鯉釣り日記2006 Powerful Carp in Narrow River
 釣行日 7月9日
午前9時〜午後6時
 場 所  篠津湖
 時 間


 今回は、ちばさんとの合同釣行。ちばさんの地元の月寒川、望月寒川の合流点付近で竿を出すことになった。僕にとっては初めてのフィールドである。今日はどんな釣りができるだろうか・・。

 午前9時ごろ、ちばさんの車に乗せていただき、釣り場へと向かう。

 今回のフィールドは2つの川の合流点だが、月寒川、望月寒川ともに、あまり僕の釣りに接点がなかったためにほんの一部しか見たことがない。どちらも大きな川ではないのだが、どのような川なのかもよくわからなかったので、僕にとってはほとんど未知の世界。釣り場への到着が楽しみだった。

 午前9時15分ごろ到着。車から降り、月寒川に架かる橋の上から川の様子をみる。やはりかなり小さい川だ。そのすぐ近くで合流する望月寒川も同じく小さくて、細い。上からみた感じでは、魚の姿はほとんどない。しかし千葉さん曰く、かなりの数の鯉が大きなスクールを組んで回遊することがよくあるそうだ。この一帯の鯉の回遊ルートはそう長くはない。巨大スクールではなくても、待っていれば幾匹かのスクールが通るはずだ。早速荷物を降ろす。

 どちらの川も川幅は5〜10メートルほど。月寒川に望月寒川が横から入り込んでいる。合流した下流でもほとんど川幅は広がらない。せまいフィールドだが、それだけに攻めやすそうだ。合流点は、やはり水通しがよく葦や水草が生え、大きめの石も転がっている。いかにも魚が好みそうだ。全体的にせまいフィールドであるが、合流点だけはやはり広くなっている。仕掛けの投入ポイントや寄せエサを打つポイントなど、攻撃パターンが幾通りか描くことができる。

 ちばさんは、合流点の月寒川側から2本の竿を出した。まだスペースが開いているので僕もそのすぐ隣に竿を出そうかと思ったが、このような場所だけあって、二人で同じ場所を攻めても面白みが少々欠ける。僕は合流点上流か下流のどちらかに竿を出すことに決めた。

 しばらく川を見回って良さ気なポイントを探す。結果、上流と下流にひとつずつ気になるポイントを見つけた。どちらに入るかはこの日の魚の行動パターンで決めたいのだが、いまだに鯉が現れない。どうしようもないので、とりあえず上流に竿を出すことにする。この一帯の土手は草がしげっているので、足で草を踏みながら、2本の竿が出せるだけのスペースを作る。下流からの上りの鯉が多いとき、上流のこのポイントは有効だ。だが、上流からの下り鯉および望月寒川から入ってきてそのまま下流に向かう鯉が多い場合は、ここよりも圧倒的に合流点の下流が有効になる。いつでもポイント移動できるように、下流のポイントにもスペースを作っておく。

 さて、竿を出そう。川幅10メートルの狭い川だが、いつもどおりの鯉竿タックルを持ち込んだ。このような狭いフィールドでは一般的に短竿が使いやすいのだが、竿出しスペース以外、背の高い草に覆われているような場所では、魚が勢いよく走りだして遠くに行ってしまってもそれを追うことができない。そのような場合は長竿のほうが魚に横走りされたときに制御しやすいと思ったからだ。だが、この小さくせまいフィールドの鯉が、そこまで苦戦するような走りをするだろうか・・・・・?疑問に思ったが、一応念のためということで・・・。

 今回の仕掛けは普段ホームグラウンドで使っているものと同じものを使用した。

ひし形オモリ25号(固定式)
巨鯉ハリス8号
チヌ針8号 (2本針、ヘアリグ式1本針も用意)

エサ

マルキュー食わせコーンの焼酎漬け。

 このポイントは川幅が8メートルほど。こちら側の岸よりに、縦3メートル横15メートルほどのブロックが施され、水深はブロックの上が40〜50センチ。ブロックの奥は80〜90センチほどだろう。1番竿をブロックの奥、2番竿をブロックの上に投入。狭く、この長竿を振ることはできないので、ピッチングでキャストする。

