこととなった。ひさびさの釣りに気合の入った伊藤君と僕は土曜日、日曜日まで待ちきれず、12日金曜日、学校が終わってから、夜の創成川を攻めることとした。

10月12日(金)

授業が終わるやいなや、すぐに学校を飛び出す二人。家路が違うため、一度別れてそれぞれ帰宅し、僕は荷物を載せてスタンバイさせておいた車で伊藤君の家の近くまで彼を迎えにいく。

 少々混み合った道路を走りぬけ、薄暗くなった午後4時半ごろ北五番橋に到着。空が暗くなる前に早々とタックルセットを済ませる。西の風が強く、水面が波立っていた。風は冷たく、黒く重々しい雲を運んでくる。今夜は雪が降るところもあると聞いた。寒くてしかたないが、初雪を見ながらの釣りも良いものだ。

 今回はスレた鯉の警戒心を煽らぬよう、寄せエサを一切使わず、食わせだけで勝負する。食わせだけでも十分に鯉にアピールできるものとして、動物性のエサを使うことにし、スーパーの鮮魚売り場からサンマを選んできた。サンマは脂がたっぷりと乗り、その匂いも強い。

サキ糸:ナイロン16号
オモリ:ひし形30号
ハリス:巨鯉ハリス8号
針:チヌ10号(2本)

ちょい投げ用と、川の奥を攻めるものと2種類

川の奥に投げ込む仕掛けにはハリスの間にゴムチューブをはさめた。

エサ:サンマの切り身

 1番竿は仕掛けを手で振込みながら川の手前側にちょい投げ。2番竿は少し奥の水草の茂み近くに投げ込んだ。伊藤君も寄せエサやダンゴなしの食わせのみ。食わせには大豆を使っている。

 厚着をしていても風が冷たく、かなり寒いのですぐに車に入ることにする。僕はセンサーを使っているので、竿を見張る必要がないが、伊藤君は目視でアタリを取る。普段は竿鈴を使っているのだが、今日は風で竿が揺さぶられるために意味がない。伊藤君が車の中で仕掛け作りなどの作業を始め、竿の監視に集中できないときは代わりに僕が伊藤君の竿を監視。しかし彼の竿は、竿たての角度もあってか凄まじい揺さぶられ方をしている。僕のような長竿なら、それでも鯉のアタリがあればすぐに分かるが、伊藤君の短竿ではそれも難しい。辺りはだんだん暗くなり、暗い灰色をした竿先は川面と同化して見えなくなった。これでは車の中からアタリを見るのは難しいというか、魚が掛かっていることすらもわからない・・。

 そこで伊藤君、手袋を持ち車の外へ出た。何をするのかと思いきや、手袋を竿に括り付けて車からでも竿先の行方を見ることができるようにしたのだった。まぁ、傍からみたら凄く笑える光景では合ったが、ケミホタルなどの夜釣りアイテムなども持ってきていなかったので、やむをえない。そして伊藤君、これだけではまだ不安だと、さらに竿に細工を施す。

  伊藤君の竿が段々と面白いことに・・・  

 この写真に写っている、竿の前の小さな椅子。これは伊藤君が座るためにここに置かれたものではない。
 写真ではよくみえないが、実はこの椅子の脚にはラインが引っ掛かっているのだ。魚が掛かって糸が引かれると、椅子が転がるというしくみ。

 「よし!これで夜中でもアタリがわかる!!!」

 「なるほど・・・何だかよくわからないけど神秘的な釣り場だ」

 伊藤君の即席アタリ感知システムに、どこから沸きあがるかわからない、出所不明な爆笑と感動に浸りながら、温かい車内で夕食を取る。伊藤君はカバンの中から お寿司 というゴージャスな夕食を取り出し、それを横目に僕はカップ麺にお湯を注ぐ。シーフードヌードルが出来上がるまでの3分間、ボ〜っと外を眺めていると、僕の1番竿のセンサーランプが点滅したのが見えた。同時にセンサーが鳴る。「来たっ!!」

