鯉釣り日記2006 シビアな戦い
 釣行日 11月26日午後10時〜午後4時まで  場 所  創成川
 時 間


 寒い中テントを張って泊りがけの釣りに興じた甲斐もなく、無釣果で撃沈したインターネット選手権最終日の釣行。それを最後に、天気の良い週末があっても、諸事情が続いて釣行できず、ようやく竿を出せたのは1ヶ月が経過した11月26日の日曜日だった。

 天気予報では、聞いただけで身震いしそうになる「寒気」という言葉が多く使われるようになり、初雪も降りだしてしまった。はやくもこのシーズンのラストスパート。今年は大きさでも数でも思うように釣果を伸ばすことができず、7月末に山口へ釣行したときから、1日に1匹以上の釣果を得ることができていない・・。

 ココ最近は釣行できても、連続ボウズを食らって終わりということが多くなったので、今回はとにかく1匹でも釣れることを願って竿を出す。

 午前10時、ホームグラウンドの創成川北五番橋に到着。この時期になると水温がかなり低下しているので、とにかく一匹でも釣るにはなるべく暖かい水域に竿を出すことがベストだろう。

 下水処理場など温排水が流れ出ている川として、創成川、新川、月寒川、望月寒川と候補を4つ上げ、迷ったが、今回は近場でしかも攻めやすいホームグラウンドの創成川を選んだ。

 釣り場に到着して早速、タックルを準備する。今の時期から来春までは、ジャミの活性が低くなるので、集中して鯉を狙うことができる。そのぶんエサや仕掛けの選択幅も広くなり、今回はエサと仕掛けの組み合わせにいくつかのパターンをシュミレートしてみた。まずは寒い時期になると絶大な力を発揮させる食パンと2本針仕掛けの組み合わせで使ってみる。

オモリ部
(中通しオモリ遊動式)
サキ糸:PE8号2本折
オモリ:ひし形30号

2本針仕掛け
(絡み止めチューブ使用)
ハリス:巨鯉ハリス8号
針:チヌ11号

エサ
食パン
白身をロールさせたもの

 パンは水中で膨らんで大きくなるので、針もいつもより一回り大きめを使用した。
 投入点は1番竿を真ん中の馬の背の上、2番竿はブッシュの際に落とす。橋の上から投入した仕掛けをみると、パンの浮力で針がホップアップし、水の流れにゆさぶられている。鯉はスクールでときおり姿を見せるが、ポイントに居つくということはしていない。だが、食欲はあるようで、まだ食うまでにいたらないものの、通りすがりの鯉でもパンをしっかり意識してくれているようだ。期待ができる。


 
この日は風がなく、気温もかなり暖かい。前日に積もった雪が徐々に溶け出して水になり、それが流れる音が春を思わせる。まさに小春日和。冬が嫌いな僕はこのまま本物の春になれ!と思ってしまった。

 一投目から一時間、ベンチで日向ぼっこしながらアタリを待ったもののまだセンサーは鳴らない。橋から偏光グラスで水中を覗くと、まだパンは針に残っているようだ。

 鯉の活性は高く、かなり頻繁にポイントに入ってくる。やはりパンには反応しているが、警戒しているのだろう、なかなか口を使わない。エサを探しながらポイントに入ってくる鯉も、スクールでたまたま通りがかった鯉も、水中でゆらめくパンをみると、ふと泳ぐ進路方向を変え、パンに寄ってくる。この様子ならヒットするのも時間の問題かと思ったが、どの鯉も、パンの周りをしばらくウロウロするだけ。パンに急接近する鯉もいるが、仕掛けだと見破られるのか、首をふっと振りながらパンから離れ、ポイントから去ってしまうのだった。

 とりあえず、一度目のエサ換えを試みる。このあとの反応をみて、これからの作戦を考えていこう・・。

 一投目よりも小さめにパンをつけて、同じラインに仕掛けを打ち込んだ。今度は釣り座に戻らずに、竿をピトンにかけるとすぐに橋の上から仕掛けの様子を見に行く。

 すると早速パンに反応する鯉が・・・。しかし仕掛けの前で数秒停止しただけで去ってしまう。続いて入ってきたのはアベレージサイズよりも大きめで、推定75〜6センチと思われるかなり太った鯉。この鯉は上流から手前の岸際のラインをまっすぐ泳ぎながら仕掛けの横を通り過ぎ、そのまま下って行ってしまった。アベレージよりも大きいサイズなだけに、仕掛けを完全に見切った素通りかと思われたが、通り過ぎる際に横目でパンを見ていたのだろう。Uターンして仕掛けの方へ戻ってきた。一度素通りしたのは様子見のためのやり過ごしだったようだ。この鯉もやはり、長時間、仕掛けの周りをグルグルと彷徨っている。そして意を決したようにパンに急接近し、鼻先でパンに触った・・!食うか!?橋の上からそれを見ている僕は緊張で体が固まってしまう。だが、鯉はふいっと首を横に一度振って去っていってしまった。

 ・・・残念。ここまで寄ってきてなぜ食わない。このあとも50〜70センチクラスが幾度となくパンに寄って来るが、どれも同じ結果で終わってしまう。パンは鯉が興味を持つと言われる白い色で、水中ではやわらかく膨れ、それが水の流れによって踊らされて絶大なアピールを鯉に与えてくれる。これ以上ないというほど、冬場の釣りに有利なエサなのだが、今日の鯉の警戒心には勝つことができない・・。1番竿の仕掛けを1本針にしてみるが、結果は同じだった。