 この一帯の鯉は警戒心が強いと聞いているので、寄せエサとして撒く冷凍コーンも普段より少量。あとはじっくりと鯉の回遊を待つ。

僕のポイントは合流点よりも数十メートル上流(月寒川) ちばさんは合流点で竿を出した。
奥から流れ込んできているのが望月寒川

 センサーをセットしたあと、ちばさんの釣り場で鯉の回遊を待つ。釣り談義をし、釣り場周辺をぶらぶらしながら川を見るが、やはり鯉の姿はない。

 今日は風が強く、滑らかに流れる水面がざわついている。水深もかなり浅いので肉眼で川の様子を見られそうだが、風が吹いているときは偏光グラスは必須だろう。

 まだアタる気配はないので、ちばさんと望月寒川の上流にある水門付近の様子を見に行ってみる。この場所には必ずといっていいほど鯉がたまっているらしい。偏光グラスをかけて土手から川に下りてみる。川を覗くと、水底の一部が泥を巻き上げて濁っているではないか。おそらく、鯉が僕達の土手を降りる足音をきいて気配を察知し、逃げたのだろう。話に聞いていたとおり、創成川などの鯉に比べて、警戒心が半端なく強い。これはかなり難易度が高いかもしれない・・。

 しばらく、水門前の土手から水中をくまなく探していると、2匹の鯉が現れた。どちらも50〜60センチクラスだろう。やはりその2匹も、僕らがまったく動かずに息をひそめているにもかかわらず、気配を察知して全速力で逃げていってしまう。かなりスレている創成川ではこんなことはまずないだろう。

 釣り場に戻るが、やはりこの周辺には鯉の姿が見えない。はやくも時刻は午後1時をまわっている。今回は日が悪かったのだろうと、半ば諦めながら昼食をとり、意味があるのかわからないエサ変えをする。

 2番竿をもち、仕掛けを引き上げようとリールのハンドルを回したそのとき、ちょうど仕掛けのエサを吸い込まんとする鯉の姿がみえた。とっさにハンドルから手を離すが、時すでに遅し。急にエサが動いたのに驚いた鯉は水中に煙幕を上げながら去っていってしまった。なんというタイミングの悪さ。だが、この釣り場で鯉を確認できた。しかも食い気があるようだ。エサを新しいものに交換し、今度は1番竿、2番竿ともに手前のブロックの上に落とした。撒きエサも仕掛けの周り半径1メートルほどの範囲で数粒ずつ撒く。

 ちばさんの釣り場でも鯉の跳ねやモジリが見られ、とうとう魚がこちらに回ってきたようだ。さきほどの水門付近の様子も見に行ったが、こちらもこの川でよく見られるアベレージサイズ(50〜60台)のスクールと、大型の鯉(70〜80台)のスクールが計20匹ほどでたまっている。しかも皆、食い気があるようで泥の中に顔を突っ込み、エサを食んでいる。その姿を写真にとるべく、自分の気配を殺しながら、体勢を低くしてゆっくりと近づいたが、一匹が僕の姿に気づくなり、猛ダッシュで逃げ去り、それに続いて全ての鯉が姿を消してしまった。

 釣り場に戻ると、手前にあるブロックの上でエサを探す鯉が2匹見える。気づかれぬよう、しゃがみながらその様子を偏光グラスでみる。鯉は60センチ前半というところだろうか、同じくらいのサイズが2匹、ブロックの上に積もった泥を巻き上げながら何かを食べている。食べているのは恐らく、僕が撒いた寄せエサの冷凍コーンだろう。1匹がエサを探しながら移動をはじめた。その先には2番竿の仕掛けが置かれている・・・・・・・・・・・・・・そして、いま鯉の口に針のついたエサが吸い込まれようとしたとき、何故か急に吸い込むのをやめ、どこかに去ってしまった。どういうことだろう、このままヒットするに間違いないと思ったのだが・・。