 車から飛び出し、ラインが出ている竿へダッシュ。伊藤君もアシスタントに駆けつけてきてくれた。
 魚はあまり走ることはせず、しばらくブッシュの近くで暴れまわっていた。またブッシュの奥に入られることを恐れたが、魚の抵抗は強くなく、難なくネットイン。サイズはアベレージよりもやや大きめといったところだろう。ネット選手権の申請サイズは越えているようなので、とりあえずパスワードを入れて写真を撮った。サイズは65センチ。

  アベレージよりやや大きめといったところ・・  

 強風のために検寸時の写真撮影がうまくいかず、少々時間をかけてしまったので鯉を心配したが、リリースすると元気良く泳いでいった。サイズアップを狙ってエサを付け、一投目と同じくチョイ投げ。脂ののったサンマをやわらかく、針につけるのに苦戦させられた。伊藤君もエサ変え。いままで大豆を使用していたが、僕と同じサンマに切り替える。

 風の勢いは少し弱まったり、また強くなったりを繰り返し、細かい雨も降ってきた。鼻水をすすりながら急いで車に戻り、すっかり伸びきってしまったカップ麺をすする。食後には熱いお茶を淹れて、湯気の立つカップを両手で包んで悴みを癒す。紅茶やコーヒーが好きな僕にとっては、このような日の釣行にお湯とカップは欠かせない。

 雨は強くならず、気づかぬうちに止んでいた。せまい車内で二人で談笑したり、音楽を聴きながら過ごすが、2度目のアタリは遠い。午後8時ごろ、川の様子を見に外へ出て、橋を上がっていると、1番竿のセンサーランプが点灯した。車の中で受信機が反応し、シートに体を倒してウトウトしていた伊藤君も飛び起きる。しかし空アタリに終わり、糸が出ることなく、一度弧を描きながら張った竿はまた不規則自由に風に揺られた。針の大きさに対して、エサを大きく付けすぎたようだ。たが、サンマはやわらかくエサ持ちが悪いので、ちょこっと付けただけではウグイに襲われたときに一溜まりもない。難しいところだが、しっかりと針先が出るように切り身をつけて再投入。

 学校を終えてすぐの釣行ということもあって、二人とも疲れがあり、早めに切り上げることにする。終了時間を午後9時として、現在午後8時半。残りの30分は少し仮眠を取ることにする。伊藤君はもうすっかりと油断して目を閉じてしまっている。僕もシートを倒して目を瞑ることにした。・・・・

 何も考えずに真っ暗な瞼の裏側を見つめるだけの時間をすごし、目を開けたときにはもうすでに午後10時をまわっていた。1時間もオーバーしてしまった。伊藤君はもうグッスリと眠り込んでいる。窓の外をみるが、状況は変わらず、伊藤君の椅子も倒れていない。ぐっすりと眠り込んでいる伊藤君を起こし、手っ取り早く道具を車に詰め込み、この釣行を終了した。

 10月13日(土)

 昨日の釣行から一夜明け、友人との約束のため午後からカラオケに向かった。たった二人で3時間歌い続け、ノドが大変なことになりながら、その帰りにスーパーに寄り、鮮魚コーナーを物色する。もちろん今夜行う釣りのエサを選ぶため。

 前日はアピール力の強いサンマを使ったが、今度は身がしっかりとしているハタハタを使ってみることにした。

 夕食後の午後8時出発。若干のノドの疲れを感じながら通いなれた道を走り、北五番橋に到着。掲示板に書き込みくださっているマーくんも一緒に竿を出すことになっていたのだが、彼はまだ到着していないようだ。

 昨日とは打って変わって、風がほとんどない。川の水位は昨日とくらべてかなり減水し、鯉の活性に疑いを感じる。ダメそうだったら茨戸かどこかに移動しよう・・、そう思いながらいつものスペースに竿を出した。