   白く見えるのが仕掛けについたパン。
鯉はこのように横目でパンを見ながらウロウロするばかりで、口を使おうとしない。
 

 なら、どうすればよいだろう。作戦はまだいくつか用意してある。
 ダンゴならどうだろう・・?ジャミもいないし、粒子が小さくバラケやすいダンゴでアピールしながら食わせることはできないか。鯉がダンゴにどのような反応をするのか、まず確かめるために、直径5センチほどのダンゴ(炒りヌカ+バーディ)をポイントから少し離れた場所に2個投げてみる。少し時間を置いてからダンゴの様子をみるが、食べられた様子はない。

 周りにいる鯉がバラケて底に散らばったダンゴに少しずつ反応しているのが見えるが、ダンゴはパンよりも警戒心を煽ってしまったようで、少し寄って来ることはあっても、大概、ダンゴの数メートル先で近づくのをやめ、去ってしまう。これではダンゴに食わせを入れてポイントに投げたところで期待はできない。

 ならば、このポイント定番のコーンを試してみることにする。最近はこのコーンを使っても、去年のように連続アタリが出ることが少なくなってしまったのだが、ダンゴよりも警戒は抑えられそうだ。コーンはパンやダンゴのように強いテンプテーションをかけることはできないが、そのぶん警戒心の強い鯉には有効になるだろう。ここからはかなりシビアな先方で攻めることにする。

仕掛けは竿2本とも、警戒を抑えられる1本針に変えた。

オモリ部の変更はなし。

ハリス:巨鯉ハリス8号
長さは25センチ

:チヌ8号

エサ:食わせコーン(バニラエッセンス入り焼酎漬け)

 上記の仕掛けに変更し、コーンは警戒されないよう、1粒だけをつける。
 仕掛けの投入はピンポイントアタックで、橋の上に竿を持ち込み、変更グラスで鯉の通り道を探して、その場所に静かに置く。1番竿の投入点は金魚藻の群生の中にある隙間。今日の鯉はこの隙間の付近でエサを探ることが多いのが、この数時間鯉の動きを観察していて知ることができた。

 2番竿はフラットなオープンと金魚藻の群生の際に投入。寄せエサはいつもよりもかなり少なめで、仕掛けの周り、半径約3メートルに10粒ほどまばらに撒いた。

 今回、使っているオモリが新品のため、金属光沢がある。この場所のように水深が1メートルほどしかないような場所では太陽の光でさらに目だってしまうので、仕掛けを投入したあと、ラインを少し引いて25センチのハリスを純分に伸ばし、オモリから遠ざける。そのあと、オモリをその場でジャンピングさせ、オモリを柔らかい泥の中にうずめる。

 ラインは落とし込みオモリで底に沈めておく。これで、いま出来る限りの対警戒心対策は全て施した。あとは鯉次第だ。

 午後2時ごろ、村上さんが釣り場に訪れた。最近は仕事で忙しく、今回も竿を出せないが、しばらく僕の話し相手をしてくれた。やはり鯉釣りは一人でやるよりも、何人かで談笑しながらアタリを待つのが好きだ(笑)

 村上さんが最近やっているという仕事の話をしていると、突然センサーから異音が・・!?「来た!!」 センサーがしっかりと鳴ってくれないが、1番竿の竿先が舞い込んでいるのが見える。

 約2ヶ月ぶりのヒットに興奮しながらも、バラさないように慎重に魚を引き寄せる。上がったのは60センチちょっとの鯉だった。アベレージサイズよりやや小さめだが、久しぶりに釣った鯉。最高だった♪

  なんとかゲット!60センチくらいか?(未検寸)  

 作戦を変更してから約30分。良い感じで反応が出たのではないだろうか。とりあえず、一安心。2本ともエサ換えをし、1番竿は同じ場所に投入。2番竿は草の生えていないオープンに打ち直し、寄せエサもまた10粒ほど撒きなおした。

 30分後、村上さんが帰ってしまったので、また橋の上で仕掛けの様子をみると、1番竿の仕掛けの近くに70センチほどの鯉が寄せエサをついばんでいる。このまま針のついたコーンを食べてくれるのを期待したが、周りの寄せエサだけを綺麗に完食し、針についた食わせコーンだけを残して泳ぎ去った。どうやらまだ警戒されているようだ。今日の釣りは実に難しい・・。だが1匹釣ってしまっては、もっと大きいのが釣りたいという欲がでる。

 午後3時、日が落ち始め、橋の上からの水中の観察が難しくなった。あとは釣り座でアタリを待つことにしよう。さきほどのアタリでセンサーが鳴らなかったのが気になり、電池や線の接触などをいろいろをいじってみたが、原因はよくわからない。帰ってから調べてみることにし、センサーを外して、クリック音でアタリを取る。

 太陽が沈み出すといままで暖かかった気温も段々と寒くなってくる。近くのコンビニで温かいココアを買い、それを飲んで一息ついた。今日のタイムアップは午後4時。残り30分を切ったところで、2番竿に動きがあった。鯉の前アタリかと期待しが、フナかなにかがコーンをつついただけらしい。今回は鯉に警戒させないために、針に1粒しかコーンをつけていない。2番竿の仕掛けを引き上げると、案の定、コーンはついていなかった。これから打ち直すのも面倒なので、2番竿は先に片付けることにした。

 残り15分。この時間になって鯉の泡付け、もじり、ハネがかなり見られるようになってきた。残り時間を1番竿に賭け、2度目のヒットを期待したが、その期待は外れ、午後4時をまわって今回の釣行は終了。納竿となった。

 まだ釣り足りなかったものの、連続ボウズは解消することができた。後味は悪くない。これからはどんどんと雪が積もって釣行はなかなか大変なものになりそうだが、まだまだ今年の釣りは続けたいと思う。