 だが、まだ別の鯉がいる。いつのまにか、鯉の数が増え、釣り場のあちこちに見られるようになった。

 そして、今度は一番竿に変化。穂先がゆれている。風と光加減で偏光グラスを通しても魚の姿が見えないが、確実に前アタリだ・・・このまま食い込めと祈りをかける。しかし、こちらも空アタリで終了。フッキングしかけたと思われる鯉が仲間たちと一緒に去ってゆく姿が見えた。

やはり、かなり警戒しているのだろう。食い気はあっても、スムーズに針を吸い込んでくれないのだった

   こちら側の岸から川幅の半分をブロックが占領している。このブロックの上に、エサを探す鯉がよく現れるようになった。  

 これは本当にシビアな釣りになりそうだ。ここまで警戒心が高いとは正直、思っていなかった。これは本気にならざるをえない。

 鯉が警戒心なくエサを吸い込むように、作戦を考えた。この場に応じた、自分が持てる限りのフレキシビリティを振り絞った。

 まず、仕掛けを交換。1、2番竿ともに2本針だったが、ヘアリグの1本針を使ってみることにする。普通の仕掛けよりも多少警戒心が解けるのではないかと思われる。ハリスの長さは27センチ。塗装をしていない鉛むき出しで、このフィールドには大きすぎるオモリを使用しているから、なるべくエサとオモリの距離を離すため長めのハリスを選択した。投入後は手で道糸をつかみ、その場でオモリをジャンピングさせる。巻き起こった泥が、銀色のオモリに覆いかぶさり、少しだけだがカモフラージュしてくれる。道糸にはスナップにつけた1号のナス型オモリを通し、道糸を沈めて底を這わせる。これで準備OK。次のチャンスが訪れるのを待つ。

 ここの鯉はやはりスクールで行動することが多いようだ。単独で泳ぐ鯉もいるが、その近くにはかならず他の鯉もいる。スクールを組んでいなくても、まとまって泳いでいる。しばらく、竿の横にしゃがみながら、ブロックの上に横たわる仕掛けとエサを眺めていたが、一匹でもポイントにいれば、そのまわりには多数の鯉がいるのでチャンスは大きい。しかし、周りにいるすべての鯉が通り過ぎて行ってしまうと、次に現れるまでしばらく時間がかかる。創成川のように鯉の出現が気まぐれではないようだ。

 幾度か鯉の小さなスクールが通りかかったが、ヒットはせずに去ってしまった。しかしスルーされたわけではなく、エサへの興味は多少持っているようだ。エサの存在さえ気づいてもらえれば、去ってしまった鯉でも、次に戻ってきたときに食ってくれるかもしれない。そう期待してアタリを待つ。

 ちばさんのポイントでも、鯉の気配はある。ちばさんはエサにソーセージボイリーを使用し、ポイント周辺にも同じボイリーをフィーディングしている。完全動物性で、色も白っぽく、アピールができそうだ。合流点ということもあって大型がまわってくる可能性があるので、ひそかに期待した。

 時刻は午後4時。夕方のちょうどいい頃合である。終了時間も近づいてきたが、鯉釣りは最後までなにがあるかわからないので、気は抜けない。鯉の活性も更に増し、釣れない、アタリがないといって諦められないような状態だ・・・。

 午後5時。夕日がフィールドと竿をオレンジ色に照らし、釣れそうな雰囲気をかもし出す。川を見ると、上りの鯉が多いようで、ゆっくりとエサを探しながら僕のポイントに向かって泳いできている。僕の釣り場で竿先をながめながら、ちばさんと談笑する。

「マジでこの3年間大物に恵まれないんですよ〜」

「自己記録更新以来?」

「大きそうなのが掛かることはたまにあるんですけど、何だかんだでバラすんです。こういうことがホント多いんですよ」

 なんて、大物釣れない話をしながらひたすらセンサーの受信を待つ。日が傾いて、偏光グラスでも水中がみえなくなってきた。かろうじて2番竿の仕掛けが横たわっている姿だけが見ることができた。そのまわりに鯉はいるのだろうか・・・仕掛けの周りの寄せエサのコーンはいくらか減っているように思える。