オモリ部は前日と変わらず

仕掛けは針のサイズを少し大きめにし、ソイ針(管付き)18号の2本針。

エサはハタハタの切り身

 このエサと仕掛けの写真を撮っていると、デジカメから電子音が鳴り電源が切れた。まさかの電池切れ。おいおい・・ネット選手権は写真で申請するんだよ・・・。エサの写真だけしか撮っていないのに電池切れなんて・・。

 こういう時を考えて、高画質の写真を取れる携帯を買ったのだが、フラッシュが付いていないから暗い写真になってしまうだろう。

 風がないが、今日もかなり冷え込んでいる。これから夜中にかけて、どんどん気温が下がるだろう。とりあえず、車の中に逃げ込み寝袋にもぐりながら読書をする。昨日は伊藤君が居たので会話があったが、夜に一人で釣りをするのも寂しいものだ。無口なくせに話し相手が欲しくなるなんて、なんだか自分でも可笑しくなる。

 マーくんはまだ到着しないようだ。さきほど「もう少しで着く」とメールがあってからすでに1時間以上経っている。心配してメールをしてみると、どうやら自転車でここに向かっている最中、単独事故でケガをしてしまったようだ・・。当然釣りには来れず、病院に向かっているとのこと。幸いケガは大きなものではないようだが、これでは仕方がない。一人で釣りを続行することにしよう。

 北五番橋に上がり、流れの様子をみてみる。水は動いているのだが、水位はかなり浅い。魚影も濃くはない。やはり移動すべきか・・と思ったとき、橋の街灯でかすかに見える水底に大きな動く影がみえた。

 息を呑んだ。デカイ・・!その太さ。一瞬、アオウオかチョウザメでもいるのかと思ってしまった。よくみると、大きな魚が3匹ほそ寄り添って泳いでいるようだ。だがそれにしても、その1匹の大きさ。かなりデカイ。いつもこの橋から魚を見ている僕の目での推測では90は確実に超えているだろう。暗くてよくわからないが、泳ぎ方から鯉。ライギョではないだろう。

 これから茨戸に移動するつもりでいたが、ちょうど冷たい雨も降ってきた。ベタベタした雪のような雨。霙というやつだろう。これから移動準備をするもの大変だし、ここで粘ってあのデカイ奴を狙わない手はない。このまま北五番橋で夜を明かすことにする。その後も何度か橋の上から覗いてみるが、あの大きな3匹はまだウロウロしている。明るい時間帯だったら確実に写真をとってトップページに飾っていただろう。。あの3匹のうちの誰かがセンサーを鳴らしてくれることを祈りつつ、受信機に接続したスピーカーの音量を上げる。吐いた息が白くなるような気温の中、寝袋に包まって夢の中へ陥った。


 目を覚ますと、外はまだ暗い。雨は一晩中降り続いたようで、少し川の流れが強くなったようだ。窓から竿をみると、流れてきたビニールのゴミがラインに引っ掛かっている。携帯の時計をみると朝4時。今日は用事があるため、午前7時には納竿しなくてはならない。ラスト3時間・・・。ラインに引っ掛かったゴミが気になるので、温かい寝袋の中から抜け出して外へ出る。思わず独り言 「寒いっ」。 思えば、次の日からこれを書いている今にいたって、風邪を引いて鼻水を垂らす原因となったのはこの瞬間だろう。

 ラインに引っ掛かったビニール袋を外し、すぐさま車に戻る。寝袋に包まるが、冷えた体がなかなか温まらず、二度寝ができない。何も考えず、寝袋の中に入っただけの状態でひたすらセンサーの受信を待ちながら時間の流れを見送る。

 やがて太陽が昇りだし、あっというまに車内が明るくなった。携帯電話がやかましく鳴る。片付け開始時間の合図だ。

 結局、あの三匹とご対面することはできなかったか・・。誰に見せても、あの鯉を小さいとは言わせない、そのくらい大きかった。仕掛けを回収するとき、1番竿のラインが少し弛んでいるのに気づいた。恐らく、空アタリというか、さわっただけで掛からないアタリが出ていたのだろう。せっかくなら掛かってくれればよかったのに・・。

 はやく風邪を治して来週、インターネット選手権最終休日を満喫してやろう。