 そして午後5時15分。僕の2番竿にヒット!!長めの前アタリのあとに穂先が引き込まれた。

 突然のアタリに釣り場の空気が変わる。釣り人のテンションも血が煮えたぎらんばかりに急上昇する。

 魚は下流へ走り、糸を勢いよく出し始めた。同時にピトンヘッドも鯉が走る方向に回ってしまった。竿をもち、ドラグを一段階閉める。僕は魚が掛かって竿を持ってから。リールのドラグテンションを2段階に分けて設定している。一段階目はドラグテンション約5キロになる。創成川の70センチクラスなら、このドラグテンションでも糸を出すがスプールを手で押さえながら竿を立てれば制御できる。しかし、今ヒットしている魚はそうは行かなかった。しかたないのでもう一段階ドラグをまわす。テンションは約8キロになる。そして竿を立てた。普通はこの状態で糸を出す鯉はそういないが、なんとコイツは、スプールを回しやがった。
「デカイかも!?」思わず声がでた。だが、せまい川だけにこれ以上糸を出されるわけにいかない。こちからも引っ張り返す。なかなかの重量感!やはり大きい魚のようだ。しかしそのとき!竿から魚の猛攻が消えた。

「外れた・・?」リールを巻くと何もついていない仕掛けが上がって来た。
「ショ〜ック!」

 またやってしまった・・・・。肩の力が抜ける。横でタモを構えていたちばさんもガックリ。

「さっきも言いましたけど、この3年間はホント、こういうことが多いんですよ」

 このような悔しさは、もう勘弁してほしい。今回のバラしは、走られまいと、ドラグテンションが高いまま竿を立て、ひっぱりあいをしている最中だったので、スッポ抜けというより口切れかと思われる。さきほども空アタリがあったように、ここの鯉の警戒心は凄まじく、中途半端な食い方をしているのだろう。

 せっかくのヒット(しかも大きそう?)をバラしてしまい、このまま終了するのは後味がわるいので、午後6時半まで粘ることにした。

 もう一度同じ場所に仕掛けを落として、最後のチャンスをまつ。もう一度ヒットしろと願うばかり。食べられてしまった寄せエサも撒いておく。今度はアタリ待ちのドラグテンションをゆるゆるにして、ゆっくり、しっかりとフッキングできるようにした。

 バラしたことによってポイントが荒れてしまったんじゃないかと心配したが、まだ食い気のある鯉はポイントにいるようだ。最後のチャンスを信じる。

 そして終了時間の午後6時半。納竿の準備をしようと思ったそのとき、1番竿が舞い込んだ!魚はやはり下流に走ってゆく。
今度はばらしたくない。慎重にやりとりをする。重量的にはさきほどの魚よりも軽く感じ、竿をたてるとすぐに水面で暴れだしたが、粘り強い引きをしてくれる。小さな川なので、ここの鯉はさほど走らないものというイメージをもっていたが、グングン抵抗する。少々走られてしまったので、釣り場よりもちょっと下流でちばさんにネットインしていただいた。

上がったのは65センチ。太り気味でコロっとした体形の茶色い鯉だった。このサイズにしてはかなりエキサイトしたファイトを味合わせてもらった。さきほどバラしたものよりも小さいだろうが、これで後味よく帰ることができる。

 65センチ。この川ではアベレージサイズだろうか  65センチ。この川ではアベレージサイズだろうか

 鯉をリリースしてからすぐに納竿し、今回の釣行は終了となった。

 最初のバラシはかなり悔しかった。この川の鯉は引きが強いということがわかったが、最初の鯉は重量もありなかなかのサイズだったと思われる。こんな小さい川だが、大いにに楽しめる。難易度が高いことで、今回は本気で鯉と対決でき、充実した釣行となった。また今度、ここに訪れたい。